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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(食品業界)

株式会社タカキベーカリー株式会社タカキベーカリー

  • 製品の付加価値を決める重要な工程で冷凍冷蔵機器を使っているところ、HCFCが2020年に生産禁止となるなど、規制強化によって生産に影響を与える可能性があることを見越し、自然冷媒を選択。
  • 省エネ型自然冷媒機器の導入により、当初予測していたよりも3割、電気使用量を削減できている。
  • 環境に優しい取組として、お客様に良いイメージを持っていただけるとともに、従業員の意識向上にもつながっている。
  • 設備メーカーと連携し、自然冷媒に置き換えた場合のランニングコストや環境に対する影響についてケーススタディを行ったことが、経営層の意識喚起につながったと認識。
株式会社タカキベーカリー

タカキベーカリーは昭和23年に広島で創業した製パン企業である。企業活動の原点を「良心」とし、常に「品質第一」という姿勢を保ち、お客様の価値観やライフスタイルの変化に合わせた新しいパンを提供する企業である。系列会社として全国に小売直営店舗「アンデルセン」展開する株式会社アンデルセンやベイクオフの店舗「リトルマーメイド」等を展開している株式会社マーメイドベーカリーパートナーズ等がある。

-省エネ型自然冷媒機器を導入した経緯についてお聞かせください-

タカキベーカリーの主力製品の1つに、冷凍パン生地があります。現在、売上の25-30%を占めています。品質の良い冷凍パン生地を安定的に生産すること、そしてお客様の元にきちんと届けることが事業のポイントですが、事業を取り巻く外部環境は絶えず変化しており、時に変化がリスクとなる場合があります。代表的なリスクのひとつとして規制の変化が挙げられますが、まさにフロンに関する規制は今後の事業においてリスクのひとつになると考えられます。

フロンの一種であるHCFCは、2020年に生産が禁止となります。地球環境問題を重視する現代にあって、今後、HCFCは実質的に使用できなくなり、HFCもHCFCと同様、生産ならびに使用できなくなる可能性があると考えています。そこで、HCFCからどの冷媒に切り替えるべきか、数年前から真剣に考えてきました。正直なところ、製品の保管用途として冷凍冷蔵機器を使用しているのであれば、専門事業者に委託することもできますので、フロンへの対応は“優先順位は高くない、仕方がない”などと思うかもしれません。しかし、冷凍パン生地を生産する場合、急速冷凍という製品の付加価値を決める極めて重要な工程で冷凍冷蔵機器を使用しています。そのため、規制強化によって生産に影響を与える可能性があることを見越し、温暖化係数の低いCO2、アンモニアといった自然冷媒を選択することに決めました。

-導入したことによる効果としてはどのようなものがありますか-

イメージ:株式会社タカキベーカリー自然冷媒を選択したことによるリスク回避のほか、電気代の削減は大きな効果であると考えています。既存の設備と比較すると、電気の使用量は明らかに減っており、当初予測していた電気の使用量より30%程度削減できていると思います。

また、年に数回、お客様とコミュケーションを取る機会を作っていますが、こういった機会を通して、環境に優しい取組を行っていることをきちんとお客様に伝えています。ただし、これはフロンに限った話ではありません。例えば、「売れ残ったパンはどうするのですか?」といった質問をされることもあります。廃棄物となった製パンは“水素・メタン発酵技術”によって処理し、燃料として再利用する研究を行っていることをお伝えしています。カーボンオフセットなども含めて、当社が行っている環境に優しい取組を分かりやすく説明することが必要であり、その結果、企業に対して良いイメージを持って頂けると思っています。同時に従業員の意識も必然的に高まるとも感じます。

なお、メディアなどに対しては、特にPRをしていません。社風でもあるのでしょうか、マスメディアに向けた発信はあまり行っていません。

-導入時の課題としてはどのようなものがありますか-

強いて挙げるとすれば、省エネ型自然冷媒機器の場合、導入コストが高いという点でしょうか。ただし、高いと言っても、これまでの設備よりも10-15%程度高い程度です。地球温暖化を考えると、選択肢としては自然冷媒しかないと考えていますのでこの程度の差は現時点では、高いのは仕方ないと考えています。

なお、安全性についてはまったく課題とはなっていません。

-導入を検討されている事業者へのアドバイスをお願いします-

フロン対策としてタカキベーカリーは、省エネ型自然冷媒機器の導入を推進していますが、導入に時間もかかりますし、価格も安い設備ではないので、早い時期から計画的に進めていく必要があります。そのためには、経営層に対し、フロン対策のリスクについて早い時期から経営会議、設備投資会議等で情報を上げて、必要性を理解してもらうことです。今後のフロン対策にどの程度の予算が必要かという説明を行って、前もって経営層に“覚悟”していただくことが重要です。

また、設備メーカーと連携し、自然冷媒に置き換えた際に、ランニングコストや環境に対する影響がどのように変化するのか、様々なケーススタディを実施しました。こういったメーカーとの良好な関係が経営層の意識を喚起する上でも良かったのだと思います。早い段階でメーカーに相談することも一案かもしれません。

株式会社タカキベーカリー

株式会社タカキベーカリー
生産本部エンジニアリング部 部長 畠岡 勲

昭和54年同社に入社、日本で最初の冷凍パン生地の製造工場である千代田工場に設備担当として勤務。以後、工場建設、改装等のプロジェクトに参画し、現在は、全社の設備を管理する生産本部のエンジニアリング部に所属。

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