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十和田八幡平国立公園の写真

公園の特長

みちのくの脊梁
~原生林が彩る静謐の湖水、息づく火山と奥山の湯治場
指定:昭和11年2月1日
面積:85,534ha
青森県、秋田県、岩手県
十和田八幡平国立公園は、本州北部の山岳地帯にあり、八甲田山、十和田湖、奥入瀬渓流などからなる十和田・八甲田地域と、八幡平、秋田駒ヶ岳、岩手山などからなる八幡平地域で構成される、山と湖と渓流の公園です。
十和田・八甲田地域は、神秘的な美しさを誇る十和田湖、やさしく清らかな奥入瀬渓流、樹氷で有名な八甲田山、その豊かな自然環境に育まれて息づく多様な動植物など、四季を通じて変化に富んだ景観を楽しむことができます。
八幡平地域は、日本でも有数の火山地域です。火山現象と冬季の多雪条件が長い時間をかけてつくりだした、多くの湖沼と湿原や、多様な生態系が魅力の公園です。
また、多くの温泉に恵まれていることも、本公園の大きな魅力となっています。

地形・景観

十和田湖の写真

十和田湖

十和田・八甲田地域
十和田湖は、約20万年前に始まった火山活動により形成されたカルデラ湖です。静まりかえった湖面と、湖畔から外輪山を覆う豊かな緑が原生的な景観を作り出しており、国の特別名勝及び天然記念物にも指定されています。湖畔の遊歩道や湖を運航する遊覧船、さらには外輪山の展望台など、さまざまな視点から四季折々に姿を変える神秘的な景色は、訪れる多くの人々を魅了しています。
中山半島のつけ根にあたる休屋・休平地区をはじめ、湖畔には遊歩道、遊覧船乗り場、キャンプ場などが点在しており、多くの利用者で賑わっています。
奥入瀬渓流の写真

奥入瀬渓流

奥入瀬渓流
奥入瀬渓流は、十和田湖から流出する唯一の河川である奥入瀬川が削って形成した、延長約14kmにわたるU字型の渓谷です。渓流は流れる水の清澄さはもちろん、変化に富んだ流れや苔むした岩々、岸辺を覆う巨木林、岩壁にかかる数多くの滝など、日本屈指の景勝地として、国の特別名勝及び天然記念物にも指定されています。特に春の新緑や秋の紅葉は見事で、渓流沿いの全区間にわたって整備された遊歩道は、多くの探勝客で賑わいます。
八甲田山と睡蓮沼の写真

八甲田山と睡蓮沼

八甲田山系
八甲田山系は、1,585mの大岳を最高峰とし、高田大岳、赤倉岳、さらにその南側に連座する櫛ヶ峰、駒ヶ峰、乗鞍岳、横岳などの火山群の総称です。山体を覆うブナやアオモリトドマツの自然林、山稜部の高山植物や湿原など、すぐれた植物相を見ることができます。これらの山々には登山道が整備されているほか、ロープウェーが通年運行され、冬季でも山岳スキーや樹氷観光客で賑わいを見せます。また、山麓には城ヶ倉、酸ヶ湯、猿倉、谷地、蔦などの趣ある温泉が点在し、湯治利用も盛んです。
八幡平の写真

八幡平

八幡平地域
八幡平は、複数の火山によって形成された火山性高原で、八幡沼をはじめとした湖沼や湿原が点在する、穏やかで雄大な山岳景観を形成しています。見返峠付近まで車で行くことができ、山頂や八幡沼周辺には、遊歩道や展望台が整備され、多くの利用者で賑わっています。山麓の後生掛温泉や蒸ノ湯温泉及び藤七温泉では、噴気・噴湯現象、泥火山現象が見られるほか、多くの温泉地が点在し、湯治場として親しまれています。
秋田駒ヶ岳の写真

秋田駒ヶ岳

秋田駒ケ岳
本公園の南端に位置する、秋田駒ヶ岳と乳頭山などの火山群からなります。このうち、秋田駒ヶ岳は、最高峰の男女岳(標高1,637m)をはじめ、男岳、横岳、女岳などの複数の外輪山やカルデラ火口丘の総称です。コマクサやタカネスミレをはじめとする高山植物群の宝庫として知られており、山頂周辺は特別保護地区として、また、国の天然記念物として保護されています。また、山腹にある乳頭温泉郷や国見温泉は、野趣あふれる温泉地として親しまれています。
岩手山と焼走り溶岩流の写真

岩手山と焼走り溶岩流

岩手山
岩手山(標高2,038m)は、東岩手山と西岩手山の2つの火山からなる成層火山で、岩手県最高峰です。八幡平、秋田駒ヶ岳などの奥羽山脈の主稜から離れており、特に東側からは独立峰に近い長い裾野を引く整った山容で眺められ、「南部片富士」とも呼ばれています。山頂からは360度の展望が開け、秋田駒ヶ岳や八幡平、早池峰山をはじめ、遠くは鳥海山を望むことができます。山頂の火口壁をまわる「お鉢廻り」には、多くの観音像があり、古くからの信仰の山としての面影が伺えます。また、北東側の裾野に広がる焼走り溶岩流は、中腹から流出した溶岩により形成された岩原で、国の特別天然記念物にも指定されています。
後生掛の写真

後生掛

大湯沼の写真

大湯沼

火山地形
本公園は、日本国内でも有数の火山地帯にあります。このうち、十和田・八甲田地域にある八甲田山は、大岳を中心とする北八甲田火山群と櫛ヶ峰を中心とする南八甲田火山群に大別され、20余りの火山体から構成されています。一方、八幡平地域にも岩手山をはじめ、秋田駒ヶ岳、八幡平などの40もの変化に富んだ火山が分布しています。
また、火山活動によって形成されたカルデラ湖である十和田湖や、八幡沼に代表される多くの火口湖が存在します。そのほか八幡平地域の後生掛や玉川地区では、噴気や泥火山の盛んな火山現象を身近に観察でき、「火山の博物館」とも呼ばれています。
酸ヶ湯温泉の写真

酸ヶ湯温泉

温泉
火山地帯にある本公園は、多数の温泉が湧出しています。特に八甲田山や八幡平の山麓などに点在する温泉地は、豊富な湯量に恵まれ、それぞれ独特な湯治場の雰囲気を漂わせています。

植物

本公園の植生は、ブナやミズナラなどの落葉広葉樹林を主体としていますが、八甲田山や八幡平の上部には、オオシラビソなどの針葉樹林が見られます。多雪環境に適応したオオシラビソ林は、その密度、広がりとも日本で有数の規模であり、特に冬季には樹氷(霧などが樹木に凍結・付着したもの)が形成され、幻想的な光景を作り出しています。
稜線部には高山植物群落や湿原植物群落が見られ、季節に応じた美しい花を咲かせています。
湿原植物群落とオオシラビソ林の写真

湿原植物群落とオオシラビソ林(八幡平山頂)

動物

その豊かな生息環境に恵まれ、ツキノワグマやニホンカモシカをはじめ、森林環境に依存するヤマネやモモンガなどの哺乳類、モリアオガエルやクロサンショウウオなどの両生類、鳥類ではクマゲラのような希少種をはじめ、アカショウビンやコルリなどの渡り鳥、エゾハルゼミやルリイトトンボなどの昆虫類など、多くの動物が生息しています。
ニホンカモシカの写真

ニホンカモシカ