課題名

B-14 地球温暖化防止対策技術の総合評価に関する研究

課題代表者名

石谷 久 (東京大学工学部地球システム工学科教授)

研究期間

平成6−8年度

合計予算額

372,644千円 (うち8年度 128,916千円)

研究体制

(1) 技術評価のためのライフサイクル温室効果ガス排出量の分析に関する研究

   技術評価のためのライフサイクルCO2排出量の分析に関する研究

(環境庁国立環境研究所、埼玉大学)

  技術評価のためのライフサイクル微量温室効果ガス排出量の分析に関する研究

(厚生省国立公衆衛生院)

(2) 民生分野における重点対策の普及に当たっての技術的評価

   エコハウスの構築に関する技術的評価(環境庁国立環境研究所、東北大学、室蘭工業大学)

  エココミュニティーの構築に関する技術的評価(建設省建築研究所)

   エネルギー多消費型民生関連製品に関する技術的評価(環境庁国立環境研究所)

  建設事業における対策の評価(建設省土木研究所)

(3) 交通分野における重点対策の普及に当たっての技術的評価

   コミュータ交通分野の車輌の社会的受容性に関する研究

(環境庁国立環境研究所、岩手大学、電気通信大学、日本大学、東京大学、東北工業大学、東京電機大学)

  コミュータ交通分野に適する電気自動車の電池管理に関する研究

(通商産業省工業技術院機械技術研究所)

   コミュータ交通分野に適する動力システムに関する研究

(運輸省交通安全公害研究所、早稲田大学)

  大型ディーゼル車のエネルギー回生向上技術に関する研究

(運輸省交通安全公害研究所、日野自動車工業株式会社)

(4) エネルギー分野における重点対策の普及に当たっての技術的評価

   電力関係分野の重点対策の評価(通商産業省工業技術院電子技術総合研究所)

  熱利用分野の重点対策の評価(通商産業省工業技術院機械技術研究所)

   化石燃料供給利用技術の評価(通商産業省工業技術院資源環境技術総合研究所)

(5) 対策の総合評価手法の開発に関する研究(環境庁国立環境研究所、東京大学)

研究概要

 来世紀には地球温暖化が現実となる可能性が次第に明らかになりつつあるため、その対策の実行を急がなければならない状況にある。温暖化対策を効率良く進めるに当たっては、まずライフサイクルでみた温室効果ガスの排出構造を明らかにし、つぎに大きな効果の期待される対策の抽出と対策の多面的評価、さらに対策実行時の課題を明らかにし実行に向けてのシナリオを作ることが必要である。温暖化対策には技術的、制度的、啓蒙等による対策がある。技術的対策にも温室効果ガスの排出量を減らす抑制技術、発生したガスの大気中放出を抑える処理技術、万が一温暖化が生じた場合に適応する技術とがある。さらに対策の実現時期として、比較的短期間のものと効果は大きいが実現までに時間的余裕の必要なものとがある。このような多岐にわたる温暖化対策のうちでも抑制技術は、これまでの費用、効果、技術的難易性等の視点による評価から見て現実性が高い。但し、これらの対策の実行には技術同士の整合性、普及の際の順位づけ、効果の評価、普及の妨げになっている技術的な隘路の除去が必要である。このような背景の下で本研究では今後2030年の期間を想定して、抑制技術を中心とした温暖化対策技術の総合的評価を目的とする。ライフサイクルからみた温室効果ガスの排出構造を精度良く把握した上で、社会の各領域での具体的な対策技術の評価を行うとともに、対策の積み重ねに基づく社会全体としての効果の評価を行うのである。そして、この結果は各対策の総合的な普及シナリオの作成にも供される。本研究では大きく3つの方向に分けて研究を行う。第一は、サブテーマ(1)に示す技術評価を行うための基礎となるライフサイクルでの温室効果ガス排出量の分析である。第二は、サブテーマ(2)から(4)に示すように対策をとる分野を民生関連、交通関連、エネルギー関連に分類した上で、各分野ごとに大きな効果が期待できる対策について重点的に詳細な評価を行う。第三は、サブテーマ(5)として対策技術の総合的な観点からの評価である。平成8年度の研究においては、サブテーマ(1),任魯薀ぅ侫汽ぅル評価の対象とする技術システムや製品の導入普及シナリオの設定による対策の評価を行う。△任枠量温室効果ガスのライフサイクル評価に不可欠な発生源データの収集と整理、特に都市ゴミ、し尿及び下水の処理において排出される微量温室効果ガスのデータベースの構築を行う。サブテーマ(2),任蓮低環境負荷型住宅(エコハウス)の居住性向上に資する技術の検討と評価を行う。(2)△任歪禊超負荷型集合住宅(エココミュニティ)を対象としてその実現のための技術評価をシミュレーションにより行う。(2)では昨年度行った飲料用自動販売機を対象としたライフサイクル評価結果に基づき、有効な対策の定量的評価を行う。(2)い任老設資材ごとのCO2排出量を評価し、社会的費用アプローチと組み合わせ、工法・資材代替対策の評価を行う。サブテーマ(3)は主としてコミュータレベルの電気自動車を対象とする。(3),任賄典ぜ動車の利用形態や目的に応じた車体設計の評価手法を明らかにする。(3)△任賄典ぜ動車用組電池へ適用する電解液温度検出システムの有効性について評価を行う。(3)では最適な動力システムを構成する要素技術について調査検討を行い、その技術について評価を行う。(3)い任和膩織妊ーゼル車を対象に、走行時の廃エネルギーの有効回収・変換技術の定量的評価を行う。サブテーマ(4),任蓮電力関連分野の対策技術の導入規模と電力システムの構成、経済性、環境負荷との関係について評価する。(4)△任浪糠喊紊らの熱回収ポテンシャルの定量的評価および需要側との整合性を考慮した削減効果を検討する。(4)では化石燃料の採掘・輸送に関するエネルギー及び必要資材、設備等についてのデータの収集と整理を行う。サブテーマ(5)では、評価手法を具体的に定式化することにより、個別の対策技術を対象とした定量的な評価を試みる。

研究成果

 サブテーマ(1),任蓮CO2に関するライフサイクル評価に必要な原単位データベース構築を産業連関分析法を用いて行った。また、そのデータベースをもとに電気自動車と地域冷暖房システムとを取り上げてライフサイクル評価を行い、電気自動車についてはガソリン車からの代替対策の評価を行った。(1)△任蓮N2Oの発生源としてのアジピン酸製造プロセスでの排出係数と排出量の予測を行った。また、CH4N2O等の微量温室効果ガスのライフサイクル評価の基礎となる発生源データベースの構築を行った。さらに都市ゴミ、し尿及び下水等の処理施設のデータベース化と消費エネルギーの推算を行った。(2),任蓮▲┘灰魯Ε稿各によるCO2排出削減効果および居住性の評価を行い、エコハウスでは夏期における居住環境の改善が必要であり、それには通風が有効なことをモデル実験および実住宅調査より明らかにした。(2)△任蓮▲┘灰灰潺絅縫謄A和さ蚕僂涼蟒个箸修療用可能条件について、具体的な一地域を対象として検討を行い、エネルギー消費予測シミュレーションによりその技術を評価した。(2)では、飲料用自動販売機について、エネルギーとCO2に関するライフサイクル評価を行い、省エネ・低CO2排出に有効な対策のリストアップとその効果の推定を行った。(2)い任蓮建設事業におけるCO2対策を評価するために、建設資材ごとのCO2排出量を評価し、工法・資材代替によるCO2対策評価を一部事業に適用した。(3),任蓮▲灰潺紂璽織譽戰襪療典ぜ動車の利用形態や利用目的に応じた車体設計のコンセプトの評価手法を明らかにし、このコンセプトによる車体の性能評価手法の開発を行った。(3)△任蓮電池の各セル毎の電圧と電解液温度を任意のタイミングでモニタできる検出システムを構築し、それを付加した組電池を車体に搭載し、シャシダイナモメータ上およびシミュレーションにより従来のシステムとの性能評価を行い、このシステムの有効性を検証した。(3)では、コミュータに適する動力方式としてのハイブリッド方式並びにその性能や環境負荷の評価手法を検討し、動力システムの基本コンセプトを考察した。(3)い任蓮大型ディーゼル車を対象として走行時に廃棄されるエネルギーの回収・変換技術について調査・検討ならびに回収エネルギー量について検討を行った。(4),任蓮⊆然エネルギー有効利用技術として有望な太陽光発電システムを対象として、エネルギー及び温室効果ガスについてのライフサイクル評価を行った。さらに、対策の導入規模と電力システムの構成、経済性、環境負荷との関係について評価を行った。(4)△任蓮¬ね用エネルギーである温排水からの熱回収量の評価および汚れ付着シミュレーションによる熱交換器の性能低下の検討並びに、熱エネルギー有効利用に資するために需要者側から見たエネルギーフローマップの作成を行った。(4)では、国内及び海外における化石燃料の採掘・輸送に関するエネルギー、資材等のデータの収集および整理を行った。(5)では、線形計画法を応用したシステムズアプローチによる温暖化対策の評価の枠組みを設計し、具体例として自動車を取り上げ、代替燃料車のCO2削減策としての寄与を評価した。