報道発表資料

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2011年06月21日
  • 水・土壌

平成23年度「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業に係るインドネシアとの第3回専門家会合及び共同ワークショップの開催結果について(お知らせ)

 6月16日(木)に平成23年度「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業に係る第3回日尼専門家会合(非公開)及び「環境管理センターのあり方に関する共同ワークショップ」(非公開)が下記のとおり開催されました。

1.経緯

 当室では、平成21年度から「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業を開始しており、法制度整備、人材育成とパッケージにして、アジア諸国の排出企業に環境対策技術を普及・展開する方策を検討し、中国・ベトナム・インドネシアを対象としてパッケージ施策を実現するための二国間協力事業を実施しております。本事業の一環として、本年2月よりインドネシア共和国(以下「尼国」という。)の産業排水対策分野を中心とする協力事業を実施しています。
 3月4日には日本で局長級会合を開催し、尼国環境省(以下「KLH」という。)環境関連技術・人材能力強化担当局(第7局)長と当省水・大気環境局長との間で、今後の協力事業の内容を盛り込んだMinutes of Meetingを作成し、両局長がサインを行いました。
 このMinutes of Meetingの内容に基づく今年度最初の両省間の対話として、第3回日尼専門家会合と共同ワークショップをジャカルタ近郊にて開催いたしました。

2.概要

(1)開催日時

共同ワークショップ
平成23年6月16日(木)10:00~13:30
第3回日尼専門家会合
6月16日(木)15:00~17:00

(2)開催場所

インドネシア環境省 環境管理センター(バンテン州セルポン)
Kawasan Puspiptek, Serpong, Tangerang Selatan 15310, Banten, Indonesia

(3)主な出席者

インドネシア側
Henry Bastaman
環境省 環境関連技術・人材能力強化担当局(第7局)長
Dasrul Chaniago
環境省 第7局 標準化、環境技術及びクリーナープロダクション担当課長
Hari Wahyudi
環境省 環境管理センター長
Hendra Stiawan
環境省 研修教育センター長
Rismawarni Marshal
環境省 国家クリーナープロダクションセンター長
Hidayati
北スマトラ州 環境保護局長

ほか、環境省、科学院、技術評価応用庁、西ジャワ州、バンドン工科大学等の専門家

日本側
岩田 剛和
環境省 水・大気環境局 総務課 環境管理技術室長

ほか、環境省、(独)国際協力機構、(財)地球環境戦略研究機関の専門家等

 共同ワークショップには、日尼合計延べ約65名が参加しました。

(4)共同ワークショップ及び専門家会合は非公開で行われました。

3.会合結果

(1)共同ワークショップ

 共同ワークショップでは、1993年に日本の無償資金協力により設立され、2000年までプロジェクト方式技術協力により能力基盤整備を支援してきたKLH第7局環境管理センター(以下「EMC」という。)の今後の役割について、以下のプレゼンテーション及び意見交換が行われました。

インドネシア側からは、以下のプレゼンテーションがなされました。
1993年にEMCが設立されたときには、環境測定分析に係るレファレンスラボ、全国の環境モニタリング体制整備、環境データの収集・分析、教育研修の4つの機能が期待されていたが、2001年の地方分権や2009年の環境保護管理法制定などを経てEMCを巡る状況が変わってきたこと
現在のEMCの任務は、環境モニタリングと環境の質の評価、レファレンスラボとしての精度管理と分析機器の校正、地方の環境測定分析ラボの支援と評価、環境測定分析に係る各種プログラムの実施、とされており、新たに「環境の質の評価」が加わっているが、まだ環境データを十分に活用できる段階に達していないこと、540もの地方自治体が存在する中で環境測定分析ラボの質をどのように確保していくかが課題であること、2009年環境保護管理法で環境測定の項目や分析方法を策定し全国のラボの中核となるべきとされている「指定ラボ」がまだ定められておらず、EMCと大学や地方政府のラボとの関係が不明確であること
今後は「指定ラボ」として、項目ごとの測定分析方法の策定・充実、地方のラボに対する精度管理や評価を通じた質の向上を図るほか、環境データの分析に基づいて環境基準や排出基準を含めた環境政策の立案ができるようKLHを支援できる人材を育成することが必要であること
日本側からは、以下のプレゼンテーションがなされました。
EMCの設立・支援に際しては、日本側は当初から、レファレンスラボとしての機能のみならず、環境データに基づく政策の立案や人材育成の拠点として考えていたこと、2001年の地方分権化を受けて2002年~2006年まで行われた地方環境管理システム強化プロジェクト(DEMS)においても、日本は、EMCが中核となり地方政府と連携して環境データを活用した環境管理能力の向上を図る仕組みを作るというねらいをもっていたこと
しかしながら、現状では、EMCはラボ機能に特化してしまっており、KLHの政策立案を科学的データの側面から支援するという本来最も重要な機能について期待に応えられていないのではないかということ
日尼双方のプレゼンテーションを踏まえ、意見交換において
EMCが有しているデータや人材に関する情報をもとに、EMCを今後どうしていくか具体的な課題を明らかにすべき
EMCの任務は、現在の組織・人材の実情に比して重すぎるのではないか、地方政府や大学などをもっと活用すべき
地方の環境や産業の実態などの特色も考慮して、データに基づくより現実的な環境基準や排出基準、測定分析方法を策定できるようにすべき

 などといった意見が出され、KLHや地方政府、大学などの関係者と連携して、EMCが科学的データに基づきKLHやそれぞれ実態の異なる地方政府に対して環境政策立案を支援できるような組織へと機能向上を図っていくため、今後日尼両国環境省間でどのような検討を共同で行っていくべきか、具体的に詰めていくこととなった。

(2)日尼専門家会合

日本側から、企業における適切な環境対策技術の導入促進を、制度整備や政府・企業等の人材育成とのパッケージで進めるための方策を提案するため、特定の地域・産業を対象に、両省で共同のフィールドスタディを行い、汚染物質の排出を減らすとともに生産の効率化等企業側のメリットにもつながるよう生産プロセス全体を改善する適切な技術の内容や、維持管理の充実、技術の評価や情報の提供・指導、技術導入の支援措置などのメニューを総合的に検討することが提案された。
インドネシア側から、企業環境管理システムの特に中小企業への普及、エコラベルの付与要件の策定やエコプロダクトのデータベース化・広報、公害防止管理者制度の水分野から大気分野への拡充・ジャワ島以外への普及、クリーナープロダクションの技術指導の対象業種の拡充、環境技術評価制度の一部業種での試行など、環境対策技術の普及に向けた取組み状況の紹介があった。
意見交換においては、
北スマトラ州のパームオイル搾油工場をフィールドスタディの候補として今後具体的に計画を詰め、日尼両国環境省、関係省庁、北スマトラ州政府、パームオイル業界、コンサルタント等によるワーキンググループを作って検討を進めていくこととなった。
環境対策技術の普及には、制度・人材・技術のパッケージアプローチが有効であり、特に企業と地方政府の現場レベルの人材育成が重要であること、今回のフィールドスタディの成果を横展開していくための仕組みも考えていく必要があること、が指摘された。
連絡先
環境省水・大気環境局総務課環境管理技術室
直通:03-5521-8297
代表:03-3581-3351
室長:岩田 剛和(内線6550)
補佐:高野 厚(内線6551)
担当:重松 賢行(内線6557)