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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(その他)

ダイヤケミカル株式会社ダイヤケミカル株式会社

  • 乾燥工程でCO2ヒートポンプを使用。乾燥に使った熱風は、工場内の暖房として再利用し、熱風を作る過程で生じた冷気は、水に循環し、製造工程において冷却水として使用している。
  • 機器の入替によるコスト削減によって、商品の価格競争力も生まれ、売上アップにつながっている。
  • ボイラーとは違い、大きな価格変動が生じにくい電気で運転するため、経営の見通しも立てやすくなった。
ダイヤケミカル株式会社

ダイヤケミカル株式会社は、配管を保温・保冷する発泡ポリスチレン製品や管内清掃具の製造販売等を行う企業である。発泡ポリスチレン製品は、熱伝導率が低く断熱性能に優れ、パイプカバー等の保温・保冷材として幅広く使用されている。ダイヤケミカル株式会社では、フロン類を使用せず、89.3%と高いリサイクル率(平成26(2014)年発泡スチロール協会調査)を達成する商品の製造工程でCO2ヒートポンプを使用している。

-省エネ型自然冷媒機器を導入された経緯とはどのようなものだったのでしょうか-

イメージ:ダイヤケミカル株式会社2009(平成21)年7月、ヒートポンプのエネルギー効率が高いという話を耳にしたことをきっかけに、発泡ポリスチレンの成型後の乾燥工程において導入の可能性を検討しました。当時、お湯を沸かすことを目的としたヒートポンプが主流で、製造プロセスにおいて、しかも熱風を発生させることを目的としたヒートポンプはありませんでしたが、メーカーが同様の装置を開発したタイミングもあり、導入の検討を具体的に進めました。

実は、導入を検討するよりもずいぶん前から、省エネの推進には関心がありました。業界全体として省エネが進んでおらず、原単位が高いという状況だったのですが、当社も同様でした。なぜこのような状況になっていたかといいますと、工場の設計段階で、安全性の確保という観点から、必要でない設備であってもバックアップ設備として保有し、その結果、製造プロセスがオーバースペックの状態になっており、必要以上にエネルギーを使用している状況でした。

そこで、工場で使用される設備を改めて見直しました。例えば、真空ポンプは工場内に4台あり4台とも稼働させていました。しかし、稼働の実態を調べてみると、4台で余分な真空を引いていることが判明しました。そこで、改めて真空ポンプの使用状況を見直し、インバータ化も含めて改善を進め、2台に集約しています。ただ、実際は、常に2台とも稼働しているわけではなく、止まったり動いたりしています。また、コンプレッサーも当初は3台ありましたが、見直し・改善を行い、2台に集約しました。このように、設備の見直しで省エネはずいぶん進みました。ただし、熱原料室のボイラーについては、エネルギー使用量はほとんど変わりませんでした。そこで、抜本的な対策が必要と考え、ヒートポンプの導入を本格的に検討するようになりました。

ヒートポンプは、乾燥工程で使用しています。発泡スチロール製品などの乾燥は24時間行ないますが、これまでは、夜通しでボイラーを稼働させ、乾燥していました。ボイラーの燃料はガスですので、当然電気よりも安全面の配慮が必要です。しかし、ヒートポンプはガスを使いませんので、安全性にも優れています。また、乾燥に使った熱風は、工場内の暖房として再利用できます。熱風を作る過程で生じた冷気は水に循環し、2次発泡成型という工程において冷却水として使用できます。冷却水を作るために必要となるクーリングタワーなどの設備の使用回数を削減することができます。このように、省エネ性能、安全性など多面的にヒートポンプを評価し、導入を決定し、平成22年8月から稼働しました。

-実際に省エネ型自然冷媒機器を導入したことのメリットとして、どのようなものがありますか-

イメージ:ダイヤケミカル株式会社経済性、特に製造コストを削減できたという点です。導入に際して、「初期投資を3年以内で回収できそうであれば導入する」という判断軸を持っていました。経営の判断としては、どんなに長くても5年です。導入に際して試算したところ、3年程度で回収できるということが分かりましたので、導入を決断しました。

また、先ほどもお話しましたが、夜間にボイラーを運転する必要がなく、運転制御もできますので、安全性が高まったことも導入のメリットの1つであると考えています。運転制御ができるようになったことで、多くの人員を投入する必要がなくなったことや労務環境が改善されたこと、燃料の在庫管理が不要となったことも含めて、コスト削減にもつながっています。さらに、このコスト削減によって、価格競争力が生まれましたので、売上アップにもつながっています。

また、ボイラーで使用していたガスの価格は原油と連動しているため、変動幅が大きく、たとえばガスの価格が2倍になると経営への影響は非常に大きいものとなります。一方で、電気は10パーセントの範囲でしか価格変動はおきません。そのため、経営の見通しが立てやすくなったという点もメリットとして挙げられます。

-実際の投資回収年はどの程度だったのでしょうか-

イメージ:株ダイヤケミカル株式会社ヒートポンプを導入してからしばらく、燃料価格がずいぶん上昇し、ボイラーの使用と比べて大幅なコスト削減になりました。そのため、予定よりも前倒しで投資回収を達成することができました。投資回収年は1年以上早かったと思います。具体的な金額ですが、まず、設備の価格は、およそ1500万円でした。年間1000万円程度のコスト削減ができましたので、投資回収年はおよそ1.5年となります。なお、削減額は、ガス代削減分と、電力使用分を差し引いた金額として試算しています。

燃料価格は不確実性が高いため、今後も同程度のコスト削減が続くとは思いません。ただ、導入に際して行なった試算では、「導入から3年間は燃料価格が上がらない」を前提としていますので、3年から5年程度で十分初期投資を回収できるのではないでしょうか。

-コスト削減の他には、どのような効果がありましたか-

イメージ:ダイヤケミカル株式会社機器メーカーや電力会社が、私たちに代わって、導入に関してのPRを行なってくれており、企業名が知られるきっかけになっています。また、工場見学をしたいという企業も増えました。新しくヒートポンプを導入したいがどのように稼働しているのか、実際の効果はどの程度出ているのか、などに関心がある方が、この工場を訪問しています。

-省エネ型自然冷媒機器の導入を目指す企業へのアドバイス-

今回の導入をきっかけに、技術的な観点だけで工場の設計を行なってはいけない、と知ることができました。安全に安全を重ねた設計では、必然的にオーバースペックになってしまいます。省エネ型自然冷媒機器も含めて、適宜、製造プロセスおよび使用設備を見直せば、かなりの割合で不要な設備が多数生じると思います。その箇所の特定と改善は必要だと思います。

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