2009年09月17日
その他
2009年9月17日
箱根自然環境事務所
富士五湖自然保護官事務所
沼津自然保護官事務所
環境省では、富士山の登山者数を把握するため、平成17年度から4登山道の各八合目付近に赤外線カウンターを設置して登山者数調査を実施しており、今般、平成21年度の調査結果がまとまりましたので、お知らせします。
富士山の主要シーズンである平成21年7月1日から8月31日までの富士山八合目でのカウント数の合計は約29万2千人で、今夏の天候不順などにより、昨年度に比べて約1万3千人減少しましたが、昨年に引き続き、約30万人の多くの利用者が富士山を登山していることがわかりました。
富士箱根伊豆国立公園富士山への登山者数については、平成16年度までは登山口の車両数や吉田口登山道六合目での通過者数調査等から推計しており、富士山山頂部への登山者数を把握するまでには至っていませんでした。
このため環境省では平成17年度から、富士山山頂部へのより正確な登山者数を把握し、公園の適正な利用の推進に資するため、4本の登山道(吉田口、須走口、御殿場口及び富士宮口)のそれぞれ八合目付近に赤外線カウンターを設置することにより登山者数調査を実施しています。
平成21年度の結果は以下のとおりです。なお、カウント数はカウンターが濃い霧に対して誤作動を起こしている場合があることが確認されたため、平成19年度から21年度の登山者数は補正を行っています。(3.(4) 参照)
富士山八合目における全登山者数は、平成17年度の約20万人から過去5年間で約9万人増加しており、平成21年度は昨年度と比較して約1万3千人減少したものの、昨年度に引き続き、30万人近い登山者が富士山八合目以上を訪れています。
平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | |
全登山者数(人) | 200,292 | 221,010 | 231,542 | 305,350 | 292,058 |
各登山道別の登山者数と全体登山者数における割合は、多い順に、吉田口登山道で約17万人(約58%)、富士宮口登山道で約7万人(約23%)、須走口登山道で約4万人(約15%)、御殿場口登山道で約1万人(約4%)です。昨年度と比較して、富士宮口登山道で約3千人増加したほかは、各登山道で数千人規模で減少しています。
平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | |
吉田口 | 108,247 (54%) |
119,631 (54%) |
132,980 (57%) |
172,369 (56%) |
169,217 (58%) |
富士宮口 | 57,962 (29%) |
61,611 (28%) |
54,011 (23%) |
64,034 (21%) |
67,590 (23%) |
須走口 | 25,416 (13%) |
30,536 (14%) |
33,394 (14%) |
52,323 (17%) |
43,861 (15%) |
御殿場口 | 8,667 (4%) |
9,232 (4%) |
11,157 (5%) |
16,624 (5%) |
11,390 (4%) |
図1:過去5年間の富士山の八合目以上の全登山者数及び登山道別の登山者数の推移
吉田口、須走口、富士宮口登山道では、登山者は土日及び8月のお盆の時期に集中するほか、シーズンを通しては、気温の低い7月の中旬頃までは比較的少なく、7月下旬から8月末までの時期に多くなる傾向がありました。特に今年度は、一部の山小屋が閉鎖し、気温が下がり始める8月下旬においても、登山者数が減少しない状況が見られました。
御殿場口登山道については、他の登山道と比較して、休日に登山者が集中する傾向やシーズン中の登山者数の変化は明瞭に認められませんでした。
図2:平成21年度の各登山道における日別登山者数
登山者数(H21) | 平均気温日平均(H21) | 平均気温日最高(H21) | 平均気温日最低(H21) | 平均気温(平年値) | 最高気温(平年値) | 最低気温(平年値) | ||
7 | 上旬 | 11,211 | 3.2 | 5.7 | 0.5 | 3.6 | 6 | 1.3 |
中旬 | 43,024 | 4.6 | 7.4 | 1.7 | 4.6 | 7.1 | 2.2 | |
下旬 | 44,600 | 5.6 | 8.3 | 2.8 | 5.6 | 8.6 | 3.2 | |
8 | 上旬 | 66,440 | 7.3 | 11 | 4.8 | 6.1 | 9.1 | 3.5 |
中旬 | 60,741 | 7.2 | 11.4 | 4 | 6.2 | 9.3 | 3.6 | |
下旬 | 66,026 | 5.3 | 8.9 | 2.4 | 5.7 | 8.8 | 3.1 | |
*気温は気象庁のデータを引用 |
図3:平成21年の旬別登山者数の割合
なお、登山者数が最大だった日は、8月22日(土)で、4登山道合計で約1万1千人でした。8月8日(土)、7月19日(日)、8月1日(土)も同様に約1万人を超えています。
各登山道別の最大カウント数及び日程は以下のとおりです。
登山道 | 最大カウントした日 | 最大カウント数(人) |
吉田口 | 8月22日(土) | 6,197 |
富士宮口 | 8月8日(土) | 2,880 |
須走口 | 7月19日(日) | 2,734 |
御殿場口 | 7月13日(月) | 596 |
吉田口登山道では、夕方から夜間にかけて多くの登山者が8合目を通過しており、16時から17時までの夕方(※1)と23時から24時までの深夜(※2)に2つの登山者数のピークが認められました。
富士宮口登山道では、午前中に8合目を通過する登山者が多いものの、夜間登山者も多くみられました。須走口や御殿場口登山道においても、夜間登山者が見られます。
(※1:富士スバルライン五合目から登り始めた場合は13時から14時くらいに出発したと想定されます。)
(※2:富士スバルライン五合目から登り始めた場合は19時から20時くらいに出発したと想定されます。)
図4 平成21年度の時間別登山者数
全ての登山口からの利用者を把握するため、山小屋の協力(※3)を得てカウンターを4登山道のそれぞれ八合目付近に設置しました。(地図参照)
※3:協力頂いた山小屋は以下のとおりです。
吉田口:太子館、須走口:見晴館、御殿場口:赤岩八合館、富士宮口:池田館
設置したカウンターは、赤外線反射を利用してセンサーにより通過人数をカウントする仕組みです。日時、方向(上り下りを識別)が記録され、日ごとの登山者数等を把握することができます。
雷雨の発生や台風の接近時には、カウンターを一時的に山小屋に撤去しているため、データが一部欠損している場合があります。そのため、吉田口で2日間、須走口で10日間、山小屋の点検簿(山小屋で記録した登山者数)から補正し、須走口で1日間、富士宮口で1日間は、データが欠損しています。
カウンターが濃い霧に反応していることが確認できたため、実測データはカウンターの誤作動の結果を含むと考えられたことから、各登山道の実測データに対して、1秒以内に連続カウントしている部分を排除するという補正を行いました。
なお、吉田口登山道の場合は、カウンターを設置している登山道の幅が比較的広く、混雑時には特に登山者が並列し、かつ連続的に通過しており、実際の登山者数に比して実測値が低くなっている可能性があります。
富士山は標高3776mの日本で最も高い山であり、気候の変化が激しく夏でも零下になるなど気象条件は厳しいですが、シーズン中は軽装で登山をする方が多く見受けられます。また、富士登山シーズンが終了する直前で一部の山小屋が閉鎖する8月末においても、軽装で富士登山を行っている方が散見されます。生命に関わることですので富士山を登山される方は、きちんと現地の情報を収集し、十分な装備で安全に留意して登山するようにお願いいたします。