フィリピンにおける活動

フィリピンにおける活動

PaSTIは2019年秋にフィリピン共和国と二国間協力を行うことを書面で取り交わし、民間セクターによる気候変動行動とその報告を促進するプロジェクトを開始しました。フィリピンにおける官民の交流や能力構築を支援することでコ・イノベーションの実現を目指します。

第2回日本・フィリピン環境ウィークテーマ別セッション「環境配慮型ビジネスへの転換を促進し、金融面から支援する」を開催しました。

フィリピン共和国・マニラ / 2025年1月

セミナーの様子

セミナーの様子

パネルディスカッション

パネルディスカッション

2025年1月13日~15日にかけて第2回日本・フィリピン環境ウィークがマニラ市内にて開催されました。PaSTIではテーマ別セッションとして環境金融のセミナーを担当しました。

冒頭のキーノートスピーチでは、ASEANにおいて注目を集めているカーボン・プライシング(炭素税、排出量取引制度)に関する最新の情報が世界銀行のPawan博士より共有され、また、OECCから上場企業が関与するサステナビリティ関連の情報開示の動向やグリーンローン、グリーンボンド、サステナビリティ・リンク・ボンドをはじめとするグリーンファイナンス、サステナビリティファイナンスの発表がありました。

続くパネルディスカッションでは、民間や金融セクターの関係者及びフィリピン政府関係者を招き、環境に配慮した事業者の活動への支援として、グリーンファイナンスやサステナビリティファイナンス、そして、トランジションクレジットなどの資金動員に関する取り組みに加え、GHG排出量の算定や報告・開示や排出削減に向けた支援について議論がなされました。この議論のまとめとして、モデレーターを務めたADBのLee博士は、ADBが気候銀行として、民間および優遇融資を動員し、移行に必要な資金ニーズを満たし、地域協力と国際協力を促進していくことを表明しました。

第2回日本・フィリピン環境ウィークサイドイベント「事業者における質の高い温室効果ガスの算定と報告をビジネスチャンスとして促進する」を開催しました。

フィリピン共和国・マニラ / 2025年1月

発表の様子

発表の様子

第2回日本・フィリピン環境ウィークのサイドイベントとして、2025年1月13日に「事業者における質の高い温室効果ガス(GHG)の算定と報告の促進」を開催しました。本イベントは、フィリピンにおける国が決定する貢献(NDC)目標に向けた企業レベルでの緩和措置の導入促進を目的として、現地とオンラインのハイブリッド開催で行われ、200名を超えるフィリピンや日本の事業者の方々にご参加いただきました。

PaSTIの取組を背景とした日本側からの発表では、ASEAN各国におけるカーボンプライシングを見据えたGHG排出量の報告制度作りの進捗状況の報告、民間セクターにおけるGHG排出量の算定および報告に関する各国の取組および、サプライチェーンを含むGHG算定および報告に関する国際的な動向の理解促進に向けた内容、日本におけるGHG排出量算定報告制度の状況およびJCMの紹介などが発信されました。また、パネルディスカッションでは、フィリピン現地の事業者によるGHG排出量削減への取組が報告されました。

さらに、フィリピン政府関係者の発表では、NDC達成に向けて民間セクターにおけるGHG排出量の算定および報告について、テンプレート等による排出量算定のデモンストレーション等の情報共有がなされただけでなく、民間セクターの参加者が情報開示に関するフィリピン政府のコミットメントの理解を深めるための発表が行われました。特に、サステナビリティ情報開示に関して、証券取引委員会の担当局長より近い将来に国際的な基準に則った報告に変更する旨の発表があり、その報告を巡り参加者からも活発な質問が出されるなど、参加者らのGHG排出量の算定および報告、ひいては気候変動に対する意欲関心の高さが伺えました。

「温室効果ガスの算定、報告および削減に関する改訂版ガイドラインの説明会」を開催しました。

フィリピン共和国・セブ / 2024年10月

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

日本側の発表

日本側の発表

現地企業におけるコンサルテーションに参加した政府及び企業担当者

現地企業におけるコンサルテーションに
参加した政府及び企業担当者

フィリピン共和国・セブにて、民間企業や自治体を巻き込んだ「温室効果ガス(GHG)の算定、報告および削減に関する改訂版ガイドラインの説明会」を開催しました。

近年、フィリピン共和国において国家適応計画(NAP)と国が決定する貢献(NDC)実施計画(NDCIP)が策定されたことを受け、気候変動にレジリエントで持続可能な開発への需要が高まっています。民間セクターにおいてもGHG排出量を正確に把握し、削減の努力を行うことで気候変動の緩和に貢献することが可能になります。
本説明会は、フィリピン共和国におけるNDC達成や民間セクターにおける質の高いGHG排出量の測定および報告を支援・促進するために開催され、フィリピン政府から「GHG排出量報告およびNDC進捗状況の追跡に関するコミットメント」の共有や民間セクターからの登壇者による「GHGの算定・削減管理の現状と課題」に関するパネルディスカッションなどが行われました。また、日本側からは、GHG排出量削減に関する日本におけるこれまでの経験の共有やJCMの紹介を行いました。

質の高いGHGの測定・報告や削減、脱炭素社会に向けた企業の方向性について、参加者と発表者との間で質疑応答を通じて活発な議論が行われました。

本説明会後、温室効果ガス排出量算定のモデル報告実施に向けて、セブおよびミンダナオに拠点をもつ現地企業を訪問し、温室効果ガス排出量の算定および削減ポテンシャルの特定に関するコンサルテーションを行いました。

フィリピンにおける活動実績を公開しました。

2024年3月

勉強会の様子

勉強会の様子

フィリピンでは、民間セクターにおけるGHG排出量算定報告の強化が進行中です。PaSTIでは、GHG排出量算定報告制度の構築支援として、フィリピン環境天然資源省(Department of Environment and Natural Resources: DENR)、気候変動委員会(Climate Change Commission: CCC)、フィリピン証券取引委員会(Security Exchange Commission: SEC)間のコラボレーションを推進しています。本コラボレーションでは、2023年より上場企業に提出が義務化されたサステナビリティ―レポートを利用して、民間セクターからのGHG排出量データの収集を図るための枠組みの構築を目指しています。

2023年度は、SECの新しいサステナビリティレポートのフォーマットに合わせたGHG排出量算定報告用のテンプレートの作成支援を、主にDENRに対して行い、産業セクターごとに活動量や排出係数を含んだテンプレート案が整備されました。

また、2024年3月25日には、民間企業や自治体を対象に、IPPUセクターや廃棄物セクターに関連する事業者向けの勉強会をマニラ首都圏で開催しました。この勉強会では、GHG排出量算定報告に関するテンプレートや、脱炭素化に向けて企業が自主的に情報開示するメリット、フィリピン国内での取組事例等について情報共有されました。

フィリピンにおける活動実績を公開しました。

オンライン、日本 / 2023年3月

第2回DENR、SEC、CCC合同意見交換会の参加者

第2回DENR、SEC、CCC合同意見交換会の
参加者

訪日研修の様子

訪日研修の様子

DENRの強力なリーダーシップとサポートのもと、PaSTI-フィリピンプロジェクトは昨年度も着実な成果を上げることができました。

過年度から引き続き行っていたフィリピンPaSTIは国内における企業のGHG排出量算定・報告に係る制度の調査を通じて、フィリピン証券取引委員会(Security Exchange Commission: SEC)の下、企業が行うサステナビリティレポーティングシステムとDENRが推進するGHGデータ収集の連携を提案し、その実現に向けた第一歩を踏み出しています。具体的には、関係省庁等の役割を明確にし、必要となる法的な取り決めについて議論することを目的として、PaSTIはDENR、気候変動委員会(Climate Change Commission: CCC)、およびSECの協力に関する勉強会や意見交換会を定期的に実施しました。結果として、GHG排出に関する企業報告を円滑かつ効果的に行うために省庁間の連携を引き続き前向きに模索することとなりました。

加えて、我が国の事業者によるGHG排出量算定報告の取組事例や企業の透明性向上に係るインセンティブについて紹介する訪日研修を実施しました。この研修では、DENR、CCC、SEC、民間セクター、コンサルタントなど、複数の機関・組織からの参加者が集まり、コミュニケーションの機会を広げ、組織間の連携を進める基盤を構築することができました。

オンラインセミナーが開催されました。

2022年3月

オンラインセミナーが開催されました。

セミナーの様子

オンラインセミナーが開催されました。

2022年1月と3月、「 PaSTIワークショップシリーズ:MRVに関する能力開発フェーズ2 (The PaSTI Workshop Series Phase 2 on Capacity Building on Measurement, Reporting and Verification (MRV) of Climate Change Mitigation )」のワークショップが、環境省とDENR-EMBの共同開催で行われました。

1回目のワークショップでは、「MRV201:施設レベルの温暖化ガス(GHG)排出量の測定方法」と題し、日本の企業2社を招き、日本のGHG算定・報告義務・公表制度やJCMプロジェクトに対応するために必要なGHGの測定方法を紹介し、MRVに関する基礎知識を共有しました。また、セメントセクターの現地企業も招き、現地における気候の透明性に関する活動も紹介しました。

2回目のワークショップでは、「MRVに関するPaSTI官民対話」と題し、日比環境ウィークのオフィシャルセミナーとして開催いたしました。本ワークショップではフィリピンの廃棄物セクターやその他の民間セクターからMRV制度に詳しいパネリストを招き、今後のMRVへのインセンティブを確保した制度構築に向けた官民連携のあり方について政府の政策担当者と意見・要望を交換しました。

ワークショップの様子はPaSTI Official Channelでご覧いただけます。

測定・報告・検証(MRV)に関するワークショップシリーズが開催されました。

フィリピン・マニラ、日本・東京 / 2020-2021年

フィリピンの民間セクター(工業プロセス及び製品の使用 (IPPU)及び廃棄物)を対象として、適切な手法、手順、ガイドラインの開発を含む気候変動緩和に関する測定・報告・検証(MRV)システムの構築及び運用に係る能力開発を目的として、フィリピン環境天然資源省環境管理局(DENR-EMB)と共催で、2020年10月から2021年3月にかけて、全3回のオンラインワークショップシリーズを開催しました。

シリーズのタイトルは「Capacity Building on Measurement, Reporting and Verification (MRV) of Climate Change Mitigation」です。

各ワークショップの様子はPaSTI Official Channelでご覧いただけます。

第1回オンラインワークショップ「MRV 101: Understanding and Appreciating MRV」が開催されました。

第1回ワークショップの様子

第1回ワークショップの様子

10月15日に第1回PaSTIオンライン・ワークショップを開催しました。DENRとそのパートナーやステークホルダー等、200名を超える参加者が参加し、パリ協定で具体化されたMRVの基本的な概念の理解や、とMRVシステムの開発と運用に関するグッド・プラクティスや経験を共有しました。

第2回オンラインワークショップ「Development and Designing of an MRV System」が開催されました。

第2回ワークショップの様子

第2回ワークショップの様子

12月9日に第2回オンライン・ワークショップを開催しました。民間企業の代表者や気候変動委員会(CCC)・DENR等の政府機関(国・地方)の担当官が参加し、気候変動緩和のためのMRVシステムの開発・設計におけるプロセスと要件について理解し、日本及びフィリピンの事例について意見交換を行いました。

第3回オンラインワークショップ「Overview of the Mitigation Measures of the IPPU and Waste Sectors」が開催されました。

第3回ワークショップの様子

第3回ワークショップの様子

2021年3月8日、ワークショップシリーズ最終回となる、第3回ワークショップが開催され、民間企業が透明性向上活動に参加することのメリットが取り上げられました。

日本とフィリピンの民間企業間の情報交換を目的として、JFEエンジニアリング株式会社、丸紅株式会社、トラン・フィリピン(Trane Philippines)、ホルシム・フィリピン(Holcim Philippines)の担当者をお招きし、それぞれの会社で行っているGHG排出量の透明性を高める活動や緩和策について紹介しました。その後、国の気候政策がセクターの活動にどのような影響を与えるか、政府とのコミュニケーションがいかに重要であるかについて議論しました。

COVID-19時代の新常識として、すべてのワークショップはオンラインで行われました。各ワークショップには100名以上の参加者があり、フィリピンにおけるGHG透明化活動への関心の高さがうかがえる結果となりました。

第3回セミナーの様子は、PaSTI Official Channelからご覧いただけます。

フィリピン環境天然資源省と第一回目の二国間対話を実施しました。

フィリピン・マニラ / 2019年11月

二国間対話の参加者集合写真

二国間対話の参加者集合写真

2019年9月にフィリピン環境天然資源省(DENR)から日本国環境省へPaSTIにおける二国間協力に関心を示す書簡が発出されたことを受け、11月6日に環境省とDENRの間で関係者間会合が行われました。

この会合では日本の透明性に関する制度やフィリピンにおける気候変動対策の取組の現状などについての情報が共有されました。また今後のアクションプランについての議論では、フィリピン国内の既存の報告プラットフォームを活用するとともに、特に工業プロセス・製品の使用(IPPU)および廃棄物セクターにおける民間の気候変動行動とそのMRV(算定・報告・検証)を強化していくことが確認されました。両国は今後も対話を続け、民間セクターとも連携してPaSTIプロジェクトを推進することを合意しました。