日中韓環境教育ネットワーク(TEEN)

TEENの成り立ちと活動について

平成12年に北京で開催された第2回日中韓三カ国環境大臣会合(以下、TEMM:Tripartite Environment Ministers Meeting)において、「環境共同体意識の向上」を図るための三カ国協力プロジェクトを形成・推進していくことが決定されました。そして、同年6月の日中韓三カ国実務者会合において、TEENをプロジェクトの一つとして構築することが合意され、平成12年以降は三カ国が交替でTEENシンポジウム及びワークショップを開催しています。本会合では、環境教育の専門家や教育者、NGO代表等が三カ国から集まり、環境教育のイニシアティブについて議論や意見交換などを行っています。今年(令和5年)は、24回目の開催となりました。

第24回シンポジウム・ワークショップ

2023.11.27~30(韓国・済州島)

令和5年11月27日(月)~30日(木)の日程で、「第24回日中韓環境教育ネットワーク(The 24th Tripartite Environmental Education Network : 以下、TEEN24)シンポジウム及びワークショップ」が開催されました。

三カ国からのTEEN24参加者

テーマと目的

新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため令和2年から4年はオンラインで開催され、本年は4年ぶりの対面開催となりました。「気候変動の緩和と適応を目指した環境教育~「参画」に焦点を当てて~」をテーマとして、日中韓における気候変動教育の取組に関して発表や意見交換が行われました。

内容報告
一日目

政府円卓会議並びに「気候変動の緩和と適応を目指した環境教育~「参画」に焦点を当てて~」をテーマにしたシンポジウムが行われました。シンポジウムは一般にも公開され、基調講演の他、日中韓三カ国の代表者からの報告とパネルディスカッションが行われました。

基調講演

講演者:KIM Seongkyoun氏(国立気象科学研究所 元所長)
タイトル:私たちが直面している現実、気候変動の時代、私たちの認識

セッション1:環境教育政策
(1) 日本
発表者:高橋敬子氏(未来のためのESD研究所 代表)
タイトル:私たちに必要な気候変動教育とは:日本人学生の視点から
概要:日本における気候変動教育の現状や関連する政策、日本の取組事例の他、日本において気候変動教育をさらに推進していくために必要な視点についての発表が行われました。
(2) 中国
発表者:LIU Zhijian氏(福州大学 准教授)
タイトル:中国における気候変動に関する教育政策
概要:中国が目標として掲げる脱炭素政策「3060ダブルカーボン」の達成に向けた中国における気候変動教育に関連する政策や取組事例についての発表が行われました。
(3) 韓国
発表者:KIM Inho氏(国家環境教育センター センター長)
タイトル:気候危機の時代とカーボンニュートラル教育の活性化に向けて
概要:昨年に改定された環境教育法をはじめとした環境教育政策と気候変動教育の関連性や今後推進が期待されるカーボンニュートラル教育の概要についての発表が行われました。
セッション2:環境教育優良事例
(1) 日本
発表者:高田研氏(地球温暖化防止全国ネット(JNCCA) 理事長)
タイトル:気候変動教育の伴走支援
概要:気候変動教育の伴走支援を進めるうえで重要な6つの視点の他、堺市立日置荘小学校や新田小学校での取組事例についての発表が行われました。
(2) 中国
発表者:ZHAO Xi氏(北京ユース科学技術センター グループリーダー)
タイトル:排出削減実践者:家庭での省エネを目指した低炭素探究学習
概要:排出削減実践者プログラムの目的や概要、家庭での省エネを目指した低炭素学習プログラムの活動内容とその成果についての発表が行われました。
(3) 韓国
発表者:KANG Honggu氏(NATURING 設立者&代表)
タイトル:NATURINGとNATURINGスクールプラットフォームをベースとした生態教育と市民科学
概要:AIにより動植物を識別・登録できるアプリ「NATURING」を活用した生態教育や学校教育の現場での導入事例についての発表が行われました。

また、日中韓三カ国の代表者からの報告後はパネルディスカッションが行われ、気候変動教育を今後推進していくうえで大切なことについて意見交換が行われました。パネルティスカッションには日本からセッション2の登壇者である高田研氏の他、二ノ宮リムさち氏(東海大学スチューデントアチーブメントセンター 教授)が登壇されました。

シンポジウム会場

パネルディスカッション

二日目

午前は気候変動教育及び環境教育の研究校に指定されているヒョンドン中学校を訪問し、学生たちが取り組む済州湿地の生態教育プログラムやツバメの保護活動などについて紹介を受けました。また、日本及び中国の代表者からそれぞれ模擬授業を実施しました。日本からは高田研氏(地球温暖化防止全国ネット(JNCCA) 理事長)から「対馬のイカ漁」をテーマに気候変動による生態系などの変化について紹介があった他、済州島ではどのような環境の変化が起きているのか、それが暮らしにどのような影響が与えているのかを生徒とともに考えました。また、昼食は生徒が考案した「Green給食」としてカーボンフットプリントをはじめとした環境に配慮した給食が提供されました。

生徒代表からの発表

模擬授業

午後はDongbaek Dongsanを訪問しました。Dongbaek Dongsanはラムサール条約にも登録されており、エコツーリズムの訪問先としても人気です。ここでは地元のインタープリターとともに自然散策路を歩いた他、湿地センターにおいてDongbaek Dongsanの自然や歴史を学ぶことができる謎解き環境教育プログラムを体験しました。また、4年ぶりに対面で開催されたTEENシンポジウム・ワークショップの振り返りとして、各参加者が2日間に感じたことなどをキーワードで書き出し、全体で共有しました。

Dongbaek Dongsanの散策

謎解き環境教育プログラムの体験

振り返りの様子