水・土壌・地盤・海洋環境の保全

海洋プラスチックごみのモニタリング手法調和とデータ整備

 海洋等環境中に流出したプラスチックごみは世界的な課題となっています。地球規模でプラスチックごみを削減していくためには、分布状況などの科学的な知見を世界各国で共有することが必要です。
 平成27年のG7エルマウサミットにおいて、モニタリング手法の調和と標準化が優先的な施策として挙げられ、サミットのフォローアップとして開催された国際ワークショップにて、日本が漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法の調和等をリードすることが合意されました。また、令和元年のG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合において合意された「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」においては、調和したモニタリング手法の促進が挙げられ、実施枠組のフォローアップ会合において、日本がモニタリングの調和とデータ整備を主導することとされました。

漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和のためのガイドライン

 これまで、海洋表層に漂流するマイクロプラスチックの調査は、その目的に応じて異なる手法が取られていたため、データの比較が困難でした。そのため、モニタリング手法の調和(モニタリング結果を比較可能にすること)が重要な課題として認識されていました。
 そこで、環境省ではサンプリングと分析の手法を比較する実証事業を実施し、国内外の専門家による議論を経て、2019年5月に「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」(Guidelines for Harmonizing Ocean Surface Microplastic Monitoring Methods(以下「ガイドライン」という。)) の初版を公開し、2020年と2023年に改定しています。

- ガイドラインの改訂
 従来のモニタリングでは大型の観測船を用いることが一般的でしたが、大型の研究船は数が限られる上に費用もかかることから、モニタリングを広く実施することは困難でした。また、魚卵やプランクトンなどの浮遊物が多い海域では、ネットが詰まりやすいため対策が必要であったところ、小型船や魚卵やプランクトンなどの浮遊物が多い海域でのモニタリングにも適用できるよう、調和ガイドラインの改訂を実施し2020年6月に公開しました。
 また、令和5年には、フェレー径*の定義を見直すとともに、「Fundamental data items」の定義を見直し、今後更なるモニタリングデータの蓄積を進めていくため、最低限必要なデータ項目の明確化等を行いました。
*フェレー径:ある図形に外接する長方形の縦および横の長さ(別名:射影幅)

【ガイドライン関連資料】
【関連情報】

データ収集とデータベースの整備

 調和ガイドラインに則ることで、漂流マイクロプラスチックの調査データを比較することが可能になりましたが、世界中のモニタリングデータは、未だ比較可能な状態では整理されていません。そこで、環境省は2020年9月に「海洋プラスチックごみのモニタリング手法調和とデータ整備に関するG20ワークショップ」を開催し、日本が新たな世界的モニタリングデータ共有システムを提案しました。
 また、2023年8月には、プラスチック汚染対策の基盤となるデータの利用可能性の向上に向け、海洋ごみ汚染の状況を把握するために必要な指標に関するデータの調和を推進するため、必要とされるメタデータの特定等を目的に「海洋ごみデータの調和に関する国際ワークショップ」を開催しました。
 
- 海洋プラスチックごみマッピングデータベース(準備中)
 環境省では、海洋マイクロプラスチックのモニタリング手法の調和に関する国際専門家会合を開催し、専門家の意見を踏まえながら、世界中の研究者や機関、政府から提供された漂流マイクロプラスチックのモニタリングデータを収集し、粒子密度分布や調査地点等の2次元地図と併せて提供するデータベースを構築しています。
 本データベースに格納されるデータは、「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」に則ったデータとして登録され、本データベースを通じたデータ共有を進めることで、モニタリングデータに関する世界中のネットワーク構築や調和によるデータの付加価値向上にも貢献します。また、オープンデータベースにより、比較可能なデータと理解し易い2次元マップを提供することで、政策決定者や研究者、市民等の様々な利用者への貢献が期待されます。
 リンク:海洋プラスチックごみマッピングデータベース(準備中)


- データの収集/提供について
 本データベースでは、研究者や国際機関等をはじめとした世界中のモニタリング実施者からデータを収集するとともに、データの提供を受け付けます。データの提供にあたっては、調和ガイドラインに基づき作成されたデータエントリーフォームも活用可能です。

【関連資料】
【関連情報】