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一木一石運動

写真:一木一石運動  中国地方最高峰の大山(だいせん)は日本百名山にも数えられ登山者が多く、このため昭和40年代から50年代には、山頂に生育していた高山植物群落が踏み荒らされほとんどなくなり、昭和60年代には頂上の裸地化、土壌浸食、土砂流出による崩壊が問題となりました。
 このような状況を憂慮し、昭和60年4月に地元自然保護団体や行政機関が集まって「大山の頂上を保護する会」が結成され、登山者ひとり一人が木一本、石一個をもって登り、頂上の回復を目指す、「一木一石運動」が始まりました。この運動は、登山者一人一人が保全活動に参加するボランティア活動であり、これらのボランティア活動と行政が共に協力してきた全国的にも稀な例です。現在ではおおむね植生が回復しつつありますが、かつての状況に近づけるため現在でも活動が続けられています。

鏡ヶ成(かがみがなる)

写真:鏡ヶ成  鏡ヶ成は、大山の南側、標高約900mに位置し、三方を烏ヶ山(からすがせん)、象山(ぞうやま)、擬宝珠山(ぎぼしやま)に囲まれた盆地状の高原です。その周辺にはブナ、ミズナラ及びシデ林が広がっています。鏡ヶ成の北側に位置する象山の山麓には、かつての放牧地や採草地であったススキ草原と、多くの貴重植物が自生する山地湿原が広がっています。平成12年より学識経験者と関係機関が集まり、鏡ヶ成の草原景観や湿原の保全のため検討会が開かれ、国や市町村、地元団体が協力して草原の草刈作業や湿原の植物相の調査など、鏡ヶ成特有の自然景観の維持に取り組んでいます。
 また、鏡ヶ成では昭和41年、第8回国立公園大会が開催され、自然保護憲章の制定が決議された由緒ある地でもあります。

春と秋の一斉清掃活動(大山)

写真:春と秋の一斉清掃活動  大山には毎年多くの登山者が訪れますが、一部の利用者によるゴミの投棄も見られます。ゴミ対策については昭和40年代から地元保護団体や市町村などが対応していましたが、利用者の増加とともに増え続けるゴミ問題には個別の対応では限界がありました。昭和52年に民間や関係行政機関19団体により「大山をゴミから守る県民運動連絡協議会(大山ゴミ退協)」を結成し、春と秋の大山一斉清掃が開始されました。その後、連絡協議会は同様の活動をしている各種団体と一つにまとまり「大山の美化を推進する会」に改組され、年々活動の輪を広げています。

ウスイロヒョウモンモドキ

写真:ウスイロヒョウモンモドキ  ウスイロヒョウモンモドキは草原地帯に生息するチョウで、環境省のレッドリストにおいて「絶滅危惧I類」に指定されており、絶滅の可能性が高いチョウの一種です。
 日本では兵庫県から広島・島根両県に渡る中国山地とその周辺に生息していましたが、近年各種開発による草原環境の減少や、管理放棄による草原植生の変化のために、急激に個体数が減少しています。
 大山隠岐国立公園では現在三瓶山及び毛無山周辺のみに生息しており、その保護活動が地元の方々の協力の下、進められています。

漂着ゴミの回収事業

写真:漂着ゴミの回収事業  大山隠岐国立公園の隠岐地域や島根半島地域は日本海に面しており、近年多数の漂着ゴミが流入し問題となっています。
 環境省では、平成13年度から実施している国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業を通して地元の方々の協力を得て、漂着ゴミの回収事業を行い、自然環境を清潔に保持し来訪者の快適な公園利用を図っています。