地球環境・国際環境協力
温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズによる地球観測
温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズとは
GOSATシリーズとは、気候変動に関する科学の発展への貢献と気候変動政策への貢献をミッション目的とした衛星シリーズ。現在運用中のGOSAT(2009年打上)およびGOSAT-2(2018年打上)に加え、現在開発中のGOSAT-GW(2024年度打上予定)で構成。
温室効果ガス観測技術衛星(Greenhouse gases Observing SATellite : GOSAT)
温室効果ガス観測技術衛星ミッションは、宇宙基本計画に則り、地球規模課題の解決に安全・安心で豊かな社会の実現のため、環境省とNIES、JAXAが共同で実施しています。
GOSAT
・GOSAT(愛称:いぶき)は、主要な温室効果ガスである二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測することを専門とした、世界初の人工衛星です。平成21年1月23日の打ち上げ以来、14年経過した現在も観測を続けています。
・全球にわたる二酸化炭素やメタンの分布や、吸収・排出量、季節変動や年々変動について、GOSATが観測したデータを分析することにより、明らかにしてきました。
・これらの情報は、気候変動科学への貢献の他、気候変動政策への貢献に関わる情報として利用されています。
・令和元年に京都で開催されたIPCC第49回総会で承認された「IPCC温室効果ガス排出・吸収量算定ガイドライン(2006) の2019年改良」では、GOSATの活用事例が多く紹介されるとともに、GOSAT-2への期待が示されています。
・令和3年8月に公表された「IPCC第6次評価報告書(AR6)の第1作業部会(WG1)-自然科学的根拠」では、全大気での温室効果ガスの濃度上昇、増加率変動を示す客観的な根拠の一つとして、GOSATによる二酸化炭素やメタンの全大気平均月毎濃度データが掲載されました。
・GOSATシリーズがスペースデブリとして滞留することがないようにするため、令和2年3月に省内に検討チームを立ち上げ、打ち上げから10年以上経過したGOSAT1号機のスペースデブリ化の防止対策について検討を行っています。令和2年10月に中間とりまとめを行いました。今後関係者と協議をしていきながら、さらに検討を進めていきます。
In March 2020, the Ministry of the Environment of Japan started to discuss how to manage the GOSAT series in order to prevent them from becoming floating debris in space once their operational lives have ended, in particular the GOSAT satellite, which was launched 10 years ago. We made an interim report in October 2020.
(環境省におけるスペースデブリ問題に関する取組について 日本語版 英語版)
GOSAT-2
・GOSATの後継機であるGOSAT-2(愛称:いぶき2号)は、平成30年10月29日に打ち上げられ、平成31年2月より定常運用を開始しています。
・GOSAT-2は、GOSATより二酸化炭素とメタンの濃度観測精度を向上するため、大都市など大規模排出源を集中して観測する機能の強化のほか、雲のない地域を自動的に探して観測する機能を新たに追加しています。
・更に人間活動によって排出された二酸化炭素を特定する能力を向上するため、一酸化炭素の同時観測を可能にしました。
・GOSAT-2は、パリ協定に基づく各国の気候変動対策の実施、特に2023年の第1回グローバル・ストックテイクへの貢献を目指しています。
GOSAT-GW
・宇宙基本計画で定める温室効果ガス観測技術衛星の3号機は、GHG観測ミッション(環境省、国環研)の他、水循環変動観測ミッション(JAXA)の相乗り衛星として、2024年度の打上げを目指し現在開発中です。なお、衛星名称は2つのミッションを表し「温室効果ガス・水循環観測技術衛星(Global Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle:GOSAT-GW)」という名称にいたしました。
・GOSAT-GWは、1,2号機のミッションを発展的に継承するため、以下のGHG観測ミッションを目指します。
(1)地球全大気の二酸化炭素およびメタン濃度の継続モニタリング
(2)パリ協定に基づく各国の温室効果ガスインベントリ報告の透明性の確保
(3)大規模排出源の監視をすることにより、気候変動予測の精緻化
GOSATによる全球温室効果ガス観測の成果
GOSATによる観測の意義とその特徴
・世界気象機関(WMO)を含む世界のいくつかの気象機関では、これまでも地表面の各地の観測地点や、それらのデータを用いて算出した地上での全球平均濃度を発表してきました。しかし、二酸化炭素は高度によって濃度差があるために、地上観測点だけの濃度データでは地球大気の全体濃度を表しません。
・これに対してGOSATは二酸化炭素の地表面濃度ではなく、地表面から大気上端までの大気中の二酸化炭素の総量を観測できます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書において予測されている将来の二酸化炭素濃度は「全大気」の平均濃度です。
・今後の温室効果ガスの増加による地球温暖化のリスクを算出・予測する上では、地球全体の温室効果ガスの平均濃度の算出が重要であり、上空の大気まで含めた「全大気」の平均像を把握することが不可欠です。
観測成果 ※外部ページにリンクしています。
関連資料・ページ
GOSATシリーズ紹介資料 日本語版 英語版
GOSATシリーズ特別報告書 日本語版 英語版
ポスター
パンフレット
動画
- GOSATシリーズ 気候変動に関する科学と政策立案の発展に貢献する衛星 日本語版 英語版
- 宇宙と地球からみる気候変動 「いぶき」シリーズの挑戦
- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」-地球を見守る宇宙の"眼"-
環境省による報道発表
2023年
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- GOSATを活用して推計したCO2排出量とモンゴル政府報告値との一致を確認しました
(令和5年11月17日)
- GOSATを活用して推計したCO2排出量とモンゴル政府報告値との一致を確認しました
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2022年
2020年
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- 今後の環境省におけるスペースデブリ問題に関する取組について(中間とりまとめ)
(令和2年10月15日)
- 今後の環境省におけるスペースデブリ問題に関する取組について(中間とりまとめ)
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2019年
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- G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の結果について
(令和元年6月17日) - WMO温室効果ガス世界資料センターにおいて温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」データの提供を開始しました
(平成31年3月19日)
- G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の結果について
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2018年
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- 第12回日本・モンゴル環境政策対話の結果について
(平成30年12月21日) - 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)の打上げ結果について
(平成30年10月29日) - 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)の打上げについて
(平成30年8月28日)
- 第12回日本・モンゴル環境政策対話の結果について
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2017年
2016年
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- 季節変動を取り除いた全大気平均二酸化炭素濃度が初めて400 ppmを超えました!~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測速報~
(平成28年10月27日) - 「いぶき」(GOSAT)観測データによる大都市等の人為起源二酸化炭素濃度の推定結果について
(平成28年9月1日) - 「いぶき(GOSAT)」に関するシンポジウム「地球を見守る宇宙の眼~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の今とこれから~」の開催について
(平成28年8月18日) - 全大気平均二酸化炭素濃度が初めて400 ppmを超えました ~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測速報~
(平成28年5月20日)
- 季節変動を取り除いた全大気平均二酸化炭素濃度が初めて400 ppmを超えました!~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測速報~
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2015年
2014年
2012年
2011年
2010年
2009年
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- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測データ(輝度スペクトル及び観測画像)の一般提供開始について(お知らせ)(平成21年10月30日)
- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による観測データの初解析結果(温室効果ガス濃度)について(平成21年5月28日)
- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の研究公募(第2回)について(お知らせ)
(平成21年4月7日) - 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の打上げ結果について(お知らせ)(平成21年1月23日)
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2008年
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- 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の愛称について(お知らせ) (平成20年10月15日)
- 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)データ利用ワークショップの開催について(お知らせ)
(平成20年10月15日) - 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の愛称募集について(お知らせ)(平成20年7月10日)
- 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の研究公募について(お知らせ)(平成20年4月7日)
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2004年
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- 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)利用シンポジウムの開催について(平成16年3月29日)
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プロジェクト共同実施機関による報道発表
(2018年11月以降)
2023年
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- 「いぶき」(GOSAT)の温室効果ガス濃度推定手法の更新—衛星観測による温室効果ガス濃度の新たなデータセット—
(令和5年4月18日:NIES発表)
- 「いぶき」(GOSAT)の温室効果ガス濃度推定手法の更新—衛星観測による温室効果ガス濃度の新たなデータセット—
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2022年
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- 衛星観測データのモデル解析により中国北東部におけるメタン漏洩が明らかになりました ~温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(「いぶき」)の観測データによる研究成果~
(令和4年11月28日:NIES発表)
- 衛星観測データのモデル解析により中国北東部におけるメタン漏洩が明らかになりました ~温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(「いぶき」)の観測データによる研究成果~
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2021年
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- 衛星観測が捉えた南米亜熱帯地域のメタン放出量と気象の関係 ~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」によるメタン推定値と降水データの解析~
(令和3年12月14日:NIES発表)
- 衛星観測が捉えた南米亜熱帯地域のメタン放出量と気象の関係 ~温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」によるメタン推定値と降水データの解析~
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2020年
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- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)のプロキシ法によるメタン濃度推定の誤差補正 ~10年間の観測データの解析~
(令和2年11月17日:NIES発表) - 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)による観測データの 解析結果(二酸化炭素、メタン、一酸化炭素)と一般提供開始について
(令和2年11月12日:NIES発表)
- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)のプロキシ法によるメタン濃度推定の誤差補正 ~10年間の観測データの解析~
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2019年
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- 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)の観測データのプロキシ法による解析結果(メタンと一酸化炭素)について
(令和元年7月5日:NIES発表) - 欧州気象機関(EUMETSAT)との温室効果ガスのリモートセンシング及び関連ミッションに関する協定の締結について
(令和元年5月16日:JAXA発表)
- 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)の観測データのプロキシ法による解析結果(メタンと一酸化炭素)について
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2018年
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- 「いぶき2号」搭載 温室効果ガス観測センサ2型(FTS-2)の初観測について
(平成30年12月26日:JAXA発表) - 「いぶき2号」搭載 雲・エアロソルセンサ2型(CAI-2)の初画像取得について
(平成30年11月9日:JAXA発表)
- 「いぶき2号」搭載 温室効果ガス観測センサ2型(FTS-2)の初観測について
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プロジェクト共同実施機関HPへのリンク
国立研究開発法人 国立環境研究所
GOSATプロジェクト http://www.gosat.nies.go.jp/
GOSAT-2プロジェクト http://www.gosat-2.nies.go.jp/
GOSAT-GWプロジェクト https://gosat-gw.nies.go.jp/
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