水・土壌・地盤・海洋環境の保全

令和3年度海洋プラスチックごみ学術シンポジウム

1.開催趣旨

 近年、海洋プラスチックごみによる環境汚染により、生態系、生活環境、漁業、観光業等への悪影響が懸念されています。そのため、重要かつ喫緊の課題として、国連をはじめとする様々な国際会議においてその対応が議論されています。この問題に各国が協力して対応するため、2019年6月に開催されたG20大阪サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を日本から提案し、各国首脳間で共有されました。このビジョンの実現のためには、国際枠組に基づく取組の推進や、科学的知見の強化等により、実効性のある海洋プラスチックごみ対策を着実に実施することが求められています。

 この問題に対して効果的な対策を行うためには、海洋プラスチックごみの量・分布の実態把握、発生源の特定、生物への影響評価などの科学的知見が不可欠ですが、これらの情報は十分に整理・蓄積されているとは言えません。

 現在、 世界中の多くの研究者が様々な調査や研究に取り組んでいますが、これまで以上にスピード感を持って研究を発展させるためには、分野間の連携を強化するとともに、新たな研究者の参入を含めた研究体制の一層の強化が必要です。このような課題認識の下、今般、これを解決する一助とするため、海洋プラスチックごみ学術シンポジウムを開催します。

2.概要

 日時:令和4年3月11日(金) 9:00~17:30(予定)

 場所:オンライン開催

プログラム(予定)  

※プログラム内容や開催時間は変更となる可能性があります。

①9:00-9:10 オープニングセッション

・環境省挨拶

・趣旨説明:海洋プラスチックごみの科学的知見について

②9:10-10:30 セッションA:分布把握と予測

・セッションモデレーター:磯辺篤彦(九州大学応用力学研究所 教授)

・A-1:リモートセンシングによる海岸観測とAIによる海岸プラスチックごみの定量化

 加古 真一郎(鹿児島大学大学院)

・A-2:AIを用いたカメラ画像からの海岸ごみ定量化

 松岡 大祐(海洋研究開発機構)

・A-3:Mission Tara Jambio マイクロプラスチック共同調査

 Sylvain Agostini(筑波大学下田臨海実験センター、タラオセアンジャパン)

・A-4: 破壊をもたらす環境場とマイクロプラスチックの生成を繋ぐ物理モデリング~海が持つ除去プロセスの理解に向けて

 青木 邦弘(海洋研究開発機構)

・フリーディスカッション・セッションA総括

③10:40-12:00 セッションB:発生源・流出経路・微細化

・セッションモデレーター:二瓶 泰雄(東京理科大学 教授)

・B-1:台風がもたらすプラスチックごみの大量流出

  中嶋 亮太(海洋研究開発機構)

・B-2:赤外分光測定によるポリエチレンMPsの積算紫外線暴露量推定

  大久保 理恵(旭化成株式会社)

・B-3:深層学習を用いた河川浮遊プラスチック輸送量計測手法の開発

  片岡 智哉(愛媛大学大学院)

・B-4:都市部の下水処理場におけるマイクロプラスチック流入及び回収の実態

  中村 倫明(日本大学)

・フリーディスカッション・セッションB総括

④13:30-14:35 セッションC:生物・生態系影響

・セッションモデレーター:山本 裕史(国立環境研究所 副領域長)

・C-1:廃プラスチックに起因する海洋汚染、大気汚染、気候変動および人体への影響を示す解析モデル

 林 美穂(地球環境戦略研究機関)

・C-2:コンパートメントモデルを用いたマイクロプラスチックのベクター効果の検証:マイクロプラスチックの粒径がベクター効果に与える影響

 高井優生(九州大学大学院)

・C-3:マイクロプラスチックの生態毒性とリスク評価

 鑪迫典久、岡崎友紀代(愛媛大学大学院)

・フリーディスカッション・セッションC総括

⑤14:45-16:10 セッションD:代替素材・回収技術

・セッションモデレーター:吉岡 敏明(東北大学大学院 教授)

・D-1:光と海水で分解性のスイッチの入る革新的バイオプラスチックの開発

 金子 達雄(北陸先端科学技術大学院大学)

・D-2:海洋生分解性バイオマス複合プラスチックで海洋環境プラ資材をつくる

 三宅 仁(アイ-コンポロジー株式会社)

・D-3:プラスチック代替素材としてのバイオマス由来生分解性フィルムの開発

 西脇 ゆり(金沢大学)

・D-4:植物資源由来・海洋生分解性を併せ持つプラスチックPHBHの環境影響評価

 天沢 逸里(東京大学大学院)

・フリーディスカッション・セッションD総括

⑥16:20-17:30 クロージングセッション

パネルディスカッション冒頭説明:白山 義久(京都大学 名誉教授)

・パネルディスカッション

パネリスト

白山 義久(京都大学 名誉教授)

磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所 教授)

二瓶 泰雄(東京理科大学 教授)

山本 裕史(国立環境研究所 副領域長)

吉岡 敏明(東北大学大学院 教授)

・環境省挨拶

3.報道発表資料