報道発表資料

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2013年07月19日
  • 大気環境

猛暑に対する街なかでの対応方策について(気温だけでなく、日射や路面からの熱にも注意!)(お知らせ)

 環境省では、ヒートアイランド対策の一つとして、街路での暑熱ストレス(夏の暑さによる人のストレス)を抑制する方策(適応策:別紙1)の検討を進めています。 近年、増加しているといわれている熱中症を予防する上で、街路空間での対策や工夫が有効であることから、平成22年度より、暑熱ストレスを減らす街づくりや街歩きの工夫に関する調査を進めてきました。
 今夏も既に多くの方が熱中症で救急搬送されており、その数が増加しています。そこで、これまでの調査で明らかとなった街なかでの暑熱ストレスを減らす方策についてお知らせします。
 今回のお知らせのポイントは、[1]人は気温だけでなく、街なかの放射熱(日射や路面からの熱)によって暑さを感じること[2]気温が高くても、工夫次第で人は涼しさを感じることができるという2点です。

1.日向と木陰で感じる暑さの違い

 日向は暑く、木陰は涼しく感じますが、気温は両方とも約30℃でした。日向では、頭上からの日射に加え、50℃近くに高温化した歩道や車道からの放射熱が足元を包みます。一方、木陰では、頭上は葉っぱが約30℃、足元の歩道は約32℃でした。頭上も足元も、人の皮フ温より低いため、体からの放熱が進みます。木陰に入ると涼しさを感じるのはそのためです。

~日向も木陰も気温は同じだが、表面温度は約20℃の差で放射熱が違う~

日向の交差点
(渋谷区神宮前:2008/9/9)

木陰のある交差点
(江東区木場:2009/8/23)

2.街路における暑熱ストレス ~6畳に電気ストーブ10台分~

 真夏の正午(気温約33℃)に街路で歩行者が受ける正味の放射熱量(受熱量:別紙2)を計算(※)しました。幅の広い南北道路では600~800W/m2、幅の広い東西道路の北側歩道では900W/m2近くになりました。
 このうち、日射による熱量は500W/m2程度で、日向であれば場所による差は大きくありません。その他は路面や壁面からの放射熱によるもので、東西道路の北側歩道では受熱量全体の約4割を占めます。太陽は東から昇り西に沈むため、太陽高度の高い夏には東西道路は長時間日射を受けて、路面や壁面が高温化し、北側の歩道や交差点付近では、歩行者への暑熱ストレスが非常に大きくなることが、データにより示されました。
 なお、受熱量にして900W/m2とは、6畳程度の部屋に1,000Wの電気ストーブを約10台使用したときに人が受ける正味の熱量に相当します(別紙2)。

国土交通省国土技術政策総合研究所(足永靖信氏)が開発した都市の熱環境評価のためのシミュレーションツールを使用

3.街路における暑熱ストレスを減らす工夫 ~日陰、日傘、白服・・・・~

 街路における暑熱ストレスは、受ける熱の種類や大きさを知ることにより、様々な方法で効果的に減らすことができます
既に取り組まれていることが多いですが、例をお示しします。

暑熱ストレスを抑制する考え方 街歩きの工夫の例 環境づくりの工夫の例(別紙3)
受熱量を減らす 日射からの受熱量を減らす ・木陰、日陰を歩く
・日傘をさす
・日射を反射しやすい白っぽい服装にする
・木陰ができる樹木を植える
・オーニング等で日射を遮る
路面や壁面からの受熱量を減らす ・木陰、日陰を歩く ・路面を保水化(打ち水)する
・路面を遮熱化(高反射化)する
・壁面を緑化する(緑のカーテン)
放熱量を増やす 涼風をあてて肌からの放熱量を増やす ・ノーネクタイなどのクールビズスタイルにする ・ミスト噴霧などにより局所的に気温を下げる
汗の蒸散を促進する ・水分を補給する
・汗が乾きやすい服装にする
産熱量を減らす ・(日射を遮りつつ)ゆっくり歩く

【環境づくりの工夫の例】(別紙3参照)

街路樹 保水性舗装 ミスト噴射

 現在、環境省では、暑熱ストレスを減らすためのまちづくりの工夫について、モデル事業を進めています(別紙4)。

4.まとめ

[1]
人は気温だけでなく、街なかの放射熱によって暑さを感じる
日向は暑く、木陰は涼しいが、実は気温は変わらない
木陰より日向の路面の表面温度は20℃も高く、放射熱が多いことが暑さの一因
幅の広い東西道路の北側歩道の放射熱は特に大きい
幅の広い東西道路の北側歩道で受ける放射熱のうち、約4割が路面や壁面からの放射熱
幅の広い東西道路の北側歩道で受ける放射熱は、6畳間に1,000Wの電気ストーブ10台分
[2]
気温が高くても工夫次第で人は涼しさを感じることができる
日陰(木陰)を選んで歩くことと、日射路面からの放射熱を効果的に減らすことができる
日傘をさすことで、受ける日射を大きく減らすことができる
白っぽい服日射の一部を反射するので、暑熱ストレスが低下する
今後、都市の快適性を維持するためには、人への暑熱ストレスを抑制する視点を、まちづくりに加える必要がある

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気生活環境室
直通:03-5521-8300
代表:03-3581-3351
室長事務取扱:真先 正人(内: 6650)
室長補佐   :山根 正慎 (内:6542)
係長      :小池 要  (内:6578)

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