事業種別 | 事業地 | 事業名 | 事業内容 | 備考 |
---|---|---|---|---|
野生生物の 保護・保全 |
和歌山県東牟婁郡串本町 | 串本海中公園地区オニヒトデ等駆除対策業務 | 多くのサンゴや熱帯性魚類が生息し、優れた海中景観を呈する串本海中公園地区のサンゴを保全するため、サンゴを食害するオニヒトデ等を駆除する。 | |
環境美化 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町・太地町 | 熊野地域清掃活動業務 | 吉野熊野国立公園熊野地域において、国立公園の道路、広場、水泳場、その他公共の場において美化清掃を実施し、清潔を保持する。 | |
景観の維持 | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町宇久井地区 | 宇久井地区里地里山景観維持復元業務 | かつて宇久井半島にあった常緑広葉樹と畑地の混在した里地里山景観を復元するため、除伐や下刈り作業を行うとともに、不法投棄されたゴミの回収を行う。 |
[クシハダミドリイシの群集]
吉野熊野国立公園串本海中公園地区は、クシハダミドリイシを主体としたテーブル状のサンゴの大群集をはじめ、キクメイシやキッカサンゴ等、多種のイシサンゴ類や熱帯性魚類が豊富で優れた海中景観を有する地区として、我が国で初めて海中公園地区に指定されました。また平成17年11月には、串本海中公園地区を含むエリアが「串本沿岸海域」として、ラムサール条約に登録されました。
しかし、2004年秋に、串本町内の浅海域にサンゴを食害するオニヒトデの大量発生が確認され、それ以降サンゴ類に多大な被害を及ぼしています。またオニヒトデの卵やふ化した浮遊幼生が海流によりその分布を広げるため、一つの区域で起こる大発生により、周辺地域にも新たな集団が出現し、サンゴに対する被害が広い範囲に伝播する可能性が高いのです。
このため、グリーンワーカー事業において、貴重な海中景観を構成するサンゴ類の保護を図るために、串本町内の広域にわたるサンゴ類を食害するオニヒトデと、従来から被害を及ぼしているサンゴ食巻貝の生息状況や被害状況を調査するとともに、オニヒトデの大集団が確認された場所において駆除を行うことにより、貴重なサンゴ類の保護および海中景観の保全を行うことを目的に実施しています。
平成18年度のグリーンワーカー事業では、オニヒトデ等の駆除作業を計9回実施し、参加人数のべ58名で1654個体駆除しました。オニヒトデの1人平均駆除個体数は減少傾向にあるものの、2004年に大発生した多くのオニヒトデは年々成長し、腕直径約30cmに達してきています(図1)。彼らによるサンゴの食害もさることながら、繁殖期に放出される卵は1個体で数百万粒となるため、7月以降の繁殖時期に入る前に駆除を行い、少しでもサンゴへの被害を軽減してサンゴを保護していく必要があります。
図1 年度別オニヒトデ腕直径組成
(平成18年度串本海中公園地区オニヒトデ等駆除対策業務結果報告書より)
[オニヒトデによるサンゴ食害
(白い部分が食害を受けた跡)]
[オニヒトデの密集団]
[食害を受け全滅したサンゴ群]
[駆除作業風景[1]]
[駆除作業風景[2]]
[クシハダミドリイシの再生]
国立公園にも指定されている那智山や那智の滝などが、平成16年7月に「紀伊山地の霊場と修験道」としてユネスコの世界文化遺産に登録され、ますます多くの利用者が訪れるようになりました。また那智勝浦町や太地町の海浜地、その周辺の園地は、夏場を中心に多くの利用者が訪れ、海水浴などで楽しまれています。
このように多くの利用者が訪れる那智山地区や海浜地、その周辺の園地などの公共の場において、国立公園にふさわしい環境を維持するため、放置されたゴミや漂着ゴミの回収などの美化清掃を実施しています。
[那智山地区沿道の清掃]
[太地地区不法投棄ゴミの撤去[1]]
[太地地区不法投棄ゴミの撤去[2]]
吉野熊野国立公園には、薪炭林や畑地として利用されて人の営みにより育まれた里地里山の景観があります。宇久井半島の上部には、かつてそのような里地里山が広がっていました。しかし近年は人々の利用がなくなり、メダケやツル性植物が繁殖する林となってしまい、さらに林内には多くの不法投棄が見られ、里地里山の景観が失われていました。
このようなことから、里地里山の景観を復元するために、繁茂したメダケやツル性植物などの伐採や除去、下草刈り、ゴミの回収などを実施しました。
林の手入れにより、暗かった林床に日が差し、ヤマザクラやヤブツバキも樹勢を回復し、里山の景色が明るくなりました。
[繁茂したメダケ]
[林内作業風景]
[明るくなった林内]