報道発表資料

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1997年06月23日

「今後の環境研究・環境技術のあり方に関する検討会」報告書について

「今後の環境研究・環境技術のあり方に関する検討会」(企画調整局長委嘱、座長:近藤次郎(財)地球環境産業技術研究機構副理事長)においては、平成8年4月以降、1年余りにわたって、21世紀を見通した環境研究・環境技術の方向性、重要課題、課題推進のための施策等を検討してきたが、今般、その成果を盛り込んだ報告書を取りまとめた。
 同検討会は、報告書において、幅広い分野にわたる環境保全に係る研究・技術開発の具体的課題を体系的に整理した上で(第2章)、環境問題の解決に向けて環境研究の推進と環境技術の振興を図っていくに当たって念頭に置くべき観点や認識を「5つの基本的視点」として、また、今後特に強力に推進すべき研究・技術開発分野を「7つの重点目標」として掲げる(第3章)とともに、研究等の推進のために実施すべき当面の施策の方向を指摘している(第4章)。
 この報告書は、環境研究・環境技術に関わる研究者、技術者、行政官等にとって、それぞれの関係する研究・技術開発の位置付けと今後の方向性を考える上での指針になるものである。
 環境庁としては、この報告書を基礎に、環境保全に係る研究・技術開発の一層の推進に努めるとともに、環境研究・環境技術に係る政府全体としての計画の策定に向けた検討を進めることとしている。          
1.主な成果
 本検討会の主な成果は、以下のとおりである。

(1) 幅広い分野にわたる環境研究・環境技術の課題を体系的に整理したこと
 [1] 分類表の設定
 環境問題は、従来の公害問題に地球環境問題が加わるとともに、自然保護分野の研究の拡充が求められ、さらに環境教育等も視野に置くなど、その範囲が広くなり、これに伴い関与する主体の幅も広がってきた。
 それに対応して環境研究・環境技術の分野も極めて幅広いものとなっているが、本検討会においては、それらの体系化を図ることとし、その前提として【別表1】のような分類方法を提示した。

 [2] 課題の整理
 この分類方法に従い、分類表の一方の軸である「環境保全全般」、「地球環境の保全」等の分野ごとに、もう一方の軸である「監視・観測」、「現象解明」等の区分に沿って、具体的な研究・技術開発課題を整理し、各課題の実施が求められる時期(短期、中期又は長期)を示すとともに、各分野ごとの重点課題を示した。また、参考のため、それらの課題の相互関係を表す図を掲げた。
 なお、これらの作業は、主に、検討会の下に設置した分野ごとの分科会で検討が行われた(別途、学識経験者等へのアンケート調査も実施した。)が、こうした環境問題全般に係る研究・技術開発課題の体系的整理は、我が国で初めての試みであり、世界的に見ても例がないものと考えられる。
 <例>「環境保全全般分野」の具体的な研究・技術開発課題の一部は【別表2】、同分野の各課題の相互関係を表す図は【別図1】のとおり。

 

(2) 今後の研究・技術開発の指針として、環境研究・環境技術の「5つの基本的視点」と「7つの重点目標」を掲げたこと
 各分野ごとの具体的研究・技術開発課題の整理及び重点課題の検討を踏まえ、環境研究・環境技術全体としての推進方向を明らかにするため、環境問題の解決に向けた環境研究の推進と環境技術の振興を図っていくに当たって念頭に置くべき5つの基本的な視点と7つの重点目標を掲げることとした。
 環境研究・環境技術の5つの基本的視点については【別表3】、7つの重点目標については【別表4】のとおり(【別図2】参照 )。

2.今後の取組
 今回の検討会報告を受け、環境庁としては、以下の取組を行うこととしている。

(1) 関係者への周知

 関係省庁(行政部局及び試験研究機関)、地方公共団体(行政部局及び試験研究機関)、民間試験研究機関等に対し、検討会報告書を広く配布し、その内容の周知を通じた適切な研究・技術開発の推進を図ることとしている。
(2) 国としての環境研究・環境技術に関する計画の策定

 検討会報告書の「おわりに」において、環境研究・環境技術の重点的・効率的な展開を図っていくためには、国としての総合的な計画(「環境研究・環境技術振興計画」(仮称))の策定が必要との指摘を受けている。 環境庁としては、この指摘を踏まえ、平成10年度における国としての計画策定を目指し、所要の検討等を進めることとしている。

〔参考〕報告書の概要は【別表5】、検討会等の経緯は【別表6】のとおり。
*別表及び別図については、添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境研究技術課
課   長:古市正敏 (6240)
 調 整 官 :阿部 晶  (6241)
 課長補佐:岩田元一 (6242)