保健・化学物質対策
「放射線の健康影響に係る研究調査事業」令和6年度新規研究課題公募のお知らせ
令和5年8月31日
環境省大臣官房環境保健部
放射線健康管理担当参事官室
放射線の健康影響に関する研究調査について、令和6年度より新規に実施する研究課題を、以下のとおり公募します。(印刷用)
1.背景および本事業の目的
原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針として、平成24年7月に「福島復興再生基本方針」が閣議決定され、国内外の叡智を結集した放射線の人体への影響等に関する研究調査の重要性が指摘されています。また、同時期に公表された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書や、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会報告書においても、健康影響に関する継続的な調査を行っていく必要がある旨の提言がされています。
このような状況を踏まえ、環境省では、平成24年度より放射線の健康影響に係る研究調査事業(以下、「本事業」という。)において、帰還住民及び避難中の住民、並びに事故の間接的な影響を受けた福島とその周辺地域の住民を対象にした健康管理の推進及び安心につながる対策の充実・強化や、これらの推進に役立ち、住民の生活上参考となる基礎的な情報の収集を目的として、線量推計に資する研究、身体面・心理面の健康に関する研究、事故による放射線不安への対策に資する研究を実施してきました。
また、東日本大震災及び事故から10年が経過した令和3年度以降は、本事業においては、福島の復興再生や風評の払拭等に留まらず、その教訓を活かし、我が国の社会全体への還元とともに、我が国における今後の環境保健行政での利用につながる成果をもたらすことも目的としてきました。
令和6年度は、令和3年度以降の取り組みを更に加速させ、福島の復興再生や風評の払拭等の取り組みにより得られた教訓を活かし、蓄積された研究成果の更なる社会還元を図るために、環境保健行政の需要に直結したより具体性のある公募テーマを示すことにより、環境保健行政における知見の充実に即時に活用できる、あるいは、今後活用できる見込みがある課題を募集します。
2.公募テーマ・内容
本事業は環境省の委託研究であることから、学術的意義が高く、かつ環境保健行政における知見の充実に即時に活用できる、あるいは、今後活用できる見込みがある研究を公募します。
2.1 公募テーマ
以下の6つのテーマの研究課題を公募します。また、テーマ(1)とテーマ(2)やテーマ(1)とテーマ(3)など、テーマをまたぐ研究の応募も可能です。ただし、テーマ(6)については単独のテーマとしてのみ受け付けます。
今般、環境省が「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進していることを踏まえ(https://www.env.go.jp/policy/sdgs/index.html)、研究課題とSDGsとのリンクを意識して応募書類を作成してください。また、2.2 公募内容に記載されている想定される環境保健行政への活用の例を参考に、成果の社会実装につながる研究をデザインしてください。
【公募テーマ】
(1)福島第一原発事故後の長期にわたる低線量放射線の被ばくや避難等の生活習慣の変化による健康影響に関する疫学研究
(2)過去の報道や教育が放射線に係る健康不安に与える影響の分析及びその解消に関する研究
(3)福島第一原発事故による健康影響リスクが低リスクであることを示す情報の伝達に関する研究
(4)福島県内における地方自治体の復興状況に応じたリスクコミュニケーションに関する研究
(5)原子力災害時のリスクコミュニケーションが実施可能な人材を育成するための研究
(6)放射線健康影響に係る科学的根拠の構築に資する研究
2.2 公募内容
(1)福島第一原発事故後の長期にわたる低線量放射線の被ばくや避難等の生活習慣の変化による健康影響に関する疫学研究
【募集内容】
事故後10年以上が経過し、様々な研究成果から「福島県民の健康被害で、事故による放射線被ばくに直接帰因すると思われるものは記録されていない。」(FACT SHEET ON THE UNSCEAR 2020/2021)との報告がなされています。また、「事故後、避難してきた人々の間で、心血管系および代謝系疾患の発生率の増加が観察されていたが、これはおそらく付随する社会的および生活様式の変化と関連しており、放射線被ばくに帰因するものではない。また、地震、津波、東電福島第一原子力発電所の複合事故後、過剰な心理的苦痛が発生しました。」(FACT SHEET ON THE UNSCEAR 2020/2021)と報告されています。こうした研究は引き続き重要であり、事故後の長期的な身体的・心理的・社会的影響による様々な健康に対する影響を明らかにするため、福島第一原発事故後の長期にわたる低線量放射線の被ばくや避難等の生活習慣の変化による健康影響を調査する必要があります。
そのため、福島第一原発事故における放射線被ばくによる遺伝影響の増加の有無、福島県及び福島県外における各種のがんやその他の疾患の罹患動向を把握し、予期されない動向が生じていないかを確認するための疫学研究を募集します。
【想定される環境保健行政への活用】
- サイエンスコミュニケーション等のコンテンツとして活用できるもの
- 放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター(以下、「放射線リスコミセンター」という。)が実施する支援対象者に対するリスクコミュニケーションに使用するコンテンツとして活用できるもの
(2)過去の報道や教育が放射線に係る健康不安に与える影響の分析及びその解消に関する研究
【募集内容】
令和5年度のぐぐるプロジェクトキックオフミーティングにおいて、ある研究班は、放射線による健康影響が次世代以降にも影響すると誤解している方の割合が年代別に異なることを提示しました(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/portal/communicate/result/r4.html)。これは、過去に受けた放射線被ばくに関係する報道や教育が年代別に異なっていることに起因し、そのことにより各年代の放射線に係る健康不安への影響が異なっている可能性が示唆されるため、過去の報道や教育による公衆の放射線に係る健康不安への影響に関する研究を必要としています。
そのため、放射線災害に係る過去の報道(例:核実験、東海村JCO臨界事故・チョルノービリ原発事故・福島第一原発事故、等)や教育(例:広島や長崎の原爆投下に関係する学校教育、等)が、公衆の放射線に係る健康不安へ与える影響を分析する研究を募集します。また、影響を受けた方の健康不安を解消するための手法を構築し、その有効性を検証する研究についても募集します。
【想定される環境保健行政への活用】
- サイエンスコミュニケーション等のコンテンツとして活用できるもの
- 放射線リスコミセンターが実施する支援対象者に対するリスクコミュニケーションに使用するコンテンツとして活用できるもの
(3)福島第一原発事故による健康影響リスクが低リスクであることを示す情報の伝達に関する研究
【募集内容】
UNSCEAR 2020/2021年報告書では、福島第一原発事故に起因する放射線による健康被害は見当たらない、との報告がありました。また、本事業における研究から、東日本大震災の前後において、福島県及び他の地域別年齢調整罹患・死亡率の、震災に起因すると考えられる合理的な増加傾向は観察されていない、との報告が得られています。
しかしながら、放射線による健康影響へのリスクを強調する風評、報道、SNSを通じたネット記事等については、それが十分な科学的な裏付けがなかった情報であったとしても、素早く一般公衆へ拡散する傾向にある一方で、上記のような、福島第一原発事故に起因する放射線による健康被害は見当たらない等のメッセージについては、リスクを強調する風評等と比べると、一般公衆へは、はるかに伝わりにくい傾向があります。
そのため、福島第一原発事故による公衆の健康影響へのリスクが低いことを示す情報が一般公衆へ伝わりにくいメカニズムを解明するとともに、解明したメカニズムを踏まえて、同情報を一般公衆へ効果的に伝えることができる手法を構築し、その有効性を検証する研究を募集します。
【想定される環境保健行政への活用】
- サイエンスコミュニケーション等のコンテンツとして活用できるもの
- 放射線リスコミセンターが実施する支援対象者に対するリスクコミュニケーションに使用するコンテンツとして活用できるもの
(4)福島県内における地方自治体の復興状況に応じたリスクコミュニケーションに関する研究
【募集内容】
放射線リスコミセンターでは、福島県内特定復興再生拠点区域及び帰還困難区域における特定復興再生拠点区域外(以下、「拠点区域等」という。)を中心とした地域における放射線に係る健康不安等へのリスクコミュニケーション活動(車座座談会、セミナー等)を実施してきました(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/shiencenter/)。
一方で、こうしたリスクコミュニケーション活動に未参加の支援対象者の中には、未だ放射線健康不安を抱えている方が一定数いることが想定されます。
こうした状況を踏まえ、震災から10年以上が経過したこれからの拠点区域等の復興状況に対応したリスクコミュニケーションの手法に関する研究を必要としています。
そのため、福島第一原発事故被災者や拠点区域等に移住を検討する方のうち、放射線健康不安が強い方を把握するための研究を募集します。また、そうした放射線健康不安が高い方に効果的なリスクコミュニケーションを行うための手法を構築し、その有効性を検証する研究についても募集します。
【想定される環境保健行政への活用】
- 放射線リスコミセンターが実施する支援対象者のニーズ把握の分析に活用できるもの
- 放射線リスコミセンターが実施する支援対象者に対するリスクコミュニケーションに応用できるもの
(5)原子力災害時のリスクコミュニケーションが実施可能な人材を育成するための研究
【募集内容】
放射線被ばくを伴う原子力災害が発生した際には、混乱した状況下にある中、無用な被ばくを防ぐために摂取制限すべき食物や飲料水に係る情報等、放射線防護に必要な情報の被災者への伝達や、被災された方の被ばくによる健康不安の緩和又は解消するためのリスクコミュニケーションが必要です。
原子力災害の初期から災害現場におけるリスクコミュニケーションが実施できるような体制を構築するために、平時から準備しておく必要があります。
そのため、原子力災害現場におけるリスクコミュニケーションが実施できる体制構築に資する研究として、原子力災害時に必要なリスクコミュニケーションが実施できる人材を効果的に育成するためのシステムを構築し、その有効性について検証するための研究を募集します。
【想定される環境保健行政への活用】
- 関係省庁が連携して実施する原子力防災のための訓練に活用できるもの
- 原子力災害発生時のための支援体制構築に活用できるもの
(6)放射線健康影響に係る科学的根拠の構築に資する研究
【募集内容】
本事業では、これまで上記1.背景および本事業の目的に記したように、「線量推計に資する研究」、「身体面・心理面の健康に関する研究」、および「事故による放射線不安への対策に資する研究」を公募、採択し、推進してきました。
「線量推計に資する研究」では、事故後の住民の被ばく線量評価の精緻化や被ばく量低減などに繋がる成果が得られています。また、「身体面・心理面の健康に関する研究」では、低線量被ばくの個体、組織、細胞、遺伝子などへの影響、がん発生との関連の有無、放射線事故後の地域住民の身体的・心理的・社会的影響を含む健康への影響などに関して、多方面からのアプローチによって多くの成果が蓄積されてきました。これらの研究は、いずれも放射線健康影響に係る科学的根拠の構築に資するものです。
代表例として、ある研究班の研究成果は、「避難地域における7つの各自治体からの100から300の無作為に抽出した行動調査の階層的クラスタ分析を実施することによりこれらの避難シナリオの精度を高めた。」として、UNSCEAR 2020/2021年報告書に掲載されました*1。UNSCEAR 2020/2021年報告書は、UNSCEAR 2013年報告書と共に、福島第一原子力発電所事故に伴う放射線の被ばくによる健康への影響に係る科学的根拠として、リスクコミュニケーションの現場で数多く引用されています。
令和6年度は、これまで実施した「線量推計に資する研究」、「身体面・心理面の健康に関する研究」、「事故による放射線不安への対策に資する研究」の成果を踏まえた上で、放射線の生物学的影響、放射線健康影響評価、放射線防護、環境放射線学、線量評価等々の領域から、広く放射線健康影響に係る科学的根拠の構築に資する研究を公募します。
放射線健康管理担当参事官室は放射線被ばくによる健康影響等に関するリスクコミュニケーション事業などを担当しており、これらの事業に対して、科学的根拠の構築・創出によって貢献できる研究を求めています。
令和6年度本事業の目的を鑑み、以下の要件を満たすことを求めます。
① 研究目的として環境保健行政における知見の充実を設定し、研究計画に目的到達への具体的道筋を示すこと。② 研究期間終了時の研究成果として、速やかに環境保健行政に活用できる事が望ましく、少なくとも今後活用できる道筋を明確に示すことを必要とする。
③ 10.応募における留意点(4)に示すとおり。環境保健行政での活用が見込めない研究内容については、採択が見送られる可能性がある。
また、公募テーマ(1)~(5)に該当する研究内容は、公募テーマ(6)には含まれないものとします。
*1: https://www.unscear.org/unscear/uploads/documents/unscear-reports/UNSCEAR_2020_21_Report_Vol.II_JAPANESE.pdf
【想定される環境保健行政への活用】
- サイエンスコミュニケーション等のコンテンツへ活用
- 放射線リスコミセンターが実施する支援対象者に対するリスクコミュニケーションへの応用
- ぐぐるプロジェクトにおける情報発信への活用
- 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料への反映あるいは充実につながるもの
【用語解説】
〇環境保健行政に資する研究
研究の成果(エンドポイント)として、個々人が暮らす生活環境における健康不安の払拭や、健康の増進等に役立つことを意味します。教育のためのコンテンツ作成をエンドポイントとすることは、環境保健行政に資するという認識ではありません。
環境保健行政の取り組みとしては、福島県における甲状腺検査の支援を行うほか、福島県内の住民に向けた放射線健康不安軽減の取り組み、全国に向けた放射線の健康影響に関する風評払拭のための正確な情報の発信などを行っています。
〇リスクコミュニケーション
対象のもつリスクに関連する情報を、リスクに関係する人々(ステークホールダー)に対して可能な限り開示し、関係者の間で双方向的なコミュニケーションが実施されることにより情報が共有され、互いに共考することによって、解決に導く道筋を探す思想と技術、及びその過程のこと。(木下冨雄著『リスク・コミュニケーションの思想と技術』より抜粋し、一部を編集)
〇ぐぐるプロジェクト
ぐぐるプロジェクトは、放射線による差別・偏見を無くそうという基本的な考えのもと、そのために知るべき最低限の知識を学ぶというものです(ぐぐるプロジェクトの詳細は参考1参照)。 例えば、令和4年度のキックオフミーティング(参考2~4参照)では、ある研究班が行った放射線に関するリテラシー・セグメントに関するアンケート調査結果等が提示され(参考4参照)、放射線の正しい情報を提供することが必ずしも不安の低減や解消に繋がるわけではなく、受け手側の属性に応じた情報提供の重要性が示唆されました。
【参考1:ウェブサイト】 https://www.env.go.jp/chemi/rhm/portal/communicate/
【参考2:令和4年度ぐぐるプロジェクトキックオフ!環境省開会挨拶】 https://www.youtube.com/watch?v=aWnyVmT7kIE
【参考3:令和4年度ぐぐるプロジェクトキックオフ!第1部島耕作公開レクチャー】 https://www.youtube.com/watch?v=ZLXND654jyA
【参考4:令和4年度ぐぐるプロジェクトキックオフ!第2部公開講座】 https://www.youtube.com/watch?v=Lr3BuHe0FXc
【「ぐぐるプロジェクト」問い合わせ先】 ml-guguruproject@env.go.jp
〇サイエンスコミュニケーション
サイエンスコミュニケーションは、科学のおもしろさや科学技術をめぐる課題を人々へ伝え、ともに考え、意識を高めることを目指した活動です。研究成果を人々に紹介するだけでなく、その課題や研究が社会に及ぼす影響をいっしょに考えて理解を深めることが大切です。科学館や研究機関などでは、サイエンスカフェや一般公開など様々な試みを行っています。 (文部科学省HPより抜粋:https://www.mext.go.jp/kids/find/kagaku/mext_0005.html) )
〇原子力防災(原子力災害後の健康管理・健康不安対策)
環境省は、原子力災害後の中長期において、原子力被災者等の総合的な被ばく線量の評価と、原子力被災者等の健康調査・管理及び健康相談の実施について関係機関との調整を行うことを担当しています。福島第一原発事故の教訓を踏まえ、原子力災害初期において災害現場でのリスクコミュニケーションを適切に行うことにより、中長期における放射線による健康不安の低減につながると考えています。
〇 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(http://www.env.go.jp/chemi/rhm/basic_data.html)は、放射線の基礎知識と健康影響に関する科学的な知見や関係省庁の取組みがまとめられた冊子で、行政や教育現場等で活用されています。
3.研究費・応募資格
3.1 研究費(委託費)
本事業における令和6年度の新規公募(研究費等の上限額)は、以下の表に示すとおりです。応募者は、以下を熟読の上適切に応募してください。
本事業で公募する研究費は、「補助金」ではなく「委託費」です。「委託費」とは、本来、国が自ら行うべき事務・事業等を効率的な執行等に鑑み、他の機関等に委託して行わせる場合にその反対給付として支出する経費をいいます。委託契約は委託費によって行われる事務・事業の給付を担保することを目的として締結するものです。このため、調査、研究等の委託費は委託契約に基づく対価的性格を有する経費であり、助成的性格をもつ補助金等とは明らかに異なるものといえます。
(環境省における委託業務経費の算出等に関する基本方針(令和2年12月)より抜粋し一部を編集。https://www.env.go.jp/kanbo/chotatsu/kihon_houshin_201218.pdf)
公募テーマ | 研究費等の 年間上限額 (税込)1 |
年齢制限 | 応募者2, 3 | 研究期間 (最長) |
採択 予定数4 |
(1) | 1,000万円 | なし | 本人 | 3 | 1件程度 |
(2) | 800万円 | なし | 本人 | 2 | 1件程度 |
(3) | 800万円 | なし | 本人 | 3 | 1件程度 |
(4) | 800万円 | なし | 本人 | 3 | 1件程度 |
(5) | 800万円 | なし | 本人 | 3 | 1件程度 |
(6) | 800万円 | なし | 本人 | 3 | 1件程度 |
1 「研究費等の年間上限額」とは、一般管理費・消費税などを含めた総額を指します。年間上限額に関わらず、研究内容に応じた適切な額で申請して下さい。
2 主任研究者または分担研究者として同時に複数の応募をすることはできません。ただし、継続研究課題を有する場合であっても、継続研究課題が終了する年度(研究の最終年度)は主任研究者または分担研究者として新規に応募することができます。
3 条件付き採択課題として研究が採択されている場合は、主任研究者または分担研究者として新規に応募することができません。
4 採択予定数は、あくまで目安です。また、テーマをまたぐ研究も採択予定数に含まれ、令和6年度の概算要求額、及び応募課題数などを基に調整予定です。
過年度の本体研究の倍率は、以下のとおりです。
令和5年度:約2.5倍
令和4年度:約2.4倍
令和3年度:約2.6倍
令和2年度:約4.4倍
平成31年度:約2.7倍
3.2 応募資格
令和6年4月1日の時点で、以下に示す(1)~(3)の条件を全て満たす者を「本事業への応募資格を有する者」とします。
(1) 研究機関(注)において、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含むものとして、所属する者であること
(2)当該研究機関の研究活動に実際に従事していること
(3)大学院生等の学生でないこと
(注) 研究機関とは、以下の(ア)~(オ)を指します。
(ア)国の試験研究機関
(イ)地方公共団体の附属試験研究機関
(ウ)学校教育法に基づく大学及び同附属試験研究機関など
(エ)研究や調査を主な事業目的としている一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人並びに株式会社
(オ)研究を主な事業目的とする独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第二条に規定する独立行政法人及び国立研究開発法人など
4.研究期間
公募テーマにより研究の実施期間が異なります。公募テーマ(2)を除く研究では、原則として最長で3年間(2年間の研究計画でも応募可能)、公募テーマ(2)の研究では、原則として最長で2年間(1年間の研究計画でも応募可能)とします。
当該年度の研究成果、並びに2年目以降の研究計画については本事業の研究調査事業運営委員会(以下、「運営委員会」という。)にて、毎年評価を行います。評価結果によっては、次年度の研究継続を認めないことがあります(詳細については、8.研究の評価と管理をご確認ください)。また、諸般の事情により、3年未満で本事業を終了する場合もあります。
なお、本公募は令和6年度予算の成立を前提に行うものです。したがって、採択された研究課題についても、予算の都合によりやむを得ない事情が生じた場合には、研究計画の見直しまたは中止を求めることがありますので、予めご承知おき下さい。
5.応募方法
応募の際に、主任研究者は、9.添付書類に示す様式をダウンロードした上で、研究計画書作成要領に従って必要事項を入力したのち、メールに添付して以下のアドレスへ送付してください(詳細については、9.添付書類をご確認ください)。
【送付アドレス】
TO:日本エヌ・ユー・エス株式会社(令和5年度 本事業委託先)
CC:環境省大臣官房環境保健部放射線健康管理担当参事官室
radiation_research_23@env.go.jp
応募〆切後、申請を受理した旨を、日本エヌ・ユー・エス株式会社からメールにて返信いたします。応募後5日が経過しても受理メールが届かない場合は、お手数ですが再度ご連絡ください。
6.応募期間
令和5年8月31日(木) ~ 10月4日(水) 正午まで
7.研究の採択
研究の採択につきましては、送付された研究計画書に基づき、今後開催する本事業の運営委員会において、研究課題の審査・評価方針に従い、以下の5項目について審査され、採否が決定されます。
① 研究の環境保健行政への貢献の可能性
② 研究の学術的有用性
③ 研究計画の妥当性・効率性
④ 研究遂行体制・能力
⑤ 研究内容の倫理性
【留意事項】
(1)書面による事前評価の結果を基にヒアリング対象として選ばれた研究課題に対して、ヒアリング審査が行われます。ヒアリングは、対面あるいはWeb形式で実施する予定です。
(2)採否については環境省より御連絡いたします。
(3)採択時の評価によっては、「Feasible Study(条件付き採択)」となる場合があります。当該課題については、採択通知においてはじめの1年の間に改善すべき点(条件)が示されます。1年目の成果発表会において、採択時に指摘された条件に対する対応状況や今後の研究計画などについて、本事業の評価専門委員あるいは運営委員から評価を受けます。その評価に基づき、運営委員会において2年目以降の継続可否が判断されます。
(4)採択された場合でも、各研究費は申請額と異なる(減額となる)ことがあります。
8.研究の評価と管理
8.1 キックオフミーティング
新規に採択された主任研究者には、研究開始前年度の3月に開催予定のキックオフミーティングにおいて、研究構想/研究計画を発表していただきます(旅費等は、主催側の負担となります)。
8.2 中間評価および最終評価
全ての研究課題について、中間評価(最終年度の場合は、最終評価)のために、年に1回開催される成果発表会にて、年度当初の計画と比較した研究の進捗状況、外部発表、研究方法論の妥当性等を含めた、研究成果を報告していただきます。成果発表会における各主任研究者からの報告ののち、本事業の運営委員会による評価を行い、次年度の研究計画の見直しや変更、当該年度での打切り等を判断します。
8.3 研究継続の可否
研究継続の可否は、8.2 中間評価および最終評価に記載した成果発表会における各主任研究者からの報告を踏まえ、運営委員会によって判断されます。当該年度の成果や次年度以降の研究計画等が芳しくない研究課題に対して、「打切りが妥当」と判断される場合があります。
8.4 追跡アンケート
研究終了の翌年度からおよそ3年程度、研究期間終了後における、本事業で得られた成果の活用や社会への還元などについて、追跡アンケートを予定しています。
8.5 研究進捗管理
本事業における研究が、問題なく円滑に進むことを目的として、本事業内にプログラムオフィサー(PO)を配置しています。採択された研究課題においては、研究の推進や環境省との情報共有を目的として、研究班会議を開催してください。POは、研究班会議への参加や研究実施場所での現地ヒアリングなどを行うことにより、研究の進捗や実施状況を確認し、必要に応じ委員会からの意見の伝達を行うなど、適切な研究管理を実施します。課題が採択された主任研究者は、POとの綿密なコミュニケーションと積極的な意見交換をお願いします。
9.添付書類
以下に掲載する資料をダウンロードして、ご使用ください。
- 研究計画書作成要領
- 【様式1】令和6年度放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)研究計画書【主任研究者・分担研究者用】
- 【様式2】研究経費内訳シート【主任研究者】【分担研究者】
- 研究課題についての審査・評価方針
- (参考)進行中の研究課題(令和5年8月現在)
- (参考)放射線の健康影響に係る研究調査事業<パンフレット>
【提出書類】(詳細については、研究計画書作成要領をご確認ください)
- 主任研究者:【様式1】と【様式2】
- 分担研究者がいる場合、分担研究者ごとに【様式1】の分担研究者用項目と【様式2】
【留意事項】
- 【様式1】~【様式2】は、作成したファイルをPDF化せず、WordあるいはExcelにてご提出ください。
- 【様式1】~【様式2】は、それぞれのファイル名の先頭に、主任研究者のフルネームを記載してください(例:【環境太郎】【様式1】...)。
10.応募における留意点
(1)3.2 応募資格に記載された条件を満たしていない、あるいは提出した研究計画書に不備などがある場合は、審査の対象とならないことがあります。
(2)令和6年度は、若手研究の応募は実施しません。
(3)研究期間内(原則3年間)で、確実に環境保健行政に資する一定の成果の取得が期待できる研究計画を募集します。研究計画の段階で、そのような見込みが無いと判断される場合、採択が見送られる可能性があります。
(4)環境保健行政での活用が見込めない研究内容については、採択が見送られる可能性があります。
(5)研究計画書だけでは十分な技術的裏付けが得られない場合、技術的な根拠となる書類などを追加で提出していただく場合があります。
(6)評価専門委員及び運営委員会の委員は、委員として知り得た情報を、委員の職にある期間だけでなく、その職を退いた後についても、正当な理由なく第三者に漏洩または使用しないこととしています。また、評価専門委員及び運営委員会の委員のうち審査の対象となる課題の主任研究者等と利害関係がある委員は、当該研究課題の審査を棄権します。
(7)評価専門委員及び運営委員会の委員、環境省、あるいは本事業の委託先関係者などへ採択の陳情を行うことは厳に慎んでください。なお、仮に応募課題の関係者から陳情等があった場合には、陳情者が当該研究課題に参画予定の研究者本人か否かを問わず、応募された研究課題を審査対象から除外します。また、採択に係る通知の発出前に、関係者へ採否の感触を照会するなどの行為についても厳に慎んでください。
11.FAQ
(1)
【質問】送付した書類に記載してある個人情報についてはどう扱うか。
【回答】「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」及び「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律施行令」に基づき、適切に取り扱います。
(2)
【質問】研究の採択/不採択の通知タイミングはいつか。
【回答】10月下旬~12月上旬を予定しています。
<参考>
- 過去に本事業にて採択された研究の報告書
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/reports.html
- 研究開始までの大まかな流れ
日程 |
予定される主なスケジュール |
8/31 ~ 10/4 |
公募期間
|
10月中旬~ 11月上旬 |
評価専門委員及び運営委員における審査
|
~12月上旬
|
審査結果通知
|
1月頃 |
応募研究計画書の修正及び質問事項への回答の提出
|
2月頃 |
R6年度研究費の通知(申請額と異なることがある) |
3月 |
キックオフミーティングの開催 |
4月~ |
委託事業者との契約手続き、研究の開始
|
【本公募に関する問い合わせ先】
担当:三澤、植木
- [住所]
- 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
- [電話]
- 03-3581-3351
- [E-Mail]
- radiation_research_23@env.go.jp