１．調査の背景

　富士箱根伊豆国立公園の重要な構成要素である富士山の登山者数については、平成16年までは登山口の車両数や吉田口登山道６合目での通過者数調査等から推計しており、富士山山頂部への登山者数を把握するまでには至っていませんでした。
　このため環境省では、平成17年から富士山山頂部へのより正確な登山者数を把握し、国立公園の適正な利用の推進に資するため、４つの登山道（吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート及び富士宮ルート）のそれぞれ８合目付近に赤外線カウンターを設置することにより、登山者数調査を実施しています。

２．集計結果

今年７月１日から７月21日までの結果は以下のとおりです。なお、カウンターが濃い霧に対して誤作動を起こしている場合があることが確認されているため、登山者カウント数については補正を行っています。（「３．（３）カウンターの数値と補正」を参照）

①

富士山の登山者数の比較
調査期間における富士山８合目における全登山者数は約7.9万人で、昨年の同期間と比較して約2.0万人増加しました（昨年比＋35.0％）。現時点では、調査を始めてから最大の登山者数となっています。
なお、これについては、主に以下３点の理由が考えられます。

• 世界文化遺産登録に伴い、国内外から富士山が注目されたこと。
• 富士山における梅雨明けが７月上旬と例年より早かったこと。
• 残雪が少なく、登山道の開通が早かったこと。

表１：富士登山者数の比較（７月１日 〜 ７月21日）

	h22年	H24年	H25年
全登山者数（人）	55,036	58,546	79,057

※：

比較対象は、過去最大の登山者数（７月１日〜８月31日）であった平成22年及び次に登山者数が多かった昨年のデータを使用。

②

登山道別の登山者数の比較
調査期間における各登山道別の登山者数及び全体登山者数における各登山道別の登山者数の割合は、以下のとおりです。

表２：各登山道別の登山者数の比較（７月１日 〜 ７月21日）

	H22年	H24年	H25年
吉田 ルート	34,434 (63%)	37,702 (64%)	47,453 (60%)
富士宮 ルート	11,859 (22%)	12,813 (22%)	17,024 (21%)
須走 ルート	8,136 (15%)	5,293 (9%)	9,990 (13%)
御殿場 ルート	607 (1%)	2,738 (5%)	4,590 (6%)

※：

括弧内は全体の割合。小数点以下を四捨五入しているため合計が100％にならない場合があります。

図１：富士山の全登山者数及び各登山道別登山者数の比較（７月１日 〜 ７月21日）

③

日別登山者数の推移
調査期間における各登山道の日別登山者数は、以下のとおりです。なお、４登山道の登山者数の合計が、調査期間において最大だった日は７月14日（日）の10,315人です。

図２：日別登山者数

④

時間帯別登山者数の推移
吉田ルートでは、時間によって登山者数の変動が激しく、６時から８時の早朝（※１）、16時から17時までの夕方（※２）、23時から25時までの深夜（※３）に３つの登山者数のピークが認められました。
富士宮ルートでは、日中に８合目を通過する登山者が多いものの、夜間登山者も多くみられました。

※１：

この時間帯のピークは、主に８合目未満の山小屋で宿泊する登山者及び早朝からの日帰り登山者によるものと推定されます。富士宮ルートも同様と推定されます。

※２：

この時間帯のピークは、主に８合目以上の山小屋で宿泊する登山者によるものと推定されます。

※３：

この時間帯のピークは、主に山頂で御来光を見る予定の登山者によるものと推定されます。

図３：時間帯別登山者数

３．調査方法概要（従来と同様）

（１）

カウンター設置位置
全ての登山口からの利用者を把握するため、山小屋の協力を得てカウンターを４登山道のそれぞれ８合目付近に設置しました。協力頂いた山小屋は以下のとおりです。
吉田ルート：太子館、須走ルート：見晴館、御殿場ルート：赤岩八合館、富士宮ルート：池田館

（２）

計測機器について
設置したカウンターは、赤外線反射を利用してセンサーにより通過人数をカウントする仕組みです。日時、方向（上り下りを識別）が記録され、日ごとの登山者数等を把握することができます。

（３）

カウンターの数値と補正
カウンターが濃い霧に反応していることが確認されているため、実測データはカウンターの誤作動の結果を含む可能性があることから、各登山道の実測データに対して１秒以内に連続カウントしている部分は、霧による誤作動とみなし排除するという補正を行いました。

【参考】

１．調査期間及び与条件

調査期間及び調査期間の登山者数に影響を及ぼすと考えられる与条件は以下のとおり。

①

調査期間
調査期間は、７月１日〜７月21日です。

②

今回のデータの採用年
比較対象として、過去最大の登山者数であった平成22年及び次に登山者数が多かった昨年のデータを使用しています。
※ルート別では昨年の吉田ルートが過去最大値（約19万人）

＜参考＞富士山の登山者数の推移（７月１日　〜　８月31日）下線は比較対象年

③

登山道開通日

吉田口：

平成22、24、25年　７月１日

富士宮口：

平成22年７月９日　平成24年７月13日　平成25年７月８日

須走口：

平成22年７月８日　平成24年７月８日　平成25年７月１日

御殿場口：

平成22年7月９日　平成24年７月20日　平成25年７月１日

④

マイカー規制（今回の発表に関連する日のみ記載）

平成22年：	富士宮ルート	７月16日(金)17時〜19日(月)17時
平成24年：	吉田ルート	７月14日(土)０時〜16日(月)24時
	富士宮ルート・須走ルート
		７月13日(金)17時 〜 　16日(月)17時
		７月20日(金)17時 〜 　22日(月)17時
平成25年：	吉田ルート	７月12日(金)17時 〜 　15日(月)17時
	富士宮ルート	７月12日(金)17時 〜 ９月１日(日)17時
	須走ルート	７月12日(金)17時 〜 　15日(月)17時
		７月19日(金)17時 〜 　21日(日)17時

※

御殿場ルートは、マイカー規制なし

２．休日及び平日の登山者数

調査期間における休日及び平日の登山者数は、以下のとおりです。
なお、各年で登山道開通時期が異なるため、４登山道全ての開通後で利用が集中する日（海の日前後）のデータを提示しています。