奄美大島の渓流
成り立ち
奄美群島は、弧状に連なる琉球列島の中ほどに位置し、新生代の新第三紀(約2,300万年から約260万年前)以降の激しい地殻変動により、大陸や日本本土と陸続きになったり離れたりを繰り返してきました。琉球列島が形成される過程で、生物の移動が制限され、はるか昔は大陸に広く分布していた生物はその島々に閉じ込められ、何万年もの長い年月をかけて島ごとに固有の種へと進化していきました。
約1,200万年前以前
約1,200万年前以前には大陸と陸続きであったため、アマミノクロウサギの祖先を含む多くの生物は大陸に広く分布していたと考えられています。
約1,200万ー200万年前
約200万年前までには琉球列島が大陸から切り離され、九州に続く北琉球、中琉球、南琉球のブロックに分離しました。このうち奄美群島国立公園のある奄美群島は中琉球に含まれます。
約200万年前ー現在
その後、中琉球は海面変化などによる近隣の島間での分離・結合を繰り返し、現在の島の形になりました。その過程で、多くの生物は島々に閉じ込められ、何万年もの長い年月をかけて島ごとに固有の種へと進化していきました。
奄美群島の島々は、その成り立ちの違いから、動植物や景観の様子が大きく異なる2種類の島々に分けられます。
山地のある高島(加計呂麻島)
山地のある高島
(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島)
新生代新第三紀より古い地層から構成され、山地が多く起伏が大きい。山地が海岸線まで迫り、周囲は切り立った崖をなして平地が少ない。
低く平らな低島(沖永良部島)
低く平らな低島
(喜界島、沖永良部島、与論島)
新生代第四紀に形成された琉球石灰岩からなり、山地が少なく地形は低平。段丘地形がよく発達しており、数段の階段状をした段丘を見ることができる。
奄美群島は、年平均気温約21℃、年間降水量が多く(奄美大島では約2,800㎜)温暖・湿潤な気候であることと、各島の成り立ちの違いから、亜熱帯照葉樹林、干潟、リアス海岸、サンゴ礁など多様な自然環境が存在しています。