保健・化学物質対策
「放射線の健康影響に係る研究調査事業」令和5年度新規研究課題公募のお知らせ
令和4年8月23日
環境省大臣官房環境保健部
放射線健康管理担当参事官室
放射線の健康影響に関する研究調査について、令和5年度より新規に実施する研究課題を、以下のとおり公募します。(印刷用)
1.背景および本事業の目的
原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針として、平成24年7月に「福島復興再生基本方針」が閣議決定され、国内外の叡智を結集した放射線の人体への影響等に関する研究調査の重要性が指摘されています。また、同時期に公表された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書や、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会報告書においても、健康影響に関する継続的な調査を行っていく必要がある旨の提言がされています。
このような状況を踏まえ、環境省では、平成24年度より放射線の健康影響に係る研究調査として、線量評価に関する研究、健康リスクに関する研究、健康不安対策の推進に関する研究を実施してきました。放射線の健康影響に係る研究調査事業(以下、本事業という。)では、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の「中間取りまとめ」(平成26年12月。以下、「中間とりまとめ」という。)、「中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」(平成27年2月)、復興庁の「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」(平成29年12月)などの記載内容、並びに昨年度までに実施された研究内容等を踏まえ、帰還住民及び避難中の住民、並びに事故の間接的な影響を受けた福島とその周辺地域の住民に向けた健康管理の推進及び安心につながる対策の充実・強化や、これらの推進に役立ち、住民の生活上参考となる基礎的な情報の収集も、目的とします。
また、東日本大震災及び事故から10年以上が経過したことを踏まえ、本事業で実施される放射線の健康影響に係る研究調査が、福島の復興再生や風評の払拭等に留まらず、その教訓を活かし、我が国の社会全体への還元とともに、我が国における今後の環境保健行政での利用につながる成果をもたらすものも目的に含みます。
2.公募テーマ・内容
本事業は環境省の委託研究であることから、学術的意義が高く、かつ研究成果の社会実装につながる研究や、行政の施策において成果を実証・検証を行いながら、環境保健行政へ反映させる形の研究を公募します。
2.1 公募テーマ
以下の3つのテーマで研究課題を公募します。また、(1)と(2)や(1)と(3)など、テーマをまたぐ研究の応募も可能です。
今般、環境省が「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進していることを踏まえ(http://www.env.go.jp/policy/sdgs/index.html)、研究課題とSDGsとのリンクを応募書類に記載してください。また、要項に記載されている出口戦略の例を参考に、成果の社会実装につながる研究をデザインしてください。
【公募テーマ】
(1)線量推計に資する研究
(2)身体面・心理面の健康に関する研究
(3)事故による放射線不安への対策に資する研究
2.2公募内容
(1)線量推計に資する研究
【出口戦略】
- 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料への反映あるいは充実につながるもの
放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(以下、統一的な基礎資料、という)(http://www.env.go.jp/chemi/rhm/basic_data.html)は、放射線の基礎知識と健康影響に関する科学的な知見や関係省庁の取組みがまとめられた冊子で、行政や教育現場等で活用されています。
- IAEA、ICRP、UNSCEAR等の国際機関・国際組織が発表する報告書への掲載・引用につながるもの
IAEA(国際原子力機関;https://www.iaea.org/)
ICRP(国際放射線防護委員会;https://www.icrp.org/)
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会;https://www.unscear.org/unscear/index.html)
例えば、ある研究班は、「避難地域における7つの各自治体からの100から300の無作為に抽出した行動調査の階層的クラスタ分析を実施することによりこれらの避難シナリオの精度を高めた。」として、UNSCEAR 2020年/2021年報告書に紹介されました。(https://www.unscear.org/unscear/uploads/documents/unscear-reports/UNSCEAR_2020_21_Report_Vol.II_JP.pdf) - 放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターが活用できるもの
特定復興再生拠点を中心として、福島県内で活動する放射線相談員や自治体職員などを支援する放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/shiencenter/)において、自治体の避難指示解除の状況に応じたリスクコミュニケーション等で活用できる研究成果を求めています。
【研究内容】
被ばく線量は、放射線の健康影響を考える上で最も基本となる情報です。今般の事故を踏まえた被ばく線量評価では、外部被ばく線量の算定に、空間線量率と滞在時間に基づいた評価法や、個人線量計を用いた線量評価が行われています。また、内部被ばく線量の算定には、ホールボディ・カウンタなどでの実証とともに、放射性物質の経口または吸入による摂取量に基づく推定が行われています。
福島第一原発事故から10年以上が経過し、種々の線量評価結果が蓄積されています。取得された線量評価に関連する種々のデータを、中長期の健康管理に効果的に活用するため、データ間の関連性も考慮した上で管理することが重要となります。そのため、新たな個人被ばく線量の把握ではなく、今まで得られたデータを用いて線量評価の方法の確立に資するもの、行動履歴情報の適切な取得方法、教訓として残せるもの、中長期の健康管理に資する原子力防災の研究などを募集します。
特に、
- 中長期の健康管理へ帰着するための被ばく線量に関連する種々のデータなどを有機的に管理・活用することに関する研究
- これまでに得られたデータを用いて線量推計を行う研究、またそのメカニズムに関する研究
などについては、その目的が出口戦略と合致しているものを優先的に採択します。
(2)身体面・心理面の健康に関する研究
【出口戦略】
- 統一的な基礎資料への反映あるいは充実につながるもの
統一的な基礎資料(http://www.env.go.jp/chemi/rhm/basic_data.html)は、放射線の基礎知識と健康影響に関する科学的な知見や関係省庁の取組みがまとめられた冊子で、行政や教育現場等で活用されています。
- IAEA、ICRP、UNSCEAR等の国際機関・国際組織が発表する報告書への掲載・引用につながるもの
IAEA(国際原子力機関;https://www.iaea.org/)
ICRP(国際放射線防護委員会;https://www.icrp.org/)
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会;https://www.unscear.org/unscear/index.html)
例えば、ある研究班は、「避難地域における7つの各自治体からの100から300の無作為に抽出した行動調査の階層的クラスタ分析を実施することによりこれらの避難シナリオの精度を高めた。」として、UNSCEAR 2020年/2021年報告書に紹介されました。 - 放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターが活用できるもの
特定復興再生拠点を中心として、福島県内で活動する放射線相談員や自治体職員などを支援する放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/shiencenter/)において、自治体の避難指示解除の状況に応じたリスクコミュニケーション等で活用できる研究成果を求めています。
【研究内容】
事故後10年以上が経過し、様々な研究成果から「福島県民の健康被害で、事故による放射線被ばくに直接帰因すると思われるものは記録されていない。」(FACT SHEET ON THE UNSCEAR 2020/2021)(https://www.unscear.org/unscear/uploads/res/areas-of-work/fukushima_html/UNSCEAR_Brochure_-_Single_Page_-_incl_fonts_JP_v4.pdf)との報告がされております。また、「事故後、避難してきた人々の間で、心血管系および代謝系疾患の発生率の増加が観察されていましたが、これはおそらく付随する社会的および生活様式の変化と関連しており、放射線被ばくに帰因するものではありません。また、地震、津波、東電福島第一原子力発電所の複合事故後、過剰な心理的苦痛が発生しました。」(FACT SHEET ON THE UNSCEAR 2020/2021)と報告されており、事故後の長期的な身体的・心理的・社会的影響による様々な健康*1に対する影響を明らかにするため、福島原発事故後の健康に関する研究(疫学研究を含む)を募集します*2。
福島県における甲状腺検査に関しては、対象者に小児から若年成人まで含んでいます。そこで、同世代に特有の、就学・就労、ライフイベント(結婚・妊娠・出産)に関する悩みや、放射線による健康影響に関するこころの健康に資する研究を募集します。
特に、
- 長期にわたる低線量放射線被ばくと健康に関する研究
- 放射線事故後の身体的・心理的・社会的影響を含む健康に関する研究
- 福島県における甲状腺検査対象者のこころの健康に資する研究(ピアサポートなど)
などについては、その目的が出口戦略と合致しているものを優先的に採択します。
*1: 健康の定義:健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)(https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/)
*2: 仮説が否定された研究結果も、成果と考えられます。
(3)事故による放射線不安への対策に資する研究
【出口戦略】
- 環境省における「ぐぐるプロジェクト」の主旨を踏まえ、活用につながるもの
ぐぐるプロジェクトは、放射線による差別・偏見を無くそうという基本的な考えのもと、そのために知るべき最低限の知識を学ぶというものです(ぐぐるプロジェクトの詳細は参考1参照)。
例えば、令和4年度のキックオフミーティングでは、ある研究班が行った放射線に関するリテラシー・セグメントに関するアンケート調査結果等が提示され(参考4参照)、放射線の正しい情報を提供することが必ずしも不安の低減や解消に繋がるわけではなく、受け手側の属性に応じた情報提供の重要性が示唆されました。
このように、得られた知見がぐぐるプロジェクトで活用につながる研究を求めています。
【参考1:ウェブサイト】https://www.env.go.jp/chemi/rhm/portal/communicate/
【参考2:令和4年度ぐぐるプロジェクトキックオフ!環境省開会挨拶】
https://youtu.be/f-QvkCa1eSc
【参考3:令和4年度ぐぐるプロジェクトキックオフ!第1部島耕作公開レクチャー】
https://youtu.be/5YaSNP_IPqo
【参考4:令和4年度ぐぐるプロジェクトキックオフ!第2部公開講座】
https://youtu.be/FJAXWftrSa8
【「ぐぐるプロジェクト」問い合わせ先】ml-guguruproject@env.go.jp - 統一的な基礎資料への反映あるいは充実につながるもの
統一的な基礎資料(http://www.env.go.jp/chemi/rhm/basic_data.html)は、放射線の基礎知識と健康影響に関する科学的な知見や関係省庁の取組みがまとめられた冊子で、行政や教育現場等で活用されています。
- IAEA、ICRP、UNSCEAR等の国際機関・国際組織が発表する報告書への掲載・引用につながるもの
IAEA(国際原子力機関;https://www.iaea.org/)
ICRP(国際放射線防護委員会;https://www.icrp.org/)
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会;https://www.unscear.org/unscear/index.html)
例えば、ある研究班は、「避難地域における7つの各自治体からの100から300の無作為に抽出した行動調査の階層的クラスタ分析を実施することによりこれらの避難シナリオの精度を高めた。」として、UNSCEAR 2020年/2021年報告書に紹介されました。 - 放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターが活用できるもの
特定復興再生拠点を中心として、福島県内で活動する放射線相談員や自治体職員などを支援する放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/shiencenter/)において、自治体の避難指示解除の状況に応じたリスクコミュニケーション等で活用できる研究成果を求めています。
【研究内容】
UNSCEARは、「放射線被ばくが直接の原因となる健康影響(例えば発がん)が将来的に見られる可能性は低い」、「放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにない」(UNSCEARプレスリリース「東電福島事故後の10年:放射線関連のがん発生率上昇はみられないと予測される」https://www.unscear.org/docs/publications/2020/PR_Japanese_PDF.pdf)との報告がされています。しかしながら、事故から10年以上が経過しても、放射線の健康影響に関する差別・偏見や不安に悩まされている人々は存在します。そこで本テーマでは、差別・偏見や不安の軽減に寄与する情報発信に関する研究を募集します。
また、差別・偏見を助長する恐れのある情報が発信された際の広報・情報戦略に関する研究を募集します。
特に、
【ぐぐるプロジェクトの主旨を踏まえ、活用につながる研究】
- 差別・偏見が生じる機序等を踏まえた情報発信に関する研究
- 人から人へ情報が伝わる仕組みや、それを活用した情報発信に資する研究
- 差別・偏見に声を上げられず不安を抱える人々に対する情報発信の方策に関する研究
- 行動経済学や心理学、行動科学等の視点を含めた、放射線に関する情報と人々の行動との関係性を明らかにする知見の充実に資する研究
【差別・偏見を助長する恐れのある情報に対する広報・情報戦略に関する研究】
- 緊急時のコミュニケーション(=クライシスコミュニケーション)における、福島の教訓を踏まえた現場での必要な情報提供の在り方や現場の混乱を回避するための研究
- 差別・偏見を助長する恐れのある情報が発生した際の対応を含めた戦略的研究
【福島県内における地方自治体の復興状況に応じたリスクコミュニケーションに関する研究】
- 特定復興再生拠点などの復興状況に対応したリスクコミュニケーションに資する研究
- これまでのリスクコミュニケーションを踏まえ、震災から10年以上が経過したこれからのリスクコミュニケーションの手法に関する研究
などについては、その目的が出口戦略と合致しているものを優先的に採択します。
【用語解説】 〇リスクコミュニケーション:
対象のもつリスクに関連する情報を、リスクに関係する人々(ステークホールダー)に対して可能な限り開示し、関係者の間で双方向的なコミュニケーションが実施されることにより情報が共有され、互いに共考することによって、解決に導く道筋を探す思想と技術、及びその過程のこと。(木下冨雄著『リスク・コミュニケーションの思想と技術』より抜粋し、一部を編集)
3.公募枠・応募資格(本体研究)
3.1 公募枠
本事業における令和5年度の新規公募枠(研究費等の上限額)は、以下の表に示すとおりです。応募者は、以下を熟読のうえ適切な公募枠へ応募してください。
本事業で公募する研究費は、「補助金」ではなく「委託費」です。「委託費」とは、本来、国が自ら行うべき事務・事業等を効率的な執行等に鑑み、他の機関等に委託して行わせる場合にその反対給付として支出する経費をいいます。委託契約は委託費によって行われる事務・事業の給付を担保することを目的として締結するものです。このため、調査、研究等の委託費は委託契約に基づく対価的性格を有する経費であり、助成的性格をもつ補助金等とは明らかに異なるものといえます。
(環境省における委託業務経費の算出等に関する基本方針(令和2年12月)より抜粋し一部を編集。https://www.env.go.jp/kanbo/chotatsu/kihon_houshin_201218.pdf)
なお、研究課題応募の際には、研究の規模に応じた適正な公募枠で応募してください(例:年間上限1,000万円枠、500万円枠、250万円枠)。また、採択時の研究費等の年間上限額は、原則として3年間同じとなります(研究実施途中における上限額の引き上げはできません)。
公募枠名 |
研究費等の 年間上限額(税込)(※1) |
年齢制限 | 応募者 |
採択予定数 (※2)(※3) |
本体研究A | 1,000万円 | なし | 本人 | 3件以内 |
本体研究B | 500万円 | なし | 本人 | 3件以内 |
本体研究C | 250万円 |
常勤ポストを有する 満39歳以下(※4) |
本人 | 3件以内 |
(※1)「研究費等の年間上限額」とは、一般管理費・消費税などを含めた総額を指します。
(※2)採択予定数は、あくまで目安です。また、テーマをまたぐ研究も採択予定数に含まれ、令和5年度の概算要求額、及び応募課題数などを基に調整予定です。
(※3)採択予定数は、2.1で示した公募テーマ別の数ではなく、各公募枠での数です。
(※4)令和5年4月1日時点での年齢です。
【留意点】
- 本体研究A・Bは、3.2の条件(1)~(3)を満たせば、どなたでも応募可能です。
- 本体研究Cは、3.2の全ての条件を満たした方が応募可能です。(4)を満たしている場合であっても、同一人物が応募する本体研究Cが採択される回数は、最大で2回までとします(年齢制限を満たしていれば、応募は何度でも可)。
- 研究課題の規模に応じた適正な公募枠に応募してください。
過年度の本体研究の倍率は、以下のとおりです。
令和4年度:約2.4倍
令和3年度:約2.6倍
令和2年度:約4.4倍
平成31年度:約2.7倍
3.2 応募資格
令和5年4月1日の時点で、以下に示す(1)~(3)の条件を全て満たす者を「本事業への応募資格を有する者」とします。本体研究Cへの応募者は、(1)~(3)に加えて(4)を満たす必要があります。
(1) 研究機関(注)において、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含むものとして、所属する者であること
(2)当該研究機関の研究活動に実際に従事していること
(3)大学院生等の学生でないこと
(4)年齢が満39歳以下の者
(注) 研究機関とは、以下の(ア)~(オ)を指します。
(ア)国の試験研究機関
(イ)地方公共団体の附属試験研究機関
(ウ)学校教育法に基づく大学及び同附属試験研究機関など
(エ)研究を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
(オ)研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第二条に規定する独立行政法人及び国立研究開発法人など
4.本体研究の充実に寄与する若手研究者の育成(若手研究)
本事業では、3.1に示した研究課題の公募と併せて、「本体研究の充実に寄与する若手研究者の育成」を、以下のとおり募集します。応募を検討する主任研究者等は、以下に示す目的等を十分理解した上で応募してください。
【目的】
「放射線の健康影響」に関連し、研究者の数が少ない放射線とその周辺領域を専門とする研究分野において、将来のリーダーを育むことを本制度の目的とする。
【募集内容】
本体研究Aあるいは本体研究Bへ研究課題を応募する研究者を対象として、「本体研究の充実に寄与する若手研究者の育成」(以下、「若手研究」という。)の募集を行います。なお、若手研究が採択されるためには、本体研究Aあるいは本体研究Bの採択が条件となります。若手研究単独での応募はできません。
若手研究が採択された研究課題では、主任研究者が実施する研究課題の当該年度の研究経費とは別に、若手研究者の参画に係る費用の追加交付が認められます。
追加交付は、上限額を900万円(そのうち、俸給表を基に決定する人件費の年間上限を600万円)とします。ただし、若手研究者が実施する研究内容に応じた、適正な研究費で応募してください。
公募枠名 |
研究費等の 年間上限額(税込) |
若手研究者の条件 | 応募者 |
採択予定数 (※2) |
若手研究 | 900万円 |
以下の (※1).(a)~(b)をすべて満たすもの |
主任研究者 |
3件以内 |
(※1):「若手研究者」とは、令和5年4月1日の時点において、以下の(a)~(e)を全て満たす者とします。
(a)博士の学位を有する者、またはこれと同等以上の研究能力があると認められる者
(b)大学院生等の学生でないこと
(c)年齢が満39歳以下の者
(d)若手研究の実施期間中に、他の常勤的な職に従事しない者
(e)若手研究の実施期間中に、原則として主任研究者と同一の研究機関・大学等に所属し、かつ主たる研究場所とする者
(※2):採択予定数は、あくまで目安です。令和5年度の概算要求額、及び応募課題数などを基に調整予定です。
【留意事項】
若手研究へ応募を検討する主任研究者は、以下の点を踏まえて応募してください。
(1)若手研究の採択によって本体研究がどう充実するかを、主任研究者の研究計画書に記載すること
(2)若手研究者の研究計画書は若手研究者本人が記載すること
(3)若手研究が採択されなくても本体研究Aあるいは本体研究Bが実施可能な体制を構築すること
(4)若手研究者のキャリアパス(案)を、主任研究者が考案すること
【応募制限・採択制限】
(1)若手研究への応募は、応募する本体研究につき1件のみとします。
(2)若手研究者が年齢要件を満たしている場合であっても、主任研究者等が応募する同一人物を候補とする若手研究が採択される回数は、最大2回までとします。
【若手研究者の活用として望ましいモデル】
(1)雇用された若手研究者が、独立した一人の研究者として、「本体研究」に貢献する研究を自分自身で計画した上で主体的に実践し、主任研究者のアドバイスを得ながら研究を進める。
(2)学会での口頭発表や論文投稿など、積極的な対外発表を行う。また、ワークショップ等に参加し人的ネットワークを広げる。
(3)本事業で雇用された後、任期の有無を問わず大学等の常勤ポストに着任する。
【その他】
若手研究では、「競争的研究費においてプロジェクトの実施のために雇用される、若手研究者の自発的な研究活動等に関する実施方針」(令和2年12月18日改正)を適用することが可能です。
(https://www8.cao.go.jp/cstp/compefund/jisshishishin.pdf)
上記のURLで言う「競争的研究費」を「本事業」、「プロジェクト」を「本体研究」と読み替えてください。
5.研究期間
採択された研究の実施期間は、原則として最長で3年間とします(2年間の研究計画でも応募可能です)。
当該年度の研究成果については本事業の評価委員会にて、2年目以降の研究計画については本事業の推進委員会にて、それぞれの委員会に属する有識者が、毎年評価を行います。評価結果によっては、次年度の継続を認めないことがあります(詳細については、9.研究の評価と管理をご確認ください)。また、諸般の事情により、3年未満で本事業を終了する場合もあります。
(※)若手研究に応募する場合
若手研究の実施期間は、採択された研究課題(本体研究AあるいはB)に準じます。採択された研究課題が3年間継続される場合、原則3年間となります。
なお、本公募は令和5年度予算の成立を前提に行うものです。したがって、採択された研究課題についても、予算の都合によりやむを得ない事情が生じた場合には、研究計画の見直しまたは中止を求めることがありますので、予めご承知おき下さい。
6.応募方法
応募の際に、主任研究者は、「10.添付書類」に示す様式をダウンロードした上で、研究計画書作成要領に従って必要事項を入力したのち、メールに添付して以下のアドレスへ送付してください(詳細については、「10.添付書類」をご確認ください)。
【送付アドレス】
TO:日本エヌ・ユー・エス株式会社(令和4年度 本事業委託先)
rad-kenkyu-chosa@janus.co.jp
CC:環境省大臣官房環境保健部放射線健康管理担当参事官室
radiation_research_23@env.go.jp
応募〆切後、申請を受理した旨を、日本エヌ・ユー・エス株式会社からメールにて返信いたします。応募後5日が経過しても受理メールが届かない場合は、お手数ですが再度ご連絡ください。
7.応募期間
令和4年8月23日(火) ~ 9月30日(金) 正午まで
8.研究の採択(若手研究を含む)
研究の採択につきましては、送付された研究計画書に基づき、今後開催する本事業の推進委員会において、研究課題の審査・評価方針に従い、以下の5項目について審査され、採否が決定されます。
① 研究内容の倫理性
② 環境保健行政課題との関連性
③ 研究の学術的な側面
④ 研究計画の妥当性・効率性
⑤ 研究遂行体制・能力
若手研究の審査においては、研究計画書の記載に加え、主任研究者の研究計画書において、若手研究者の役割が明確かつ妥当なものか、また、4.に記載してある【留意事項】がきちんと踏まえられているか等を審査します。
【留意事項】
(1)一部の研究課題については、審査の際にヒアリングを行う可能性があります。ヒアリングは、対面あるいはWeb形式で実施する予定です。
(2)採否については環境省より御連絡いたします。
(3)採択時の評価によっては、「Feasible Study(条件付き採択)」となる場合があります。当該課題については、採択通知においてはじめの1年の間に改善すべき点(条件)が示されます。1年目の成果発表会において、採択時に指摘された条件に対する対応状況や今後の研究計画などについて、本事業の評価委員から評価を受けます。その評価に基づき、評価委員会において2年目以降の継続可否が判断されます。
(4)採択された場合でも、各年度の研究費は申請額と異なる(減額となる)ことがあります。
(5)採択数が当初の予定数に届かなかった場合、二次募集を実施する可能性があります。実施の際には、別途環境省ホームページ上にお知らせします。二次募集が実施される場合、一次募集(本公募)で採択されなかった応募者も、再応募可能です(二次募集実施の時期については、11月中旬~下旬頃を予定しています)。
9.研究の評価と管理
9.1 キックオフミーティング
新規に採択された主任研究者と若手研究者には、研究開始前年度の3月に開催予定のキックオフミーティングにおいて、研究構想/研究計画を発表していただきます(旅費等は、主催側の負担となります)。
9.2 成果発表
全ての研究課題について、年に1回開催される成果発表会にて、年度当初の計画と比較した研究の進捗状況、外部発表、研究方法論の妥当性等を含めた、研究成果を報告していただきます。若手研究と共に採択された研究課題については、当該計画を実施する若手研究者にも、成果発表会にて研究成果を報告していただきます。成果発表会における各主任研究者からの報告ののち、本事業の評価委員会による評価を行い、次年度の研究計画の見直しや変更、当該年度での打切り等を判断します。
9.3 研究継続の可否
研究継続の可否は、9.2に記載した成果発表会での発表を踏まえ、評価委員会によって判断されます。当該年度の成果や次年度以降の研究計画等が芳しくない研究課題に対して、「打切りが妥当」と判断される場合があります。
また、若手研究の成果は、本体研究とは別に評価されます。若手研究の成果が芳しくない場合には、主任研究者の評価が落とされる可能性があります。若手研究を伴う本体研究が打切りとなった場合、若手研究も自動的に打切りとなります。
(※)若手研究への応募を検討する主任研究者は、若手研究の目的等を十分理解した上で応募してください。
9.4 事後評価と追跡アンケート
研究終了の翌年度には、研究期間を通じて得られた研究成果について、評価委員会による事後評価が実施されます。
研究終了の翌年度からおよそ3年程度、研究期間終了後における、本事業で得られた成果の活用や社会への還元などについて、追跡アンケートを予定しています。
9.5 研究進捗管理
本事業における研究が、問題なく円滑に進むことを目的として、本事業内にプログラムオフィサー(PO)を配置しています。採択された研究課題においては、研究の推進や環境省との情報共有を目的として、研究班会議を開催してください。POは、研究班会議への参加や研究実施場所での現地ヒアリングなどを行うことにより、研究の進捗や実施状況を確認し、必要に応じ委員会からの意見の伝達を行うなど、適切な研究管理を実施します。課題が採択された主任研究者は、POとの綿密なコミュニケーションと積極的な意見交換をお願いします。
10.添付書類
以下に掲載する資料をダウンロードして、ご使用ください。
- 研究計画書作成要領
- 【様式1】令和5年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【主任研究者・分担研究者用】
- 【様式2】令和5年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【若手研究者用】
- 【様式3】研究経費内訳シート【主任研究者】【分担研究者】【若手研究者】
- 研究課題についての審査・評価方針
- (参考)進行中の研究課題(令和4年8月現在)
- (参考)放射線の健康影響に係る研究調査事業<パンフレット>
【提出書類】(詳細については、研究計画書作成要領をご確認ください)
- 主任研究者(本体研究A, B, C):【様式1】と【様式3】
- 分担研究者がいる場合、分担研究者ごとに【様式1】の分担研究者用項目と【様式3】
- 若手研究者がいる場合、主任研究者は【様式1】の若手用項目、若手研究者は【様式2】と【様式3】
【留意事項】
- 【様式1】~【様式3】は、作成したファイルをPDF化せず、WordあるいはExcelにてご提出ください。
- 【様式1】~【様式3】は、それぞれのファイル名の先頭に、主任研究者のフルネームを記載してください(例:【環境太郎】【様式1】...)
- 【様式3】は、一緒に送付する【様式1】~【様式2】のどれと対応するのか一目で分かるよう、【様式】の後ろに当該研究者の氏名や通番、アルファベットを振るなどしてください。
11.応募における留意点
(1)3.2 応募資格に記載された条件を満たしていない、あるいは提出した研究計画書に不備などがある場合は、審査の対象とならないことがあります。
(2)研究計画書だけでは十分な技術的裏付けが得られない場合、技術的な根拠となる書類などを追加で提出していただく場合があります。
(3) 主任研究者または分担研究者として同時に複数の応募をすることはできません。既に主任研究者として継続研究課題を有する場合、継続研究課題の期間中は主任研究者として新規に応募することはできません。
(4)推進委員会及び評価委員会の委員は、委員として知り得た情報を、委員の職にある期間だけでなく、その職を退いた後についても、正当な理由なく第三者に漏洩または使用しないこととしています。また、推進委員会及び評価委員会の委員のうち審査の対象となる課題の主任研究者等と利害関係がある委員は、当該研究課題の審査を棄権します。
(5)推進委員会及び評価委員会の委員、環境省、あるいは本事業の委託先関係者などへ採択の陳情を行うことは厳に慎んでください。なお、仮に応募課題の関係者から陳情等があった場合には、陳情者が当該研究課題に参画予定の研究者本人か否かを問わず、応募された研究課題を審査対象から除外します。また、採択に係る通知の発出前に、関係者へ採否の感触を照会するなどの行為についても厳に慎んでください。
12.FAQ
(1)
【質問】環境保健行政に資するとは、どういうことか。
【回答】研究の成果(エンドポイント)として、個々人が暮らす生活環境における健康不安の払拭や、健康の増進等に役立つことを意味します。教育をエンドポイントとすることは、環境保健行政に資するという認識ではありません。
(2)
【質問】送付した書類に記載してある個人情報についてはどう扱うか。
【回答】「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」及び「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律施行令」に基づき、適切に取り扱います。
(3)
【質問】研究の採択/不採択の通知タイミングはいつか。
【回答】10月下旬~12月上旬を予定しています。
(4)
【質問】若手研究への応募を検討している。応募時点で採用予定者が現在D3であり、令和5年4月1日時点では博士を取得予定であるが、それで問題ないか。
【回答】問題ありません。
(5)
【質問】採用された若手研究者が、研究の途中で正規のポストに着任することになった。この場合、若手研究はどうなるか。
【回答】状況によって異なるため、本事業委託先へ連絡してください。
<参考>
- 過去に本事業にて採択された研究の報告書
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/reports.html
- 「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間とりまとめ
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/tyuukanntorimatomeseigohyouhannei.pdf
- 中間とりまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/torimatome1412/post_1.html
- 風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略
https://www.fukko-pr.reconstruction.go.jp/2017/senryaku/
- 研究開始までの大まかな流れ
日程 |
予定される主なスケジュール |
8/23 ~ 9/30 |
公募期間
|
10月中旬~ 11月上旬 |
推進委員会における審査
|
~12月上旬
|
審査結果通知
(二次募集の開始) |
1月頃 |
応募研究計画書の修正及び質問事項への回答の提出
|
2月頃 |
R5年度研究費の通知(申請額と異なることがある) |
3月 |
キックオフミーティングの開催 |
4月~ |
委託事業者との契約手続き、研究の開始
|
【本公募に関する問い合わせ先】
担当:小川、秋田、網代
- [住所]
- 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
- [電話]
- 03-3581-3351
- [E-Mail]
- radiation_research_23@env.go.jp