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白山国立公園の写真

公園の特長

霊峰白山
~雪と高山植物が彩る信仰の山~
指定:昭和37年11月12日
面積:49,900ha
富山県、石川県、福井県、岐阜県
白山国立公園は、最高峰の御前峰(2,702m)、大汝峰(2,684m)、剣ヶ峰(2,677m)の3峰と周囲の山々を中心とした、およそ南北40km、東西30kmにわたる公園です。
標高1,600m以下の山麓にはブナを中心とした自然林が広がり、高山・亜高山帯にはハクサンフウロやクロユリなど、250種もの高山植物が見られ、原生的な自然環境が保たれています。
また、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、イヌワシといった大型野生鳥獣の生息地となっており、我が国有数の自然性の高い国立公園としてユネスコ「人間と生物圏(MAB)計画」に基づく生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に指定されています。
冬の白山は、北西の季節風がもたらす多量の雪に覆われます。標高500m以上の山地には約6億トンもの積雪があると推定され、この雪が白山の自然を形作る大きな要素の一つであり、山麓部に豊かな恵みをもたらし、雪国の独特な景観や文化を育んでいます。

地形・景観

溶岩円頂丘・剣ヶ峰の写真

溶岩円頂丘・剣ヶ峰

主峰の御前峰を中心に、大汝峰、剣ヶ峰が山頂部を形成し、付近に散在する翠ヶ池、紺屋ヶ池、千蛇ヶ池などの新白山火山の火口湖や、火山砕屑物や溶岩でできた室堂平、弥陀ヶ原、南竜ヶ馬場などの平坦地とあいまって、優美な火山風景を展開しています。
新白山火山の噴火で形成された溶岩地形・弥陀ヶ原の写真

新白山火山の噴火で形成された溶岩地形・弥陀ヶ原

白山で最も古い時代に形成された大汝峰の写真

白山で最も古い時代に形成された大汝峰

山体の大部分は手取層群の堆積岩や濃飛流紋岩類などの古い時代の地層や岩石でできており、その上を火山噴出物が覆い、白山火山を形成しています。
写真
森林
白山では、山麓から標高1,600m付近にかけて広大なブナ林が広がっており、別山市ノ瀬道、平瀬道、中宮道などでは、ブナの大木が連なる原生林が見られます。標高1,600m~2,400m付近の亜高山帯には主にダケカンバやオオシラビソが、2,400m以上の高山帯にはハイマツが生育しています。
手取層群と恐竜化石
白山周辺に分布する手取層群には、今から1億7000万年前の中世代ジュラ紀後期から1億1000万年前の白亜紀前期までの間に堆積した古い地層が見られます。
この地層からは、恐竜を始め、哺乳類や魚類、植物など数多くの化石が発見されています。特に、国内有数の恐竜化石の産地として、学術的にも貴重です。

植物

白山では、標高や地形、雪どけ時期などの違いから多様な環境が形成され、それぞれの環境に適した高山植物が生育しています。7~8月の夏山シーズンに一斉に咲き誇り、見事なお花畑が広がります。
また、白山の高山植物には、ハクサンコザクラ、ハクサンフウロやゴゼンタチバナなど、白山あるいは主峰の御前峰にちなんだ植物が数多く生育しています。
白山は、本格的な高山帯を有する山としては、日本で最も西にあり、ハイマツ、オオシラビソ、クロユリ、アオノツガザクラなど、100種を超える高山植物の分布の西限となっています。
根倉谷園地のミズバショウ群生地の写真

根倉谷園地のミズバショウ群生地

動物

白山では、ブナを主体とし、ミズナラ、トチノキ、カエデ類などからなる広大な広葉樹林が形成されており、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンザルなどの大型哺乳類や、イヌワシ、クマタカなどの希少な大型猛禽類が、全国的にみても高い密度で生息しています。
高山帯の代表的な鳥類であるイワヒバリは、山頂付近の岩場を中心に生息しており、美しいさえずりを聞くことができます。また、高山帯の哺乳類では、ホンドオコジョが高山帯を中心にブナ林まで広く生息しています。 なお、イワヒバリ、ホンドオコジョの他、アズミトガリネズミなどは白山が分布の西限となっている高山性の動物の一例です。

文化

白山信仰の写真
白山信仰
白山は、雪をかぶった純白の印象から、古くは「越の白嶺」とも呼ばれ、養老元年(西暦717年)に越前の僧「泰澄大師」が開山した信仰の山として、また、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つとして知られています。
白山は独立峰で周りに高い山がないため、北陸、東海、近畿の各地方から仰ぎ見ることができ、古来から都の人々に知られてきました。雪に覆われる冬の白山は、海からの目印ともなり、神の山として古くから崇拝されてきました。
白山比咩神社奥宮の写真
御前峰には白山比咩神社の奥宮がおかれ、全国に三千社余りもあるという白山神社の総本宮として、崇敬を集めています。
三馬場と三禅定道
白山の山頂は禅定(霊山で修行すること)の到達点であると考えられたため、修行僧が登るようになり、しだいに道が作られていきました。
この道を禅定道といい、越前、加賀、美濃にあるぞれぞれの道は越前禅定道、加賀禅定道、美濃禅定道と呼ばれました。天長9年(西暦832年)には、禅定道の起点に越前馬場、加賀馬場、美濃馬場の三つの馬場が成立したと言われており、白山信仰の拠点として栄えました。
現在も各所に修行のための行場や宿泊所を兼ねた室跡などの旧跡が残っています。
白山比咩神社(加賀馬場)の写真

白山比咩神社(加賀馬場)

白山比咩神社
加賀馬場の中心は石川県白山市鶴来の白山本宮・白山比咩神社です。加賀国の一宮で平安時代から藩政期まで、在地領主の奉賀がたびたび行われました。
長滝白山神社(美濃馬場)の写真

長滝白山神社(美濃馬場)

長滝白山神社・長瀧寺
美濃馬場の中心は岐阜県郡上市白鳥の長滝白山神社・長瀧寺です。かつては六谷六院、三十余堂宇、衆徒三百六十坊を備えて隆盛を誇りました。
平泉寺白山神社(越前馬場)の写真

平泉寺白山神社(越前馬場)

平泉寺白山神社
越前馬場の中心は福井県勝山市の平泉寺です。最盛期には、社領九万石、四十八社三十六室六千坊を誇り、一大宗教都市を形成していました。