報道発表資料

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2006年03月29日
  • 地球環境

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)第11回政府間会合 / 科学企画グループ会合及び関連ワークショップの開催結果

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の第11回政府間会合が第11回科学企画グループ(SPG)会合と合同で3月22-24日、バンコク(タイ)において開催されました。本合同会合では、今年度事業の報告と次年度事業の決定がなされるとともに、昨年の第10回同会合において策定されたAPN第二次戦略計画(2005-2009年度)のフォローアップ及びAPNの組織的な成熟を目指した様々な取組について話し合われました。
 合同会合の主な成果としては、[1]新たに韓国が拠出国に加わり、地域内のすべてのOECD加盟国(日、米、豪、NZ,韓)が拠出国となったこと、[2]18年度新規事業(一般支援プロジェクト10課題、能力開発13課題)が決定されたこと、[3]APNの運営委員に環境省の塚本研究調査室長が選任、SPGの共同議長に茨城大の三村教授が再任されたことが挙げられます。
 また、3月19-21日には、同地において、全米科学財団、タイ資源環境省、国立環境研究所との共催による「アジア太平洋地域における地球観測及び能力開発ニーズに関するスコーピングワークショップ:気候に焦点をあてて」が開催されました。本ワークショップでは昨年11月に東京で開催された第1回スコーピングワークショップの結果を受け、地球観測分野の能力開発に関わるAPNの役割について議論されました。
 ワークショップの結果、アジア太平洋地域は気候変動に対して脆弱性が高く、気候変動とその影響に係る観測ニーズが一層高まっているが、観測の実施、既存データへのアクセス、データの分析・利用技術、データを利用したシミュレーション技術など多くの分野で能力開発が必要であることが共有され、今後全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画と連携を図りつつ、APNがこうした分野でのネットワーク形成・能力開発に重点を置くことが求められました。

I.第11回政府間会合/科学企画グループ会合

1.開催日時・場所

平成18年3月22-24日、サイアムシティーホテル バンコク(タイ)

2.出席者

(1) APN加盟国の政府代表/科学企画グループメンバー
 オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、ロシア、中国、フィジー、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、韓国、スリランカ、タイ、米国、ベトナム(計21か国)。開催国を代表し、天然資源環境省ペティプン・プンブン・ナ・アユタヤ次官が開会挨拶を行ったほか、同省のアンパン・ピンツカノック国際協力室長が本会合の議長を務めた。我が国からは、環境省地球環境局の塚本研究調査室長他が、また科学企画グループの共同議長として茨城大学の三村教授が出席した。
(2) 関係国際機関等
 地球変動に関する分析・研究・研修トレーニングのためのシステム(START)、地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)、地球環境変化の人間的側面に関する国際研究計画(IHDP)、全アメリカ地球変動研究機関(IAI)等

3.主な成果

(1) APN第2次戦略計画のフォローアップ
 昨年の同会合で策定された、2005年度から2009年度までの5年間におけるAPN第2次戦略計画について、フォローアップのための議論が行われた。
 更なる議論や具体的取組が必要な項目として、以下が挙げられ、次年度に向けて引き続き活発な政府間の議論が行っていくことが確認された。
  • 科学者と政策決定者の相互の関わりの強化
  • 政策決定者及び市民への科学的知識の提供
  • 他の地球変動ネットワーク及び機関との協力の強化
  • 各国の政策ニーズを反映させるための方向
  • 幅広い資金開拓
(2) 科学企画グループによる科学アジェンダの報告
 科学企画グループから、APNの活動対象として重要なトピックとして、エネルギーシステム、エネルギーと環境、農業や畜産資源等への環境変動影響、土地利用、ヒ素による水質汚染が挙げられた。また、データや情報へのアクセス強化が重要であることが報告された。
(3) 平成18年度支援プロジェクトの決定
 平成18年度支援プロジェクトについては、38新規課題の申請があり、科学企画グループ会合による厳格な審査の後、本政府間会合において新規分については10課題、継続分については5課題がそれぞれ決定された。新規採択課題の一覧は別紙のとおり。
(4) CAPaBLE(持続可能な開発に向けた開発途上国の研究能力開発・向上プログラム)
 CAPaBLEプログラムの下での研究能力開発プロジェクトについては、19課題の応募に対し、13課題が決定された。新規採択課題の一覧は別紙のとおり。
(5)地球観測及び能力開発ニーズに関するスコーピングワークショップの結果報告
 本会合に先立って行われた地球観測及び能力開発ニーズに関するスコーピングワークショップの結果報告が行われた。本ワークショップは、昨年の同会合において、第3回地球観測サミット(平成17年2月、ブリュッセル)で策定されたGEOSS10年実施計画を踏まえ、気候変動やその影響のモニタリングに関する能力開発を実施することが重要であるとの意見から行われたもの。詳細はII.参照。

II.第2回「アジア太平洋地域における地球観測及び能力開発ニーズに関するスコーピングワークショップ:気候に焦点をあてて」

1.開催日時・場所

平成18年3月19-21日、サイアムシティーホテル バンコク(タイ)

2.出席者

 アジア太平洋地域を中心に、18か国(スリランカ、フィジー、サモア、中国、米国、タイ、インドネシア、マレーシア、モンゴル、ベトナム、ニュージーランド、カンボジア、バングラデシュ、パキスタン、オーストラリア、インド、韓国、日本)及びユネスコ及び地球変動に関する分析・研究・研修トレーニングのためのシステム(START)から能力開発及び地球温暖化/気候変動の専門家、計43名が参加。なお、我が国からは、環境省、文部科学省の担当者及び研究者を含め、5名が出席。

3.開催の趣旨

 地球観測については、GEOSS(全球地球観測システム)10年実施計画の下、世界的に地球観測システム構築に向けた具体的な動きが活発化しており、地球観測を担う人材を世界的に育成していくことが求められている。特に気候変動の分野では、地球観測から得られるデータに基づき、具体的な気候変動影響を早期に把握・予測し、必要な対策を講じるため、観測だけではなく観測したデータを対策や政策に反映させられるように解釈する体制・人材の開発が喫緊の課題となっている。
 本ワークショップは、GEOSS10年実施計画を具体化するため、能力開発分野においてアジア太平洋地域で初めての取組として昨年11月に東京で行われた第1回スコーピングワークショップを完結するものとして行われた。

4.主な内容

 第1回ワークショップで、アジア太平洋各国における地球観測の必要性と対象分野、さらに能力開発の必要性について議論されたことを受け、第2回ワークショップでは、能力開発の優先順位付け、具体的な実施方法、APNの役割について議論が行われた。
 各国における能力開発のニーズは様々であり、既存のデータへのアクセス強化や、政策決定者や若手研究者などの能力開発、一般市民への情報の提供などが挙げられた。
 APNの役割としては、個人/組織/社会それぞれのレベルにおける能力開発のニーズに応えるため、CAPaBLEへの資金配分を増やし、GEOSSに関連する能力開発を支援することや、気候変動研究に関わる気象等関連機関へとの連携や一般市民への普及啓発の強化、既存の観測データの保有施設との連携の強化等が挙げられた。
 今回の議論を受け、今後はトレーニングワークショップの開催等、具体的な実施方法について検討が進められる予定。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
室長:塚本 直也(内線6730)
 補佐:吉川 圭子(内線6731)
 担当:塚原 沙智子(内線6734)

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