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2011年01月19日皇居外苑外灯照明の再整備について 第3回 北の丸公園について

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今回は、北の丸公園の照明再整備についてお知らせします。

1 北の丸公園とは

 北の丸公園は、皇居の北に隣接し、千鳥ケ淵、牛ヶ淵といった濠に囲まれた台地に位置しており、昭和30年代後半に近衛連隊跡地を森林公園として造成したものです。外周部は皇居の森と一体感を保つため、常緑樹が植栽され、中央部には明るい芝生地と池が配置され、その周辺には落葉樹や花木があり、野鳥が好む「実のなる木」も多く植えられています。園内の一部は、日本武道館、科学技術館、国立近代美術館等の施設に利用されています。

 また、公園への入口にあたる清水門、田安門は、江戸城の遺構として重要文化財に指定されています(文化庁所管)。


北の丸公園の芝生広場



2 整備の内容

 北の丸公園には、日本武道館などの施設があることもあり、皇居外苑の他の地区に比べ比較的夜間の利用者が多い地区です。
 
 このようなこともあり、北の丸公園には、既に200基近い外灯が設置されており、公園内の明るさを調査したところ、歩行者が安全、安心に通行できるような路面の明るさは概ね確保されていることがわかりました。しかし、一方で、樹木にさえぎられて充分な明るさが確保できていない箇所や、樹木に横方向の光がさえぎられるため効率の悪くなっている箇所があることがわかりました。また、清水門、田安門といった歴史的建築物の周辺も充分な路面の明るさが確保できていないこともわかりました。




既存の外灯(左:道路灯 右:歩道灯)


 LED照明は、光を特定の方向にコントロールすることができます。今回の再整備では、このようなLEDの特性を生かして、光を下方向に向けた効率的な照明を行うこととしました。また、清水門、田安門付近については、照明の増設等を行い、路面の明るさを確保することにしました。

 なお、北の丸公園の現在の外灯は、街路や公園として標準的でシンプルなデザインとなっています。今回、照明は外灯の柱を含め全体の交換となりますが、外灯のデザインは、基本的にシンプルなデザインを踏襲します。なお、清水門や田安門といった歴史的建造物の周辺では、景観に配慮したものとしました。


照明再整備の配置図
(青い丸は効率重視型の照明、赤い丸はデザイン重視型の照明)




北の丸公園の新しい照明
(左、中が基本的なタイプ、右が田安門、清水門周辺のもの) 


 北の丸公園の外灯は約200本あり、今回の再整備では、本数はそれほど変わりませんが、全部の外灯を交換、移設、増設するため、皇居前広場や和田倉噴水公園と比べて大規模な工事となります。

 すでに工事は着手され一部の照明は整備されていますが、全体が終了するには時間がかかり、3月末までを予定しています。

 これまで3回にわたりLED整備の内容を地区毎に紹介し、今回で一通り再整備の内容を紹介したことになります。

 今後も工事の終了まで、LED整備について、より詳細な情報をお知らせしたいと思います。


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2010年12月22日皇居外苑外灯照明の再整備について 第2回 ~和田倉噴水公園~

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 東京駅周辺では、今年も街のライトアップが始まりました。「光都東京・LIGHTOPIA」です。和田倉噴水公園では、地域の小学生や著名人の書いた明かり絵を中心とした「アンビエント・キャンドルパーク」が行われています。

 これらのライトアップの光源にもLEDが使用されていますが、和田倉噴水公園の大噴水などの照明自体も今月から光源がLEDになっています。
 お気づきでしょうか?


 LED化した和田倉噴水公園(画面をクリックすると画像が拡大されます)



1 和田倉噴水公園とは

 この公園は、皇太子殿下のご成婚を機に平成7年に民間の協力も得て整備したもので、今上天皇のご成婚を記念して昭和36年に完成した大噴水を再整備したものです。

 この噴水は、「継続性と新たな発展」をテーマとし、流水の流れ出る源流の滝を「息吹」、球状のモニュメントを「永遠」、そこから大噴水に向かう流水を「予感」、流水に架かるガラスの橋を「希望」、そして、大噴水は「再生」という、それぞれにテーマを持ってデザインされており、公園全体が一つ完成された作品となっています。

 夜は噴水のライトアップをしており、昼間とは違った幻想的な水の風景を見せてくれます。


 昼の和田倉噴水公園



2 整備の内容

 今回の皇居外苑外灯再整備では、和田倉噴水公園の大噴水を初め、公園内の屋外照明を全てLED化しました(12月23日現在、一部補助光源が未工)。このLED化により、和田倉噴水公園の屋外照明による電力消費量・CO2排出量は1/3程度まで削減される見込みです。

 ところで、それほどの事業のわりには現場で実際に見ても何が変わったのか気がつかない方もいるかもしれません。

 それは、実は今回の整備のコンセプトに関係しています。


3 「変わらないもの」を未来に引き継ぐための技術

 今回の外灯照明再整備ではコンセプトの一つとして、皇居の象徴性、歴史性の継承を掲げています。和田倉噴水公園は、今上陛下や皇太子殿下のご成婚を記念するものであり、噴水公園全体が一つの完成されたものとなっています。このデザインを変えずに、光源だけをLEDにするという考え方で整備を行いました。


 和田倉噴水公園の照明計画


 それでは、電球の玉替えと変わらないのでは?という方もいるかもしれません。実は、そのためには、大きな努力が必要になりました。

 ここでは、たくさんの種類の照明が使われています、噴水を水中から照らす照明、路面や緑を照らす照明、安全のための照明。それらを一つ一つ、光の色や具合を変えずにLEDにしていくことには技術的に困難が伴いました。

 特に、水中から大容量で噴水を照らす照明をLEDにすることは技術的に難しく、少なくとも国内では前例がないことでした。 

 これまでの噴水照明と同じ「味」を出すためには、単に光の強さ、色を合わせるだけではなく、噴水の水の流れや粒の見え方、さらには、滝の部分の水面の揺らぎが天井に反射する光の見え方など、様々な事について合わせていく作業が必要でした。

 今回、照明全体のLED化が可能になったのは、LED技術が急速に進歩していることが背景にありますが、今まさにその進歩の現場に向き合っているという実感がありました。
 
 ここの取組がCO2排出量が少なく、水銀を使用しないLEDという技術が、社会のすみずみに普及していく先駆けとしての役割を少しでも果たせればと思います。 


今回改修したラインライト(故障のため近年は点灯してなかった)


次回は、北の丸公園について、お伝えする予定です。

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2010年12月09日皇居外苑外灯照明の再整備について 第1回

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 皇居前広場の外灯が新しくなりつつあります。すでに、皇居前広場はほぼ完了し、現在は、和田倉噴水公園で工事を行っています。


新しい照明(手前・上)と既存の照明(奧・下)
※現在は両方とも新しい照明に入れ替わっています。


新しい照明


 来年3月までには、北の丸公園を含め皇居外苑の外灯がLEDを光源としたものに入れ替わります。このホームページでは、それまでの間、工事の進捗状況をお知らせするとともに、この再整備の内容についてお知らせしていきたいと思います。 
 今回は再整備全体の内容と皇居前広場の外灯についてお伝えします。



1 整備の概要
 皇居外苑は、国民公園として開放されていますが、夜になると、一部で、人通りがあるにもかかわらず暗い場所がありました。このため、夜間の利用者の安全、安心な通行を確保するため、皇居外苑の外灯の再整備を行うこととしました。

 対象は、皇居前広場、和田倉噴水公園、北の丸公園の外灯照明です。平成21年度に関係者や学識者からなる懇談会を開催し、その意見を踏まえ計画・設計を行いました。整備は本年度に行い、来年3月に完了を予定しています(下図 参照)。

図 皇居外苑外灯照明再整備対象地域(拡大できます。クリックしてください。)


 この事業は、皇居の持つ象徴性や夜の静けさ(静謐性)、江戸城の歴史的景観を損ねないことを第一とし、その上で、歩行者の安全、安心の確保や環境配慮をすすめることとしています。
 皇居前広場の外灯については、これまでの外灯の灯具(ポールやカバー)を使い、内部の光源をLED化するとともに、一部の路面が暗い場所に外灯を増設します。
 和田倉噴水公園では、噴水のデザインを損なわないように、光源のみをLED化します。
 北の丸公園では、灯具毎の入れ替えを行い、光源のLED化を行います。特に、清水門、田安門の周辺には照明の増設を行い歩行に安全・安心な明るさを確保する一方で、歴史的景観に配慮したデザインの灯具とします。

 LED照明は、必要な方向にしぼって照らすことが可能で、効率的な照明が可能です。今回の事業では、対象となる外灯による電力消費量とそれに伴う二酸化炭素排出量を約半分に削減することができます。
 また、後で述べるようにLEDでは、光の色、照らされたものの色の鮮やかさなども改善されます。
 一方で、照明計画には各所に皇居の象徴性や歴史的景観への配慮を組み込んでおり、変えないところは変えないという点にも注意を注いでいます。



2 皇居前広場の外灯照明について
 皇居前広場では、大まかに2つの考え方で照明を検討しました。一つは、内濠通り西側の二重橋や坂下門などのある、松と芝生、砂利の広場に代表される地域です。ここは、皇居の象徴性や静謐性が高い場所であり、現在の明るさや印象をあまり変えないような計画としています。

 一方、楠公の銅像のある楠公地区やその北側の馬場先地区、桜田門付近は、比較的都市公園的な利用の多い場であり、夜間、人通りのある場所の路面の明るさの確保を図るため、既存外灯のLED化とともに、一部外灯の移設や新設を行います(下図参照)。


皇居前広場の照明の考え方


 下は皇居前広場の外灯の灯具です。ガス灯を模したデザインで長く皇居前広場の景観の一部となっています。



 今回の整備では、この灯具をそのまま生かし、内部のLED化を行いました。


既存外灯(左)とLED外灯(右)の違い(右下写真はシミュレーション写真です)


 入れ替える前の外灯は、黄色のナトリウム灯で、本来照らすべき下方向以外にも、上や横に光が放たれていたため、路面の明るさの割にまぶしさが目立つとともに、消費電力的にも効率の悪いものとなっていました。
 新しいLED照明では、光を下方向にしぼることで、効率よく路面を照らすことが可能となり、明るさの確保と消費電力・CO2排出削減の両立を実現しています(上図参照)。
 また、既存のナトリウム灯は、黄色の強い色しか出せず、また、照らされた者の色が本来の色よりくすんでしまいました。
 LEDでは、色を変えられるため、この場にあった色について、学識者や関係者の意見を聴き、既存の黄色の強い色から電球色※としました。また、照らされたものが、それ本来の色に見えるようになり、芝生や松の色がわかるようになりました。

※色を示す尺度である「色温度」では3000K(ケルビン)。既存のナトリウム灯は2100k.水銀灯は4000k。値が低くなると白から黄、赤となる。


 皇居外苑の外灯照明再整備は来年3月まで予定していますが、このホームページではその進捗状況や整備の内容について随時お伝えしていく予定です。
次回は、和田倉噴水公園を中心にお伝えする予定です。

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2009年07月03日北の丸休憩所改修工事が終わりました

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5月11日より空調設備等改修のため閉鎖していました北の丸休憩所は工事が終わり、再オープンしました。皆様には長らくご不便をおかけし申し訳ありませんでした。

 今回の工事にあたりましては、老朽化し効きが悪くなっていた冷暖房(空調)設備を一新したほか、より快適にお過ごしいただくため複層ガラスを採用し、外気の影響を減らすとともに、冷気・暖気を隅々まで届けるよう攪拌扇(エアスイングファン)を設置しました。なお、空調設備は都市ガスを燃料とするGHP(ガスヒートポンプエアコン)であり、夏場の電力需要の平準化に貢献します。

 また、屋上には太陽光発電パネルを設置し、より省エネ・低炭素化を図りました。

 夏の日差しに飽いたら涼みがてらご利用ください。

休憩所屋上ソーラーパネル


*画像をクリックすると「拡大」します。

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