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季節の便り

206件の記事があります。

2016年07月19日夏土用(なつどよう)

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園ブログ / 季節の便り / 皇居外苑・北の丸公園の梅

昨日(7月18日)は、九州地方から東海地方までの梅雨明けが発表されました。本日(7月19日)は、"土用の入り(どようのいり)"、暦の上でも本格的な暑さの到来です。

土用(どよう)というと、一般的には暑さが厳しいこの時期の「土用の丑の日(どようのうしのひ)」と「夏バテ防止のウナギ」を連想しますが、暦の上では立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間をそれぞれ土用といいます。

立秋の前日(今年は8月6日)までの"夏土用(なつどよう)"の時期は、特に暑さが厳しくなることから「暑中(しょちゅう)」といい、この時期に親しい方の健康などを案じる便りを互いに送り合う"暑中見舞い(しょちゅうみまい)"の風習は、現代でも幅広い世代で広く行われています。

梅の葉の茂る様子の写真

<梅の葉>

夏土用の頃には、塩漬けしておいた梅の実と紫蘇の葉を三昼夜ほど天日と夜露にさらして梅干しを仕上げます。北の丸公園のウメの木は、緑の葉を茂らせて次の春に向けて栄養を蓄えています。

柿の葉の写真

<柿の葉>

地方によっては、柿の葉などを用いた薬湯に入ったり、お灸をすえたり(土用灸)といった、身近な植物の効能を活かして厳しい夏の暑さを乗りきるための工夫が、古来から伝わる日々の暮らしの知恵として伝えられているようです。

暑さが厳しいこの時期、熱中症予防と紫外線(日焼け)対策をしっかり準備して、公園では出来るだけ木陰の涼しい場所を選ぶなど、室内でも屋外でも決してムリせず、体調の変化に十分気をつけてお過ごしください。

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2016年07月07日小暑(しょうしょ)、七夕(たなばた)、クールアース・ディ

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園ブログ / 季節の便り / 環境保全の取り組み

本日(7月7日)は、二十四節気の一つの「小暑(しょうしょ)」です。文字通り、本格的な夏の暑さがやってくるほんの少し前とされていますが、各地では真夏日や猛暑日が記録されています。

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北の丸公園の一角にある小さな竹藪では、7月の風に揺れて竹の葉がサラサラと音をたてていました。

笹竹に短冊をつけてお願い事を祈る七夕の風習は、中国大陸伝来のさまざまな伝説や風習が、日本古来の信仰や習慣と結びつき、奈良時代から江戸時代の間に宮廷の貴族から庶民まで広ったものと云われています。織姫と彦星が、年に一度、天の川を渡って再会するというロマンチックな物語は、現代でも多くの世代に親しまれています。

新暦の七夕(7月7日)や、旧暦の伝統的な七夕(2016年は8月9日)の頃には、全国各地で地域色あふれる独特な七夕祭りが盛大に行われます。

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クールアース・デーの夜、全国のライトアップ施設や各家庭において夜8時から10時までの2時間のライトダウン(一斉消灯)を呼びかけ、また全国各地で催される関連行事に参加していただくことで、地球温暖化防止のための活動をより広く、より多くの皆さんに知っていただくための取り組みが、さまざまな方々の参画により行われています。

今晩は、お近くで開催されるクールアース・デーのライトダウンイベントに参加されたり、ご家庭や会社・お店でライトダウン(一斉消灯)やキャンドルを灯したり、一人一人が楽しんで出来る、小さな小さな温暖化防止の取り組みの普及活動に参加されてはいかがでしょうか。

みんなで少しずつライトダウンしたら、久しぶりに訪れるひとときの闇夜と、照らし出されるような天の川が現れて、その岸辺で照れくさそうにはにかんだ織姫と彦星の笑顔が見えるかもしれませんよ。

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2016年07月01日水筒片手に

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園ブログ / 季節の便り / 皇居外苑ブログ

皇居外苑や北の丸公園では、木陰からセミの鳴き声も聞こえてきました。今日は半夏生(はんげしょう)、暦の上では本格的な夏の幕開けです。

和田倉噴水公園 噴水の写真

<和田倉噴水公園(皇居外苑)>

皇居外苑の一角にある和田倉噴水公園は、今上天皇のご成婚を記念して昭和35年に建設され、皇太子殿下ご成婚の際に行われた平成7年の再整備事業により、現在のモダンな噴水公園となりました。日没から夜9時までは、温暖化防止や節電を考慮したLED水中照明による光の演出が加わり、夏の夜をおだやかに照らします。

和田倉無料休憩所には、皇居外苑地域の歴史や自然などを幅広く解説したインフォメーションコーナーがあり、発掘調査の出土品なども展示されています。

平川橋を望む濠の様子の写真

<お濠(皇居東御苑平川橋付近)>

ヒートアイランドと呼ばれる東京都心部ですが、緑と水辺に囲まれた皇居の周りでは、朝夕の時間帯にはちょっと以外なほど涼しい風が通り抜けます。和田倉噴水公園から北の丸公園まで、ゆっくり歩いて30分ほど。この夏の"朝活"、"ゆう活"は、水筒片手に皇居のお濠沿いをのんびりお散策してみてはいかがでしょうか。

和田倉噴水公園の最寄り駅

 運行状況や利用案内は、最寄りの各駅(東京駅東京メトロ丸ノ内線JR)、大手町駅都営地下鉄三田線東京メトロ丸ノ内線・東西線・千代田線・半蔵門線)、二重橋前駅東京メトロ千代田線日比谷駅都営地下鉄三田線東京メトロ日比谷線・千代田線)(順不同))へお問い合わせください。

北の丸公園の最寄り駅

運行状況や利用案内は、最寄りの各駅(九段下駅都営地下鉄新宿線東京メトロ東西線・半蔵門線)、竹橋駅東京メトロ東西線)、神保町駅都営地下鉄三田線都営地下鉄新宿線)、東京メトロ半蔵門線)順不同)へお問い合わせください。

北の丸公園近隣の文化施設等のご案内

近隣の文化施設等の開館・開園状況等については、各文化施設等(国立公文書館科学技術館、日本武道館、千代田図書館千鳥ヶ淵緑道千鳥ケ淵戦没者墓苑しょうけい館(戦傷病者史料館)昭和館東京国立近代美術館及び工芸館皇居東御苑三の丸尚蔵館千鳥ヶ淵ボート場順不同))へお問い合わせください。

国立公文書館では、5月21日(土)から明日7月2日(土)まで、平成28年第一回企画展「栄典のあゆみ-勲章-褒章」(入場料無料・ただし日曜は展示室は休み)が開催されています。詳しくは国立公文書館にお問い合わせください。

東京国立近代美術館(本館)では、7月3日(日)無料観覧日に所蔵作品展の「MOMATコレクション(所蔵品ギャラリー)」と企画展の「近代風景-人と景色、そのまにまに-(ギャラリー4)」が無料でご観覧いただけます。詳しくは東京国立近代美術館にお問い合わせください。

☆工芸館は、施設メンテナンスのため7月15日(金)まで休館です。詳しくは工芸館にお問い合わせください。

☆三の丸尚蔵館は、展示替えのため6月20日(月)から7月8日(金)まで休館です。詳しくは三の丸尚蔵館(宮内庁)にお問い合わせください。

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2016年06月21日夏至(げし)の夜に

皇居外苑バックナンバー2016 / 夏の花 / 季節の便り / 環境保全の取り組み / 皇居外苑ブログ

本日(6月21日)は、二十四節気の一つ「夏至(げし)」です。夏至の頃は、一年のうち日の出から日没までの昼間の時間が最も長く、日没から穂出までの夜の時間が最も短くなる期間です。俳句の季語などでは、日暮れが早い秋の"夜長(よなが)"に対して、夜明けが早い夏の夜のことを"短夜(みじかよ)"と言い表します。

日照時間が短い北欧や東欧の国々では、太陽がもたらす恩恵への感謝や夏の到来を祝うお祭りとして、それぞれの地域に根ざした伝統行事として、"夏至祭(げしまつり)"が盛大に行われるそうです。

6月21日(夏至の日)から7月7日(クールアース・デー)にかけては、私たちひとりひとりが実行できる地球温暖化防止・CO2削減の取り組みを広く普及するための取り組みとして、「ライトダウンキャンペーン」を展開し、不必要な照明を消灯することで各施設や各家庭においてCO2削減を実行いただけるよう呼びかけを行っております。

とりわけ、夏至の日(今年は6月21日)とクールアース・デー/七夕(7月7日)については、全国のライトアップ施設や各家庭において夜8時から10時までの2時間のライトダウン(一斉消灯)を呼びかけ、また全国各地で催される関連行事に参加していただくことで、地球温暖化防止のための活動をより広く、より多くの皆さんに知っていただくための取り組みが、さまざまな方々の参画により行われています。

夏至の日とクールアース・デー/七夕のライトダウンを中心とした温暖化防止の運動は、"キャンドル・ナイト"などのエコイベントとして全国各地で催され、夏至祭や七夕などの伝統行事とエコ運動が混じり合った、日本ならではの「夏のエコ活」として広く定着しつつあるようです。

昨日の夜は満月でした。今夜も、運良く晴れた地域では、大きなお月さまが夜空をぽっかり照らしてくれることでしょう。

田安門の見える牛ヶ淵の写真

牛ヶ淵のハスの花の写真

ハスの花(皇居牛ヶ渕)

皇居のまわりを取り囲むお濠のひとつ牛ヶ淵では、ぽつりぽつりとハスの花が咲きはじめ、ロウソクの先にぽっかりと灯ったあかりのように、お濠の水面を照らしています。

皇居外苑では、お濠をとりまく自然環境や歴史的景観を保全する取り組みの一環として、お濠に生息するヘイケボタルの保護事業を行っています。光を放つことで求愛行動を行うホタル類の生息を阻む要因のひとつとして、人の営みが生みだした明るすぎる夜や懐中電灯、フラッシュなどのいわゆる光害による繁殖の阻害が挙げられます。お濠の水辺環境は、ヘイケボタルに代表される都会に残された貴重ないきものたちを育む大切なゆりかごの一つです。みんなでそっと見守ってくださいますようお願いします。

都心の水辺にホタルが舞う日がきますよう、夏至の夜に灯るあかりに思いを込めて。

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2016年06月06日芒種(ぼうしゅ)のタネ

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園ブログ / 季節の便り / 気象観測 / 環境保全の取り組み / 皇居外苑ブログ / 皇居外苑・北の丸公園の梅

昨日(6月5日)は、二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」でした。

元々の芒種の頃(旧暦の芒種は現在の5月1日頃)は、お米の籾(もみ)などの穀物の種まきや早苗(さなえ)の植え付けに適した時期とされていました。暦や気候が変化した現代でも「壬生の花田植」や「住吉の御田植え神事」、「磯部の御神田」などの田植えにまつわる祭事が、地域の伝統文化として全国各地で受け継がれています。また、最近では農村と都市の交流イベントとして、田植え前の田んぼを使ったさまざまな「どろんこ体験」も各地で盛んに行われています。

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<ウメの実>

北の丸公園の梅の木に僅かに実っている梅の実が、黄色く熟しはじめてきました。

6月は"梅仕事"の季節です。八百屋さんやスーパーの店頭にもさまざまな産地から自慢の梅が並びます。青梅は梅酒や梅シロップに、追熟させて黄色く熟した実は塩漬けにして梅干しに加工し、運良く完熟の実が手に入れば、完熟梅のジャムやジュースをつくりましょう。

昨日は関東甲信地方の梅雨入りも発表されました。年に一度、この時期しか出来ない"梅仕事"が一段落した頃、空模様はしだいに梅雨めき、やがて入梅の季節に移り変わります。

梅雨入り(関東甲信地方) 6月5日頃(昨年よりも2日遅く、平年より3日早い記録)

昨年(2015(平成27)年)は、6月3日頃

平年は、6月8日頃

☆北の丸公園では動植物の採取は禁止しております。ウメの実など興味本位で採ったりせずに、後から来られる方々も自然に実るようすをみられるようにそっと観察してください。

牛ヶ淵の写真

<牛ヶ淵>

この時期になると、各地から自然豊かな水辺で蛍が舞い始めたというニュースも聞かれるようになります。

皇居の周囲を取り囲むお濠に、ホタルが生き残っていることをご存じでしょうか。皇居外苑では、お濠をとりまく自然環境や歴史的景観を保全する取り組みの一環として、お濠に生息するヘイケボタルの保護事業を行っています。お濠の水辺環境は、ヘイケボタルに代表される都会に残された貴重ないきものたちを育む大切なゆりかごの一つです。みんなでそっと見守ってくださいますようお願いします。

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2016年05月20日小満(しょうまん)の実り

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園ブログ / 夏の花 / 季節の便り / 皇居外苑・北の丸公園の梅

本日(5月20日)は、二十四節気のひとつ「小満(しょうまん)」です。小満は、春に芽吹いた草木が生い茂り初夏の実りをむかえるなど、自然の力が天地に満ちはじめる頃とされています。

コバンソウの写真

<コバンソウの穂>

実りの季節をむかえた麦などが穂を垂れるのもちょうどこの頃で、無事に実った作物のようすにほっとひと安心したという逸話からこの時期のことを小満と呼ぶようになったとも云われているそうです。

北の丸公園では、樹林地の足元でコバンソウ(小判草)の穂が、初夏の風にさらさらと小さな音を立てて揺れていました。コバンソウは、別名タワラムギ(俵麦)とも呼ばれ、明治時代に渡来したヨーロッパ原産の1年草です。コバンソウやタワラムギという呼び名は、どちらも熟すと黄褐色になる穂の形を江戸時代のお金の"小判(こばん)"や、収穫したお米などを保管するために稲わらなどでくるんだ"俵(たわら)"に見立てて名付けられた縁起のよい名前です。

ウメの実の写真

<ウメの実>

梅の実を収穫しはじめるのもこの頃とされ、関東近県のウメの産地で梅酒用に使われる青梅の収穫がはじまったという季節の話題がテレビでも放映されていました。北の丸公園の梅の木にも青々とした梅の実がついていますが、万葉の時代から早春には梅の花を愛で、初夏に実を梅干しや果実酒に漬け、仁を薬用に利用してきた日本では、たわわに実る梅の実に移りゆく季節を感じてきたことでしょう。

"梅の木"は茨城県の木に、"梅の花"は大阪府と和歌山県と福岡県の花に、"豊後梅(ぶんごうめ)"は大分県の木と花に選ばれています。

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<タイサンボク(泰山木)の花>

夏めいてきた北の丸公園では、旧江戸城清水門や科学技術館にほど近くに建つ吉田茂像の傍らで、タイサンボク(泰山木)の白く大きな花が咲きだし、濃厚なクリームのような甘さと柑橘やショウガのようなさわやかさをあわせもつような、独特のよい香りを漂わせていました。

☆北の丸公園では動植物の採取は禁止しております。コバンソウの穂やウメの実は、興味本位で採ったりせずに、後から来られる方々も自然に実るようすをみられるように、そっと観察してください。

北の丸公園の最寄り駅について

 北の丸公園最寄り駅の利用案内は、各駅(九段下駅(都営地下鉄新宿線東京メトロ東西線・半蔵門線)、竹橋駅(東京メトロ東西線)、神保町駅(都営地下鉄三田線都営地下鉄新宿線)、東京メトロ半蔵門線)順不同)へお問い合わせください。

北の丸公園周辺の文化施設の利用案内

 近隣の文化施設等の開館・開園状況等については、各文化施設等(国立公文書館科学技術館、日本武道館、千代田図書館千鳥ヶ淵緑道千鳥ケ淵戦没者墓苑しょうけい館(戦傷病者史料館)昭和館東京国立近代美術館及び工芸館皇居東御苑三の丸尚蔵館千鳥ヶ淵ボート場順不同))へお問い合わせください。

国立公文書館では、明日5月21日(土)から7月2日(土)まで、平成28年第一回企画展「栄典のあゆみ-勲章-褒章」(入場料無料・ただし日曜は展示室は休み)が開催されています。詳しくは国立公文書館にお問い合わせください。

工芸館は、7月15日まで休館しています。詳しくは工芸館にお問い合わせください。

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2016年05月06日立夏(りっか)とともに

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昨日(5月5日)は、二十四節気のひとつ「立夏(りっか)」でした。暦の上ではこの日を境に夏がはじまるとされ、よく晴れた日には初夏を思わせるような強い日差しが降り注ぎます。

北の丸公園の樹林を訪れたキビタキの写真です

<キビタキ>

強い日差しを遮るように、美しい青葉を茂らせている北の丸公園の雑木林には、夏の訪れを告げるキビタキが今年もやって来ました。キビタキは北海道から九州まで日本各地の低山から山地にかけて渡来する夏鳥のひとつです。

幸せを運ぶ黄色い小鳥としても知られるキビタキは、福島県のシンボルキャラクター"キビタン"として、花の王国ふくしまキビンタンスタンプラリー2016(3月19日から6月30日)などで大活躍しています。

北の丸公園では、初夏の訪れとともに咲く里山や庭先の花々も開き始めています。

エゴノキの花が咲き始めた様子の写真

<エゴノキ>

ヤマボウシの花の写真

<ヤマボウシ(山法師)>

セイヨウシャクナゲの花の写真

<セイヨウシャクナゲ(西洋石楠花)>

カルミアの花の写真

<カルミア>

ガマズミの花の写真

<ガマズミの花>

ピラカンサズの花の写真

<ピラカンサの花>

池で生まれ育った幼生(オタマジャクシ)が、成体(仔ガエル)に変態を果たし、ついに水辺を離れて森を目指しはじめたアズマヒキガエルの写真です

<アズマヒキガエルの成体(上陸したての仔ガエル)>

北の丸公園の池で生まれ育ったアズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)たちが、ついに成体(仔ガエル)への変態を果たし、森を目指して一斉に上陸をはじめました。上陸したてのアズマヒキガエルは、小指の先ほどの大きさしかありません。繁殖可能な成熟した大人のカエルになるには三年以上かかるとされており、厳しい生息環境の中でさまざまな試練を経て、産卵に戻ってこられるのはそのうちの僅か3%以下といわれています。

北の丸公園でアズマヒキガエルの卵やオタマジャクシ、成体(仔ガエル、親ガエル)を見つけても、むやみに捕まえてどこかに持ち出したり、どこかに放したりせず、生まれた場所で生きられるよう、みんなでそっと見守ってあげてください。「採らない」こと、「放さない」ことの重要性をみんなが知ることが、野生のいきものを守るはじめの一歩です。

立夏(りっか)とともに水辺を離れ、森の中でひっそりと命を受け継いできたいきものたちを守るために。

北の丸公園の最寄り駅について

 北の丸公園最寄り駅の利用案内は、各駅(九段下駅(都営地下鉄新宿線東京メトロ東西線・半蔵門線)、竹橋駅(東京メトロ東西線)、神保町駅(都営地下鉄三田線都営地下鉄新宿線)、東京メトロ半蔵門線)順不同)へお問い合わせください。

北の丸公園周辺の文化施設の利用案内

 近隣の文化施設等の開館・開園状況等については、各文化施設等(国立公文書館科学技術館、日本武道館、千代田図書館千鳥ヶ淵緑道千鳥ケ淵戦没者墓苑しょうけい館(戦傷病者史料館)昭和館東京国立近代美術館及び工芸館皇居東御苑三の丸尚蔵館千鳥ヶ淵ボート場順不同))へお問い合わせください。

国立公文書館では、4月2日(土)から5月8日(日)まで、平成28年春の特別展徳川家康―将軍家蔵書からみるその生涯―入場料無料会期中無休)が開催されています。詳しくは国立公文書館にお問い合わせください。

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2016年04月20日穀雨(こくう)の恵み

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園カエル通信 / 北の丸公園ブログ / 季節の便り / 春の花

本日(420日)は、二十四節気のひとつ「穀雨(こくう)」です。春は天気が変わりやすい季節ですが、穀雨の頃になると空模様も安定してくると云われ、晴れた日には初夏を思わせるような日差しが降り注ぎます。

流れの雨の風景写真

<渓流の庭(北の丸公園内)>

北の丸公園の一角では、自然の渓流を模した流れが新緑に包まれ、都心とは思えないような瑞々しい風景が広がっています。この頃に降る春雨は百穀を潤す恵みの雨とされ、各地の田んぼや畑では農家の皆さんが種まきや苗作りに追われます。

ヤマグワの写真

<ヤマグワ(山桑)>

蚕の食草として知られる桑の葉が開きはじめることから、山里では絹をつくるための養蚕の準備をはじめる頃ともされています。北の丸公園の樹林地では、新緑の中でヤマグワが花を咲かせていました。

<チャノキ(茶の木)>

穀雨の頃から5月頃に収穫される新芽を摘んだ茶葉は一番茶として喜ばれます。♪夏も近づく八十八夜♪という茶摘み歌でもよく知られていますが、八十八夜に摘み取られた新茶は、不老長寿の縁起物として特に珍重されます。北の丸公園のチャノキも、ずいぶんと新芽を伸ばしていました。

オタマジャクシの様子の写真(わずかに後ろ足の気配が見える)

<アズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)>

北の丸公園の池に生息するアズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)たちも、ついに後肢が出てきた個体が現れました。季節の移り変わりとともに、いよいよ成体(カエル)への劇的な変態がはじまります。

☆北の丸公園では動植物の採取は禁止しております。桑やお茶の葉を摘んだり、アズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)を捕まえて園外に持ち出したり、園外から持ち込んだりせず、そっと観察してください。

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2016年04月04日清明(せいめい)

皇居外苑バックナンバー2016 / 北の丸公園カエル通信 / 北の丸公園ブログ / 季節の便り / 春の花 / 皇居外苑・北の丸公園の桜

本日(4月4日)は、二十四節気のひとつ「清明(せいめい)」です。春の清らかで生き生きとしたようすを表すことばが語源と云われています。この頃になるとそこかしこが春の息吹に包まれ、小さないきものたちも元気いっぱい活動します。

染井吉野満開アップ

<満開の染井吉野(ソメイヨシノ)>

満開の桜に目を奪われてしまいますが、その足元では小さな野の草たちが可憐な花を咲かせています。

タンポポ4

<カントウタンポポ(関東蒲公英)>

関東地方から中部地方東部に分布する日本在来のタンポポです。

ナズナ

<ナズナ(薺)>

春の七草のひとつ。ぺんぺん草、三味線草の名で親しまれる植物です。麦栽培の伝来とともに渡来した史前帰化植物とされています。

オオイヌノフグリ

<オオイヌノフグリ(大犬陰嚢)>

明治時代に渡来したとされる、ヨーロッパ原産の帰化植物です。

<ホトケノザ(仏の座)>

東アジアからヨーロッパ、北アフリカまで広く分布し、日本でも本州から九州まで自生する在来種です。

※春の七草の「ほとけのざ」はキク科のコオニタビラコで、本種とは全くの別種。

キュウリグサ

<キュウリグサ(胡瓜草)>

アジアの温帯に分布し、日本では全国に分布します。葉を揉むときゅうりのような香りがするのが、和名の由来です。

<オランダミミナグサ(和蘭耳菜草)>

ヨーロッパ原産の植物で、現在では世界中に分布を広げている帰化植物のひとつです。

<ムラサキケマン(紫華鬘)>

日本全土に分布する在来種です。

オタマジャクシ4月4日

<アズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)>

北の丸公園の池に生息するアズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)たち。大きさも形も、前回(春分の日の頃)にご紹介した時とほとんど変化ないように見えますが、体の中では大きな変化(四肢の形成)がはじまっています。

☆北の丸公園では動植物の採取は禁止しております。アズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)を捕まえたり、園外に持ち出したり、園外から持ち込んだりせず、水辺でそっと観察してください。

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2016年03月04日啓蟄(けいちつ)から始める

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桃の節句を過ぎ、ようやく春めいて参りました。明日(3月5日)は、二十四節気のひとつ「啓蟄(けいちつ)」です。啓蟄は、冬を越したいきものたちが、春の訪れとともに活動を始める頃とされています。北の丸公園では、早春を彩るサンシュユ(山茱萸)やカンヒザクラ(寒緋桜)の花々が見ごろをむかえています。

サンシュユの花のアップ

<サンシュユ(山茱萸)>

黄色い小さな花々を枝いっぱいに咲かせるようすから「春黄金花(はるこがねばな)」という別名で呼ばれ、浅春(せんしゅん)を彩る代表的な花木のひとつとして親しまれています。

カンヒザクラ

<カンヒザクラ(寒緋桜)>

カンヒザクラ(寒緋桜)は、中国南部や台湾島などに分布するサクラの原種(野生種)で、東京地方では名前の由来の通り、まだ寒さが残る早春に緋色の花を咲かせ始めます。

アセビ

<アセビ(馬酔木)>

本州、四国、九州地方に広く分布し、繁栄をあらわす"お祝いの樹"のひとつとして親しまれている地方もあるそうです。

フキノトウ

<ふきのとう(蕗の薹)>

八百屋さんの店先に山菜が並び始めるのもこの頃からで、さまざまな草木が一斉に芽吹き始めます。山菜に代表されるその季節にしかとれない野菜や果物、お魚などの食材を"旬の恵み"として味わう、日本の家庭で育まれてきた伝統的な食習慣は、和食や食育という形で改めて注目されていますが、毎日の暮らしの中で子供たちに受け継ぎたい大切なことのひとつですね。

アズマヒキガエルの卵塊

<アズマヒキガエルの卵塊>

寒い日が続いて少し心配でしたが、卵塊の中ではオタマジャクシになる準備も進んでいるようです。啓蟄を過ぎると少しづつ池の水も温みだし、都会の森で本格的な春が始まります。

☆北の丸公園では動植物の採取は禁止しております。ふきのとうやアズマヒキガエルの卵塊は、興味本位で採ったりせずに、そっと観察してください。

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