「内分泌かく乱作用とは」


「入門編」
まず、「内分泌」とは何なのでしょうか?
生物の体は、その複雑な機能を調節するための仕組みを持っています。その仕組みの一つが「内分泌系」です。「内分泌」という専門用語もさらに、「内:ない」と「分泌:ぶんぴつ」の二つに分けることができます。 生物の体の中には、分泌細胞と呼ばれる、物質を作って蓄えておき必要な時に細胞の外に出す、「分泌」という働きをする細胞があります。分泌して細胞外に出す先が、生物の体の外に通じている消化管であれば、「外分泌」と呼びますし、生物の体の外には直接は通じていない血管であれば、「内分泌」と呼びます。「内分泌」を行う細胞が集まっているところを「内分泌器官」といい、「内分泌」される物質のことを「ホルモン」と呼びます。こういった生体の調節機能に関与するシステム全体が、「内分泌系」です。
では、次に「内分泌かく乱作用」とはどういったことなのでしょうか?
ホルモンは、合成・貯蔵・分泌され、血流などによって運ばれて必要な場所で作用を発揮し、その後は分解・排泄されます。この「内分泌」の一連の過程に変化を与え、生物にとって有害な影響を及ぼすことを、「内分泌かく乱作用」と呼びます。ですから、「内分泌かく乱作用」には色々な場合があります。ホルモンの合成を阻害するのも内分泌かく乱作用ですし、作用発揮(受容体への結合や遺伝子の調節、蛋白合成などの作用)を邪魔したり、かえって作用を強めたりするのも「内分泌かく乱作用」です。
つまり・・・
「内分泌かく乱作用」とは、生体の複雑な機能調節のために重要な役割を果たしている、内分泌(系)の働きに影響を与え、生体に障害や有害な影響を引き起こすこと、なのです。