背景
世界的に気候変動が大きな問題になっており、日本でも近年大きな自然災害が発生しています。気候変動の要因には自然要因と人為的要因がありますが、人為的要因には人間の活動に伴って排出される温室効果ガスの増加等が挙げられます。温室効果ガスには二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、フロンガス類(HFCs等)などがありますが、日本の場合は温室効果ガス排出量全体に占めるCO2の割合が約9割を占めています。1)
近年、温室効果ガスの排出量の大幅な削減が国際的に求められている中で、日本は2050年カーボンニュートラルの実現とともに、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていくこととされており、家庭部門では66%削減することが目安とされています。2)
一方で、目標を立てても、家庭からのCO2排出実態などがわからなければ、効果的な対策は実施できません。どこに削減の余地があるのかを細かく調べて、どんな対策が求められるのか把握する必要があります。
家庭CO2統計の誕生
そこで環境省は、これらの情報を詳細に調査するために、平成29年度(2017年度)から、「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(家庭CO2統計)として、全国の世帯を対象とした調査を実施しています。これは政府の一般統計調査として実施しているもので、これにより家庭部門のCO2排出量を把握し、削減対策を検討するための情報が公的に得られるようになりました。
参考文献
1) 国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィス「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」(2023年4月)によると、2021年度に日本で排出された温室効果ガスの総量のうち、CO2が占める割合は90%超となっています。
温室効果ガスインベントリ(国立環境研究所)
2) 環境省「地球温暖化対策計画」(令和3年10月22日閣議決定)
地球温暖化対策計画(環境省)