※この記事は、2025年12月6日に開催された第13回グッドライフアワード表彰式における環境大臣賞受賞プレゼンテーションに基づいて作成されています。
SOMPO環境財団の理念と事業
私たちSOMPO環境財団は、1999年に当時の安田火災(現:SOMPOホールディングス)によって設立された企業財団です。
財団の理念は、「木を植える人を育てる」。すなわち、環境人材を育成することです。この理念のもと、さまざまな環境教育・人材育成事業を行っています。

主な取組みとしては、今回受賞対象となった「CSOラーニング制度」のほか、市民向けの環境公開講座、環境保全活動を行う団体向けのプロジェクト助成、環境分野で博士号取得を目指す研究者向けの学術研究助成を展開しています。
CSOラーニング制度
CSOラーニング制度は、2000年にスタートし、今年で26年目を迎えました。昨年には25周年という節目を迎えています。
CSO(Civil Society Organization)とは、NPOやNGOなど市民社会組織の総称です。本制度では、環境活動に取り組むCSOに対して、学生を長期インターンとして派遣しています。

活動期間は7月から翌年1月までの約7か月間で、3月には修了式を行います。学生は派遣先団体で100時間以上、最大200時間まで活動します。
財団からは奨学金として、1時間あたり800円に加え、交通費の実費を支給しています。決して高額ではありませんが、学生が安心して活動に取り組めるよう配慮しています。
現在、この制度は、全国5地区で展開しています。直近の年度では、36団体に63名の学生を派遣しました。25年間の累計では、延べ70以上の団体に1,391名の修了生を送り出しています。長年にわたり継続してきたこと自体が、この制度の価値を物語っていると感じています。

CSOラーニング制度の大きな特徴は、「財団」「派遣先団体」「学生」という三者が関わる点にあります。
財団にとっては、環境人材育成の観点から、環境活動を行う団体との関係づくり、そして環境に強い関心を持つ学生とのネットワーク形成につながっています。
また、奨学金の一部には、SOMPOグループのボランティア組織「ちきゅう倶楽部」の社員寄付ファンドが活用されています。社員にとっても、環境人材育成に参加している実感を持てる仕組みです。
派遣先団体にとっては、意欲ある学生を受け入れられる点が大きなメリットです。最近では、学生がSNS(InstagramやXなど)を活用した広報活動を担うケースもあり、団体の活性化につながっているという声も寄せられています。
学生にとっては、奨学金を得ながら、関心の高い環境分野で長期間活動できる貴重な機会です。将来のキャリア形成や進路選択に結びついたという声も多く聞かれます。
この三者それぞれにとっての「良い関係性」こそが、制度が長く続いてきた理由だと考えています。
学生のインターン活動
学生たちは、派遣先団体でのフィールドワークや、イベントの企画・立案・運営などに携わります。
また、派遣先団体での活動にとどまらず、インターン生同士が関心のある共通の環境課題ごとにグループを組み、独自のプロジェクトに取り組むこともあります。例えば、大学に対して再生可能エネルギー導入の提案書を提出したり、地元スーパーと連携して環境配慮型商品の紹介を行ったりと、実践的な取組みが行われています。

定期的な合宿や定例会では、各団体での活動報告や意見交換を行い、学生同士が刺激を受け合う場にもなっています。
2019年からは、インドネシアでも同様のCSOラーニング制度を実施しています。そのご縁から、日本とインドネシアの学生による交流会も定期的に行っています。国境を越えた交流は、学生にとって視野を広げる大きな機会となっています。
修了生の活動
昨年度、約200名の修了生を対象にアンケートを実施しました。
その結果、約60%が一般企業に就職していましたが、公務員(環境省や自治体)、環境分野やその周辺分野で起業した人、NPO・NGOなど環境団体に就職した人もいました。

また、「現在も環境活動に関わっていますか」という問いに対しては、約3分の2が「関わっている」と回答しました。一般企業に勤めながら環境活動を続けている人も多く、環境人材育成という点で一定の成果を上げていると感じています。
25周年と今後の展望
今年度は、25周年を記念して、二つのイベントを開催しました。
一つは、9月19日に大阪・関西万博のインドネシアパビリオンで実施したイベントです。インドネシア政府の協力のもと、インドネシアと日本の修了生それぞれ2名を招き、ディスカッションを行いました。
もう一つは、11月8日に開催した25周年記念同窓会です。多くの修了生が集まりました。

この同窓会をきっかけに、修了生同士が安心して交流できるコミュニティプラットフォームも立ち上げました。今後は、新しい取組みの相談やスキルを持つ人材の紹介、進路相談など、さまざまな形で活用されることを期待しています。

私たち環境財団は、環境人材育成という観点で、さまざまな団体・企業・大学とつながり、現役の学生、海外の学生、大学の先生方とのご縁をいただきました。これからも財団がハブとなり、こうした人と人とのつながりを大切にしながら、環境人材育成に取り組んでいきたいと思います。
環境事務次官を務める上田康治氏から表彰されるSOMPO環境財団の中村茂樹氏
【受賞取組の現場訪問】
グッドライフアワードでは、2026年3月10日(火)、公益財団法人SOMPO環境財団主催の「CSOラーニング制度修了式」に参加させていただき、本制度における学生の活動内容についてお話を伺いました。
CSOラーニング制度は、大学生・大学院生を、環境活動を行うCSO団体(市民社会組織、NPO・NGOを包含した用語)へ派遣し、一定期間の実践活動を通じて環境分野の人材を育成する取り組みです。参加した学生は、約7か月間にわたり各地の受入団体のもとで活動し、自然環境の保全活動や環境教育、市民参加型のイベントの企画・運営などに携わりながら、地域の環境課題に向き合う経験を積みます。実際の活動現場での経験を通じて、学生が環境問題を自らの問題として捉え、社会との関わりの中で学びを深めていくことができる点が本制度の特徴です。
当日の発表では、宮城・関東・関西・中部・福岡など各地の団体で活動した学生の皆さんから、活動の成果や学びについて報告がありました。コンポストを使って家庭の生ごみから堆肥をつくる活動の支援をしていた学生は、その活動が地域の高齢者の見守りにもつながるため社会課題と環境問題を一緒に解決できるということに気づき、今後は、「義務」としてではなく「楽しく」課題解決に取り組めるような仕組みづくりをしたい、と将来の目標を述べていました。他の学生からは、活動でコミュニティの温かさに触れるうちに「活動で学ぶ」というより「活動を支える」という意識になった、というお話を伺い、地域社会の一員として社会課題に向き合う姿勢が育まれている様子が感じられました。
学生をはじめ、CSO団体、地域社会など多様な主体が関わりながら環境人材の育成に取り組んでいる本制度は、地域の環境活動を支える担い手を育む取り組みとして大変意義深いものと感じました。現場での経験を通じて育まれた人材が、それぞれの地域で主体的に活動していくことは、地域の環境保全の取り組みを広げていくものと考えられます。こうした担い手の育成と主体間の連携が進むことで、地域が持つ資源や強みを活かし、環境・経済・社会の課題を同時に解決する「地域循環共生圏」の実現につながることを期待しています。
環境省 地域政策課

登壇者:中村茂樹氏(SOMPO環境財団 専務理事)