インドネシアにおける活動

インドネシアにおける活動

PaSTIはインドネシア共和国と二国間趣意書を結び、インドネシアにおける温室効果ガスの測定・評価・報告システムの改善と民間セクターによる気候変動活動の促進を支援します。 「Pasti」がインドネシア語で「確かな」を意味するとおり、このパートナーシップがパリ協定の実現に向けて確実な一歩となることが期待されます。

インドネシア政府関係者向けの訪日研修を実施しました。

日本・東京 / 2019年7月

PaSTIインドネシアプロジェクトにおけるロードマップ策定のための省庁間会合が開催されました。

訪日研修の様子

2019年7月9日および10日の2日間、インドネシアの国家開発計画庁(BAPPENAS)をはじめとする関係省庁や民間機関から15名を東京に招き、訪日研修を実施しました。

この訪日研修は、日本におけるMRV(算定・報告・検証)の制度や民間企業による気候変動対策活動を紹介することにより、インドネシアで議論を進めている統合報告システム構築や民間セクターのインセンティブスキーム開発のための能力構築を目的としています。

訪日研修の参加者集合写真

日本国環境省からは気候変動対策に係る日本の法律や政策、また世界的な非政府主体による取組を国内で推進するプログラムが紹介されました。特に温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度について、事業者の自主的な取組を促す制度の目的や、事業者向けに提供されているガイドラインやツール、オンラインシステムなどが詳細に説明され、参加者からは具体的な運用に関する質問が多く寄せられました。

また、日本の民間企業2社が参加し自社の取組に関する講義を行ったほか、製造工場への視察を実施しました。この中で、各企業による温室効果ガス削減目標の設定に至るまでの努力や、実際に削減するための活動、工夫が伝えられました。

この研修において共有された情報や経験をインドネシアに持ち帰り、作業部会での議論をより一層発展させていくことが期待されます。

日本国環境省とインドネシア国家開発計画庁がインドネシアにおけるPaSTIプロジェクト実施に向けて国際ワークショップを共催しました。

インドネシア・ジャカルタ / 2019年2月 

国際ワークショップの動画(WRI Indonesia提供)

国際ワークショップの動画(WRI Indonesia提供)

日本国環境省とインドネシア国家開発計画庁 (BAPPENAS)は2019年2月26日にインドネシア・ジャカルタにて国際ワークショップを開催しました。
本イベントはインドネシアの関係省庁や学術機関、メディア、民間セクター、また国際機関などの参加者に向けてPaSTIインドネシアプロジェクトのロードマップを示すことを目的としています。 ロードマップは、ワークショップに先立って行われた省庁間会合(FGDs)の議論を基に作成されました。

PaSTIインドネシアプロジェクトの今後のステップ

国際ワークショップの様子 左より、 WRI Yamide Dagnetシニアアソシエート、環境省 小川眞佐子 参事官、BAPPENAS Sudhiani Pratiwi局次長

国際ワークショップの様子
左より、 WRI Yamide Dagnetシニアアソシエート、
環境省 小川眞佐子 参事官、
BAPPENAS Sudhiani Pratiwi局次長

BAPPENAS環境質気候変動局Sudhiani Pratiwi局次長は統合報告プラットフォームの構築と、インセンティブスキームの開発、また強化された透明性枠組のためのキャパシティビルディングを目的とするPaSTIのロードマップを提案しました。さらにこのロードマップを実行するため、

1) 既存の報告プラットフォーム統合の可能性を検討するためのさらなる議論

2) 関係省庁および民間セクター間のネットワーク構築

3) 官民の機関へのキャパシティビルディング

が必要であるとしました。

透明性に関する世界的な情勢と経験の共有

国際ワークショップの参加者集合写真

ワークショップでは透明性に関する世界動向についても発表が行われました。

環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官室小川眞佐子参事官は気候変動対策に係る日本の既存施策として、省エネルギー法や、温暖化対策推進法、算定報告公表制度 、また民間セクターの参画を促すプログラムなどを紹介しました。

世界資源研究所(WRI)Yamide Dagnetシニアアソシエートはパリ協定の下での世界的な文脈を共有するとともに、インドネシアが国際的要件を満たすためには、PaSTIなどの国際的支援や金融セクターの参画を呼び込むことが必要と述べました。

また、非政府主体による世界的な取組としてScience Based Targets (SBT)とCDPの説明が行われ、民間企業が気候変動に関する情報を開示することにより、投資家や消費者へ自社の活動をアピールする機会を得られることが示されました。

PaSTIインドネシアプロジェクトにおけるロードマップ策定のための省庁間会合が開催されました。

インドネシア・ジャカルタ / 2019年1月・2月

統合報告システムおよび民間セクターのためのインセンティブスキームの検討はPaSTIインドネシアプロジェクトにおける中心的な活動です。各関係省庁が運用する既存のプラットフォームに関する情報共有や、それらを一本化した報告システム構築の検討、そして民間企業の取組促進について意見交換を行うため、省庁間会合(FGDs;Focus Group Discussions)を継続的に実施しています。

この省庁間会合にはBAPPENASや、インドネシアの環境森林省、産業省、エネルギー鉱物資源省、金融庁等の関係省庁、また持続可能な開発のためのインドネシア経済人会議(IBCSD)等の民間機関が参加しています。

2018年度は、次の目的に則した省庁間会合(第一回~第三回)を開催しました。

第一回会合:PaSTIインドネシアプロジェクトをステークホルダーに紹介するとともに、インドネシアにおける自主的に決定する貢献(NDC;Nationally Determined Contribution)の目標達成に向けた民間セクター参画の重要性を理解する。

第二回会合:関係省庁間で既存の報告プラットフォームに関する情報を共有し、それらの統合の可能性を検討する。

第三回会合:透明性枠組に関わる政策や、民間セクターのためのインセンティブスキームおよびデータのセキュリティについて意見交換を行う。

会合を通して、統合報告システムやインセンティブスキームを協力して開発するためには、各省庁の要件やデータの信頼性、また民間セクターへの裨益についてより深い議論が必要であることが確認されました。省庁間会合は2019年4月以降も継続して実施される予定です。

日本とインドネシア共和国はPaSTIにおいて初めてとなる二国間協力のための趣意書を交わしました。

日本・東京 / 2018年9月

趣意書署名式の様子 右から2番目:環境省 高橋康夫審議官 左端:BAPPENAS Arifin Rudiyanto次官

趣意書署名式の様子
右から2番目:環境省 高橋康夫審議官
左端:BAPPENAS Arifin Rudiyanto次官

2018年9月26日、日本国環境省とインドネシア国家開発計画庁 (BAPPENAS)は、二国間趣意書に署名しました。この趣意書は、インドネシアにおける温室効果ガス排出の測定・評価・報告を改善し、さらには民間産業セクターのエネルギー使用に由来する温室効果ガス排出を削減するポテンシャルや機会を特定するための能力向上において、両国が協力することを目的としています。

二国間政策対話の様子

本趣意書に基づくPaSTIインドネシアプロジェクトでは、RAN-GRK(国家温室効果ガス削減行動計画)など関連する緩和の取組と協調し、次に挙げる4つを主な柱として活動します。

  • 関係省庁間におけるGHG排出報告システムの統合のためのスキーム策定
  • 民間セクターによる緩和行動を促すためのインセンティブスキームに関するパイロットプロジェクトの実施
  • インセンティブメカニズムおよび関連する方法論についての政策提言

これらの活動を実施するため、環境省とBAPPENASは関係省庁との調整や、プロジェクトに必要な情報の提供を行うなどの協力体制を講じることも確認しました。

2018年9月26日および27日には第一回政策対話を実施し、環境省とBAPPENASはPaSTIインドネシアプロジェクトを通じた透明性活動の強化方法や、現在の緩和対策および国家政策について互いに意見を交わしました。対話の最後には、今後気候変動対策に取り組む両国のステークホルダーに裨益をもたらすことができるよう、双方が協力していくことを確認しました。