
シーカヤックの故郷はアリューシャン列島。
風の半島、知床の厳しさは勝るとも劣らない。
その魅力は時間をかけてこそ味わうことができる。
風への理解なしに知床の海を漕ぐことはできない。知床半島ならではの風を知り、読む力を身につけよう。
※一概に記載されているだけではありません。その日ごとに各自で判断が必要です。
初夏といっても海水温はまだ6~10℃。沈すれば低体温症につながる。セミドライジャケットなど服装選びは慎重に。ガス(海霧)に注意。
ウトロ側は比較的穏やかな日が続くが、ルシャの強風だけは要注意。羅臼側では時化もしばしば。南風の場合、半島基部から岬方向への追い風となる。逆に言うと、岬方面から羅臼に向かうのは向かい風となるため、往路と復路で3倍近くの時間差が生じることもある。
風が北向きになると、オホーツク海、根室海峡とも時化となり、沿岸部でも大変な波となり出艇できない。シーカヤックにとって危険で困難な風である。北上する台風の影響を遠くから受けるので、天候判断が重要。
知床連山の鞍部となったルシャ地区では強烈な出し風が吹き抜ける。周辺がべた凪でもここだけは強風と大時化のことがしばしば。大きな湾だが、ショートカットしようと沖を漕ぎ進んではいけない。湾に入る前によく観察のこと。
オホーツク海に突き出した知床岬は、知床半島先端部でのシーカヤックのハイライトでありながら大変な難所。岸寄りの岩礁帯では隠れ岩に注意。潮が早く強風地帯のため沖を漕ぐのは危険を伴う。岩礁帯に水路を見出すほうが得策と言える。
根室海峡に突き出した岬で、かつてここで船が座礁したこともある難所。ペキンの鼻を越えられず、やむを得ず停滞ということもしばしばだ。岬の通過後は速やかに入り江に入ること。
特に南風の際、波が立ちやすく越えるのが困難になる。暗礁に注意し沖に出ないよう慎重に進むこと。
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大きな岩がごろごろの知床の波打ち際は不安定。地味なようで、実は沈しやすい。スムーズでスピーディーな行動が必要。 | ![]() |
へさきは沖に向けないこと!知床につきものの強烈な出し風は、カヤックを一瞬で沖に流すことがある。湾の通過を最短距離にしようとしたり、出し風を避けようと沖を漕ぐのは危険。知床ではカヤックは海岸ギリギリを進むのが鉄則。 | |
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ぶつけると、艇に穴が開くことが!補修道具も携帯すること。浅瀬は特に注意が必要。遠くから波や暗礁をよく観察しながらコースを選ぼう。 | ![]() |
知床岬はもちろん、特に羅臼側では小さな岬ごとに風や波が急変する。無理に岬越えをしようとせず、風浪がおさまるのを待つことも大切。岬をかわすときはへさきを内側へ向けること。 | |
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ウトロ側は特に断崖絶壁が続くので上陸箇所が限られている。休憩や野営場所はあらかじめ地形図で確認しておこう。 | ![]() |
沿岸には定置網など漁具が仕掛けられている。魚が逃げると漁師さんたちに嫌われるので、可能な限り岸寄りを漕ぎ、網の上を通過しないこと。 | |
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上陸したら一安心ではないのが先端部地区。クマを引き寄せない調理法や食料管理をしっかり!就寝中も枕元にはクマスプレーを。 | ![]() |
強風高波で漕ぎ出せないことが常にある。必ず予備日を設定し計画・行動すること。知床半島先端部には陸路もないため、常にエスケープできない状態に置かれていることを念頭に行動しよう。 | |
知床の2つの施設で、知床半島先端部の近況や危険箇所の情報、注意事項の提供のほか、ヒグマ対策アイテムのレンタルを行っています。準備が整ったら、出発前に必ず立ち寄って、近況をよく調べてから行きましょう。