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省エネ型自然冷媒機器導入企業担当者インタビュー集
(流通・小売)

株式会社ローソン株式会社ローソン

  • 「CO2冷媒」に次世代設備としての可能性を感じ、国の機関と連携して、技術実証事業を実施。
  • 平成26(2014)年8月からは新規店舗で省エネ型自然冷媒機器を標準設備化。平成29(2017)年2月末までには2,000店舗への導入を目指す。
  • 店舗あたり平均10.4%の省エネを達成。
  • “HCFCからHFCへの転換”ではなく、“HCFCから自然冷媒への転換”という、長期的視野で投資を判断。
株式会社ローソン

ローソンでは冷凍冷蔵ショーケースの所有権を本部に置き、積極的に省エネ型自然冷媒機器を導入する。平成26(2014)年8月からは省エネ型自然冷媒機器が新規店舗の標準設備となっており、今後も省エネ型自然冷媒機器の導入を進めていくこととしている。

-省エネ型自然冷媒機器を導入した経緯についてお聞かせください-

イメージ:ローソン機器ローソンは、以前から店舗での環境対策・省エネ対策を積極的に推進してきました。具体的には、LED照明の導入、インバータ冷凍庫の導入、空調と冷蔵の一体化などが挙げられます。このような取組をさらに加速させるため、平成20(2008)年3月に「平成24(2012)年度に平成18(2006)年度比10%電気使用量を削減すること」を明文化した自主行動宣言を発表しました。この数値は全店レベルの目標で平成23(2011)年に既存店の店内照明のLED化を一気に進めることによって、達成することができました。これからさらに社会全体として環境対策・省エネ対策を進めていかなければならない中にあって、これまでの取組のように“いま市場にある技術を導入する”というようでは、抜本的な解決につながらないと感じました。そのため、“ユーザー企業として、メーカーの持つ新しい技術の掘り起こしに協力する”という考えを持つようになりました。

そこで、様々なメーカーの技術部門の方々に会い、まだ市場には普及していないものの、今後可能性のある技術について徹底的に議論しました。その際、「CO2冷媒」の存在を知りました。省エネ性能が高く、かつフロン対策も同時にできるということもあって、すぐに次世代設備としての可能性を感じました。しかし、当時のCO2冷媒は、技術がある程度確立されているものの、明確な設置基準等が規定されていないため、実際に導入することは難しい、という状況でした。そこで、ローソンが事業主体となり、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の協力を得て、技術実証事業を行いました。CO2を冷媒として使用する場合、どうしても圧力が高くなってしまいます。特に安全性の観点での技術実証がポイントでした。フランスの企業にも協力を要請し、“配管が高圧に耐えられるか”について検査を依頼、安全性の問題がないことを確認してもらいました。一方で、安全性を確保すれば配管の肉厚はどうしても増してしまいます。結果、配管の材料である銅の使用量が多くなり、コストは高くなります。この二律背反の状況を打破するため、材料および設計の改良によるコスト削減も同時に推進しました。省エネ性能を高めるために、コンプレッサーの改良など今後も継続的にメーカーと協力し開発を進めていく予定です。

また、“市場に普及しなければコストが下がらない、コストが下がらなければ市場には普及しない”と考えています。まずはローソンとして積極的に省エネ型自然冷媒機器を導入していきます。平成26(2014)年2月末時点では、省エネ型自然冷媒機器を導入した店舗は150店程度でしたが、平成26(2014)年8月からは省エネ型自然冷媒機器を新規店舗の標準設備として導入しています。単月で70店の導入実績があり、平成27(2015)年度末までに累計約1,300店へ導入しました。

-導入したことによる効果としてはどのようなものがありますか-

目に見える効果としては、やはり省エネ効果ではないでしょうか。これまで導入した店舗あたり平均10.4%の省エネを達成しています。コンビニの場合、いずれの店舗も類似したレイアウト、同じ設備を使用しているという特徴があります。そのため、店舗間のばらつきはさほどないと認識しています。

また、HCFCが生産禁止、そしていずれ使用できなくなり、ゆくゆくはHFCもそうなると言われています。ユーザーは、規制が強化される度に、機器を更新しなければならない可能性があり、規制次第では無駄な投資になる可能性も否定できません。“HCFCではなくHFC”という選択ではなく、“HCFCではなく自然冷媒”という選択でなければ、特に長期間にわたって設備を使用する業種の場合、誤った投資判断となってしまう可能性は十分あります。最近では、「HFCなどフロンの方が自然冷媒よりも省エネ性能が高いからフロンを選んだほうが良い」という短期的な見方がなされることもあります。これは事業を持続可能なものとする上で、大きなリスクだと思います。

ローソンはトータルコストを考え、さらに省エネ性能も考え、省エネ型ノンフロン設備を導入することを決めました。あくまでフロン対策が先にあり、そして省エネも同時に進めていくことがこれからの企業経営において重要な視点のひとつになると思います。

-定性的な効果としてはどのようなものがありますか-

イメージ:株ローソン機器定量的な効果も重要ですが、定性的な効果も重要であると考えています。

例えば、欧州の場合、環境配慮活動を実践する企業に対し、お客様が評価するという文化・風土があります。日本の場合、そのレベルにまでは達していないのが実状ではないでしょうか。今後は、省エネ型自然冷媒機器を導入している場合、店頭には「3つ星」が表示されるなど、お客様に分かりやすい省エネラベル等の表示が統一されたら良いと思っています。

-導入時の課題としてはどのようなものがありますか-

イメージ:ローソン機器まずは安全性が一番大切であり、絶対担保しなければならない要件です。CO2冷媒の導入検討を目的にして、平成23(2011)年のJICOP(一般社団法人オゾン層・気候保護産業協議会、現一般財団法人日本冷媒・環境保全機構(JRECO))の技術実証事業の中で関連団体やメーカーにも参加を頂き、自然冷媒機器の導入が進んでいる欧州を訪問しました。自然冷媒機器を使用しているユーザー企業や規制当局を訪問し、安全性のための規格づくりや人材育成などについて議論や検討を行ってきました。当時の検討結果を踏まえ、安全性については十分な基準が出来上がったと考えています。今後は、省エネ性能、経済性についてもしっかり進めていく必要があると思っております。

また社内では、合意形成を図ることが必要です。事業計画をきっちり作りこんで、3,4年程度の短期的な事業予算がマイナスにならないようなスキームを提案しなければなりません。省エネだからゆくゆく投資回収できるという主張では、投資予算の確保は難しいと思います。

-今後、ローソンとしてどのような目標を設定されているのですか-

当社では省エネロードマップを作成しています。「平成24(2012)年度に06年度比10%電気使用量を削減」を達成した後の平成25(2013)年度以降の目標として、現在、「平成32(2020)年度に平成22(2010)年度比20%電気使用量を削減すること」を目標として掲げています。この目標は業界団体の目標値をはるかに上回る目標値です。また、CO2冷媒の導入のみならず、ショーケースにおける細部の設計見直しを行い、電気使用量を30%削減できた店舗も5店ほど出てきております。今後は、新規店舗に加え、既存店舗でも設備導入を進めていけたらと考えております。

-普及のためには何が必要でしょうか-

イメージ:株ローソン機器世の中でのフロン類に対する認知度がずいぶん低下しているようにも感じています。フロン類とオゾン層の関係については十分知られていますが、フロン類と温暖化の関係についてはまだまだ知られていないのではないでしょうか。ローソンにも「なぜいまフロン?」という質問があることからもその実状が伺えます。フロン類の見える化などの啓蒙活動はやはり重要だと感じます。

-導入を検討されている事業者へのアドバイスをお願いします-

イメージ:ローソン機器環境対策としての重要性をまずは打ち出すべきではないでしょうか。省エネ対策は次の段階だと感じています。規制に左右されること無く、長期にわたって事業を継続できることは、今後ますます重視される視点だと思います。そのひとつに省エネ型自然冷媒機器を位置づけてはどうでしょうか。

株式会社ローソン 開発本部 本部長補佐:宇都 慎一郎(うと しんいちろう)

株式会社ローソン 開発本部 本部長補佐
宇都 慎一郎(うと しんいちろう)

平成18(2006)年、株式会社ローソン建設施設管理部長、平成23(2011)年支社サポート本部長補佐、平成25(2013)年海外事業グループCOO補佐兼任をへて、平成26(2014)年より、運営本部長補佐、海外事業本部長補佐、開発法人本部長補佐。平成23(2011)年にCO2冷媒研究会を立上げ国内・海外ともに普及のための活動を行う。

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