PaSTI JAIF フェーズ3 最終ワークショップを開催しました。
日本・東京 / 2025年7月1–2日

ディスカッションの様子
ASEAN地域の透明性強化促進を目的としたプロジェクト「PaSTI -JAIF Phase 3」(2019–2025)を締めくくるべく、2025年7月1日・2日に東京で最終ワークショップが開催されました。本ワークショップは、プロジェクトで得られた成果や教訓を共有するとともに、2030年以降を見据えた「調和の取れた透明性(Harmonized Transparency)」 の実現に向けた課題と次の一歩を議論することを目的として開催され、ASEAN加盟国(AMS)の環境省・関連省庁、金融セクター、国際機関など 約40名 が対面とオンラインで参加しました。
1日目:各国からの成果共有と調和された透明性に係る議論
1日目には、①ASEAN各国からの成果共有、②有識者による講義、③ディスカッションの3セッションを行いました。
ASEAN各国の成果共有セッションでは、廃棄物・工業プロセス・農業セクターを含む多様な分野で実施された各国の試行事業の進捗と成果、また各国における排出量算定ツールの導入や法制度整備状況、さらに企業・自治体との連携事例を共有しました。参加者は、隣国で行われている制度構築の現状や課題について熱心に耳を傾け、質疑応答は時間をかなり超過してしまうほどの白熱ぶりでした。
その後のディスカッション前のプレゼンテーションでは、パリ協定下での透明性(インベントリ作成等)の能力強化支援を行う、透明性のための能力強化イニシアティブ(CBIT)から、国家インベントリと事業者の算定報告の調和に係る講義を行っていただきました。続いて、三菱総合研究所による日本の算定報告公表制度(SHK)の概要と省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)の運用実績の共有、さらにアジア開発銀行研究所(ADBI)をお招きして、アジアにおける気候関連情報開示とインセンティブに関する最新動向が紹介されました。
ディスカッションでは、「民間セクターを巻き込んだ調和的透明性」をテーマに活発な意見交換が行われ、地域全体での透明性フレームワークの調和への課題が共有されると共に、前向きな姿勢で今後も取り組んでいくことが確認されました。

株式会社クレハ環境 視察の様子
2日目:視察及びカーボンクレジットやサプライチェーンマネジメントに関する学び
視察では、GHG算定報告の先にある削減技術に焦点をあて、株式会社クレハ環境ウェステックかながわ(廃棄物発電施設)を訪問し、産業廃棄物の収集・分別から発電までの工程を見学していただきました。その後、ASEANにおいても脱炭素に係る都市の役割がより一層強まっていることを受け、川崎エコタウンの事例から官民パートナーシップによる脱炭素プロジェクトを学習する機会を設けました。
カーボンクレジットやサプライチェーンマネジメントについては、アジア全体、また日本の事例を交えて各種取組をご紹介し、前日に引き続き多くの質問が寄せられました。
PaSTI-JAIFは本フェーズをもって2025年7月に終了する予定です。しかし、本ワークショップでも繰り返し述べられていたように、国別ニーズに合わせた制度構築支援や環境金融におけるGHG排出データの開示と連動した地域レベルの調和のとれた透明性の推進など、まだまだ挑戦すべき課題は残っています。PaSTIでは、フェーズ3終了後も、地域の透明性強化について引き続き支援を行ってまいります。