ここから本文です。
大山隠岐国立公園の写真

公園の特長

神話がつなぐ山と島-神在ります山と連なる火山、太古の記憶が息づく島-
指定:昭和11年2月1日
面積(陸域のみ):35,097ha
鳥取県、島根県、岡山県
大山隠岐国立公園は、大山から蒜山、毛無山、船上山を含む山岳地帯および三徳山一帯、島根半島の海岸部分、三瓶山一帯、隠岐諸島の4つの地域から成る変化に富んだ景観を持つ国立公園です。
山地部は、豪快な火山地形、豊かな森林、広大な草原などの多様な要素で構成されており、場所によって個性豊かな山岳景観と、それぞれの環境に適応した多様な動植物を見ることができます。
海岸・島しょは、火山活動・地殻変動・気候変動・沖積作用・浸食作用などの複雑な要因が組み合わさって形成された多彩な海岸景観と、海流などの影響を受けた海岸及び島しょの独特の生物環境が大きな特徴です。 また、「国引き神話」の舞台となっているなど、古くから自然と人々の生活・生業との関わりが豊かな地域です。

地形・景観

大山北壁の写真

大山北壁

三瓶山と浮布池の写真

三瓶山と浮布池

山地部
大山・蒜山地域及び三瓶山地域の山地部は、主に火山活動によって形成されました。
中国地方最高峰の大山(標高1,729m)は、成層火山の上に溶岩円頂丘がのった火山で、山頂部に続く北壁、南壁の急崖地は荒々しい山岳景観を呈しています。
また、蒜山三座(上蒜山・中蒜山・下蒜山)も火山であり、その裾野には噴火によって湖が干上がって形成された蒜山高原が広がります。
さらに、三瓶山は溶岩円頂丘であり、その周囲の3つの湖も火山活動によって形成されたものです。
ダイセンキャラボクの風衝低木帯の写真

ダイセンキャラボクの風衝低木帯

ダイセンキャラボクの写真

ダイセンキャラボク

大山は豊かな森林に覆われており、なかでも標高800~1,300mにかけて残る西日本最大級のブナの自然林と、標高1,300mから上部のダイセンキャラボクをまじえた風衝低木帯が特徴的です。
大山以外の山でも山腹は概ね森林に覆われており、代表的な場所として毛無山や三瓶山のブナ林、三徳山の照葉樹林及び冷温帯樹林などがあります。
また、各地に草原が分布することもこの公園の特徴であり、代表的な場所として蒜山稜線部、三瓶山山頂部及び山麓部などがあります。
毛無山のブナ林の写真

毛無山のブナ林

国賀海岸の写真

国賀海岸

ローソク島の写真

ローソク島

日御碕海岸(隆起海岸)の写真

日御碕海岸(隆起海岸)

海岸・島しょ
島根半島は、かつて断層活動で本土と切り離され、その後本土側の河川の沖積作用によって出雲平野・松江平野・弓ヶ浜半島が形成されて再び本土と繋がったと考えられます。
隠岐島は、太古の火山活動で基礎が造られ、その後の地殻変動や気候変動の影響で、海に沈んだり、大陸や本土と陸続きになったりを繰り返し、約1万年前に離島となりました。
こうしたプロセスを経て、沈降海岸や隆起海岸が形成され、これに冬季の季節風や波浪による浸食が加わり、海食崖・洞門・洞窟など多彩な海岸景観が生み出されました。

植物

大山の標高1,300mを超える風衝低木林帯には、ツガザクラ、アカモノ、イヨフウロ、ナンゴククガイソウなどの高山植物が分布し、初夏には素晴らしいお花畑が見られます。
山腹に広がる落葉広葉樹林には、カタクリなどの春植物を始めとして、多様な植物が生育します。
ツガザクラの写真

ツガザクラ

カタクリの写真

カタクリ

隠岐島では、北方系のハマナス、南方系のナゴラン、大陸性のダルマギク、亜高山性のシロウマアサツキなどの植物が海岸沿いの低地に同所的に生息し、また、海域には日本海に分布する海草の6種全てが生育し、海草藻場として日本海で最大級の面積を有しています。さらに、海藻で唯一の国指定天然記念物であるクロキヅタの生育地としても知られています。
知夫の海中林の写真

知夫の海中林

動物

大山の山腹に広がる落葉広葉樹林には、ギフチョウを始めとして、多様な動物が生息します。 各地の草原には、希少な草原性の動物が生息しており、なかでもウスイロヒョウモンモドキは中国山地の数カ所の草原にのみ生息しています。
ギフチョウの写真

ギフチョウ

隠岐島では 、内陸部には固有種のオキサンショウウオが生息するなど、独自の生態系が形成されています。
オキサンショウウオの写真

オキサンショウウオ

島根半島では、人が容易には近づけない岩石海岸が多く、海鳥たちの格好の繁殖地となっています。なかでも日御碕の経島は日本有数のウミネコの集団繁殖地です。
経島の写真

経島

文化

大山道(横手道)の鳥居の写真

大山道(横手道)の鳥居

山地部
大山は古くから信仰の対象とされており、平安時代には大山寺が開創され、江戸時代にかけて参詣者で賑わいました。今日もその名残である参詣道(大山道)が残っています。
三徳山三佛寺本堂の写真

三徳山三佛寺本堂

また、大山とともに「伯耆三嶺」と称される船上山と三徳山は、古くから山岳信仰の場とされてきました。
三瓶山・西の原の火入れの写真

三瓶山・西の原の火入れ

一方、三瓶山や蒜山では、牧畜など人々の生活・生業の一環として草原が形成されており、今日でも一部の場所で「火入れ」による伝統的管理が継承されています。
出雲大社の写真

出雲大社

海岸・島しょ
隠岐島、島根半島はともに国引き神話をはじめとした日本神話の舞台となっています。
特に島根半島は、古代出雲文化の中心部でもあり出雲大社や日御碕神社、加賀潜戸など神話にまつわる史跡・名所が数多く点在しています。