世界最大級のカルデラの上に広がる阿蘇の大草原は、地域の人々が永年にわたり放牧、野焼き、採草等により維持してきた「千年の草原」です。
この広大な草原は国立公園の重要な景観をなすとともに、異なる草原環境により多様な動植物の生息・生育の場となっています。
しかし、この世界に誇るべき阿蘇の草原が、農畜産業を取り巻く環境の変化や生活様式の変化、高齢化・後継者不足等により維持管理が困難となり、その結果、草原景観の劣化や草原生態系が低下しているのが現状です。
環境省では 、平成8年以降、牧野組合やボランティアの方々と協働し、草原保全のための検討や試験的事業を進めてきました。一方、地元の人々やボランティア団体、関係行政機関の間でも、草原の維持・保全に関する様々な動きが活発になってきました。
このため、これまでの取り組みをさらに発展させていくことを目的に、各種団体や個人が集まり、平成17年に「阿蘇草原再生協議会」を設立し、阿蘇草原再生の指針となる全体構想が策定されました。今後はこの全体構想の考え方を共通認識として、各構成員が阿蘇の草原再生事業を進めていくこととしています。