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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(物流・倉庫)

横浜冷凍株式会社横浜冷凍株式会社

  • 試験的な導入から始め、現在では庫腹量ベースで過半数以上が自然冷媒。
  • 自然冷媒以外でも、断熱材におけるノンフロン化などの環境配慮、食品の安心・安全を守るための取組を積極的に実施。
  • 環境対策を進めている企業として、取材や海外からの視察などが増えた。
  • 従業員のモチベーション向上や就職活動中の学生のイメージアップにもつながっている。
横浜冷凍株式会社

横浜冷凍は、冷蔵倉庫業を主業とする企業である。業界の大手企業の中では、食品製造業や運送業の系列とはなっておらず、単独で冷蔵倉庫事業を実施している点で非常に珍しい企業である。同社は、「会社は社会の公器であり、利益は奉仕の尺度である」という経営理念のもと、お客様と地域に愛される企業を目指している。ここでの奉仕とは、事業活動全般による「お客様の満足」「地域社会貢献活動」そして「環境保全活動」の3つである。

-省エネ型自然冷媒機器を導入した経緯についてお聞かせください-

1990年代後半、日本冷蔵倉庫協会の会合にて、「フロンに関する規制が導入される見通し」という情報が提示されたこともあって、業界として何かしら対応していかなければならないという認識が高まりました。その後、福岡物流センター、十勝物流センターで自然冷媒の冷蔵設備を試験的に導入、実際の運用や効果を検証しました。平成13年、フロン回収破壊法が施行されましたので、それ以降に建設された埼玉県鶴ヶ島物流センターなどの施設では、冷却設備に自然冷媒を採用しています。
また、平成15年以降、冷蔵設備への積極的投資を進める会社の方針とうまくタイミングが重なったこともあって、ここ10年で自然冷媒機器の割合は飛躍的に増加しています。平成26年4月に石狩第ニ物流センター、7月に夢洲物流センター、10月に都城第ニ物流センターを開設しましたが、ついに自然冷媒使用設備が庫腹量ベースで過半数を超え、51.1%となりました。

-会社としてどのような設備投資の方針を定めているのですか-

イメージ:横浜冷凍株式会社機器基本的なスタンスは、「建設後30年経った段階でスクラップアンドビルドを検討、40年経過するまでには実施する」としています。冷凍機部分だけを後から取り替えるという発想はありません。なお、冷凍機だけを仮に取り替える場合、大型の冷蔵倉庫で億円単位、小型の冷蔵倉庫でも数千万円の設備投資が必要となります。現在、設備の平均使用年数は16.8年ですが、業界の平均使用年数は26.2年です。

また、冷蔵倉庫業が主業であるため、設備に対しては特に強いこだわりを持っています。基本は社員自らが倉庫業務をオペレーションしており、現場作業は協力会社に再委託することはほとんどありません。例えば、フォークリフトを使った荷物の上げ下げ、これも社員が担当しています。社員自らが担当していることもあって、技術的に新しいものを取り入れたい、そのために積極的に投資したいという設備に対してのこだわりはかなり強いと思います。いわば、冷蔵倉庫業としてのハイエンドを目指しています。

さらに、食品の安心・安全を守るため、最近では、さらに数億円の投資を行って、定点カメラ、全方位カメラを導入し、施設の主要箇所をすべてフォローできるようにしました。新設、既設の倉庫を問わず、従業員の入退館情報を全て取得できるようにもしました。

また、環境に対する取組にも積極的です。例えば、高い電圧を低い電圧に変える変圧器に「スーパー・アモルファス」と呼ばれるエネルギー消費効率の良い設備を導入しています。これは、トップランナー基準を大きく上回る高効率設備です。自然冷媒以外にも、断熱材におけるフロン対策、太陽光発電や屋上緑化、LED照明の採用、BEMS(Building Energy Management System:物流センターの機器・設備の電力使用状況を見える化し、無駄のない適切な機器運用により消費電力を抑制)なども積極的に対応しています。

最近では、環境の配慮も含めて、高度化された管理ができるかどうか、お客様は細かく確認されるようになりました。高度化された管理によって、お客様も安心して自社の製品を預けることができるようになります。

-断熱材におけるフロン対策とはどのようなものですか-

断熱材を設置する場合、これまではフロンを使用した吹き付け工法でした。壁一面に吹きつけた方が断熱効率は高いのですが、いまでは、防熱材の技術も進歩していて、断熱性能も向上しています。夢洲物流センターの場合は、まずはノンフロンの防熱材で壁面を覆い、隙間を吹き付け製品で埋める方法を取っています。これによってフロン使用量を大きく減らしたうえで、十分な断熱性能を確保することができます。

-導入時の課題としてはどのようなものがありますか-

旧式の自然冷媒(アンモニア)冷凍機は、省エネ効果があまり高くないことが導入検討時の課題となっていました。しかし、現在の自然冷媒(CO2/アンモニア)冷凍機は、今までよりも格段に省エネ効果が高くなっており、課題ではなくなっています。アンモニアは取扱上の注意が必要ですが、日々の点検の強化、各事業所に専門性を有する担当者を配置し、徹底的に安全管理を行ないました。これまで事故はありません。現在の自然冷媒(CO2/アンモニア)は、従来機器に比べアンモニアの使用量も格段に減り、安全性は向上しました。また、万一漏えいしてもあくまで密封された機械室だけにとどまり、人が作業しているところにまで被害が出ない仕組になっています。

なお、これからの課題もあります。平成32年にHCFCの生産規制が始まりますが、ここ数年建設のための人件費が高騰しています。東京オリンピックまでこの状況は続くと見込まれています。建設費は、これまでの1.5-1.7倍ともいわれ、新しい設備投資が厳しい状況下にあります。横浜冷凍でも、現在のところ平成27年以降の国内の新設は予定しておらず、海外が中心となっています。

-海外ではどのような取組をされているのですか-

例えば、タイに3つの物流センターを建設していますが、ここでも自然冷媒を採用しています。過去に建設した物流センターはアンモニア冷媒ですが、いま建設中の物流センターはCO2/アンモニア冷媒を採用しました。また、この新物流センターには太陽光パネルを設置します。これは、現地の商環境や制度にかかわらず、会社の方針として実施しています。

-導入したことによる効果としてはどのようなものがありますか-

庫腹量ベースで自然冷媒が半数以上を占めていることから、業界内におけるアドバンテージがあることは確かだと思います。また、省エネ効果もありますので、ランニングコストの削減にもつながっています。 環境対策を進めている企業として、各所からの取材や海外からの視察も増えました。対外的に会社の存在が認められることは、従業員のモチベーション向上に繋がります。また、就職活動においても学生に対して良い印象を与えることができます。

また、最近では、ESG投資(E:環境への取組、S:社会課題への取組、G:企業ガバナンス対応)が注目されていますが、ESG投資に積極的でなければ、お客様にも認めて頂けないとも感じています。企業、マスコミからの視察も増えています。特に、一般紙の場合、CSRに関する取組について紙面に掲載してくれることも多いです。

-導入を検討されている事業者へのアドバイスをお願いします-

イメージ:横浜冷凍株式会社機器現状、環境対策を強化していますが、この対策を主導しているのは社長を筆頭とした経営陣です。素早く導入が進むことはトップダウンのおかげだと思います。また、経営層も含めて、社員全員が現場で実際にオペレーションを担当した経験があるため、現場のことに対して理解があります。そのため、経済性だけで議論することがありません。また、社員全員の目線にさほどブレがないということも特徴かもしれません。トップダウン、ボトムアップ双方からのアプローチが導入推進のポイントではないでしょうか。

横浜冷凍株式会社:合戸勇一

横浜冷凍株式会社
合戸勇一

昭和63年入社。平成21年舞洲物流センター課長、平成23年西淀物流センター所長を経て、平成26年夢洲物流センター開設準備委員長。同年、同センターの竣工稼働に伴い所長に就任、現在に至る。

横浜冷凍株式会社:佐藤健一

佐藤健一

平成16年入社。平成17年東京物流センター工務担当。平成23年夢洲物流センター開設準備委員として同センターの竣工稼働プロジェクトに携わる。平成26年より同センター課長代理工務担当となり、現在に至る。

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