タイにおける活動

タイにおける活動

PaSTIは2021年冬にタイと二国間協力を行うことに合意し、透明性と緩和対策のスケールアップや国内制度等の調査及び制度構築を支援することでコ・イノベーションの実現を目指します。

タイにおける活動実績を公開しました。

2024年3月

廃棄物セクターにおけるGHG算定方法論の開発支援として、過去のPaSTI活動で行った産業廃棄物セクターにおけるGHG算定方法論の開発を参考に、バンコク都など地方自治体の一般廃棄物処理で用いるGHG算定方法論の開発と報告テンプレートを作成しました。バンコク都に報告した結果、一般廃棄物におけるGHG排出量の削減に向けたプロジェクトに対する提案を求められ、プロジェクト・アイデア・ノート(表1)の作成も実施しました。

これら、作成した成果物を他の地方自治体にも共有するために、2024年2月にバンコク都においてワークショップが開催され、ナオンサワン、チェンマイ、ブリーラムから各4名程が参加し、GHG排出量の算定にあたって注意すべき点や日本のケースなどについて共有が行われ、カサセート大学ウィラシーニ准教授からは、GHG排出量の削減行動に係るコスト増の念頭に、市民の意見を考慮するべき必要があることが指摘されました。
今後は、開発した GHG算定報告方法論や一般廃棄物セクターにおけるGHG排出量の削減に向けたプロジェクト・アイデア・ノートを活用し、バンコク都と共に気候変動マスタープランに沿った廃棄物分野の行動計画を策定し、プロジェクトを推進していくことが期待されます。

また、タイでは、民間企業による環境パフォーマンスにかかる情報開示とESG(Environmental, Social, Governance)投資・金融の取組が進展していることから、これらの知見をASEAN諸国における透明性向上に貢献するものとして、日本やタイの経験(具体的には、ESG金融拡大に向けた金融庁や中央銀行等の取り組みや政府内の体制なども含む)を2024年3月26日に開催したオンラインワークショップを通じて、共有しました。

表1 プロジェクト・アイデア・ノートで特定した活動

プロジェクト案 削減活動の説明
1 処分場に入る固形廃棄物の量を削減 廃棄物を発生源から削減する廃棄物管理を実施する。
2 廃棄物の焼却処理 焼却施設を通じて廃棄物のエネルギー化する。
3 堆肥化 有機廃棄物によって土壌を改良する。
4 廃水処理施設の設置 新しい下水処理場を建設する。
5 下水をシステム的に収集 下水道の拡張による流入量を増加する。
6 下水汚泥の利用 汚泥の肥料を利用する。
7 廃水の再利用 水道水の代わりに廃水を再利用する。

2つのセミナーを開催しました。

オンライン / 2022年

セミナーの様子

セミナーの様子

昨年のPaSTI-Thailandプロジェクト開始以来、タイと日本の両国は、継続的な努力と協力を積み重ねてきました。そして2022年度には、「温室効果ガス(GHG)の算定・報告・検証(MRV)、およびタイにおける気候変動法案実施のための廃棄物セクターにおける透明性関連スキーム」に関する2度のオンラインセミナーが開催されました。

1回目のセミナーは2022年9月に行われ、以下の成果が上げられました。
①廃棄物セクターにおける廃棄物焼却や埋め立て等によって発生するCO2、CH4及びN2Oといった温室効果ガスの排出源を特定し、日本の制度で運用している方法論と国際的な方法論の1つであるGHGプロトコルを用いた算定手法の紹介
②活動量を入力するだけでGHG排出量を自動で計算するシートの開発
③多くの参加者が日本のような簡便なGHG排出量の算定手法を確立することが望ましいという点で一致
特に、廃棄物量を入力するだけで自動的にGHG排出量が計算されるシート(バージョン1.0)の開発は、参加者から広く支持されました。

2回目のセミナーでは、1回目の成果を踏まえてより詳細な内容が議論され、溶剤廃棄物、溶剤汚染廃棄物、油汚染廃棄物などに対する対応策について検討しました。これらの廃棄物は産業廃棄物に分類されるため、焼却処分が主な選択肢となりますが、2006年IPCCガイドラインや日本の算定マニュアルを参考にすることが可能であることが示されました。

これらのセミナーを通じて、参加者は将来の気候変動法案の実施に向けて、日本や国際基準の方法論の知見を踏まえ、タイの現状に即した方法論開発の重要性と利用の方法について理解を深めました。

廃棄物セクターにおけるMRVと透明性に関するオンラインセミナーを開催しました。

オンライン / 2022年9月

タイ国気候変動法案の実施に向けて、廃棄物製造企業における温室効果ガス排出量の算定・報告・検証(MRV)及び透明性関連スキームに関するオンラインセミナーを開催しました。

セミナーには、廃棄物を出す事業者と処理・管理する事業者、合計20名程度が参加し、日本の温対法における算定に係る方法論の紹介や本事業を通じて開発しているGHGプロトコルを参照した自動計算シートを紹介し、意見交換を行いました。

廃棄物セクターの透明性に関するセミナーを開催しました。

オンライン / 2022年2月

セミナーの様子

セミナーの様子

2022年2月15日に「廃棄物分野における気候変動対策の透明性とMRVに関する事業活動」オンラインセミナーを開催しました。このセミナーには、タイの主要工業団地や廃棄物管理会社など計20名が参加し、廃棄物セクターにおけるMRVの現状と課題について学びました。

OECCとタイの廃棄物セクターの専門家であるカセサート大学のWilasinee Yoochatchaval博士が、民間セクターにおける透明性とMRV関連活動の重要性を紹介しました。 Wilasinee氏は、タイ政府が検討中の気候変動法草案の内容と、この新しい法律の下で民間セクターが取り組むべき問題について説明した。OECCは、日本の廃棄物セクターのGHGインベントリ制度と、現行法令に基づく報告制度について説明しました。

プレゼンテーションの後、参加者全員でGHG排出削減とMRV活動に関するディスカッションを行いました。参加者からは、GHG排出量の計算方法、法律の施行、炭素市場プロジェクトに対する影響、炭素クレジットの価格などについての質問や意見が出されました。