2010年05月11日
その他
環境省稚内自然保護官事務所では、利尻山の適切な管理に向けた基礎データの収集を目的として、利尻山の利用動態の集計・分析を行っています。ここでは、利尻山の2コースそれぞれの登山口に6〜10月の期間のみ設置している赤外線式登山者カウンター(赤外線センサーによって登り下り方向別の登山者を記録する装置)による計測値と、登山計画書の集計結果を対象とした調査結果をお知らせするとともに、山頂付近に設置している気象観測計のデータと、これら利用統計データを比較した資料を紹介します。
平成15年に登山者カウンターを設置。平成15年〜20年までは、年別に集計をしていた。登山者数は平成15年をピークに減少傾向にあったが、平成20年には4年ぶりに1万人台となった。
※年別登山者数=登山者カウンター計測値+1〜5月分,11月〜12月分登山計画書把握入山者数
H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 | |
---|---|---|---|---|---|---|
両コース合計 | 13,243 | 11,271 | 9,746 | 9,622 | 9,765 | 10,045 |
平成21年以降、集計区切りを「年別」から「年度別」に変更。入山者数は前年比1割減で、記録開始以来、はじめて9千人を割った。
※年度別入山者数=登山者カウンター計測値+4〜5月分,11月〜3月分登山計画書把握入山者数
H21 | |
---|---|
両コース合計 | 8,906 |
年別入山者数は前年比1割減だったが、月別の入山者数構成比はほぼ例年通りであり、7月が最も入山者の多い月となった。コース別では、例年通り、鴛泊コースが全入山者数の90%以上を占めた。
※集計対象=6〜10月の間、各コース登山口に設置している登山者カウンター計測値のうち、登り方向のみ入山者数
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 総計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
鴛泊コース | 2,267 | 2,897 | 1,864 | 916 | 63 | 8,007 |
28.3% | 36.2% | 23.3% | 11.4% | 0.8% | 100.0% | |
沓形コース | 134 | 234 | 254 | 167 | 28 | 817 |
16.4% | 28.6% | 31.1% | 20.4% | 3.4% | 100.0% | |
両コース合計 | 2,401 | 3,131 | 2,118 | 1,083 | 91 | 8,824 |
27.2% | 35.5% | 24.0% | 12.3% | 1.0% | 100.0% |
6月から10月間に提出された登山計画書による同期間の登山者カウンター計測値の把握率は、55.6%であり、夏山シーズンの計画書提出率は決して高くない。一方、積雪期においては、近年は3月から4月の残雪期のスキー・スノーボードによる入山が増えているが、これらの利用者の計画書提出はほとんど見られないのが現状である。今後は、対象に応じた提出率の向上策を講じると共に、非提出者層の属性についても調査が必要である。
※把握率=計画書による把握人数÷登山者カウンター登り方向計測値(両コース合計値)
両コース合計 | |||
---|---|---|---|
月 | パーティー数 | 把握人数 | 把握率 |
4 | 4 | 8 | |
5 | 28 | 64 | |
6 | 335 | 1,268 | 52.8% |
7 | 694 | 694 | 55.6% |
8 | 547 | 1,244 | 58.7% |
9 | 261 | 626 | 57.8% |
10 | 18 | 25 | 27.5% |
11 | 1 | 1 | |
12 | |||
1 | |||
2 | 2 | 3 | |
3 | 2 | 6 | |
総計 | 1892 | 4986 | 55.6% |
月別データでは、7月の入山者数が最も多かったが、日別(旬別)に見ると6月下旬から7月中旬までに利用のピークが形成されていることが分かる。特にツアー登山は、同時期に集中する。その後、一旦落ち着いたあと、8月25日に200人近い入山が見られるが、これは地元高校の全校登山があったため。
※データ=登山者カウンター登り方向計測値
平成21年に日別入山者数が200人を超えたのは2日。その他、入山者数上位15日は、8月の学校登山を除いて、すべて6月下旬から7月中旬に集中しているが、曜日や祝祭日に関わらない集中の傾向を見せるのは、最北の離島である利尻島の地理的条件を反映したものであろう。
※データ=登山者カウンター登り方向計測値
順位 | 日付 | 曜日 | 入山者数 |
---|---|---|---|
1 | 2009/6/27 | 土 | 221 |
2 | 2009/7/3 | 金 | 209 |
3 | 2009/8/25 | 火 | 191 |
4 | 2009/6/26 | 金 | 176 |
5 | 2009/6/30 | 火 | 162 |
6 | 2009/7/4 | 土 | 160 |
7 | 2009/7/18 | 土 | 159 |
8 | 2009/6/24 | 水 | 154 |
9 | 2009/7/19 | 日 | 153 |
10 | 2009/7/7 | 火 | 148 |
11 | 2009/6/28 | 日 | 138 |
12 | 2009/7/6 | 月 | 134 |
12 | 2009/7/2 | 木 | 134 |
14 | 2009/6/20 | 土 | 133 |
15 | 2009/7/17 | 金 | 132 |
15 | 2009/7/13 | 月 | 132 |
総計 | 2,536 |
入山は午前4時半から5時半頃に集中しているのに対して、下山時間は歩行ペースの違いを反映して分散傾向を見せる。この入下山時間の傾向は、6月から10月の間ほぼ同様だが、入山者数の多い時期には、山頂付近で登り下り両方向の登山者が重複することから、渋滞が発生しやすい。
※データ=6〜10月間の登山者カウンター分単位計測値合計
「H21登山者カウンター計測値集計結果」 [PDF 422KB]
「H21登山計画書集計結果」 [PDF 987KB]
【参考】利尻山における入山者数と山頂気象の関係(平成21年度) [PDF 182KB]
「登山者数/入山者数の集計方法について」 [PDF 121KB]
利尻山では、平成15年から6月〜10月のいわゆる夏山シーズンの間、鴛泊・沓形の両コース登山口に赤外線式の登山者カウンターを設置しており、このカウンターの計測値を「夏山登山者数」、それ以外の季節は、登山計画書によって確認できる入山者を「冬山入山者数」として、双方の和を年間登山者数として記録・公表しています。
しかし、平成20年度シーズンまでは、登山者数カウンターの機械トラブルで、欠測や異常値の発生が続いたため、登山者数カウンターの欠測値を補う目的で、カウンターが正常に作動している期間の計測値に対する登山計画書の提出人数の割合から、架空の登山者数を算出していました。(※詳細は、「利尻山における登山者数/入山者数集計方法の詳細について」をご参照ください。)
ただし上記の計算による登山者数の算出方法は、月別に登山計画書の提出率が同じであることを前提としており、精度に安定性が欠けることから、平成21年度からは、あえて架空の数値を作らず、あくまで登山者数カウンターの計測値を記録・公表に用いることに集計方法を変更しました。また、この変更に伴い、集計上の区切りも「年別」から「年度別」に変更しています。
登山者カウンターは、機械による計測であり、多かれ少なかれミスカウントが生じるため実際の入山者数とは異なります。また、登山計画書も全員が提出するわけではなく、また提出しても天候条件による登山中止や、メンバーの人員変更等が生じるため、実際の登山者数を知ることはできません。
このため、利尻山の利用者数は、集計方法の変更によらず、あくまで推計の登山者数/入山者数に過ぎません。この点をご理解の上、統計データをご参照下さい。