温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズによる地球観測
温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズとは
GOSATシリーズとは、気候変動に関する科学の発展への貢献と気候変動政策への貢献をミッション目的とした衛星シリーズ。現在運用中のGOSAT(2009年打上)およびGOSAT-2(2018年打上)に加え、現在開発中のGOSAT-GW(2025年度前半打上予定)で構成。
温室効果ガス観測技術衛星(Greenhouse gases Observing SATellite : GOSAT)
温室効果ガス観測技術衛星ミッションは、宇宙基本計画に則り、地球規模課題の解決に安全・安心で豊かな社会の実現のため、環境省とNIES、JAXAが共同で実施しています。
GOSAT
・全球にわたる二酸化炭素やメタンの分布や、吸収・排出量、季節変動や年々変動について、GOSATが観測したデータを分析することにより、明らかにしてきました。
・これらの情報は、気候変動科学への貢献の他、気候変動政策への貢献に関わる情報として利用されています。
・令和元年に京都で開催されたIPCC第49回総会で承認された「IPCC温室効果ガス排出・吸収量算定ガイドライン(2006) の2019年改良」では、GOSATの活用事例が多く紹介されるとともに、GOSAT-2への期待が示されています。
・令和3年8月に公表された「IPCC第6次評価報告書(AR6)の第1作業部会(WG1)-自然科学的根拠」では、全大気での温室効果ガスの濃度上昇、増加率変動を示す客観的な根拠の一つとして、GOSATによる二酸化炭素やメタンの全大気平均月毎濃度データが掲載されました。
・GOSATシリーズがスペースデブリとして滞留することがないようにするため、令和2年3月に省内に検討チームを立ち上げ、打ち上げから10年以上経過したGOSAT1号機のスペースデブリ化の防止対策について検討を行っています。令和2年10月に中間とりまとめを行いました。今後関係者と協議をしていきながら、さらに検討を進めていきます。
In March 2020, the Ministry of the Environment of Japan started to discuss how to manage the GOSAT series in order to prevent them from becoming floating debris in space once their operational lives have ended, in particular the GOSAT satellite, which was launched 10 years ago. We made an interim report in October 2020.
GOSAT-2
・GOSAT-2は、GOSATより二酸化炭素とメタンの濃度観測精度を向上するため、大都市など大規模排出源を集中して観測する機能の強化のほか、雲のない地域を自動的に探して観測する機能を新たに追加しています。
・更に人間活動によって排出された二酸化炭素を特定する能力を向上するため、一酸化炭素の同時観測を可能にしました。
・GOSAT-2は、パリ協定に基づく各国の気候変動対策の実施、特に2023年の第1回グローバル・ストックテイクへの貢献を目指しています。
GOSAT-GW
・GOSAT-GWは、1,2号機のミッションを発展的に継承するため、以下のGHG観測ミッションを目指します。
(1)地球全大気の二酸化炭素およびメタン濃度の継続モニタリング
(2)パリ協定に基づく各国の温室効果ガスインベントリ報告の透明性の確保
(3)大規模排出源の監視をすることにより、気候変動予測の精緻化
GOSATによる全球温室効果ガス観測の成果
GOSATによる観測の意義とその特徴
・世界気象機関(WMO)を含む世界のいくつかの気象機関では、これまでも地表面の各地の観測地点や、それらのデータを用いて算出した地上での全球平均濃度を発表してきました。しかし、二酸化炭素は高度によって濃度差があるために、地上観測点だけの濃度データでは地球大気の全体濃度を表しません。
・これに対してGOSATは二酸化炭素の地表面濃度ではなく、地表面から大気上端までの大気中の二酸化炭素の総量を観測できます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書において予測されている将来の二酸化炭素濃度は「全大気」の平均濃度です。
・今後の温室効果ガスの増加による地球温暖化のリスクを算出・予測する上では、地球全体の温室効果ガスの平均濃度の算出が重要であり、上空の大気まで含めた「全大気」の平均像を把握することが不可欠です。
観測成果 ※外部ページにリンクしています。
関連資料・ページ
紹介資料・特別報告書
ポスター
パンフレット
動画
- GOSATシリーズ 気候変動に関する科学と政策立案の発展に貢献する衛星 (2023年4月28日更新) 日本語版 英語版
- 宇宙と地球からみる気候変動 「いぶき」シリーズの挑戦 (2018年8月31日)
- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」-地球を見守る宇宙の"眼"- (2017年3月31日)
GOSATプロジェクト報道発表
環境省による報道発表(2020年以降)
プロジェクト共同実施機関含む報道発表一覧はこちら- 地球全体の二酸化炭素濃度の年増加量が過去14年間で最大に ~いぶき(GOSAT)による2024年の観測速報
- (令和7年2月6日)
- 環境省、JAXA、国立環境研究所、NASA間の温室効果ガスに関する衛星データ相互比較等の協力継続の決定
- (令和6年12月12日)
- GOSATを活用して推計したCO2排出量とモンゴル政府報告値との一致を確認しました
- (令和5年11月17日)
- メタンの全大気平均濃度の2021年の年増加量が2011年以降で最大になりました~温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(「いぶき」)の観測データより~
- (令和4年3月10日)
- 今後の環境省におけるスペースデブリ問題に関する取組について(中間とりまとめ)
- (令和2年10月15日)
プロジェクト共同実施機関HPへのリンク
国立研究開発法人 国立環境研究所
GOSATプロジェクト http://www.gosat.nies.go.jp/
GOSAT-2プロジェクト http://www.gosat-2.nies.go.jp/
GOSAT-GWプロジェクト https://gosat-gw.nies.go.jp/
>>>GOSATシリーズのデータを使用されたい方はこちらをご覧ください(ユーザ登録が必要です)