報道発表資料
本日開催の交通政策審議会第49回港湾分科会において審議される鹿島港、水島港及び那覇港の港湾計画の一部変更について、環境省は国土交通省宛に、環境保全の観点からの意見を提出致しました。
環境省意見は国土交通省を通じて、各港湾の港湾管理者に伝達されることとなります。
1.交通政策審議会第49回港湾分科会への諮問
- 平成24年7月5日(木)開催の交通政策審議会第49回港湾分科会に、鹿島港、水島港及び那覇港の港湾計画の一部変更が諮問され、審議される。
2.各港湾計画の主な変更点等
(1)鹿島港
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- 風力発電施設の導入を図るため、港湾区域内沖合約600mに「再生可能エネルギー源を利活用する区域」(約700ha)を設定する。
(2)水島港
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- 大型船舶を活用した効率的なバルク貨物輸送の実現を図るため、航路・泊地の一部を-14mに増深する。
- ・
- 発生する浚渫土約300万m2のうち、約240万m2は玉島地区の工業用地等埋立材として利用。残り約60万m2は、味野湾の深掘跡埋戻事業の用材として活用される予定。
(3)那覇港
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- 臨港道路2.2km(6車線)を計画する。
3.環境省意見
それぞれ、以下のような環境保全上の観点から、意見を提出した。
(1)鹿島港
- ・
- 6月22日に、国土交通省港湾局及び環境省地球環境局連名で、港湾区域内への風力発電施設導入の手続示した「港湾における風力発電について-港湾の管理運営との共生のためのマニュアル-ver.1」を公表したところであり、今後の手続においては、このマニュアルに可能な限り沿った手続が望まれること。
[環境省意見]
- [1]
- マニュアルに沿った手続
本年6月22日に国土交通省港湾局及び環境省地球環境局が策定・公表した「港湾における風力発電について-港湾の管理運営との共生のためのマニュアル-ver.1」(以下「マニュアル」という。)は、港湾の管理運営と風力発電の共生を図ることを目的に、港湾区域への風力発電導入の標準的なマニュアルとして提示したものである。本港湾における風力発電導入についても、今後の手続については、可能な限り、当該マニュアルに沿って行われたい。
- [2]
- 協議会等の設置
マニュアルにおいては、地方環境事務所を含む関係機関、関係者等による情報の共有及び意見の調整のための場(以下「協議会等」という。)を設け、導入事業の内容検討、事業者の選定に係る公募要件及び審査基準の検討や提案内容の審議等の各段階において、必要な助言を受けることが適当としている。
事業化に当たっては、協議会等を設け、関東地方環境事務所を含む関係機関等から必要な助言を受けるよう努められたい。
- [3]
- 地域住民への情報提供、意見聴取等
マニュアルにおいては、風力発電事業との共生を図る上で地域住民の理解が重要とし、風力発電導入に関する理解を求める場合、地域住民に対して情報提供を行うとともに、必要に応じて地域住民からの意見を事業に適切に反映するプロセスが重要であるとしている。
このことから、事業化に当たっては、地域住民への情報提供、意見聴取等を適切に実施し、聴取した意見を事業計画に反映するよう努められたい。
- [4]
- 事業開始以降の対応
本港湾区域内には、複数の風力発電施設が既存し、今回更に、新たな洋上風力発電施設の導入が進められることとなる。港湾管理者においては、風力発電事業者による事業開始以降、周辺の生活環境や自然環境等への影響が発生・確認された場合には、その原因者となる風力発電事業者に必要な対策を求める等の措置を講じられたい。
(2)水島港
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- 瀬戸内法により埋立を厳に抑制することとしている瀬戸内海において、新たに多くの浚渫土が発生する事業であること。
- ・
- 浚渫土を単に埋立処分せず、味野湾の深掘跡埋戻事業に有効活用することは望ましいが、一方で、港湾区域内の浚渫土と味野湾の底質とでは、土質(粒径)や含有物質、底生生物等に違いがある可能性があること。
※味野湾は「日本の重要湿地500」に選定されている。
[環境省意見]
- [1]
- 味野湾の海域環境保全
本港湾区域内での浚渫土砂を味野湾の深掘跡埋戻事業に活用するに当たっては、必要に応じて、浚渫土砂の土質(主に粒径)、汚染物質の含有量、含有生物等及び味野湾に生息・生育する底生動物、海草・海藻類等に関する調査・検討、施工時の水の濁り等による海域環境への影響の確認等を行うなど、味野湾の海域環境に対して直接的又は間接的に悪影響を与えることのないよう十分留意されたい。
- [2]
- 埋立土砂の縮減
本港湾区域は、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)で対象とする瀬戸内海に位置しており、瀬戸内海における埋立ては、「瀬戸内海環境保全特別措置法第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針」に沿って厳に抑制すべきであるとされている。この趣旨を踏まえるとともに、新規計画による浚渫土砂の一部を深堀跡埋戻事業に活用することにより埋立処分量の削減が図られていることにも鑑み、引き続き長期的、総合的な視点から浚渫土砂量の低減、広域的視点も含めた有効活用及びそれらの技術開発の促進を具体的に検討し、瀬戸内海における新たな埋立ては可能な限り回避するとともに、将来にわたり埋立処分量を削減するよう努められたい。
(3)那覇港
- ・
- 臨港道路後背地について、旧計画よりも騒音の増加が見込まれる地点や、旧計画に引き続き環境基準を超える地点があること。
[環境省意見]
- [1]
- 後背地の道路交通騒音の軽減
本港湾の後背地には、今回の一部変更に伴う臨港道路の建設により、旧計画よりも騒音の増加が見込まれる地点や、旧計画に引き続き環境基準を超える地点があることから、港湾管理者においては、関係機関と協力しつつ、必要に応じて、低騒音舗装の敷設等の沿道環境の保全に努められたい。
4.港湾管理者への伝達
環境省意見は、国土交通省港湾局を通じて各港湾管理者(鹿島港:茨城県、水島港:岡山県、那覇港:那覇港管理組合)に伝達されることとなる。
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長 :田中 紀彦(内6231)
審査官:中島 治美(内6253)
TEL 03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)