第2回日本・インドネシア環境ウィーク 「サプライチェーン全体にわたる温室効果ガス(GHG)排出の可視化を通じた産業の競争力向上」セミナーを開催しました。
インドネシア・ジャカルタ/2026年5月
PaSTIセッション現地登壇者
インドネシア・ジャカルタにて開催された第2回日本・インドネシア環境ウィークにおいて、「サプライチェーン全体にわたる温室効果ガス(GHG)排出の可視化を通じた産業の競争力向上」に関するセッションを開催しました。
本セッションでは、インドネシア及び日本におけるGHG排出量の算定・報告に関する制度や、気候変動関連情報開示を巡る最新動向を共有しました。そのうえで、制度間の整合性確保や企業の負担軽減に向けた課題を整理し、民間企業が開発した技術やプラットフォームの活用を含めた実践的な対応策について議論を行いました。
開会挨拶では、インドネシア及び日本の環境省が、GHG排出量の可視化は環境面からの要請に留まらず、産業競争力の維持・強化に不可欠な要素であるため、企業のGHG排出量の透明性の向上が重要と表明しました。
続く基調講演では、IFRS・CBAM等の透明性に関する国際的な規制強化を背景に、インドネシアでも炭素登録制度や排出量取引基盤の整備が進展していることが紹介されました。一方で、中小企業におけるデータ管理能力やScope3排出量の把握の難しさ、検証体制の未整備といった課題も指摘されました。さらに、今後は適切な制度運用とデジタルインフラ整備を通したグリーン金融の拡大や低炭素製品の市場競争力向上を図るとともに、インドネシアがASEANにおける低炭素経済のハブとして発展することへの期待が示されました。
パネルディスカッションには、日尼両国の環境省、世界銀行、インドネシア国営電力会社、(株)ゼロボード、(株)SDGインパクトジャパンが参加し、各国や企業における透明性向上への取組や、枠組みの「調和」について多様な角度から議論を交わしました。まず、インドネシアにおけるMRVシステム構築の進捗や、日本の環境省が推進する「PaSTI」を通じた透明性向上のための国際協力、また世界銀行よりカーボンプライシングの最新動向が紹介されました。また、インドネシア国営電力会社や日本の民間企業からは、脱炭素や情報開示が資金調達面でのメリットにつながるとの知見が共有されました。さらに、インドネシア環境省の担当官は、インドネシア国内の各省庁間で標準や排出係数が統一されていない現状を最大の課題として提起し、一度の報告で複数の規制要件を満たせるデータセットの構築や、関係機関及び企業等との対話の必要性を指摘しました。一方で、登壇した企業からは、多様なESG要求事項や国内枠組みが国際基準と整合していない場合、同様のデータ報告や計算を繰り返す二重の負担が生じ、国際競争力の低下を招くため、国際基準との整合性確保の重要性が強調されました。

