報道発表資料
「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業では、インドネシア共和国との協力事業が開始され、2月9日(水)に日尼専門家会合(非公開)、10日(木)に共同ワークショップ(非公開)が下記の通り開催されました。
1.経緯
アジア諸国においては、著しい経済成長を遂げる中、大気汚染、水質汚濁や温室効果ガスの排出等の環境問題が深刻化しています。アジア諸国と密接な関係を有する我が国は、アジア諸国がこれらの環境問題に対処し、持続可能な経済発展を実現するため、国際協力のさらなる展開が求められています。
このため、平成20年6月に環境省では、「クリーンアジア・イニシアティブ」を提唱し、我が国の公害克服の経験をもとに、環境対策、測定技術、規制体系、人材育成などをパッケージにして普及・展開し、低炭素型・低公害型社会へ誘導するための施策等を進めることとしています。
また、平成22年6月に閣議決定した「新成長戦略」において、「日本の『安全・安心』等の制度のアジア展開」、「日本の『安全・安心』等の技術のアジアそして世界への普及」が掲げられているところです。
当室では、昨年度から「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業を開始しており、制度や人材とパッケージで我が国の環境汚染対策や環境測定の技術を戦略的・体系的に普及・展開させていくための方策についての検討を実施しております。
対象国の一つであるインドネシア共和国とは、既に昨年度から協力事業を実施している中国、ベトナムに続き、今年度から協力事業を開始することになり、この度インドネシア共和国ジャカルタ近郊にて日尼専門家会合と共同ワークショップを開催いたしました。
2.概要
(1)開催日時
- 日尼専門家会合
- 平成23年2月9日(水)9:30~13:30
- 共同ワークショップ
- 2月10日(木)9:30~17:30
(2)開催場所
インドネシア環境省 環境管理センター(バンテン州セルポン)
Komplek Puspiptek, Jl. Raya Puspiptek, Serpong, Tangerang, Banten, 15314, Indonesia
(3)主な出席者
インドネシア側
- Henry BASTAMAN
- 環境省 キャパシティビルディング・技術インフラ担当局(第7局) 局長
- Dasrul
- 環境省 第7局 標準化、環境技術及びクリーナープロダクション担当課 課長
- Hari WAHYUDI
- 環境省 環境管理センター 所長
- Rismawarni MARSHAL
- 環境省 国家クリーナープロダクションセンター 所長
- Hidayati
- 北スマトラ州環境保護局 局長
ほか、環境省、科学院、技術応用評価庁、西ジャワ州等の地方政府環境保護局、バンドン工科大学等
日本側
- 岩田 剛和
- 環境省 水・大気環境局 総務課 環境管理技術室 室長
ほか、環境省、(社)日本産業機械工業会、(社)日本環境技術協会、(財)地球環境戦略研究機関、(財)国際環境技術移転研究センター、地方公共団体OB及び日本企業現地法人の専門家等
ワークショップには、日尼合計のべ約100名が参加しました。
(4)専門家会合及びワークショップは非公開で行われました。
3.会合結果
専門家会合では以下の内容について協議が行われました。
日本における水環境管理の経験とパッケージ施策の適用や環境技術・普及施策の概要について紹介するとともに、インドネシアにおける環境管理の現状や課題を踏まえ、今後の協力事業について協議を行った。その結果、本協力事業においては、企業が環境規制の遵守とともに積極的に環境管理能力向上・技術導入に取り組む実効性のある仕組みを構築することで環境汚染改善に資することを目標とし、これまでのインドネシアにおける施策や他の協力事業における成果も踏まえつつ、中央及び地方政府における能力強化も含め、パッケージとして実効性のある仕組み作りに資する協力とすることとした。なお、詳細な協力内容については後日両国間で協議する予定である。
また、ワークショップでは、以下のプレゼンテーションが行われました。
- (1)
- インドネシア側からは、環境管理を行うための能力強化・人材育成が課題となっており、中央・地方政府における能力向上や研究機関との連携による正確な環境データの収集・分析に基づく適切な環境管理を目指すとともに、インドネシア政府全体の温室効果ガス削減目標達成も見据えたクリーナープロダクションや持続的な消費と生産の普及、環境に優しい技術の導入等の施策を推進していくことが紹介された。
- (2)
- 日本側からは、地方公共団体における環境汚染対策や環境モニタリングの経験、環境装置産業による日本の排水処理技術、モニタリング装置産業による排水や水環境のモニタリング技術、これらをインドネシアに適用してきた具体的な取組事例や今後更に効果的な排水処理やモニタリングを行っていくために考慮すべき技術的事項や関連する人材育成の重要性が紹介された。
- (3)
- インドネシア側からは、クリーナープロダクションの普及にかかるセミナーや人材育成のプログラム内容や具体的な取組事例、西ジャワ州における公害防止管理者制度の導入経緯や運用状況について紹介された。
- (4)
- ポスター展示・パンフレット配布により、日本の環境対策技術の事例やインドネシアにおける環境対策技術の普及、関連する人材育成等の取組に関する紹介がなされた。

さらに、パネルディスカッションが行われ、両国の専門家による以下のような討議がなされました。
- -
- インドネシアにおいては、法制度は充実しているものの、それを実行するため戦略や体制が不十分であり、とりわけ企業における環境対策においては、中小規模の企業の人材育成を進めていくことが重要との認識が共有された。
- -
- また、中央・地方政府の制度や施策でこれまでに得られた成果も踏まえ、パッケージとしてより実効性のある環境管理を実施していくためには、政府、産業界、研究機 関・大学が互いのノウハウや情報を共有し、さらなる連携を図ることが重要であることが認識された。
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局総務課環境管理技術室
直通:03-5521-8297
代表:03-3581-3351
室長:岩田 剛和(内線6550)
補佐:高野 厚(内線6551)
担当:重松 賢行(内線6557)