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慶良間諸島国立公園の写真

公園の特長

美ら海慶良間-海と島がつくるケラマブルーの世界-
指定:平成26年3月5日
面積(陸域のみ):3,520ha
沖縄県
慶良間諸島は、沖縄県那覇市の西方約40kmの地点に位置する、大小30余りの島々と数多くの岩礁からなる島しょ群で、平成26年3月5日(サンゴの日)に31番目の国立公園として指定されました。
透明度の高い海域景観、多様なサンゴが高密度に生息するサンゴ礁、ザトウクジラの繁殖海域、多島海景観、白い砂浜、海食崖とそこに発達した風衝地特有の植生など、海と陸が連続した多様な景観を有し、陸域が3,520ha、海域は90,475haと公園区域の大半が海域となっている国立公園です。
沖縄本島(那覇市泊港)から高速船で約35~50分とアクセスが良好で、ケラマブルーと称される美しい海でのダイビングやシュノーケリング、冬にはホエールウォッチングも楽しむことができます。

地形・景観

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慶良間諸島はもともと沖縄本島北部と連なる山脈の一部でしたが、地殻変動によって陸地が沈降して、現在のような小さな島々の集まりになったと考えられています。 そのため、慶良間諸島の内海は、沈降海岸地形を示し、多島海景観を有しています。
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山地が海岸まで押し迫って、切り立った海食崖や湾入りの多いリアス海岸を有しています。
外海側では、海食地形が発達し、100~200mに達する海食断崖を形成する場所もあります。
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慶良間諸島の地質は、中生代の国頭累帯に属し、結晶片岩類、千枚岩、砂岩などを基盤としています。内海に面する海岸では、サンゴのかけらやホシズナと呼ばれる有孔虫の遺骸などでできた遠浅の白い砂浜が広がります。
渡嘉敷島の写真
渡嘉敷島
慶良間諸島最大の島で、南北に細長く広がり、全体になだらかな丘陵地形となっています。島の最高峰は227.3mの赤間山です。
阿波連岬周辺では、砂岩から成る断崖があり、風衝地特有の植生が発達し、雄大な景観を作り出しています。
座間味島
東西に長く、天然の良港といえる入り江が島の随所に見られます。北海岸の大部分は断崖となっていて、島の南側は穏やかな斜面となっています。
阿嘉島・慶留間島
阿嘉島は、座間味村の中央部に位置する、ややひし形の島です。島の大部分が急峻な斜面になっています。 慶留間島は、ほぼ四角形の島で、島全体が山地地形となっています。

植物

陸域植物
慶良間諸島は亜熱帯海洋性気候帯に位置し、国内でも特異な生態系を有している地域です。
ビロウ林、リュウキュウマツ林などが発達しており、620種以上の自生植物が生育し、樹種は46種と多様性に富んだ森林が特徴です。
冬の季節風の影響が大きく、森林は全体的に樹高が低く、矮小化した風衝地に特有の植生が見られます。
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動物

陸域動物
ケラマジカは九州産のニホンジカと比べて体が小さく、頭や角も小さなシカです。ケラマジカとその生息地(屋嘉比島、慶留間島)は国の天然記念物として指定されています。
また、クビワオオコウモリやリュウキュウヤマガメ、ホントウアカヒゲ、マダラトカゲモドキなどの絶滅が危惧される種をはじめとして多様で希少な生きものたちが生息しています。
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カラスバトなどの希少な鳥類の生息地である屋嘉比島やアジサシ類の集団繁殖地となっている慶伊瀬島(チービシ)などが、沖縄県の鳥獣保護区に指定されています。
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海域動物
慶良間諸島の周辺海域は透明度が高く、高密度にサンゴ礁が発達し、日本有数の美しい海域景観を有しています。平成17年にラムサール条約湿地として登録されています。
慶良間諸島の海域では、テーブル状、枝状、角状、塊状などのさまざまな形状の造礁サンゴが高密度に広がっています。サンゴ礁の総面積は約66.4haで、248種のサンゴが確認されており、日本で確認される造礁サンゴのうち約62%が生息していることになります。
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6月頃にサンゴの産卵が観察され、一部の沖合に流れ出て生き残ったサンゴの幼生は、沖縄本島の西海岸に流れ着き、海底に着生します。そのため、慶良間諸島周辺海域のサンゴは沖縄本島へのサンゴの供給源としても重要です。また、サンゴは、立体的に複雑な構造をしていることから、多くの生きものたちの生息場所として利用されています。
慶良間諸島のサンゴ礁には、スズメダイ類やチョウチョウウオ類、ベラ類などの色彩豊かな魚類が数多く生息しています。
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慶良間諸島の海では、アオウミガメやタイマイなどのウミガメを見ることができます。
夏には砂浜に上陸して産卵します。
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慶良間諸島周辺海域はザトウクジラの繁殖域となっています。毎年12月~4月にかけて、ザトウクジラを頻繁に観察することができます。
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文化

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慶良間諸島には御嶽、貝塚、史跡、重要文化財などが数多くあります。
各集落には拝所があり、旧暦の8月20日ころに行われる海神祭や、浜下りなどの年中行事では漁業繁栄や航海安全が祈願されるなど、海と人々の生活が深くかかわっています。
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区民総出で稲わらで綱をない、それをさらに縒りあわせて大綱を作り、綱引きをして豊作を祈願する「大綱曳き」など、古くからの行事・習わしが残っています。
慶良間諸島は、かつて沖縄本島から中国への唐船貿易の中継地でした。慶留間島の高良家住宅は、清への公用船の船頭職を勤めた人物が19世紀に建築したとされる建物で、国の重要文化財に指定されています。
歴史
慶良間諸島は沖縄戦において米軍が最初に上陸した土地であり、戦跡もあります。戦後米軍のミサイル基地となっていた土地は、沖縄の本土復帰とあわせて返還され、平和利用のシンボルとして国立沖縄青少年交流の家が設立されました。