海洋生物多様性保全戦略に位置づけられている、環境省の主な施策をご紹介します。
また、その他、環境省以外の省庁などによる関連施策もあわせてご紹介します。 ※このページは、海洋生物多様性の保全に関する全ての施策を網羅するものではありませんので、ご注意ください。
海域に関する施策
- 重要海域の抽出
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海洋生物多様性の保全を効果的に行うため、「生物多様性の保全上重要度の高い海域」の抽出に関する検討を行っています。
重要海域の抽出について(環境省) - サンゴ礁生態系の保全
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サンゴ礁生態系は、熱帯雨林に匹敵するほど生物種が多い生態系だとも言われており、生物多様性の確保の観点から重要な生態系です。 環境省では、国内のサンゴ礁生態系保全のほか、東アジア地域のサンゴ礁生態系保全に向け国際的な連携協力に取り組んでいます。
サンゴ礁保全の取組(環境省) - 海洋生物多様性情報
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陸域と密接な関係を持ち、海洋生物にとって重要な生息・生育環境であり、漁業やレクリエーションなど様々な人間活動の場でもある沿岸域(水深200m以浅)を主な対象とした、関係各省等の調査・研究成果を収集しています。
海洋生物多様性情報(環境省) - 海洋環境モニタリング調査
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日本周辺海域において、陸域からの汚染や廃棄物の投入処分による水質・底質への影響、海洋生物内の汚染物質の濃度、底生生物群集の個体数、浮遊プラスチック類漂流物の量などについて調査しています。
海洋環境モニタリング調査(環境省) - 脆弱沿岸海域図
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政府の定める「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」の円滑な推進を図るため、大規模な油等流出事故が発生した際に、環境保全の観点から迅速、的確に対応する上で必要とされる情報を、脆弱沿岸海域図として整理しています。
脆弱沿岸海域図(環境省) - 漂流・漂着ごみ対策
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海を漂ったり、海岸に漂着するごみは、海の生き物が誤って飲み込んだりする以外にも、景観を損なう、医療系廃棄物などによって人が危険にさらされる、漁網にごみが絡まるなど、様々な影響を及ぼします。海岸漂着物処理推進法などに基づき、漂着ごみの円滑な処理や効果的な発生抑制を行うため、必要な調査・検討を行っています。
漂流・漂着ゴミ対策(環境省) - 閉鎖性海域についての取組
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閉鎖性海域とは、周囲を陸地に囲まれた内湾などの海のことで、海水の交換が行われにくいことから汚濁物質が蓄積しやすいといった性質をもっています。
閉鎖性海域の水環境改善を図るため、化学的酸素要求量(COD:有機汚濁の代表的指標)、窒素及びりんを対象とした総量削減等の閉鎖性海域に流入する汚濁物質を削減する取組を行っています。また、自然生態系と調和しつつ人手を適切に加えることにより高い生産性と生物多様性の保全を図る「里海」づくりの推進等の取組を行っています。
閉鎖性海域対策関係(環境省) - 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づく取組(環境省・国土交通省)
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日本の海洋汚染防止対策は船舶からの油排出規制から始まりましたが、現在では、国内での海洋汚染の状況や国際的な海洋汚染防止対策の動きにあわせ、有害液体物質や廃棄物による海洋汚染の防止、船舶からの排ガスによる大気汚染の防止なども盛り込まれています。
海洋環境保全(環境省) 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法令(国土交通省)
海域と陸域の両方に関する施策
- モニタリングサイト1000
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森林、干潟、サンゴ礁など様々なタイプの生態系について、合計約1000サイトで継続して生態系の指標となる生物種の個体数の変化等のデータを収集しています。
モニタリングサイト1000(環境省) - 自然環境保全基礎調査
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全国的な観点からわが国における自然環境の現状及び改変状況を把握し、自然環境保全の施策を推進するための基礎資料を整備するための調査を実施しています。
自然環境保全基礎調査(環境省) - ラムサール条約
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特に水鳥などの生息地として国際的に重要な湿地※や、そこに生息・生育する動植物の保全を目的とした条約です。(※湿地:釧路湿原などのいわゆる「湿地」以外に、干潟、サンゴ礁、マングローブなども含みます)
ラムサール条約と条約湿地(環境省) - 東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ
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東アジア・オーストラリア地域の渡り鳥の保全に関わる、様々な主体の国際的な連携・協力のための枠組みです。渡り鳥の重要な生息地の国際的なネットワークの構築や、普及啓発、保全活動の促進を目指しています。
対象は、東アジア・オーストラリア地域に生息するすべての渡り性水鳥です。
東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(環境省) - 外来生物法に基づく取組
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外来生物による生態系、人の生命や身体、農林水産業への被害を防止することを目的に、特定外来生物等を指定し、飼養や輸入等を規制するとともに、防除を実施することとしています。特定外来生物には、例えばモクズガニ(上海ガニ)、オオクチバス(ブラックバス)、アライグマ、カミツキガメなどが指定されています。
外来生物法(環境省) - 環境影響評価(環境アセスメント)の取組
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環境影響評価(環境アセスメント)とは、開発事業の内容を決めるにあたって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表して国民、地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていこうという制度です。
環境影響評価情報支援ネットワーク(環境省) - 水質汚濁の防止に関する取組
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環境基本法では、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準」として、海域、河川、湖沼について水質の環境基準を設けています。
また、水質汚濁防止法では、海域、河川、湖沼等(公共用水域)の水質の汚濁を防止し、人の健康を保護するとともに生活環境を保全することを目的として、汚水を排出する施設を設置する工場・事業場から公共用水域へ排出される排出水に対して排水基準を定めています。
環境省>水・土壌・地盤・海洋環境の保全>水環境関係(環境省) - 化学物質審査規制法に基づく取組
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製造・輸入される化学物質について事前に人への有害性などについて審査するとともに、環境を経由して人の健康を損なうおそれがある化学物質の製造、輸入及び使用を規制する仕組みが整備されています。
化学物質審査規制法(環境省) - 生物多様性地域連携促進法
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様々な立場の人がお互いに連携して生物多様性保全のために取り組む活動を応援する法律です。
生物多様性地域連携促進法(環境省)
- 水産業に関する取組(水産庁)
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漁業資源の保存や管理に関する措置として、漁具・漁法等の制限や規制区域・期間の設定、主要な魚種に対する漁獲可能量(TAC)等が設定されているほか、漁業者による自主的保存管理措置の導入等による様々な規制や管理がなされています。
資源管理の部屋(水産庁) 環境・生態系保全対策(水産庁) - 海洋情報クリアリングハウス(関係機関協力)
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国内の各機関がそれぞれ保有し提供している海洋情報やデータを容易に検索し利用できるよう、それら海洋情報の概要や入手方法などの所在情報をデータベース化し、インターネットを通じて情報提供しています。
海洋情報クリアリングハウス(運用:海上保安庁) - 海洋政策支援情報ツール(海上保安庁)
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海洋に関する様々な情報のなかから、必要なものを取捨選択して1枚の地図上に重ねて表示することができるサイトです。海洋についての理解を深め、適切な利活用と保全を進めていくうえでの情報インフラとして作成されました。航路や海上交通量、漁業権区域、自然公園区域、海底地形、水温、塩分、潮汐など、様々な情報が掲載されています。
海洋政策支援情報ツール(海上保安庁)
- 知床での海域管理の取組
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知床世界自然遺産の区域には、海岸から3kmの範囲の海域が含まれています。
海洋生態系の保全と、漁業や海洋レクリエーションなどとの両立を維持していくため、漁業に関する法規制や漁業者の自主管理、海洋レクリエーションに関する自主的ルールを基調とした「多利用型統合的海域管理計画」を策定しています。
知床データセンター(環境省) - その他国内における取組
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日本国内8ヶ所で取り組まれている、生物多様性の保全と持続的な利用の取組を紹介するパンフレットです(平成22年10月発行)。
- NOWPAPにおける取組
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「北西太平洋地域海行動計画(North-west Pacific Action Plan:NOWPAP)」に基づき、北西太平洋地域における海や沿岸の環境を保全するため、日本、中国、韓国、ロシアの4カ国が協働で、データベースの作成、モニタリングプログラムの設立、海洋汚染に対する準備・対応、普及啓発などに取り組んでいます。
北西太平洋地域海行動計画(外務省) - 海洋生物地理学情報システム(OBIS)
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海洋生物データベースを保持する多くの機関の共同研究により稼働されているデータベースポータルサイト。海洋生態系構成要素についてこれまでに蓄積された様々な観測情報を全地球規模で集約され、公開されています。
Ocean Biogeographic Information System(外部リンク・英語)
持続可能な漁業によって生産された水産物を認証する仕組みや、自然環境や歴史文化を体験することなどによって漁業等を営む地域の魅力を知ることができる「エコツーリズム」などがあります。
海洋管理協議会(MSC日本事務所)マリンエコラベルジャパン(マリン・エコラベル・ジャパン)
エコツーリズムのススメ(環境省)