環境大臣賞 企業部門

受賞者紹介

第6回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門

食品ロスを削減する社会貢献型
フードシェアリングプラットフォーム
「KURADASHI.jp」

株式会社クラダシ 住友商事株式会社

第6回グッドライフアワード 環境大臣賞  企業賞 田中産業株式会社 メイン写真

受賞者紹介

第6回グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門

食品ロスを削減する社会貢献型
フードシェアリングプラットフォーム
「KURADASHI.jp」

株式会社クラダシ

取組の主旨に賛同するメーカーから協賛価格で提供された商品を、社会貢献意識の高い消費者がお手頃価格で購入できるサービスです。何もしなければ廃棄されてしまう商品を消費者のニーズとマッチングさせることで食品ロスの発生や、無駄を減らす新しい仕組みに、共感の輪が広がっています。

※受賞時はグラウクス株式会社でしたが、2019年6月13日に「株式会社クラダシ」に社名を変更しました。

どんな活動?

買い物を楽しむだけで社会貢献もできるプラットフォーム

ウェブサイトから誰もが簡単に割安で購入できます。

賞味期限切れや規格外などの理由で廃棄される食品の量は膨大で、食品ロス(フードロス)問題は日本はもちろん世界の深刻な課題となっています。社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム「KURADASHI.jp」は、食品ロスを減らすための新しい方法として、2015年2月にスタートしました。

何もしなければ廃棄されてしまう商品を、取組の主旨に賛同するメーカーが協賛価格で提供。消費者はお手頃価格で購入することができます。さらに、「KURADASHI.jp」に紹介されている商品には、環境保護、動物保護、災害対策などさまざまな社会課題を解決する活動への支援金額(商品価格の3~5%程度)が設定されており、利用者はショッピングを楽しむだけで社会貢献ができるのです。

もともとは食品ロス削減を目指して始まった取組ですが、現在、商品を提供する協賛企業は約580社にまで拡大。日用品や雑貨、化粧品や美容アイテムなどにまで掲載商品の幅が広がっています。食品だけにとどまらず、さまざまなジャンルの廃棄物を削減し「もったいない」を新しい価値としてシェアする取組へと発展しつつあります。掲載商品は随時入れ替わっていきますが、常時数百点の商品がラインアップされており、ネットショップなのでいつでも自分の都合がいい時にショッピングを楽しみながら社会貢献もできてしまうということです。

また、地域の特産品である農水産品の規格外品を販売し、支援メニューのひとつに「KURADASHI地方創生基金」を創設するなど、社会貢献の範囲を拡大。買い物をするだけで社会貢献ができる「方法」の付加価値を高めています。

支援先もウェブサイトで紹介されています。

各商品詳細ページにも明示された支援先団体は、2019年6月現在で15団体。原則として商品毎に支援先が設定されていますが、商品によっては注文ページで自分が共感できる支援先を選択することもできます。ショッピングを重ねるほどに、支援金額は「キズナポイント」として累積されて、会員ページで自分の社会貢献度を確認できる「見える化」も、「KURADASHI.jp」の特長になっています。

活動のきっかけは?

大量の食料廃棄を目にして発案。独立して起業へ

「KURADASHI.jp」を運営する株式会社クラダシ(2019年6月にグラウスク株式会社から社名変更)は、代表である関藤竜也氏が設立したベンチャー企業です。関藤氏が「社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム」というビジネスモデルを発案するきっかけになったのは、2000年前後、前職の商社時代に中国へ派遣されていた時のことでした。何の問題もなく食べられる食品が、「規格に合わない」という理由だけで、コンテナ単位で大量に廃棄されるのを目の当たりにしたのです。

株式会社クラダシの関藤竜也社長。

当時、まだ食品ロス問題はそれほど大きな社会問題という認識は広がっていませんでした。でも「何とかしたい」と考え続け、急速に発展してきたEC(Eコマース=ネットショッピング)の技術を活用して、企業にとっては廃棄コスト削減につながり、消費者は手頃な価格で商品が買える、そして社会貢献活動の支援ができる仕組みを発案しました。

関藤氏は食品ロス削減に取組む事業を社内の新規事業として提案したものの、商品のディスカウントや企業のイメージダウンにもなりかねない点を懸念して「商社が扱うべきでない」と却下され、独立して起業することを決意したのです。

2014年7月に会社を設立。「協賛してくれるメーカー(企業)が100社集まったら事業をスタートさせる」ことを目標に、システム構築の作業とともに、商品を提供してくれる企業へ「食品ロスという課題に対して民意を味方につける新しい方法」として「KURADASHI.jp」の説明に駆け回りました。社会貢献への意識が次第に高まる気運の後押しもあり、目標の100社の協力を得ることができ、「KURADASHI.jp」がローンチしたのは2015年2月、国連がSDGsを採択する7か月前のことでした。

成功のポイントは?

メディアで紹介される機会を得て会員数が増大

協賛するメーカーにとっては、食品ロスや無駄を減らし、廃棄コストを節約できる。消費者は安く買い物ができ、あまり負担を感じることなく寄付できる。そして、支援先の団体を通じて社会課題の解決に結びついていく。「KURADASHI.jp」の仕組みと意義は、関わる人や企業、団体のすべてにメリットがあり、理解を広げることができたのが、この取組が大きく広がりつつある力になっています。

協賛企業は約580社に広がっています。

誰もが気軽に参加できる社会貢献であることから、メディアにも好意的に取り上げられてきました。テレビの人気番組で紹介されると、ウェブサイトにアクセスが集中して「サーバーがダウンしてしまったこともある」ほどの大きな反響がありました。買い物をするには会員登録が必要ですが、サービス開始直後から会員数は順調に増え、現在は約7万5000人以上が会員登録しています。

社会的に「良いこと」をしようとしても、とくに個人にとっては日々の暮らしのなかで、実際に行動を起こして続けていくのは大変です。ひとつの買い物で寄付できる金額はわずかでも、繫がりが広がっていくことで大きな力になっていきます。「KURADASHI.jp」では支援レポートも公開。2019年6月時点で、累計の支援金額は3000万円以上になっています。

支援内容も詳しくレポート!

活動に関わる人たちの「なんとかしたい」という思いが結びつき、新しいアイデアを生み出していることも、「KURADASHI.jp」の魅力を広げています。農水産品で、食べれば美味しいのに規格外で廃棄されてしまう商品を扱い始めたのをきっかけに、人手不足や高齢化など産地の課題に気づき着目。「KURADASHI地方創生基金」を創設して地域課題解決のための取組も始まりました。

青森県南部町、新潟県の佐渡島、熊本県荒尾市、玉名市、長洲町、鹿児島県の種子島など、全国各地の自治体や特産品の生産者と繫がって、旬の産品などを紹介するなかで、さらに新しい人気商品が誕生しているのです。

レポート!

種子島でサトウキビの収穫をサポート

派遣された学生がサトウキビの収穫を手伝います。

2019年2月、「KURADASHI地域創生基金」を活用して実施される最初の活動ということで、種子島でのサトウキビ収穫支援の様子を取材に伺いました。

なだらかな地形が特徴の島には、サトウキビや特産の安納芋、タンカンやポンカンなどの果樹を栽培する畑が広がっています。種子島はサトウキビ生産の北限といわれ、大きな製糖工場もあるのですが、生産農家は人手不足や高齢化という深刻な課題を抱えています。そこで、「KURADASHI.jp」では「KURADASHI基金地域創生」による活動の第一弾として、首都圏の大学生を3名を一週間ずつ、全部で5週間にわたって15名を派遣。サトウキビ収穫を手伝うことにしたのです。学生は現地までの旅費交通費、宿泊費、総合生活保険(傷害補償)への加入とフルサポートされます。

南種子町の名越修町長(前)から感謝状が贈られました。

派遣するのは、「KURADASHI.jp」を運営する株式会社クラダシのインターンシップに入った学生とその友人です。地元の農業法人が用意した宿舎で寝泊まりしつつ、サトウキビの収穫や出荷作業を手伝うのはもちろん、種子島の特産品の生産者を訪ねて見聞を広めるなど、就職活動中の学生にとって有意義な体験を積むことができます。人手不足による未収穫の食品ロスを削減する。これが社会貢献型インターンシップ「KURADASHIチャレンジ!(通称:クラチャレ!)」と位置づけられています。

種子島と「KURADASHI.jp」の関係は、安納芋という特産品を扱ったことがきっかけでした。焼き芋にすると格別に甘くて人気の安納芋ですが、小さなものは規格外となり出荷されていませんでした。でも、小さくても味は同じ。むしろ、規格外で処分されていただけに、とびきり安くおいしさを楽しむことができるのです。昨年、「KURADASHI.jp」で初めて紹介した規格外の安納芋は、掲載からわずか24時間で用意した1トンがあっという間に完売してしまう人気商品になったそうです。

ロコファームの倉庫に積まれた規格外の安納芋。

とはいえ、規格外の産品を商品として届けるには、集荷や選別、発送などの作業に今までとは異なった「仕組み」が必要になります。種子島では株式会社ロコファームの松田忠志社長が関藤氏と意気投合。また、現地の生産者や南種子町など自治体の理解と協力を得て、繫がりが広がっていきました。

今回の取材中にも、派遣された学生のみなさんとともに出荷作業の見学に訪れたタンカン農家で「規格外」があることを聞いた関藤氏が、来シーズンの商品化の可能性を探りつつ、生産者の方と打ち合わせを始めたのが印象的でした。関藤氏にとって、こうした「現地」はビジネスの舞台です。でも、ロコファームの松田氏や生産者のみなさんと笑顔で気さくに語り合う様子には、「なんかとしたい」の解決に挑戦する気持ちを共有する関係ならではの、誇りや豊かさを垣間見ることができました。

タンカンの選別作業を見学。

「KURADASHI.jp」が結びつける繫がりは、食品ロス削減という課題解決に貢献するだけでなく、さまざまな「現地」に、新しい活力を生み出す力があることを実感できる取材となりました。

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