建築物で使われるエネルギーは、主に空調のための温熱・冷熱を作り出す「熱源」、その熱を運ぶ「熱搬送」、お湯や蒸気を作り出す「給湯・蒸気」、照明・OA機器などの「照明・コンセント」、エレベータ・エスカレータなどの「動力」、これら以外の「その他」に大別されます。
同じ業務系施設でも、建物用途によってエネルギー消費状況は異なり、いずれの用途でも熱源や照明・コンセントの比率が高いことは共通である一方で、熱の需要が大きいホテル、病院においては給湯・蒸気の占める比率も高くなっています。
ZEBを実現するためには、標準的な建物と比較して50%以上の省エネが必要になりますが、やみくもに全てのエネルギーを半減させることを目指すのではなく、まずどこで・どのくらい消費されているかといったエネルギー消費実態を把握し、削減対象の優先順位を判断することが重要です。
建築物のエネルギー消費状況
建物用途別のエネルギー消費状況
業務部門の建築物には事務所・ビル、デパート・スーパー、卸小売、飲食店、学校、ホテル・旅館、病院、娯楽場、その他(福祉施設等)など、様々な用途の施設が存在します。日本の業務部門における用途別のエネルギー消費内訳を見ると、事務所・ビルが最も大きなシェアを占め、次いで卸小売の割合が大きく、これに病院、ホテル・旅館が続きます。
一方、延床面積あたりのエネルギー消費原単位を見ると、飲食店、ホテル・旅館、病院、娯楽場の順に多くなっています。これらの施設では、空調だけでなく、給湯や厨房などにも多くのエネルギーを使うため、一般的な事務所・ビルに比べて、エネルギー消費原単位が大きくなる傾向にあります。
内訳(2018年)

エネルギー消費原単位(2018年)

エネルギー使途別の消費状況

