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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(食品業界)

味の素冷凍食品株式会社味の素冷凍食品株式会社

  • 平成32(2020)年までに大型の冷凍機器で使用されているフロン類を自然冷媒に転換するという「フロン冷凍機全廃計画」を宣言。
  • 平成27(2015)年時点で17の冷凍機器において自然冷媒を使用した機器へと更新。
  • 地域に根差したファン作りをしていこうという工場の方針もあり、金銭的な価値以外に、環境に配慮した企業活動を実践していることのPRにもつなげている。
味の素冷凍食品株式会社

味の素冷凍食品株式会社は、「私たちは、冷凍食品事業を通して「人と社会のしあわせ」づくりに貢献します」という企業理念のもと、冷凍食品の研究開発、製造、販売を行なっています。また、環境への取組も積極的に行なっており、3つの重点テーマのひとつとして「フロン冷凍機全廃計画」を掲げています。

-省エネ型自然冷媒機器を導入するに至った経緯についてお聞かせください-

イメージ:味の素冷凍食品株式会社:製品検査室味の素冷凍食品株式会社では、環境への取組を重視しており、3つの重点テーマを掲げています。そのひとつに『フロン冷凍機全廃計画』があります。これは「平成32(2020)年までに大型の冷凍機器で使用されているフロン類を自然冷媒に転換する」という会社としての宣言です。以前より国内の4工場(関東工場の他、中部工場、四国工場、九州工場)、関係会社(株式会社フレック関東、株式会社コメック)では、製品を冷凍するために冷凍機を使用していますが、冷凍機には冷媒としてフロン類が含まれています。フロン類はオゾン層破壊や地球温暖化に影響を及ぼす物質です。フロン類を環境に優しい自然冷媒に転換し、平成32(2020)年のフロン類の全廃に向けて計画を進めています。平成27(2015)年時点で17の冷凍機器において自然冷媒を使用した機器へと更新され、さらに更新は進んでいます。

-どの製造工程で自然冷媒機器を導入していらっしゃるのでしょうか-

冷凍機は、商品の凍結に関わる工程で使っています。例えば、餃子の生産工程では、前処理工程として、原料を加工して具を混合し、成型機で皮と具を成型する工程があります。そのあと蒸し器で蒸した後、予冷をし、凍結を行います。その凍結工程において冷凍機器が使用されています。

これまで、「揚げないフライ(過熱蒸気ロースター)」ライン、「デザートのフリーカットケーキ」ラインなどの5ラインで自然冷媒を使用した機器を導入してきました。一方、「カップイングラタン」ライン、「焼売」ライン、「業務用焼売」ライン、それに「餃子」ラインの合計4ラインでは、フロン類を使用した機器を使用しています。この4ラインを平成32(2020)年までに更新していかなくければなりません。

なお、冷凍機器で消費するエネルギーは工場全体の7割程度を占めますので、冷凍機器の省エネ対策も非常に重要なテーマとなります。

-省エネ型自然冷媒機器を導入する際に課題はありましたか-

イメージ:味の素冷凍食品株式会社機器「アンモニアと二酸化炭素」を使用した機器が開発されたことによって、これまで自然冷媒の主流であった「アンモニア(単体)」ではなくなり、安全性における課題はずいぶん緩和されました。一方で、冷凍食品の製造プロセスにおいて使用される全ての冷凍機器において、自然冷媒を使用した機器を導入したいという気持ちはありますが、小型の冷凍機器や24時間冷却が必要な機器では、いまだ自然冷媒を使用した良い機器が販売されておらず、一部代替フロンを使用せざるを得ません。今後、さらに環境にやさしく安全性の高い自然冷媒機器が開発されることを期待しています。

なお、自然冷媒機器に更新する場合、従来機よりも、設置スペースを多めに確保しなければなりません。「アンモニアと二酸化炭素」を使用した機器はユニットタイプを選定していますので、機器を置くスペースそのものはこれまで使用したフロン類(HCFC-22)機器とさほど変わらないのですが、万が一、冷媒が漏洩することを想定し、きちんと管理できるための十分なスペースの確保が必要となります。また、機器の構造も複雑ですので、メンテナンスはメーカーのエンジニアにお願いしなければなりません。

-新しい機器を導入するにあたって、社内の決裁を取るのは大変でしたか-

既存の冷凍機を更新する際、まず生産ラインを停止しなければならない期間や設置予定スペースの確保など、全てにおいて詳細な計画を立て、決裁権限者含め、関係者に提出する必要があります。また、計画を立てるだけでなく、“候補の機器以外はないのか”、“維持管理費はどの程度か”など、色んな観点から質問が挙げられますので、逐次納得のいく回答をしなければなりません。

ただし、会社をあげて計画的に投資計画が検討されていますし、フロン冷凍機全廃計画もあります。どの工場にどのような機器をどのタイミングで改修するかという計画も策定されておりますので、事前説明もさほど大変ではありませんでした。

-他にはどのような課題がありますか-

イメージ:味の素冷凍食品株式会社機器を更新しようとすると、完了までに最低でも3カ月はかかってしまいます。その間は生産を止めてしてしまうため安定供給が難しくなります。また、雇用の問題も生じます。いかに生産を止めずに機器の更新を行えるかという点も課題となります。なお、今回、第1工場を建屋ごと建替えました。そのタイミングに合わせて、機器を新設しましたので、更新のような問題は生じませんでした。

-投資回収年はどの程度を見込んでいらっしゃいますか-

投資回収年は20年以上、補助金を活用しても10年はかかってしまいます。しかし、金銭的な価値以外に、環境に配慮した企業活動を実践していることのPRにもつながると思います。地域に根差したファン作りをしていこうという工場の方針の一環として、会社説明の資料などでも、わずかではありますが省エネ型自然冷媒機器について紹介しています。

イメージ:味の素冷凍食品株式会社:見学者通路また、現在、工場見学を受け入れており、工場見学のプログラムには、フロン類を使用しない機器を導入していることについての説明も行なっています。

イメージ:味の素冷凍食品株式会社:体験型見学ただし、こういった取組はあくまで副次的な効果です。自然冷媒を使用することは会社としての方針であり、また、社会や時代も、自然冷媒を使用することや環境に配慮した取組を実践することについて、もはや当たり前のこととして捉えているという印象を持っています。

-これから導入を検討されてらっしゃる企業にアドバイスをお願いします-

自然冷媒に切り替え、省エネ効果も確実に出ています。ただし、安全性は確保されているものの、アンモニアが含まれていますので、万が一にも漏れた時のことを想定する必要があります。スクラバー設備などアンモニアを希釈するような設備もありますが、高い位置で吹き出せるように設置しなければならないと考えています。低い位置で設置した場合、人間にも害を及ぼす可能性がありますので、そういった点は気をつけなければならないと思います。

味の素冷凍食品株式会社
関東工場
製造部 製造技術グループ

味の素冷凍食品株式会社:岡部 治

グループ長
岡部 治

昭和63(1988)年入社、 関東工場、生産戦略部、中部工場、生産技術開発部にて、設備導入・維持関連業務、生産ライン、生産立地戦略等に従事
操業42年の工場で今後10年スパンでの維持管理計画模索中

味の素冷凍食品株式会社:江原 初夫

原動・環保ライン  ラインリーダー
江原 初夫

昭和50(1975)年入社、原動設備・生産設備管理、生産ライン、業務従事本社 安全・環境事務局経験し、原動設備管理・環境保全実施しつつ後継者育成に奮闘中。
・高圧ガス製造保安責任者
・公害防止管理者(水質・大気)

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