報道発表資料
環境庁では、学識経験者からなる「低公害車等排出ガス技術指針策定調査検討会
(座長:大聖 泰弘 早稲田大学理工学部教授)」を本年1月に設置した。同検討会
は、{1}現行の「低公害車排出ガス技術指針(平成7年6月大気保全局長通知)」
の見直し、{2}自動車全般の低公害性の評価手法及び評価結果の表示手法などにつ
いて検討を進め、6月26日、標記の検討会報告をとりまとめる予定である。
検討会報告の概要は以下のとおりである。
1.いわゆる低公害車(電気、天然ガス、メタノール及びハイブリッドの4車種) 以外にも、近年、窒素酸化物などの排出の少ないクリーンなガソリン・LPG車が 登場していることを踏まえ、あらゆる自動車を対象として、排出ガスの性能に関す る技術指針値を提示。
2.技術指針値は、技術開発目標であると同時に、低排出ガス性(クリーン度) を性能面から示す新しい技術的指標。
3.乗用車及びトラック・バスのうち車両総重量3.5トン以下のものの技術指 針値は、ガソリン・LPG自動車の次期規制(平成12~14年実施予定)をベー スに、耐久走行後の性能として、「移行期低排出ガスレベル」、「低排出ガスレベ ル」、「超低排出ガスレベル」の3段階の指針値を設定。
4.トラック・バスのうち車両総重量3.5トン超えのものはディーゼル自動車 が大半を占めていることを踏まえ、技術指針値は、当面、現行の指針を低公害4車 種以外にも拡大適用することとし、中央環境審議会で現在審議中のディーゼル自動 車の次期規制についての答申を待って見直し。
これを受け、環境庁は、技術指針の改訂作業を進めるとともに、技術指針値への
適合の判定制度及びその結果の表示手法を確立すべく運輸省と調整を進めることと
している。また、本技術指針が、国、地方公共団体の公用車等の調達のガイドライ
ンで活用されるよう努めることとしている。
また、今後、低公害車等の大量普及のための制度的方策を検討するに当たって
は、排出ガス性能については本検討会報告に基づき改訂される技術指針を基礎とし
て活用することとしている。
1.経緯
平成7年6月、環境庁は、「低公害車排出ガス技術指針(大気保全局長通知)」(以下「現行技術指針」という。)を策定し、
- 都市大気汚染の改善を主目的に、
- 電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車及びハイブリッド自動車を対象に、
- 排気管からの排出ガス
一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)粒子状物質(PM)、黒煙、ホルムアルデヒド(メタノール自動車のみ)
について技術開発目標を提示することにより、自動車メーカー等の技術開発を促進してきたところである。また、現行技術指針は政府や地方公共団体の公用車等の調達制度にも利 用され、より排出ガスの少ない自動車への代替の促進にも貢献している。
このように、現行技術指針は都市大気環境の改善のために一定の成果を挙げているところであるが、
- 平成7年の策定以降、技術開発に大幅な進捗が見られ、環境負荷の一層の低減が可能となりつつあること、
- 中央環境審議会第二次答申「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(平成9年11月21日)」に基づき、平成12年以降、ガソリン・LPG自動車の排出 ガス規制が大幅に強化され、乗用車等でNOx、HC等の排出ガス規制値が約7割削減されるとともに耐久要件が強化されること、
- 同答申で「自動車の低公害性の評価手法及び表示手法について早急に検討すること」が求められていること、
など、排出ガス低減技術に関する諸状況に変化が生じている。
このため、平成10年1月、環境庁大気保全局では、学識経験者からなる「低公害車等排出ガス技術指針策定調査検討会(座長:大聖泰弘早稲田大学理工学部教授)」を設置 し、現行技術指針の見直し並びに自動車全般の低公害性の評価手法及び評価結果の表示手法などについて検討を進めている。
6月26日(金)に開催予定の同検討会において、乗用車及びトラック・バスのうち車両総重量3.5トン以下のものの技術指針値の抜本的な見直し等を内容とする「低公害車 等排出ガス技術指針策定調査検討会第一次報告」がまとめられる予定である。
2.検討会報告の概要
(1) |
基本的考え方 ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┐ |技術指針策定の主たる目的:自動車の使用による都市大気汚染の改善 | ├―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┤ | ・二酸化窒素、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質による都市大気汚染の改善| | (→窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、粒子状物質(PM)の低減が必要)| | ・ベンゼン等の有害大気汚染物質の排出低減 (→HC、PMの低減が必要)| └―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┘ | | | ┌―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┐ |技術指針の性格:技術開発目標であり、低排出ガス性(クリーン度)の技術的指標| ├―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┤ | ・技術指針値は、技術開発目標であると同時に、低排出ガス性(クリーン度)を| | 性能面から示す新しい技術的指標。 | | ・対象をいわゆる低公害車(電気、天然ガス、メタノール及びハイブリッドの4| | 車種)に限定せず、燃料や原動機の種類によらない、あらゆる自動車に拡大。| └―――――――――――――――――――――――――――――――――――――┘ | | | | (今後の展開) | | | | ┌―――――――――――┐ ┌―――――――――――┐ |自動車メーカー等 | 供給 |国・地方公共団体等 | | :本技術指針を技術開|――――――――――> | :調達に関する各種施| | 発目標として、技術| | 策等と連動 | | 開発・商品化 | └―――――――――――┘ └―――――――――――┘ | 国の審査を経て、指針への適合 | を分かりやすく表示 ┌―――――――――――┐ | 供給 |自動車ユーザー | └―――――――――――――――> | :購入時の判断に活用| └―――――――――――┘ |
(2) | 乗用車、軽貨物車、軽量・中量トラック・バスの技術指針値 乗用車及びトラック・バスのうち車両総重量3.5トン以下のものの技術指針値は、ガソリン・LPG自動車の次期規制(平成12~14年実施予定)をベースに、耐久走行後 の性能として、「移行期低排出ガスレベル」、「低排出ガスレベル」、「超低排出ガスレベル」の3種の指針値を設定。 |
(3) | 重量トラック・バスの技術指針値 トラック・バスのうち車両総重量3.5トン超えのものの技術指針値は、当面、現行技術指針の値を低公害4車種以外にも適用拡大することとし、中央環境審議会で現在審議中 のディーゼル自動車の次期規制についての答申を待って見直し(別紙1-2参照)。 |
(4) | その他 技術指針値の各レベルに適合する自動車について、国において適切な呼称と表示手法を検討すべきことを提言。 |
3.今後の予定
- 本報告を受け、環境庁は、技術指針の改訂作業を進めるとともに、技術指針値への適合の判定制度及びその結果の表示手法を確立すべく運輸省と調整を進めることとしている 。また、本技術指針が、国、地方公共団体の公用車等の調達のガイドラインで活用されるよう努めることとしている。
- 今後、低公害車等の大量普及のための制度的方策を検討するに当たっては、排出ガス性能については本検討会報告に基づき改訂される技術指針を基礎として活用することとし ている。
- 低公害車等排出ガス技術指針策定調査検討会は、年内に予定されている中央環境審議会の答申(ディーゼル自動車の次期排出ガス低減目標値等)の後、トラック・バスのうち 車両総重量3.5トン超えのものの技術指針値等について、引き続き検討を進めることとしている。
4.低公害車等排出ガス技術指針策定調査検討会委員名簿
(五十音順、敬称略。○印は座長)
氏 名 所 属 畔津 昭彦 東京大学大学院工学系研究科助教授 新井 雅隆 群馬大学工学部教授 岩井 信夫 (財)日本自動車研究所エンジン・環境研究部長 小高 松男 交通安全公害研究所交通公害部計測研究室長 岸田總太郎 (社)日本ガス協会天然ガス自動車プロジェクト部長 塩路 昌宏 京都大学大学院エネルギー科学研究科教授 ○大聖 泰弘 早稲田大学理工学部教授 谷口 充
(中西 一夫)大阪府環境農林水産部交通公害課長
( 同上。平成10年3月まで )玉野 昭夫 (社)日本自動車工業会排出ガス部会代替燃料分科会長 月川 憲次 東京都環境保全局大気保全部自動車公害対策室長
添付資料
- 報告書.pdf [PDF 22 KB]
- 別紙1-1.pdf [PDF 10 KB]
- 別紙1-2.pdf [PDF 9 KB]
- 別紙2.pdf [PDF 6 KB]
- 参考.pdf [PDF 8 KB]
- 検討会名簿.pdf [PDF 4 KB]
- 連絡先
- 環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課 長 :三宅哲志(6550)
課長補佐 :野津真生(6552)