雲仙岳から眺望した有明海と天草諸島
三方を海に囲まれた雲仙岳の登山道や車道からは、様々なパノラマが楽しめます。
有明海から眺望した雲仙岳のシルエット
また、海からは優美な曲線のシルエットが心を捉えます。
天草松島の多島海景観
天草の多島海は、穏やかな海面と荒々しい断崖が対照的で、上島の東海岸沿いは、鋭い稜線がすぐ海に迫る山容から観海アルプスと呼ばれています。
観海アルプス
雲仙岳そびえる島原半島(手前)と天草諸島(奥)
雲仙岳を中央に抱える島原半島は、約40万年前までは火山島でした。約430万年前、半島南端の天草に最も近い早崎において、海底火山の噴火により火山島ができました。その後、小笠原諸島の西之島のように、噴火を繰り返しながら大きな島になっていきました。約50万年前には雲仙岳(雲仙火山)が形成され、噴火活動を開始し、約40万年前には噴出物が流れ下って九州本土とつながって半島となりました。
その後、島原半島を南北3地域に分けるような東西方向の断層(千々石断層など)が形成され、その中央部は北部・南部に対して沈降し続けていく構造となりました(雲仙地溝)が、それ以降の噴火は地溝内に集中するようになりました。東西に並ぶ小浜温泉・雲仙温泉(地獄)・島原温泉も、地溝内の噴火活動の一環で形成されました。
崩壊で生じた妙見カルデラ
噴火のパターンとして、粘性の高いマグマが噴出し、こんもりした溶岩ドームを形成しては、やがて自重に耐えかねて地震などの際に崩壊する、ということを繰り返しながら、急峻で立派な雲仙岳が出来上がりました。
眉山の崩壊で生じた九十九島
有史以降の噴火活動は、少なくとも3回記録されており、江戸時代の普賢岳噴火に伴う眉山崩壊は1万5000人の犠牲者を出しましたが、その後には豊富な湧水と良好な漁場・港湾が生じました。平成2~7年の普賢岳平成噴火では、火砕流と土石流によって多大な被害が発生しましたが、その後には最高峰の平成新山(1483m)が誕生しました。
このような火山の災害と恵みの両面を知って楽しむ公園として、平成21(2009)年、島原半島は世界ジオパークに認定されました。
他方、天草地域は、約1億年前(中生代白亜紀)から約4700万年前(新生代古第三紀)に堆積した地層が海底から隆起してできたと考えられています。地層から二枚貝等の海洋生物や恐竜の化石が見つかる御所浦の島々は、「恐竜の島」「化石の島」と呼ばれ、平成21(2009)年に日本ジオパークに認定されました。平成26(2014)年には、熊本県の天草地域全体に拡張し、天草ジオパークとして認定されています。