2011年09月16日
その他
2011年9月16日
箱根自然環境事務所
富士五湖自然保護官事務所
沼津自然保護官事務所
環境省では、富士山の登山者数を把握するため、平成17年から各登山道の8合目付近に赤外線カウンターを設置して登山者数調査を実施しています。今般、平成23年の調査結果がまとまりましたので、お知らせします。
富士山8合目における平成23年7月1日から8月31日までの登山者カウント数の合計は約29.3万人で、昨年度に比べて約2.8万人減少しました。
富士箱根伊豆国立公園の重要な構成要素である富士山の登山者数については、平成16年までは登山口の車両数や吉田口登山道6合目での通過者数調査等から推計しており、富士山山頂部への登山者数を把握するまでには至っていませんでした。
このため環境省では、平成17年から富士山山頂部へのより正確な登山者数を把握し、国立公園の適正な利用の推進に資するため、4つの登山道(吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート及び富士宮ルート)のそれぞれ8合目付近に赤外線カウンターを設置することにより、登山者数調査を実施しています。
今年の結果は以下のとおりです。なお、カウンターが濃い霧に対して誤作動を起こしている場合があることが確認されているため、平成19年以降の登山者カウント数については補正を行っています。( 3.(4) カウンターの数値と補正 参照)
今年の富士山8合目における全登山者数は、約29.3万人で、昨年と比較して約2.8万人減少しました(昨年の91%)。平成20年に30万人超えて以来、増減はあるものの約30万人前後で推移しています。
17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 | |
全登山者数(人) | 200,292 | 221,010 | 231,542 | 305,350 | 292,058 | 320,975 | 293,416 |
各登山道別の登山者数及び全体登山者数における各登山道別の登山者数の割合は、以下のとおりです。昨年と比較すると今年は、御殿場ルート以外のすべての登山道で登山者は減少しました。
17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 | |
吉田ルート | 108,247 (54%) |
119,631 (54%) |
132,980 (57%) |
172,369 (56%) |
169,217 (58%) |
184,320 (57%) |
165,038 (56%) |
富士宮ルート | 57,962 (29%) |
61,611 (28%) |
54,011 (23%) |
64,034 (21%) |
67,590 (23%) |
78,614 (24%) |
72,441 (25%) |
須走ルート | 25,416 (13%) |
30,536 (14%) |
33,394 (14%) |
52,323 (17%) |
43,861 (15%) |
48,196 (15%) |
40,179 (14%) |
御殿場ルート | 8,667 (4%) |
9,232 (4%) |
11,157 (5%) |
16,624 (5%) |
11,390 (4%) |
9,845 (3%) |
15,758 (5%) |
図1:平成17年からの富士山の登山者数及び登山道別の登山者数の推移
図2:今年の各登山道における日別登山者数
登山者数 | 平均気温 日平均 |
平均気温 日最高 |
平均気温 日最低 |
平均気温 (平年値) |
最高気温 (平年値) |
最低気温 (平年値) |
||
7月 | 上旬 | 18,851 | 6.4 | 10.0 | 3.3 | 3.9 | 6.4 | 1.4 |
中旬 | 32,566 | 8.1 | 11.6 | 5.1 | 4.8 | 7.3 | 2.4 | |
下旬 | 58,807 | 6.1 | 9.1 | 3.3 | 5.8 | 8.6 | 3.3 | |
8月 | 上旬 | 60,432 | 7.5 | 11.7 | 4.8 | 6.4 | 9.6 | 3.8 |
中旬 | 71,466 | 7.1 | 10.5 | 4.7 | 6.4 | 9.6 | 3.9 | |
下旬 | 51,294 | 5.9 | 8.6 | 3.7 | 5.7 | 8.9 | 3.2 | |
*気温は気象庁のデータを引用 |
図3:今年の旬別登山者数の割合
4登山道合計の登山者数が最大だった日は、7月17日(日)で9,961名でした。昨年の1日あたりの最大登山者数は7月31日(土)の約1.3万人で、1万人/日以上が合計6日間ありましたが、今年においては1万人/日以上の利用はありませんでした。
日付 | 4登山道合計登山者数 |
7月17日(日) | 9,961 |
8月13日(土) | 9,705 |
8月14日(日) | 9,484 |
8月6日(土) | 9,433 |
8月28日(日) | 8,291 |
登山道 | 日付 | 最大カウント数 |
吉田ルート | 7月17日(日) | 5,175 |
富士宮ルート | 8月13日(土) | 2,672 |
須走ルート | 7月17日(日) | 1,675 |
御殿場ルート | 8月28日(日) | 961 |
吉田ルートでは、時間によって登山者数の変動が激しく、16時から17時までの夕方(※1)と23時から25時までの深夜(※2)に2つの登山者数のピークが認められました。
富士宮ルート及び須走ルートでは、日中に8合目を通過する登山者が多いものの、夜間登山者も多くみられました。御殿場ルートにおいても、夜間登山者が見られます。
(※1:この時間帯のピークは、主に山小屋で宿泊する登山者によるものと推定されます。)
(※2:この時間帯のピークは、主に山頂で御来光を見る予定の登山者によるものと推定されます。)
図4:平成22年以降の時間別登山者数
全ての登山口からの利用者を把握するため、山小屋の協力を得てカウンターを4登山道のそれぞれ8合目付近に設置しました( 5.カウンター設置位置 参照)。協力頂いた山小屋は以下のとおりです。
吉田ルート:太子館、須走ルート:見晴館、御殿場ルート:赤岩八合館、富士宮ルート:池田館
設置したカウンターは、赤外線反射を利用してセンサーにより通過人数をカウントする仕組みです。日時、方向(上り下りを識別)が記録され、日ごとの登山者数等を把握することができます。
豪雨の発生や台風の接近時には、カウンターを一時的に山小屋に撤去しているため、データが一部欠測している場合があります。
欠測期間は以下のとおりです。
欠測期間 | 理由 | |
吉田ルート | 7月10日16:06〜7月10日17:57 | 雷のため |
8月7日14:43〜8月7日19:21 | ||
8月8日14:11〜8月8日19:38 | ||
8月19日16:24〜8月19日19:24 | ||
8月25日10:25〜8月25日15:30 | ||
8月27日00:00〜8月27日03:51 | ||
富士宮ルート | 7月19日06:25〜7月21日08:43 | 台風6号接近のため |
須走ルート | 7月19日08:30〜7月21日06:30 | 台風6号接近のため |
カウンターが濃い霧に反応していることが確認されているため、実測データはカウンターの誤作動の結果を含む可能性があることから、各登山道の実測データに対して1秒以内に連続カウントしている部分は、霧による誤作動とみなし排除するという補正を行いました。
富士山は標高3,776mの日本で最も高い山です。気候の変化が激しく夏でも氷点下になるなど気象条件は厳しいですが、軽装で登山をする方が多く見受けられます。富士山を登山される方は、現地の情報を十分に収集し、万全な装備で安全に留意して登山するようにお願いいたします。