報道発表資料
1.指針策定の背景・検討経緯
地下水汚染等を浄化する技術の一つとして、環境中で、汚染物質を分解する微生物を活性化することにより浄化する手法(バイオレメディエーション)がある。この手法は、二次廃棄物の発生が少なく、省エネルギーの技術として注目を集めている。
一方で、環境中に投入される微生物や栄養分による人の健康や生態系、水質への影響などバイオレメディエーションの実施に伴う環境影響が懸念されており、本技術の実施に当たっての環境保全の観点からの配慮が必要とされているところである。
そこで、環境庁においては、トリクロロエチレンなどの揮発性有機化合物による地下水汚染の浄化に微生物を利用する場合における事前の環境影響評価に関する事項等について、企画調整局に「バイオレメディエーション環境影響評価手法検討会(座長:大井玄国立環境研究所長)」を設け技術的事項に係る検討を行ってきたところ、このほど、同検討会報告書がとりまとめられたことを踏まえ、指針としてとりまとめた。また、本指針は、環境庁より都道府県あて通知し、関係者への周知を図る。
2.微生物を用いた環境浄化の実施に伴う環境影響の防止のための指針の概要
(1)特徴
- 微生物を用いて実施する手法が対象
- トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物による地下水汚染の浄化が対象
- 利用微生物等の拡散を防止する実施方法による
- 個別の浄化作業毎の環境影響評価の実施
- 段階的な評価と実施
(2)環境影響評価に必要な調査等の流れ
- 適用現場に係る調査
- 利用微生物に係る調査
- 室内模擬実験
- 現場試験の計画・確認
- 現場試験の実施
- 浄化作業の計画・確認
- 浄化作業の実施
(3)環境保全上留意すべき項目
- 利用微生物が人の健康に与える影響
- 利用微生物が生態系に与える影響
- 利用微生物の環境中での残留
- 栄養分等として注入する物質の影響
- 有害な分解生成物の影響
- 輸送、保管等作業の実施に係る環境影響
- その他
(4)地域の理解
本技術を用いて地下水汚染の浄化を行おうとする者は、作業に関する情報を提供すること等により、関係する地方公共団体、地域住民等の理解を得た上で、作業を実施。
(5)環境庁長官による確認
本技術を用いて地下水汚染の浄化を行おうとする者は、環境庁長官に対して、その計画が本指針に適合していることの確認を求めることができる。
(参考)
検討経緯
平成10年3月(社)環境情報科学センターに設置したバイオレメディエーション環境影響評価手法検討会(座長:中杉修身国立環境研究所化学環境部長)の検討結果として、「 地下水汚染に係るバイオレメディエーション環境影響評価指針(試案)」をとりまとめ、公表し、環境庁ホームページに掲載して一般からの意見を求めた(~平成10年5月15日) 。
平成10年5月企画調整局にバイオレメディエーション環境影響評価手法検討会(座長: 大井玄国立環境研究所長)を設置して、試案等をもとに指針について検討。平成10年6月1日 第1回検討会 平成10年6月23日 第2回検討会 平成10年7月21日 第3回検討会 平成10年9月11日 第4回検討会
平成11年1月土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び同運用基準を策定し、都道府県等に対し通知(水質保全局)。
平成11年3月上記検討会の報告書「地下水汚染に係るバイオレメディエーション環境影響評価指針の基本的な考え方について」をとりまとめるとともに、「微生物を用いた環境 浄化の実施に伴う環境影響の防止のための指針」を策定し、都道府県に対し通知。
添付資料
- 微生物を用いた環境浄化の実施に伴う環境影響防止のための指針について-通知[HTMLファイル]
- 微生物を用いた環境浄化の実施に伴う環境影響の防止のための指針について-本体[HTMLファイル]
- 地下水汚染に係わるバイオレメディエーション環境影響評価指針の基本的な考え方について[HTMLファイル]
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境研究技術課
課 長 :石川明彦(6240)
調整官 :加藤正男(6241)
課長補佐:田中紀彦(6243)
係 長 :牧慎一郎(6248)