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環境保全の取り組み

24件の記事があります。

2016年05月18日生物多様性ってなんだろう

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毎年5月22日は、国連が定めた「国際生物多様性の日」です。

皇居外苑管理事務所では、皇居のお濠の生物多様性を保全するため各種の取り組みを行っており、普及啓発の一環として、楠公レストハウスの展示コーナーに皇居のお濠に元々生息する在来魚と、人の手によって放逐され、在来のいきものに影響を与えている外来魚等を常設展示しています。

"生物多様性(せいぶつたようせい)"って、最近よく耳にするけど、何だかよく分からない、難しいそうなキーワードですよね。国際生物多様性の日の5月22日を中心に、"セイブツタヨウセイ"を感じ・学び・行動するためのさまざまなイベントが全国各地で開催されます。

UNDB-jロゴ

国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)及び関係団体では、自然度の高い場所での参加型保全活動から、公園や動植物園、駅前の商業ビルなど身近な場所での展示や体験型イベントなど、いろいろな施設でその土地ならではのさまざまなイベントを企画しています。

井の頭自然文化園の特設展「カエル学にゅうもん」など、見て楽しく、体験して楽しい企画がいっぱいあります。

ぜひ、お住まいの地域で開催される関連イベントを生物多様性.comのウエッブサイトでチェックして、各地のイベントにご参加ください。

gwsatotayo

生物多様性条約事務局では、国連が定める国際生物多様性の日(5月22日)に、世界各地の子どもたちが学校や地域などで植樹等を行う「グリーンウェイブ」への参加を呼びかけています。

一般参加が可能なものもありますので、ぜひグリーンウェイブ2016のウエッブサイトをチェックして、お近くで行われるグリーンウェーブの行事にもご参加ください。 

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2016年05月09日愛鳥週間2016

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北の丸公園の池では、今年もカイツブリが子育てをしています。

カイツブリ親が帰ってきた

東京都心の真ん中にある皇居の周辺でも、この時期になるとさまざまな野鳥が忙しそうにエサ集めをしているようすなどが観察で出来ます。小さな野鳥を見つけるのは大変ですが、牛ヶ渕などの皇居のお濠や北の丸公園の池などではカイツブリが営巣しており、バードウオッチングになれていない方でも、比較的容易にヒナを育てているようすなどを観察できます。

カイツブリ親子の写真

明日(5月10日)から愛鳥週間が始まります。愛鳥週間は、野鳥を保護し愛鳥思想を広く国民に普及するため、昭和22年4月10日に「バードデーの集い」として始まり、昭和25年に毎年5月10日から16日の1週間を「愛鳥週間」と定めて自然保護に関する普及啓発の取り組みが続けられています。環境省では都道府県や野鳥保護団体との共催で「全国野鳥保護のつどい」を開催しており、今年は神奈川県小田原市を会場に記念式典が催される他、全国各地でも自然環境の大切さを広めていくことを目的とた行事が催されています。各地の行事では、野鳥観察のルールやマナー、野生の生きものと人の接し方なども学べる貴重な機会に出会えるかもしれません。

皇居周辺などの大きな緑地以外でも、少し意識して歩いてみると意外なほどさまざまな種類の野鳥が身近なところに生息していることにお気づきになるかもしれません。愛鳥週間には、お住まいの近くで野鳥探索してみてはいかがでしょうか。

☆営巣中の野鳥はとても敏感です。カイツブリ等の観察を行う際は、そこがどんなに身近な場所だとしても、"自然の中で生きる野生のいきもの"と接していることを忘れずに、自然と人が接するためのルールやマナーを守って遠くからそっと見守ってください。

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2016年01月19日千鳥ヶ淵ガイダンスツアーを開催しました

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園ブログ / 千鳥ヶ淵さんぽみち / 環境保全の取り組み / 皇居外苑ブログ

千鳥ヶ淵環境再生プランに基づく事業の一環として、皇居外苑管理事務所主催の千鳥ヶ淵ガイダンスツアーを開催しました。

〈北の丸公園の四阿〉

当日(平成28年1月16日(土))は、天候に恵まれて絶好のツアー日和になりました。

皇居外苑管理事務所では、千鳥ヶ淵やその周辺地域について、豊かな自然環境や歴史など、桜以外の多様な魅力をより多くの方々に広く知っていただき、四季折々を通じて千鳥ヶ淵地域の適正な利用が図られるよう取り組みを進めており、その一環として、千鳥ヶ淵を周回するモデルコース「千鳥ヶ淵さんぽみち」を中心とした情報発信等を推進しています。

 

〈千鳥ヶ淵堤塘の桜(北の丸公園から千鳥ヶ淵を臨む展望広場)〉

千鳥ヶ淵堤塘の桜は、奥行きや高度感のある変化に富んだ景観と、明治以来のこの地域の歴史を引き継ぐ優れた景観が特徴です。しかし、桜の木が育つには厳しい堤塘という植栽環境や、木自体の老齢化とともに、個々の桜の木が健全な状態では無くなってきたため、千鳥ヶ淵堤塘の桜林をどのように良好に管理していくかが課題となっていることや、個々の桜の木を健全に保って今後も桜の景観が楽しめる場所となるようにするにはどのような管理が必要なのか検討が進められていることなどをご紹介しました。

〈堤塘の草地や林床の植生(北の丸公園内の落葉樹林園地)〉

北の丸公園や濠の堤塘の樹木や草地は、過密な状態にならないよういわゆる里山で伝統的に行われてきた定期的な草刈りや適度な間伐等を持続的な保全管理技術として改めて組み入れることで、多様な自然環境を維持しながら、より快適な利用の推進を図れるよう検討が進められていることなどをご紹介しました。 

牛ヶ淵では、自生の可能性があるヘイケボタルやレッドデータブックに掲載されているベニイトトンボなどの希少種を含む多様な生物がいることから、これらを守り育てるための試行的な取り組みや、ヘイケボタル生息地保全として周辺の方々にご協力いただきながら実施している「ホタル保護のための牛ヶ淵地域ルール」の取り組み、牛ヶ淵にいるトンボやホタルなどの多様な生物が住める環境を千鳥ヶ淵地域全体に広げていくとともに北の丸公園の池では自然とふれあい、学べる場所となるように水辺の自然を保全する構想の検討状況等をご紹介しました。

 

〈ガイダンスツアー参加者との意見交換(かがやきプラザにて)〉

千鳥ヶ淵地域の豊かな自然環境や歴史などの魅力をより多くの方々に楽しんでいただくためには、さまざまな方々に環境教育やガイドの場として実際に活用して頂くことが最も重要であることから、適正な利用を推進するための基礎となるマッチングの仕組みについて検討しており、今年度の千鳥ヶ淵ガイダンスツアーでは、この地域で活動されている学校教職員や観光ガイド・自然観察の団体、メディアの方々を対象にして実施しました。

ガイダンスツアーの最後には、牛ヶ渕の隣に昨年開館(平成27年11月24日)したばかりの高齢者総合サポートセンターかがやきプラザ内のひだまりホールを特別にお借りして、ガイダンスツアーにご参加いただいた皆様との意見交換を行い、さまざまなご意見やご質問をいただきました。

皇居外苑管理事務所では、今後も千鳥ヶ淵地域の保全と適正な利用を推進するための取り組みを進めて参ります。

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2016年01月12日きれいな青空を守るために

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皇居外苑と北の丸公園の駐車場に、駐停車中のアイドリングストップを呼びかける表示板が設置されました。

写真:皇居外苑楠公駐車場のアイドリングストップを呼びかける表示板

写真:アイドリングストップ看板皇居外苑楠公駐車場

皇居外苑楠公駐車場のアイドリングストップ表示板〉

環境省では、日々の暮らしの中で低炭素社会の実現に向けて実行できるさまざまな取り組みへの参加を呼びかけています。この機会に大気汚染防止や低炭素社会の実現に向けた取り組みについて、みんなで考えてみましょう。

☆楠公駐車場は、皇居外苑(皇居及び皇居東御苑等の参観を含む)に、大型観光バスや観光タクシー等で訪れる公園利用者のための専用駐車場です。一般の車両(普通乗用車、バイク等)での利用は、特例車両を除き出来ません。

写真:北の丸公園第一駐車場に設置されているアイドリングストップを呼びかけるための表示板

北の丸駐車場/第1駐車場のアイドリングストップ表示板〉

これらの表示板を設置した12月は、例年自動車交通量の増加や、ビル・家庭の暖房の他、気象条件の影響等により大気汚染物質濃度が高くなる傾向があることから、環境省では12月を大気汚染防止推進月間として、きれいな空を守ることの大切さを呼びかけています。

☆北の丸駐車場は、北の丸公園及び北の丸公園と一体的に利用される近隣文化施設等を訪れる公園利用者のための専用駐車場です。

写真:北の丸公園第二駐車場に設置されているアイドリングストップを呼びかけるための表示板

北の丸駐車場/第2駐車場のアイドリングストップ表示板〉

駐停車中のアイドリングストップをはじめとするエコドライブの実践は、車を使用するすべてのみなさんが取り組むことが出来る大気汚染防止や低炭素社会の実現に向けた選択です。

写真:北の丸公園第三駐車場に設置されているアイドリングストップを呼びかけるための表示板

北の丸駐車場/第3駐車場のアイドリングストップ表示板〉

移動手段に公共交通機関を利用することは、毎日の暮らしの中で、みんなができる低炭素社会の実現に向けた選択です。

皇居外苑や北の丸公園、日本武道館等周辺の文化施設にお越しの際は、地下鉄などの公共交通機関をご利用下さい。

皇居外苑(皇居前広場)の最寄り駅

運行状況や利用案内は、次の各駅へお問い合わせください。

(順不同)

北の丸公園の最寄り駅のご案内

 運行状況や利用案内は、次の各駅へお問い合わせください。

(順不同)

北の丸公園近隣の文化施設等のご案内

開館・開園状況等については、各施設へお問い合わせください。

(順不同)

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2015年08月07日東京・北の丸公園露場(ろじょう)のご紹介

皇居外苑いきもの / お知らせ / バックナンバー2015 / 北の丸公園ブログ / 夏の花 / 気象観測 / 環境保全の取り組み

北の丸公園内に東京都心の気象観測点が設置されているのはご存じでしょうか?

先日、東京都心部で観測された猛暑日(最高気温が35℃を超えた日)の連続日数が記録更新されたことを受け、この数日、テレビのニュースや天気予報等でもちょくちょく紹介されているので、季節の話題としてご存じの方も多いかもしれません。

写真:北の丸公園内に設けられた東京管区気象台の地上気象観測施設「東京・北の丸公園露場(ろじょう)」の全景

積雪計、感雨器、温度計・湿度計、雨量計

写真左上:積雪計(レーザー光を発射して積もった雪の深さを測ります)

写真左下:感雨器(上部のセンサーに雨や雪が付くと電気が流れ、雨や雪が降っていることが分かります)

写真右上:温度計・湿度計(通風筒内に電気式温度計、電気式湿度計が入っています)

写真右下:雨量計(降雨時に中のますがシーソーのように交互に動きその回数で降水量を測ります)

写真:ノダフジの花

施設の周りには、生物季節観測に用いられる指標植物も数種類植えられており、藤棚ではノダフジの花が炎天下で風にそよいでいました。

写真:サンゴジュの実

サンゴジュの実は赤く色付き始めています。

写真:ヤマハギと蝶々(ツマグロヒョウモン)

ヤマハギも小さな花をたくさん咲かせていて、弓なりにしなった枝のアーチの上では、蝶々(ツマグロヒョウモン)がのどかに羽を休めていました。

北の丸公園の露場は、来園者が気軽に見学出来るように、見学用の通路や観測データの表示施設も整備されています。また、北の丸公園の最寄り駅の一つである竹橋駅から歩いて数分の距離にある気象庁には、「気象科学館」が併設されています。

北の丸公園にお越しの際は、東京の気象観測地点である露場や気象科学館にも立ち寄られては如何でしょうか。


※観測データについては、気象庁東京管区気象台にお問い合わせください。

※露場を含む北の丸公園内でのメディア撮影や取材等は、気象庁東京管区気象台の承諾を得た上で、公園管理事務所(皇居外苑管理事務所北の丸分室)への撮影等許可申請が必要です。

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2015年06月19日蓮の花咲く水辺(皇居牛ヶ淵)

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皇居のお濠の一つ、「牛ヶ淵」でハスの花が咲きはじめました。

ハスのハナのアップの写真

多くの方々が行き交う九段下駅から北の丸公園の入り口方面に向かう上り坂(靖国通り)からは、四季折々に変化する牛ヶ渕の眺望がお楽しみいただけます。

蓮の葉などの水草が覆い被さるように茂る牛ヶ渕の眺望はこの季節の風物の一つですが、これらの水草もかつて放されたソウギョなどの外来魚の影響で一時ほとんど失われたとされ、お濠の保全対策の一環として行われている様々な取り組みにより、濠の底に貯まっていた泥の中に埋まっていた昔の種(埋土種子)が発芽し、長い時間をかけて徐々に復活したものと伝えられています。

ハスの花も蕾もの写真

残念ながら、ハスの花が間近に眺められる場所は牛ヶ淵にはありませんが、ちょっと立ち止まって、小さなデジタルカメラで拡大してみると、葉の間にはまん丸い蕾がたくさん控えている様子がみえました。

一輪のハスの花は、午前中に開き午後には閉じるをくり返し、咲きはじめて4日ほどで散ってしまいますが、たくさんのつぼみをつけ、夏の間ぽつりぽつりと咲き続けます。

牛ヶ淵のハスの写真

皇居牛ヶ渕の「蓮の花咲く水辺」は、ホタルに代表される都会に残された貴重ないきものたちを育む大切なゆりかごの一つです。みんなでそっと見守ってくださいますよう、お願いします。

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2015年06月12日「千鳥ヶ淵さんぽみち」のご案内

皇居外苑バックナンバー2015 / 北の丸公園ブログ / 千鳥ヶ淵さんぽみち / 環境保全の取り組み / 皇居外苑ブログ

皇居のお濠の一つで、桜の名所としてもよく知られる千鳥ヶ淵の周りには、千鳥ヶ淵緑道(千代田区立公園)や代官町通り沿いの堤塘(皇居外苑濠地区の一部)、北の丸公園などの公園緑地や、みどり豊かな街路樹に彩られた道路が整えられており、沿道にはさまざま文化施設も点在します。

千鳥ヶ淵さんぽ道の地図の写真

皇居外苑管理事務所では、千鳥ヶ淵環境再生プランの一環として、これらの歩道を巡って千鳥ヶ淵をぐるっと周回するモデルコース「千鳥ヶ淵さんぽみち」を設け、多くの皆様に千鳥ヶ淵の歴史的な景観や貴重な自然を知っていただき、楽しみながら将来に受け継いでいけるよう取り組みを行っています。

のんびり散策して、一周するのには約1時間半ほど。

今回は、「千鳥ヶ淵さんぽみち」沿道に点在する、江戸時代から明治、大正、昭和、現代まで続く歴史と皇居一体の自然を感じていただけるポイントをいくつかご紹介します。

北白川宮能久親王銅像と工芸館の写真

北白川宮能久親王銅像(1903年)

※背景の建物は、東京国立近代美術館工芸館(国指定重要文化財「旧近衛師団司令部庁舎」)

高射機関砲台跡の写真

代官町通り沿い堤塘に残る「高射機関砲台跡」

千鳥ヶ淵ボート場の写真

千鳥ヶ淵緑道(千代田区立公園)と千鳥ヶ淵ボート場

写真:九段坂公園(千代田区立公園)の「高燈籠(たかとうろう)」

九段坂公園(千代田区立公園)の「高燈籠(たかとうろう)」

田安門の写真

田安門(国指定重要文化財「旧江戸城田安門」)

千鳥ヶ淵さんぽ道看板の写真

北の丸公園内の休憩所(「フォレスト北の丸」)前の「千鳥が淵さんぽみち」案内標識

標識に表示しているQRコードを読み込むと、このブログ(皇居外苑ニュース)を携帯やスマートフォンでご覧いただけます。

※背景の建物は日本武道館(1964年に開催された東京オリンピックを象徴する建物の一つ)

シジュウカラの写真

シジュウカラ(ツツピー、ツツピーという鳴き声♪)

北の丸公園内では、水のせせらぎや軽やかな小鳥のさえずりもお楽しみいただけます。

☆千鳥ヶ淵さんぽみちに沿ったバリアフリールートをご紹介しています。 

  1. 1 北の丸公園(田安門口)から千鳥ケ淵戦没者墓苑(東門)までは、こちらをご覧ください。
  2. 2 千鳥ケ淵戦没者墓苑(西門)から北の丸公園(乾門口)までは、こちらをご覧ください。
  3. 3 北の丸公園乾門口から田安門口までは、こちらをご覧下さい。

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2015年05月27日【お知らせ】ホタルを守る「牛ヶ淵地域ルール」について

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現在、牛ヶ淵ではホタルの時期となっております。


平成26年7月に照明に関する地域ルールを作成し、今年度も地域の皆様にご協力お願いしているところです。

改めてお知らせします。

写真:ホタル

添付資料:ホタル保護のための牛ヶ淵地域ルール.pdf [PDF 59KB]

平成26年7月15日掲載:ホタル保護のための牛ヶ淵地域ルールのお知らせ

http://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/topics/140715.html

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2013年10月17日(再掲)皇居外苑濠の水質と新濠水浄化施設について

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 皇居外苑濠の水質改善は、皇居外苑にとって以前からの大きな課題です。これについては、近年東京都などと連携を図りアオコとの大量発生を解消する取組を進めています。特に、この4月からはこの取組のなかで重要な役割を担う新しい濠水浄化施設の運用が始まりました。
 ここでは、お濠の水質と水質改善の取り組みについて紹介したいと思います。(図面は、クリックすると拡大できます)


1.皇居外苑濠の概要
 旧江戸城には、本丸を中心に幾重にも濠が巡らされていました。皇居外苑には、それらのうち12の濠があり、その中には、皇居を見渡す眺望の美しい桜田濠、サクラの名所として知られる千鳥ケ淵なども含まれています。(写真1参照)


写真1 桜田濠

 かつて外苑濠には、玉川上水からの水が供給されていましたが、昭和40年にはその水供給が停止され、以降は水源をもっぱら雨水に頼る状況になりました。
 一方で、外苑濠には長年にわたり周囲からの落葉等が流れ込むとともに、一定の雨が降ると東京都の合流式下水道から下水が雨水とともに濠に流入する状況が続いてきました。このような中で、外苑濠の水質は徐々に悪化し、夏から秋にかけてアオコの大量発生が見られるようになっています。


写真2 千鳥ケ淵のアオコ


2 これまでの水質対策
 環境省は、以上のような状況を受け、アオコの大量発生の解消を目標として
、濠水質の定期的調査、東京駅地下工事中の湧水の導水(工事実施時に一時的実施)、首都高速からの雨水補給(継続)、発生したアオコの回収などの取組を行ってきました。
 それらの中でも中心的な取組として、平成7年度には、濠水を浄化、循環させる濠水浄化施設を稼働させました。
 この施設は、プラスチック製の特殊な濾過材によってアオコを除去する「循環濾過処理方式」という方式で、一日最大14000トン(実績値)の水を処理する能力があります。


写真3 既設の濠水浄化施設

 外苑濠は、皇居西側の半蔵門付近を分水嶺として、桜田壕→桔梗濠・凱旋濠→日比谷濠の系統と半蔵濠→千鳥ケ淵→大手濠→日比谷濠の系統の2系統に別れています。
 濠水浄化施設は、最下流の日比谷濠付近に設置され、濠から取水し、浄化した水をポンプで上流に送り、桜田壕と半蔵濠に放流しています。放流した水は、そこから下流の濠を巡り、再び日比谷濠に戻ってくることになります。(図1参照)
 既存の浄化施設は、平成7年から平成24年までの18年間、概ね4月から11月の間、運転されてきました。


図1皇居外苑濠の位置及び濠水の系統


3.外苑濠の水質の現状
 濠水浄化施設の稼働により、外苑濠の水質は一定の改善を見せています。
 以下の表1は、既存の濠水浄化施設の稼働(H7)の前後18年間の濠の平均水質を比較したものですが、透明度、COD、クロロフィルa、全窒素、全リンのいずれも改善傾向を示しています。
 また、ここ5年間(H20~24)では、COD、クロロフィルa、全リンが改善を示しているのに対して、全窒素については、水質の悪化が見られます。
 
表1 皇居外苑濠の水質の状況 (※1)



※数値は、8濠(桜田濠、日比谷濠、蛤濠、桔梗濠、清水濠、牛ヶ淵、千鳥ケ淵、半蔵濠)に対して、年4回(2月、5月、8月、11月)実施した水質調査の結果を平均である。
※2 クロロフィルaについては、S56~H6のデータ


 各濠の状況を詳しく見ると、桜田濠、蛤濠などについては水質が改善されアオコの大量発生はほぼ解消されました。
 その一方で、千鳥ケ淵、その下流にある清水濠、大手濠等では水質の改善傾向は見られるものの、依然としてアオコの大量発生が見られる状況が続いています。これは、千鳥ケ淵へ雨天時の合流式下水道からの越流が影響していると考えられています。

 現在の外苑濠の水質については、以下もご覧下さい。

各濠における主要な水質項目の平均値(H20~24年度)



各濠における水質の推移(H20~24年度)





4 新濠水浄化施設について
 環境省は、依然としてアオコの大量発生が見られる状況を改善し、濠の計画的管理を進めるために、平成22年に皇居外苑濠管理方針及び水質改善計画を策定しました。これは、東京都が下水道から濠への越流を平成27年までに原則防止する対策を進めていることを受けたもので、計画に基づき当面実施する対策と下水道対策の効果と併せて平成27年度から数年程度でアオコの大量発生を解消し、その後も必要に応じて中長期的な対策を実施していくこととしています。 
 この当面実施する対策の中でも中心的な対策となるのが、新しい濠水浄化施設の整備です。
 既存の浄化施設は平成7年度から運用され、一定の水質改善を果たしましたが、近年は設備の老朽化等のために機能を充分発揮できない状況が見られました。
 このため、後継となる新しい浄化施設を整備することとし、平成22年度に基本計画を作成、平成24年度末に竣工し、平成25年4月から運転を開始しています。(写真4参照)
 新しい浄化施設は、既存の施設の隣に整備し、濠からの取水、浄化した水の濠への送水などは既存の施設を使用しています。


写真4 新濠水浄化施設


 新しい浄化施設は、高速凝集沈殿方式という方式を採用しています。
 これは、アオコなどの汚れを、凝集剤という薬品でフロックと呼ばれる塊を形成し、それを細かい砂と一緒に沈降させて、きれいな水と分離するという方法です(図2 参照)
 新しい施設は、既存の浄化施設に比べ設備がコンパクトになり、一方で、浄化性能が高く、一日あたり2万tの濠水を浄化することができます。これは、これまでの施設に比べて約40%の向上となっています。
 環境省では、今後、濠水浄化施設の効率的、効果的な運用方法を検討、実施し、都の下水道対策、また、その後の中長期的な対策と併せて濠水質浄化に取り組んでいきます。


図2 新しい濠水浄化施設の仕組み


※本記事は平成25年9月4日に当ホームページに掲載した記事を同内容で再掲したものです。

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2011年07月01日皇居外苑はクールスポット

皇居外苑お知らせ / バックナンバー2011 / 環境保全の取り組み / 皇居外苑ブログ

皇居外苑は、都心部にある大規模な緑地であり、周囲の市街地よりも気温の低い「クールアイランド」として知られています。また、皇居前広場地区の楠公駐車場などには、太陽熱を蓄積しにくい舗装を使うなどの取組を行っており、朝夕などは夏でも比較的すごしやすいクールスポットといえます。
 節電型のライフスタイルの求められるこの夏、皇居外苑で朝夕を涼しく過ごしてみませんか。

1 クールアイランドについて
大都市では、気温が周りの地域に比べて高くなり、ちょうど熱の島(ヒートアイランド)のようになっています。
これは、地面の大部分がアスファルトやコンクリートで覆われ、また、林立したビルのため風通しや空への熱の放射が悪く、熱をためこみやすくなっていることや、自動車やエアコンなどから排出される熱の量も多いことなどが原因と言われています。
 これに対して、都市の中のまとまった緑地や水面は、水分の蒸発散による冷却効果があり、周辺の市街地よりも温度が低くなる「涼しい島(クールアイランド)」として都市のヒートアイランドを和らげる効果があることが知られています。
皇居外苑は、皇居と合わせて約230ha(サッカーフィールド約300面分)という大規模な緑地となっており、クールアイランドとしての機能を持つことが環境省の調査で確認されています。
 それによると、皇居外苑と周辺市街地の平成19年8月の時刻別平均気温変化を比較すると、一日を通して、皇居外苑の気温は周辺市街地よりも約1.0℃低く、8月中、最大では約2.8℃の気温差が観測された時間帯(夜間)もあったとしています。


図 皇居外苑と周辺市街地の気温比較
(皇居・皇居外苑のクールアイランド効果の観測結果について(お知らせ)」平成20年6月13日 水・大気環境局大気環境課 大気生活環境室 より)
http://www.env.go.jp/press/9832.html


2 遮熱性舗装について
都市には、大量のアスファルトやコンクリートが使われていますが、このような素材は、熱をため込みやすく、昼間に太陽熱を蓄え、夜間に熱を放出するため、ヒートアイランド現象の原因の一つとなっています。
 これに対して日射の約半分のエネルギーを占める近赤外線をよく反射する材料で舗装を行い、路面の温度上昇を抑える舗装を遮熱性舗装(しゃねつせいほそう)といます。
 遮熱性舗装では、通常の舗装と比べ、夏の日中で10℃以上路面温度が低くなり、夕方から夜にかけ、通常の舗装より速く温度が下がります。
 皇居外苑では、平成19~20年度に楠公駐車場(約1.3ha)、馬場先地区(約1.2ha)について駐車場、歩車道の遮熱性舗装を行っています。


図 遮熱性舗装の位置


写真 楠公地区駐車場の遮熱性舗装


この夏は、節電型のライフスタイルが求められていますが。皇居外苑で朝夕を涼しくすごしてみませんか。クールスポット皇居外苑に行きましょう。


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