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エコツーリズムに取り組む地域への支援

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平成25年度エコツーリズム推進アドバイザー派遣事業

報告会

アドバイザー派遣事業を通じて行われた取組を多くの方々に共有するため、事業報告会を開催しました。

本報告会では、アドバイザー派遣を活用して取組を行った2地域、現地に赴いていただいた3名のアドバイザーから、地域の取組や課題、アドバイザー派遣を通じて目指したこと等を報告していただきました。

会場
主催 環境省 (業務委託先 公益財団法人日本交通公社)
日時 2014年3月4日(火)13:30〜17:30
会場 公益財団法人日本交通公社 大会議室
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-6-1朝日生命大手町ビル17階
参加費 無料
関連資料 パンフレット  PDFファイル[418KB]  新規ウィンドウで開きます

ご挨拶

環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室長 中尾 文子

中尾 文子 氏
  • 環境省は、地域の方々が地域の宝を探して磨き、それを旅行者に伝えて、感動を与えようという地域自らが元気になる取組をエコツーリズムと考えて応援している。
  • 現在、日本の地域は過疎化や高齢化など疲弊状態にあり、支える人がいなくなり、景観が失われている。一方、政府一丸となって、訪日観光客増加による日本経済の活性化を目指している。
  • このような中、自然を保護し、かつ地域の楽しさを見つめ直して環境教育に貢献するエコツーリズムを一層推進していきたい。
  • この「エコツーリズム推進アドバイザー派遣事業」もそのような環境省の取組の一環。地域ごとの個別の状況を踏まえて、適切なアドバイスをしていただくもの。
  • 本日は地域の取組の様子を発表いただくほか、アドバイザーからは、地域、日本、環境省に対して、「こうしたらいいのではないか」というご指導をいただきたい。

地域からの報告:新潟県妙高市での取組

[新潟県妙高市 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

妙高市環境生活課環境企画係 主事 市川 健一郎 氏

市川 健一郎 氏
●妙高市の概況について
  • 妙高山麓一帯は上信越国立公園に指定されており、雄大な自然の景観と四季折々の変化に富む。豊富な温泉やスキー場などの観光地として発展してきたが、平成24年度の観光入込客数は、ピーク時と比較すると約半分、スキー場入込客数については約5分の1。
  • 東京から長野新幹線で約2時間半、車だと約3時間の位置。平成26年度末開通予定の北陸新幹線では約1時間半となる。
  • 豊かな自然と人が共生し、全ての生命を安心して育むことのできる「生命地域の創造」をまちづくりの理念に掲げており、理念実現のため、スローツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、アート&カルチャーツーリズムという4つのツーリズムを位置付けている。
  • 豊かな自然の保全・継承、観光地としてのイメージ向上のため、「エコ・トレッキング」という、ゴミ拾いを市民と一緒に行う自然保護・保全活動イベントに取り組んできたが、足りない点も多々あると認識している。
エコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • 今の妙高市の理念には含まれていないエコツーリズムについて、その考え方の導入可能性を探るとともに、新たな地域資源の活用・発見につなげるため本事業を活用した。
  • 国立公園を抱える妙高市は、環境保全、利用、管理運営といった大きく分けて3点の課題を抱えている。
  • アドバイザーの鈴木順一朗氏からは、まず、基本的なエコツーリズムの考え方を教えていただいた。妙高市でエコツーリズムを取り入れる場合、新しいものを一から築くのではなく、今の妙高市の土台に「環境」を落とし込めば良いとアドバイスいただいた。
  • この柱の他、①観光産業においては、集客のために広報戦略と宣伝が重要であること、②妙高市の基本理念「生命地域の創造」がエコツーリズムの考え方に合致しているため、エコツーリズムの導入可能性が高いこと、③市内外に向けた環境教育を発展・充実させ、市民の地元に対する誇りの醸成が重要であること、④市内には良い資源があるが、このままでは妙高ならではの特色がないため、他地域と差別化するため妙高の宝の再確認と磨き上げが重要であること、⑤ガイド団体や専門学校などエコツアーを展開する担い手には恵まれているため、上手な連携が重要であること、という5つのアドバイスをいただいた。
  • 今後は、環境省などと協力した国立公園の協働管理体制の構築、「総合健康都市」という町そのものを健康にしようという取組と連動した活動、環境教育内容の検討、時期を逃さない広報戦略に基づいた情報発信、といった4点に重点的に取り組んでいきたい。

地域からの報告:静岡県東伊豆町での取組

[静岡県東伊豆町 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

東伊豆ECOツーリズム協議会 事務局 杉本 充伯 氏

杉本 充伯 氏
東伊豆町の概況について
  • 町の北から西側には天城連山が連なり、東側は海岸線が続く。平地が非常に少なく、河川流域と山間部にわずかな盆地がある程度。
  • 大川、北川、熱川、片瀬、白田、稲取という6つの温泉エリアを擁する。大川から白田までは旧城東村。旧稲取町と旧城東村が合併し、昭和35年に東伊豆町が誕生した。
  • メイン産業は観光業。平成15年には約120万人の入込客数であったが、平成24年は87万5000人。
  • 農業、漁業も盛んで、みかん、カーネーション、「稲取金目」が特産品。
  • 町内には先土器時代から縄文・弥生時代にかけての遺跡も残っている。人の暮らした痕跡が古い。またこのエリアでは、約400年前に江戸城の築城石が切り出されており、この石が町内の至る所に転がっている。
  • 町の合併時に旧町村の所有地について対応が検討された際、城東地区は企業に売買した。そのため、貴重な遺跡が出土していながら土地開発のため別荘地にしてしまったことがある。稲取地区は地区で管理を行っているため、ある程度保全されている。
地域の課題と東伊豆ECOツーリズム協議会について
  • 東伊豆町を訪れる観光客の行動パターンは、東伊豆町周辺で観光をした後、東伊豆町の宿泊施設に滞在するというもの。いかに町内に滞在し楽しんでもらうかということが課題。東伊豆町には様々な自然があり、それらを活用したグリーンツーリズム、ブルーツーリズムを目指している。
  • 東伊豆ECOツーリズム協議会は行政主導ではなく、地元ペンションのオーナーが中心になって民間で立ち上げてきた協議会。
エコツーリズム推進アドバイザー派遣について
  • アドバイザーの渡邊法子氏には、ジオサイト、自然景観、古道、縄文遺跡・江戸城築城石史跡を視察していただき、ガイド養成の重要性、保全の必要性、行政との連携の必要性等についてアドバイスをいただいた。
  • アドバイザー派遣を通じて今まで全く知らなかった東伊豆町について知ることができた。また、貴重な火山弾や刻印石など、様々なものが保全されていないという危険性に気付くことができた。
  • 今後は、町民が地元のことをよく知るために「大人のふるさと学級」を開催し、町民のエコツーリズム理解度の向上や、ガイド養成につなげていきたい。

アドバイザーからの報告:栃木県市貝町、静岡県東伊豆町

アイ・エス・ケー合同会社 代表 渡邊 法子 氏

1)栃木県市貝町への派遣について

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渡邊 法子 氏
●栃木県市貝町について
  • 市貝町の一番の自然観光資源はサシバという絶滅危惧種の渡り鳥。町では「サシバの里いちかい」として、サシバの町としてのまちづくりが始まったところ。
  • 町内に宿泊施設は1軒ぐらいしかなく、観光産業とはほとんど無縁の町。今度誕生する道の駅で、地域住民や旅行者に町の素晴らしい自然環境や歴史を伝えていきたいが、その活用方法を知りたいということであった。
●アドバイスの内容について
  • エコツーリズムにおいて、地域資源の魅力を来訪者に伝えるガイドの存在は不可欠であるが、地域特有の自然観光資源について最も詳しいのは地元の方であり、地域人材の育成が不可欠である。
  • 地域住民が地元の観光資源について感動でき、その感動を自分の言葉で来訪者に語ることができるように、人材育成を進めるべき。また、地域全体で継続可能な形で人材育成に取り組むことが重要。
  • 人づくりがある程度進んだら、地域内で活動されている方をコーディネートし組織化する。
  • こうした人材育成が出来て初めて、商品造成と流通のためのツアーデスクを設置する。事業継続のためには財源の確保も重要となる。
  • 市貝町で策定中のサシバの里の基本構想は、エコツーリズムの全体構想に準じて進められていると見受けられた。重要な資源を活用しようしており、行政と一緒に進めてもらいたい。
2)静岡県賀茂郡東伊豆町への派遣について

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●静岡県東伊豆町について
  • 東伊豆町では、町内にある多様な資源をどのように今後の観光に生かして、地域経済活性化につなげられるかと模索している。こうした取組が、民間から始まったという特異なケース。
●アドバイスの内容について
  • 東伊豆町でも人材育成の仕組みづくりと事業の継続化は、商品流通のためにも必要。東伊豆町では行政との協働体制構築に苦慮しているが、人材育成に取り組むにあたっても行政との協働は不可欠である。
  • 地権者との関係において、築城石などの資源が厳しい保全状況にあるが、全体構想を策定すれば保全も進めやすくなると考えられる。その意味でも行政との協働は必要不可欠。
3)おわりに
  • そもそもエコツーリズムをどのように売っていくのかという観点で、事業に取り組む必要がある。
  • 盤石な人づくりが土台にあってこそ、商品がうまれ流通していく。

アドバイザーからの報告:千葉県南房総市、静岡県大井川流域

[千葉県南房総市 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

[静岡県大井川流域 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

NPO法人信越トレイルクラブ 事務局長

一般社団法人信州いいやま観光局 事務局次長 木村 宏 氏

木村 宏 氏
●飯山市の取組について
  • 飯山は景色が最大の魅力。ゆっくり落ち着ける雰囲気がある。
  • 飯山はスキー産業の停滞を受けてグリーンツーリズムを推進してきた。南房総市は海水浴客の減少を受けて対応策を模索している。大井川流域でもかつてはSLによる誘客が盛んだったが、現在は苦戦している。
  • 飯山ではグリーンツーリズム推進拠点として、森の家という施設を市がつくった。この森の家がプラットフォームの役割を担っている。
  • 飯山ではボランティア参加型商品に力を入れており、ブナの保全や水田の整備につなげている。
  • 飯山は妙高市とともに森林セラピーにも取り組んでいる。南房総市も森林セラピー認定基地になる予定。
  • 信越トレイルは、トレッキングルート策定により様々な地域の連携を図り、新しい観光を目指すという目的で取り組み始めた。ボランティアの力で全長80kmのトレイルをつくった。
  • 飯山では「ふるさと」のイメージづくりも実践している。商業看板の高さ制限や電線の地中化等、日本の原風景のイメージにそぐわない風景は変えている。
  • 北陸新幹線の開業にあたり観光プラットフォームが必要ということで、信州いいやま観光局が誕生、着地型商品の造成に取り組んでいる。
1)静岡県大井川流域への派遣について
  • 大井川流域振興連絡会は、島田市、吉田町、川根本町、静岡市という4つの行政にまたがっている。この流域の連携とエコツーリズム手法による集客を課題としている。
  • 大井川流域という一つのエリアでありながら、横のつながりや活動がなく、今回の勉強会の場で初めて4市町の行政担当者、体験メニューの提供者が顔を合わせた。
  • ディスカッションや自分たちの取組についての発表を通じて、連携してエコツーリズムに取り組む気運が高まった。連携するためには、共通の概念・理念を醸成することが重要。
  • 大井川流域には、エコツーリズムにふさわしい変化に富んだ素材がある。エコの観点に立ったストーリー作りが可能だと思われる。様々な自然体験メニューの提供者が既に多く活動していることもメリット。
  • 観光地特有の、看板が林立しホテルが目立つといった商業的な印象がなく、もう少し磨きあげれば、来訪者にエコツーリズムの地域だと感じていただけるようになるだろう。
  • 国道と大井川鐡道という2つの連携軸がしっかりしており、ここを軸にした新たな観光の可能性がある。民間の参画があることもポイントになる。
  • 大井川鐡道沿線エリア全体では、2泊3日ぐらいのボリュームになり、リピート性も高い場所。全体構想策定も含んだエコツーリズム推進の可能性が高いと感じた。
2)千葉県南房総市への派遣について
  • 首都圏からのアクセスが良く、東京発のバスは2時間以内で南房総市に到着する。また、このバスはまず道の駅に向かう。交通会社と道の駅の連携可能性も考えられる。
  • 市内の8つの道の駅、「花といえば房総」のイメージ通りの花畑、歴史資源や自然景観など、観光資源は豊富にある。
  • 南房総を巡るトレッキングルート作りを進めるにあたっては、自然学校という核施設の存在が大きな利点となる。
  • エコツーリズムを推進するにあたっては、誰かではなく地域一丸となる必要があること、そのためには意識醸成が必要だということを佐世保の例を挙げてお話しした。
  • 観光客が激減し、民宿をはじめとした多くの宿泊施設が苦戦している。しかし、住民の機運さえ上がってくれば、豊富な観光資源と活発な人材を力に、8つの道の駅を窓口にして取組は進展すると思われる。

アドバイザーからの報告:新潟県妙高市、福井県大野市

[新潟県妙高市 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

[福井県大野 報告レポート  新規ウィンドウで開きます ]

環境カウンセラー(広報戦略)、環境映像ディレクター・プロデューサー 鈴木 順一朗 氏

鈴木 順一朗 氏
●エコツーリズム推進アドバイザーを呼んだ目的
  • 大野市は、湧水が観光資源の目玉になり得るのか、その場合エコツーリズムの考え方を取り入れることは有効なのか、という疑問を抱えていた。
  • 妙高市からは、「生命地域の創造」という基本理念とうまくコラボレートし、国立公園であるということをプラスしてエコツアーの可能性を探りたい、その場合エコツーリズムの考え方は有効か知りたい、という要望を受けた。
●大野市と妙高市の概況について
  • 大野市は巨大な水がめの地形で、水が豊かなために城下町として発展した。市内はどこでも、いい水が勢いよく湧いている。
  • 妙高市は緑が多いところで、町場の中に観光資源はあまりない。自然を中心とした国立公園と共存する町。また、スキー客が激減している。
●エコツーリズムとは何か
  • エコツーリズム推進法の認定は、市町村といった行政に適用される。そのルールの上で展開されるのが「エコツーリズムの上でのエコツアー」。これにより環境保全のルールを前提にエコツアーが展開される。
●「今」の時代に合ったエコツーリズムをどう考えるべきか?
  • リーマンショックや東日本大震災を受け、「エコ」が「環境保全」というより「省エネ」を指す言葉になってしまった。
  • エコツーリズムという特別なひとつの団体や考え方や推進協議会を作るのではなく、行政がエコツーリズムの考え方を全ての施策のベースに入れて、推進してもらいたい。
  • 観光客向けコンテンツは、ニーズに合わせて変化させるべき。
  • 「エコ」という言葉は教育的な響きが強く逆効果。考え方にきちんと入っていれば良い。
  • エコツーリズムは自然の保全と産業を両立させるものであり、観光系担当者と環境系担当者の協働が重要。
●具体的なアドバイス内容
  • 大野市で復活させた水場は、近代的過ぎて人の温かみが感じられなくなっている。竹の座布団を敷くなど、人が集まるような工夫が必要とアドバイスした。
  • 妙高市の誇りであるいもり池には、ブラックバスが繁殖し本来の生態系が崩れている。ブラックバスの排除を住民とともに行ってはどうかとアドバイスした。
●エコツーリズムの導入に際して覚えておいていただきたいこと
  • 観光収入がきちんと確保された、持続可能な運営の仕組みづくりが重要。
  • 一つのヒットツアーづくりが次のニーズを引き出す。
  • エコツーリズムは観光でお金を落としていただきながら、環境の保全もしていこうという考え方。人を呼ぶためには広報と宣伝が必須。

ディスカッション

パネリスト
  • 妙高市環境生活課環境企画係 主事 市川 健一郎 氏
  • 妙高市環境生活課環境企画係長 岡田 雅美 氏
  • 東伊豆ECOツーリズム協議会 事務局 杉本 充伯 氏
  • アイ・エス・ケー合同会社 代表 渡邊 法子 氏
  • NPO法人信越トレイルクラブ 事務局長/一般社団法人信州いいやま観光局 事務局次長 木村 宏 氏
  • 環境カウンセラー(広報戦略)/環境映像ディレクター・プロデューサー 鈴木 順一朗 氏
  • 環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室 室長 中尾 文子 氏
司会
  • 公益財団法人日本交通公社 主任研究員 菅野 正洋
ディスカッション
  • ディスカッションに先立ち、会場から出された質問・意見を事務局にてグループ分けし、行政との連携、組織、情報発信、地域の人材育成、保全、という5つのテーマに沿ってディスカッションを行った。
(1)行政との連携
  • 地域からは今後の取組意向を紹介していただきたい。アドバイザーからは踏み込んだアドバイスをいただきたい。(司会)
杉本氏
  • 東伊豆ECOツーリズム協議会が全体構想策定を持ちかけても、行政の反応は薄い。どうすれば行政との協働体制がとれるのか分からず、苦慮している。
鈴木氏
  • 妙高市でも、当初は行政がエコツーリズムに取り組むことに対して、違和感を覚える声があった。
  • 行政と協働することにより、エコツーリズム推進法に基づいた規制緩和やルールづくりが可能になる。
  • 現時点では、エコツーリズムに取り組んだ地域の成功事例と言えるものがない。成功事例を作ることで、取組の輪が広がるので、今後は一つ一つ成功事例を作ることが重要。
渡邊氏
  • 丹後でも当初行政の反応は薄かったが、地域の魅力を語れる地域人材が育つにつれて、協力を得られるようになった。今では協力してガイド養成を行っている。
  • 地域づくり全体を考えた場合、むしろ行政が主導することが必要。
(2)組織
  • エコツーリズムを進めるにあたり、「観光地域づくりプラットフォーム」等、対外的にも対内的にも中心となる組織が必要、という意見をいただいた。プラットフォームづくりにあたっての意識醸成、目指すべき姿について、信州いいやま観光局の事例をお聞きしたい。(司会)
木村氏
  • 信州いいやま観光局は、飯山駅の誕生をきっかけに、情報の一元化と発信窓口の一本化を図るため誕生した。
  • 一市町村での観光客の受入が難しくなり、またそういったニーズもなくなっている中、情報を一元化し地域を挙げて観光客を受け入れることがますます重要になる。
  • まずは行政も民間も、共にエコツーリズムを推進しようというコンセンサスを持つことが重要。その上でお互いに情報共有をしながら、新しい地域を作っていく。そして、様々な情報を一つのプラットフォームに集約し、ここに行けば欲しい情報が全て手に入る、という形を作ることが必要になる。
  • 信州いいやま観光局の事業規模はここ3年間、4億5000万円~5億円位で推移している。5億円の内、市からの補助金約4000万円の他は、事業所が稼ぎ出している。
  • 信州いいやま観光局は4つの施設と観光協会の機能を併せ持った一般社団法人。商品造成、セールスプロモーション、販売、受入、といった全てを一元的に行っている。
  • 多くの着地型旅行商品を作り、様々なニーズに応えられるようにしている。
  • 妙高市には環境生活課のほかに、観光担当部局があるのか。(参加者)
岡田氏
  • 他に観光商工課がある。環境生活課はエコツーリズムの側面から観光に携わっており、エコ・トレッキングを通じた自然保護の啓発や、国立公園を担当している。観光商工課とは連携して事業にあたっている。
  • 観光分野だけの狭い活動ではなく、環境も含めて行うのがエコツーリズムの精神だと理解している。
鈴木氏
  • 派遣実施の際は、観光商工課の方も熱心に参加された。観光担当者と環境担当者が共に取り組んでおり、非常に可能性があると思う。
(3)情報発信
  • 情報発信について、具体的なアドバイスをいただきたい。(司会)
鈴木氏
  • 広報戦略と広告を分けて考えることが重要。広報戦略とは、事業を始めるにあたって、どの時点で何をして、どのような発信を行うかを考えるスケジューリングのこと。広告をする際は、その時々の条件の中で最適なものを選ぶことが重要。
  • イメージ付けを行う上で映像は効果的。ホームページを開いた時に、15秒程度の印象的な映像を流すだけでも効果がある。こうした映像制作は、一般向けの安いビデオカメラとソフトでも十分対応できる。
木村氏
  • エコツーリズムには、地域の資源を守り伝えることで地域の活性化につなげるという基本的な考え方がある。パンフレットや映像といった媒体の利用も効果的であるが、地域の資源をきちんと守っている姿勢や地域の良さを、地域の人が伝えることそのものが一番の広報になると考えている。
  • そのため、飯山ではガイド養成に力を入れている。ガイドを通して地域の良さを発信することで、リピーターになってもらったり、新しいお客様がやって来たりということが、従来の観光とは異なるエコツーリズムならではの特色である。
  • 地域内では悪い所を指摘しにくいため、ガイド養成をサポートしてくれるような事業があれば良いと感じている。
(4)地域の人材育成
  • 地域からは今後の具体的な取組について紹介していただきたい。アドバイザーからは上手く進めるためのアドバイスをいただきたい。(司会)
杉本氏
  • 東伊豆町では、今回のアドバイザー派遣を受け、商品づくりと「大人のふるさと学級」という二つの分科会を立ち上げた。
  • 「大人のふるさと学級」は大人が地元について知るための講座で、月1回の開講を予定している。この取組を通じて地域の素晴らしさを認識してもらうと同時に、そうした地域の宝がエコツーリズムに結び付いていくことを理解してもらいたい。
渡邊氏
  • 「大人のふるさと学級」は大人が地元について知るための講座で、月1回の開講を予定している。この取組を通じて地域の素晴らしさを認識してもらうと同時に、そうした地域の宝がエコツーリズムに結び付いていくことを理解してもらいたい。
  • 財源を捻出しながら取組を継続化させるためには、行政との協働が必須となる。
鈴木氏
  • 地元の良さは住んでいるとなかなか分かりづらい。地域の宝を見つけるためには、外部からのお客様の声を拾うことも重要。
(5)保全
  • 妙高市では環境教育により市民の保全意識を高めたいということであった。また、信越トレイルは観光客が直接保全活動に関わるプログラムである。(司会)
岡田氏
  • 妙高市にとって国立公園は重要な意味を持つが、妙高市民の国立公園に対する関心は薄く、保全しようという気持ちも薄れている。
  • 今後は地域の人と一緒に自然を守り育てるため、環境教育に力を入れていきたい。
  • 現在はパーツごとの取組に終始しているため、今後は統一的なプラットフォームづくりについても検討していきたい。
木村氏
  • 飯山における森の保全活動は、高齢化が進み地域住民だけでは山が守れなくなった地域において、地域の資源を使い新しい観光を生みだせないかと考えた時に、森の保全のためボランティアに入ってもらえる仕組みを作ったことがきっかけ。
  • ボランティアは飽きてしまいやすいが、ロングトレイル整備という目標が継続のための大きな動機付けになった。
  • ボランティアが活動するにも地域の理解が必要。地域の中でのコンセンサス作りや森を守ることの重要性を伝える役目を、観光局が果たしてきた。その結果、ボランティアと地域住民との触れ合いが生まれている。
  • このような体制作りは非常に大変で、キーパーソンや組織の存在が不可欠。エコツーリズムには、組織があり、それをコントロールする人がいて、実際にお客様に伝える人がいるという総合力が欠かせない。地域を挙げての総合力が重要なエコツーリズムは、地域の意識醸成が必要となるため他のツーリズムより難易度は高いが、その分満足度は高く、やりがいがある。
(6)最後に
  • 最後に、各地域で進められている取組に対し、環境省として期待することや、支援策・政策等についてコメントをいただきたい。(司会)
中尾氏
  • 成功事例がない、という点が引っかかっている。エコツーリズムは経済的な尺度だけで評価はできないのではないか。
  • 環境省事業として、東日本大震災の被災地域において、エコツーリズムを用いた復興支援を行っている。この事業を通じて、エコツーリズムを地域で作り上げることは、地域の中のつながりを取り戻し、強めていく過程でもあると感じている。エコツーリズムを作っていくプロセスそのものの価値も評価するべきではないか。
  • 地域のことを語れて、感動を分かち合えるようなガイドの養成が非常に重要である。ガイドの方もお金だけがやりがいではないだろう。その部分の評価は難しいが、重要な点であると思う。
  • エコツーリズム推進アドバイザー派遣事業は、エコツーリズム推進に取り組む地域団体から要請があれば、その団体に専門家の派遣を行うもの。
  • エコツーリズムガイド養成事業に参加すると、交通費などは自己負担だが、3ヶ月間のオンザジョブトレーニングを受けることができる。一方、今までの職からは離れる必要があり、相当の覚悟が必要となる。この事業は年に1回ガイドを目指している方を募集し、約3ヶ月かけてオンザジョブトレーニングという形で養成する。自然学校やエコツーリズムを推進している団体に、ガイドの卵の方をインターンとして派遣している。
  • 生物多様性保全推進交付金(エコツーリズム地域活性化支援事業)は、地方自治体が参加して形成されている地域のエコツーリズム推進協議会に対して、交付金を環境省が手当てするもの。地域側に予算が集まってくれば、この事業を活用することで、2倍の速度で事業を進めることが可能となる。制約はあるが、協議会で用意した予算とほぼ同額を環境省でもつことができる。
  • 復興エコツーリズム推進事業として、岩手県から福島県までの5地域において、特にエコツーリズムで地域活性化を目指したい、被災の後、地域のヨリを戻していきたいというところに対して、環境省がサポートしながら、なるべく地域の方が中心になる形で、組織作りやプログラム作りを行っている。
  • エコツーリズム大賞はエコツーリズム協会と一緒に行っている事業で、様々な先進的取組を行っている団体に対し、環境大臣からエコツーリズム大賞を授与するもの。大賞に準ずる秀でた取組が見られる団体に対してはエコツーリズム大賞優秀賞、総合的な面では優秀賞より劣るが、ある一分野に優れている団体、あるいは革新的な取組が見られる団体に対してはエコツーリズム大賞特別賞を授与している。

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