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富士箱根伊豆国立公園の写真

公園の特長

太平洋の島々から霊峰富士を繋ぐ一大火山群
-- 火山地形と文化が創り出す多様な景観 --
指定:昭和11年2月1日、富士箱根国立公園(昭和30年3月15日、伊豆半島地域編入・名称変更、昭和39年7月7日、伊豆諸島地域編入)
公園面積 161,202ha
陸域 121,755ha
海域 39,447ha(伊豆半島地域については海域の面積を算出していないため、伊豆諸島地域分のみ)
東京都、神奈川県、山梨県、静岡県
富士山は、単にわが国の最高峰の山というだけでなく、日本人の心の奥に根差した名峰であり、日本の象徴として世界的にも知られている山です。
富士箱根伊豆国立公園は、富士山を北端として富士火山帯に属する各種火山地形や温泉、変化に富む海岸線や島嶼からなる火山国日本を代表する国立公園です。
富士箱根伊豆国立公園は、富士山を中心にその周辺の湖沼や高原を含む富士山地域、東海道の宿場町であり、古くから温泉地として名高い箱根地域、天城連山と変化に富んだ海岸線、そして温泉が魅力の伊豆半島地域、今日でも火山活動が活発な島々を含む洋上の火山島からなる伊豆諸島地域の4地域に分けられます。
いたるところから秀麗な富士山が眺望でき、首都圏に近いこともあって、日本で来訪者が最も多い国立公園です。

地形・景観

田貫湖から望む富士山の写真

田貫湖から望む富士山

富士山地域
富士山は、日本一標高が高い成層火山として有名で、均整のとれた山体の美しさは世界的に知られています。標高は3,776mで、山腹には宝永山・大室山など70以上の側火山(中腹や山麓に生じた小火山)が存在し、その多くは北西~南東方向に並んでいます。
白糸の滝の写真

白糸の滝

これらから流れ出た溶岩流は富士五湖(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)を形成し、北西山麓の溶岩流の上には広大な原生林である青木ヶ原樹海が広がっています。
溶岩トンネルの写真

溶岩トンネル

また、風穴・氷穴や樹木の鋳型のような溶岩樹型といった、火山地帯特有の溶岩トンネルが数多く存在しています。
大涌谷の写真

大涌谷

箱根地域
箱根地域は、様々な火山地形や火山噴出物が見られることから、「火山の博物館」と言われています。箱根火山は、何度も噴火を繰り返してできた山々の総称であり、約3,000年前に箱根火山最高峰の神山の大崩壊によって川がせき止められてできた芦ノ湖や仙石原、現在も噴気現象がみられる大涌谷などの優れた風景を見ることができます。また、多くの温泉にも恵まれています。
仙石原のススキ草原の写真

仙石原のススキ草原

箱根地域は、独特の火山地形、多様な動植物、特色ある文化・産業が評価され、平成24年に日本ジオパークに認定されました。
伊豆山稜線歩道からの富士山の写真

伊豆山稜線歩道からの富士山

海食崖と富士山の眺望の写真

海食崖と富士山の眺望

伊豆半島地域
伊豆半島は、かつて南洋にあった火山島や海底火山群がフィリピン海プレートに乗って北上し本州に衝突して誕生しました。現在も火山活動や地殻変動が続いており 、豊かな温泉や日本一深い湾である駿河湾、変化に富んだ美しい海岸線やなだらかな山容の天城連山など、恵まれた地質資源と地質に育まれた自然・文化の保全活用が評価され、平成24年に日本ジオパークに認定されました。
大島の三原山火口の写真

大島の三原山火口

式根島カンビキ展望台からの写真

式根島カンビキ展望台から

伊豆諸島地域
伊豆諸島地域は、東京からほぼ南、120~290kmの太平洋に点在する火山島です。大島・利島・三宅島・御蔵島・八丈島は玄武岩質の流動性の高い溶岩を主とし、新島・式根島・神津島は流紋岩質の粘り気の強い溶岩から成り立ち、白砂と青い海のコントラストが美しく見られます。大島と三宅島は現在も火山活動が活発で、新旧の溶岩により様々な火山地形が見られます。利島、御蔵島はほぼ円形の火山島で海食崖が発達しており、八丈島は二つの火山が合体してできた島で、対比に特色があります。

植物

富士山地域
富士山では、植生の分布が標高により変化する典型的な垂直分布がみられます。山麓から山頂にかけて、落葉広葉樹林帯・常緑針葉樹林帯・火山荒原へと変化します。新しい火山であるため、ハイマツ群落がないのも特徴の一つです。
フジアザミの写真

フジアザミ

箱根地域
箱根火山には、ブナ、ケヤキなどの落葉広葉樹を主とする自然林が残されています。また、国の天然記念物に指定され、多様な湿性植物がみられる仙石原湿原や台ヶ岳の斜面に広がるススキ草原などでは、四季の美しさを楽しむことができます。また、箱根地域には、サンショウバラやマメザクラなどの富士火山帯特有の植物が生育しています。
サンショウバラの写真

サンショウバラ

生物学的研究が盛んだったことから、ハコネトリカブトなどの「ハコネ」を冠した動植物も見られます。
伊豆半島地域
天城縦走路沿いには、貴重な太平洋側のブナ原生林が大規模に残されており、生物多様性の保全上の重要地域となっています。アマギシャクナゲ・アセビなどが咲く春や紅葉の美しい秋を中心に多くの人が訪れます。
天城縦走路沿いのブナ林の写真

天城縦走路沿いのブナ林

動物

富士山地域
富士山一帯は多くの野鳥が生息し、野鳥の楽園と呼ばれています。
箱根地域
生物学的研究が盛んだったことから、ハコネサンショウウオなどの「ハコネ」を冠した動物も見られます。
ハコネサンショウウオの写真

ハコネサンショウウオ

伊豆諸島地域
伊豆諸島は渡り鳥の経路になっているため鳥類相が多様であり、アカコッコ、イイジマムシクイなど数多くの固有種が生息しています。
御蔵島周辺海域などではミナミハンドウイルカが生息し、ルールを守ったイルカウォッチングが行われています。
イルカウォッチングの写真

イルカウォッチング

文化

開山祭の様子の写真

開山祭の様子

富士山地域
古の時代から美しさが讃えられてきた富士山は、富士を神体とする富士山信仰が芽生え、江戸時代になると民衆の行楽としての信仰登山(富士講)が盛んになりました。
富士山頂での御来光の写真

富士山頂での御来光

また、葛飾北斎の富嶽三十六景を代表とする浮世絵の題材に使われるなど日本人の信仰や美意識、さらに海外の絵画文化にも大きな影響を与え、その信仰の対象と芸術の源泉としての価値が評価され、平成25年6月22日、世界文化遺産に登録されました。
東海道箱根八里の石畳の写真

東海道箱根八里の石畳

箱根地域
箱根は、東西交通の要衝として江戸時代には関所が設けられ、東海道の宿場町として賑わいました。当時から「箱根七湯」と呼ばれ親しまれてきた箱根温泉は、風光明媚な温泉地として、現在でも多くの利用者を魅了しています。

川端康成の伊豆の踊り子の碑の写真

川端康成の伊豆の踊り子の碑

伊豆半島地域
江戸時代の伊豆は幕府直轄領で、江戸城の石垣に用いられた石材が切り出されました。この他、川端康成の「伊豆の踊子」、井上靖の「しろばんば」など、文学作品の舞台ともなっています。