ここから本文です。
阿蘇くじゅう国立公園の写真

公園の特長

草原のかほり、火山の呼吸。風が遊ぶ感動の大地
指定:昭和9年12月4日
面積:72,678ha
熊本県、大分県
阿蘇くじゅう国立公園は、昭和9(1934)年に誕生しました。本公園の大きな特長は、大カルデラにそびえる阿蘇山やその北に連なるくじゅう連山などの火山群、そして、その周囲に広がる雄大でなだらかな草原です。
公園南部の阿蘇山の周辺では、噴煙をあげる中岳の火口や美しい円錐形をした米塚、広大な草千里ヶ浜、それらを取りまく火口原と外輪山など、雄大で素晴らしい風景を連続して見ることができます。
また、公園中部のくじゅう連山の周辺では、あちらこちらで硫気現象がみられ火山特有の風景地が点在するほか、久住高原や飯田高原などの広大な草原、さらにはタデ原湿原や坊ガツル湿原など学術的にも貴重な湿地など、見どころが豊富な地域です。
公園北部には、別府や湯布院などの温泉の源でもある鶴見岳や由布岳が美しい山容を誇っており、山稜からは別府湾から由布院盆地、くじゅう連山までを一望することができます。

地形・景観

中岳中央火口の写真

中岳中央火口

くじゅう連山と硫気現象の写真

くじゅう連山と硫気現象

阿蘇山は、南北約25km、東西約18kmに及ぶ世界最大級のカルデラを有し、最高峰の高岳(1,592m)をはじめ阿蘇五岳からなる中央火口丘や、その周囲の火口原と外輪山によって構成されています。火口付近は荒々しい景観ですが、火口縁から遠ざかるにつれて多くの植物が生育する草原となり、穏やかな景観を呈しています。
一方、くじゅう連山は、最高峰の中岳(1,791m)をはじめとした峰々からなるトロイデ(鐘状)型火山地形として変化のある景観となっています。
阿蘇の草原の写真

阿蘇の草原

タデ原湿原の写真

タデ原湿原

これらの南北には、火山灰などによって形成された火山性高原が広がり、雄大な草原景観を呈しています。また、窪地が多く、豊富な湧水や雨水によって多数の湿原が発達しています。このような火山と草原のコントラストが本公園を訪れる人々にとって大きな魅力の一つとなっています。

植物

本公園の生態系は、火山性ガスが噴気する硫気荒原のほか、山麓部に広がる樹林、野焼きや採草により維持されている草原の大きく3つに区分されます。
硫気荒原は過酷な環境に適応した動植物による特異な生物相が成立し、樹林は二次林や自然林など様々なタイプの森が多様な動植物を育んでいます。草原は、人の利用や管理によって植生が異なり、野焼き・採草などを続けることでススキなどが優占する長草型の植生や、放牧の牛馬による採食でシバなどが優占する短草型の植生などが見られ、それぞれ特徴的な動植物を育む生態系を有しています。
採草利用している草原(長草型)の写真

採草利用している草原(長草型)

放牧利用している草原(短草型)の写真

放牧利用している草原(短草型)

火山の周辺では、火山性ガスの影響により、ミヤマキリシマやコケモモなどの特徴的な植物が群落を形成しており、独特の景観を呈しています。
山麓に広がる草原地帯は、永年にわたり放牧、野焼き、採草などの行為によって樹林化が抑えられてきました。優占種はススキですが、草原のまま維持されているからこそ絶滅が心配されているヒゴタイ、キスミレ、エヒメアヤメなどの希少種が、多く残されており、たいへん重要な生育地となっています。そのほか、タデ原などの湿原には、サワギキョウやヌマガヤなどが群生する学術的に貴重な植生が発達しています。
ミヤマキリシマ群落(高岳)の写真

ミヤマキリシマ群落(高岳)

ヒゴタイの写真

ヒゴタイ

動物

特徴的な動物としてはチョウ類があげられ、草原の植物を食草とするオオルリシジミ(食草:クララ)やゴマシジミ(食草:ワレモコウ)などの希少種が生息しています。また、樹林にはキュウシュウエゾゼミ、草原にはダイコクコガネといった昆虫類が生息しています。鳥類も草原の種が多く、ホオジロ、ホオアカ、セッカ、コジュリン、コヨシキリなどのほか、ノスリやツミなどの猛禽類も見られます。
そのほか、爬虫類ではタカチホヘビやヤマカガシ、両生類ではオオサンショウウオやブチサンショウウオ、カジカガエルなどが生息しています。
オオルリシジミの写真

オオルリシジミ

キュウシュウエゾゼミの写真

キュウシュウエゾゼミ

文化

野焼き(春)の写真

野焼き(春)

野焼き
本公園の草原では、春になると一斉に野焼きが行われます。これは、茅野や放牧地などとして活用するために、草原が樹林へと移り変わらないように、千年以上前から続いている営みです。
主な温泉地の一つ(筋湯温泉「日本一の打たせ湯」)写真提供:九重町の写真

主な温泉地の一つ(筋湯温泉「日本一の打たせ湯」)写真提供:九重町

温泉
本公園内には火山の恵みである温泉地が多く、古くから地域の人々や観光客に親しまれています。